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映画【CUBE(97′)】のあらすじネタバレと考察!目的不明の恐怖、20年経った現在も語り継がれる“元祖密室ホラー”

CUBEのポスター

出典:IMBD

デストラップ系映画”といえば、映画『ソウ』シリーズを筆頭に、今やホラーの中でも一つのジャンルとして確立した存在です。その先駆けとも言われ、公開から20年以上経った今でも根強く愛される映画CUBE』。

「目が覚めたら見知らぬ密室、知らぬ顔の男女!」現在ではありふれた設定ですが、はっきり言って作者の頭から直接産み出された“本家”は別格……。

本記事では、単なるパニックホラーに落ち着かせない映画CUBE』のドラマチックなあらすじをネタバレ付きで紹介、さらに賛否が分かれるラスト、本作の正式な続編についても語っていこうと思います。

映画【CUBE 一度入ったら、最後】のネタバレ感想!違和感の正体とは?謎は続編に?原作“ナタリ版”の脚本から考える

映画『CUBE』の作品情報

CUBEで叫ぶカザン

出典:IMBD

ジャンル サスペンス・ホラー
制作年 1997年
監督 ヴィンチェンゾ・ナタリ
キャスト モーリス・ディーン・ウィン、ニコール・デ・ボア、デヴィッド・ヒューレット他

カナダの映画監督・ヴィンチェンゾ・ナタリによって製作された映画CUBE』。裸一貫、一切の情報がない状態で、死に直結するトラップを回避しながらの脱出劇。このゲーム的な設定は、当時斬新で大ヒットしました。

ナタリ監督は元々アニメ制作スタジオで働くスタッフで、短編映画を自主制作している青年でした。『CUBE』もかなり予算を抑えて作られており、本作の構成は完全にアイデア勝ちと言えるでしょう。その後、本作の設定を模した作品が続々と発表されました。

ちなみに監督映画作品には、他に『スプライス』などがあります。動物と人間のDNAを混ぜて新生命を作る科学者夫婦の物語で、こちらも楽しいのですがやはり本作『CUBE』の衝撃には及びません。完全にナタリは“『CUBE』の監督”という感じ。

映画『CUBE』の作品概要

立方体の見慣れない部屋で目覚めた男女。部屋の隣には部屋、さらに部屋……。
部屋ごとに命を奪う恐ろしいトラップが仕掛けられる“CUBE”から脱出するべく、参加者は知恵を絞り協力して進みますが、極限状態から彼らの本性が暴かれ始める……。

映画『CUBE』のあらすじをネタバレ

疲れて眠るCUBEのメンバー

出典:IMBD

全く見覚えのない“立方体の部屋”で目覚めた、警察官・クエンティンを含めた5人の男女。ここに来た理由も、この場所がどこなのかも何もわからない状態です。

メンバーは警察官・クエンティン、とにかく無気力な青年・ワース数学に長けた女子高生・レブン(可愛い)、精神科女医のハロウェイ。そして、脱獄の天才として悪名高い犯罪者・レン。全くの他人である彼ら、共通点も一切ありません。

四角い部屋の壁面にはそれぞれ扉が取り付けられています。「脱出しないと何もわからない」。混乱しながらも、彼らはとにかく今いる立方体から出ることにしたのでした。

脱獄の天才の失脚、新たなルール

皆を先導する心理的なリーダーは警察官のクエンティン、刑務所の脱獄に慣れているレンが技術リーダーといった感じ。何もわからないながらも、それぞれが自分なりの振る舞いを確立していきます。

部屋のほとんどには“仕掛け”がしてあり、どれも命を奪うデストラップ。レンは部屋に入る前に靴を放り込んで確認する方法を考えます。しかし、レンが隣の部屋に移った途端、強酸が噴射!顔に酸を浴びてしまったレン。顔をほとんど溶かされ、苦しみながら死に絶えます。

絶望する一行。早くも技術リーダーを失い、さらに靴を投げ込む作戦も無効になった瞬間でした。これから勘を頼りに進むには、あまりにも危険すぎるトラップの数。グロテスクなレンの死骸が足元に転がっています。

恐怖に立ちすくむ彼らは、ここで足止めを食います。しかしふと気がついたのが、部屋と部屋の接合部に“3桁の数字”。どの接合部にも描いているようです。

謎の青年・カザン、本性を現すクエンティン

数字を眺めるレブン。数学に長けている彼女は数字に素数が含まれている部屋はトラップが仕掛けられているという説を導き出します。レブンを筆頭に、一行はさらに進みます。

順調に部屋を渡り歩いていた一行。しかし、前後左右、地面のつなぎ目全てが素数の部屋に迷い込んでしまいます。「ここまで来て、死ぬしかないのか」。途方に暮れる中、天井にも扉があることに気がつきます。

天井の扉をこじ開けると、なんと人が転がり落ちてきました。新しい人物、自閉症のような症状を持つ青年・カザン。赤い色を極度に怖がり、ちょっと意思疎通が難しい感じです。

彼らが“CUBE”の中を彷徨いだしてからすでに10時間以上経っていました。それぞれのフラストレーションはピーク。中でも、最初はリーダーとして皆をまとめようとしていた警察官・クエンティンが、周囲に当たり散らすようになっていきます。この辺りの彼の小物感はすごいのです。

沈黙を守ってきたワースが語る「CUBEの真実」

何かと足手まといなカザンは、常にクエンティンに攻撃されます。そんなカザンを守る精神科医のハロウェイにも暴言を吐くクエンティン。トラップ以上に、今にも飛びかかってきそうなクエンティンのあからさまな態度に皆疲弊していきます。

自暴自棄になる中、ほとんど口を聞かなかった青年・ワースが、突然の告白。ワースは仕事でこの建物の外壁の設計に関っていたのだと……。「この建物を作った人間」と曲解し、ワースを責めるクエンティン。

しかし「この建物は17576個の立方体でできていて、出口がひとつしかない」ことしかワースは知らないのだと言います。建設には多くの人間が関わっているが、下請けの下請けの……といった感じで、誰も目的や用途、依頼者を知らないまま作られたのだと……。

特にヒントを得られないばかりか「膨大な部屋の数に対して出口がひとつ」という、絶望的な現実を知ることになってしまった一行。

極限状態でついに起きた殺人

絶望しながらも、飢えを待つよりはと彼らは部屋を移動します。すると彼らは、建物の上階に辿り着きました。「壁をつたって降りる」という希望を見出した一行。細身のハロウェイが服で作ったロープを握り、向こうに渡ろうと試みます。

バランスを崩し、落下しそうになるハロウェイ。咄嗟に、クエンティンが彼女の手首を掴みます。そしてクエンティン、ハロウェイの手を離します。強気な彼女が煩わしかったのでしょう。皆には「助けられなかった…」と小芝居。

はっきり言ってバレバレです。「こいつ、ハロウェイを殺した…」誰もがそう思いますが、肉体派のクエンティンと、この場でやり合う選択はできません。クエンティンはグループの癌、いつ何が原因で起爆するかわからない爆弾のような存在。

極限状態の中、彼らは3つの数字の真実を読み解きます。「素数のある部屋」ではなく「3つの数字の因数が素数である部屋」にトラップがある……。常人が求められる数字ではありません。紙を使っても、ひとつ解くのに膨大な時間がかかります。

するとカザンがポロッと、解をつぶやきます。サヴァン症候群、発達障害の人間にごく稀に見られますが、特定の分野のみに天才的な能力を発揮することがあります。カザンは数学の天才、天文学的な計算を頭の中で行う能力を持っていたのです。

クエンティンを振り切った先で見つけたもの

このウスノロが天才!?」クエンティンは暴言を吐き、残る3人を恐怖で支配します。唯一の女性であるレブンは、クエンティンに“見染められ”ついに暴力をふるわれそうになります。

これ以上クエンティンと行動を共にできないと感じたワースとレブンは、カザンを連れてクエンティンを振り切ろうとします。クエンティンは扉に首を挟まれ大怪我を負いながらも、執念でレブンを追います。しかしついに見失い、一人残されたのでした。

クエンティンを振り切ってからは、カザンの能力で順調に進む3人。ある部屋でレブンはガラスの破片を見つけます。最初に目覚めた部屋で割れた、彼女のメガネの破片でした。

CUBEの“解”、そしてラスト

CUBE内にある17576個の部屋は「移動している」。正しい部屋にいれば、部屋ごと移動して出口へ向かう仕組みだったのです。「初めからこの部屋にいればよかったんだ」……。

こうしてついに出口に移動する“正解の部屋”にたどり着いた3人。部屋は急降下し、彼らの身体に強い圧がかかります。部屋の動きが止まり、ヨロヨロと目を開けてみれば、扉から外の光が。

ここにきてワースは「外に出ても生きる理由がない」と言います。「外はどうなっているの?」レブンが尋ねた瞬間、彼女の胸に鉄の棒が突き刺さります。後ろには血塗れのクエンティン。追ってきていたのです。

クエンティンは次にカザンに襲いかかります。自分以外、全員殺すつもりなのでしょう。それをワースが食い止めます。激しい乱闘の末、2人とも瀕死の状態。「カザン、行け!」。ワースの叫びを聞いたカザンは、恐る恐る光の溢れる“出口”に歩み出しました。

映画『CUBE』のここがしんどい

赤を怖がるカザン

出典:IMBD

途中ハロウェイが「外の光が見たいわ」というシーンがあったように、CUBE内に太陽光は入りません。つまり時間がわからない状態。疲れから少し眠ろう、という話になった時もクエンティンが「俺がいいというまでだ!」と怒鳴ります。食料も水もない環境で、さらに時間の感覚まで奪われるというのは究極の恐怖かもしれません。

さらに、昨今の密室モノではよくある「フハハ、よくここまでたどり着いたな」みたいな天の声も一切なし。部屋に仕掛けられたトラップから、悪意は十分すぎるほど伝わってきますが、仕掛け人からのアクションはありません。

この環境に放り込まれた意図もわからなければ、敵の姿も見えない。すると参加者たちは、ヘイトをぶつける場所がなくなってきます。敵の姿さえ見えれば、もう少し一致団結できたかもしれません。

また、ホラー映画のセオリーとも言える「悪い奴は報いを受けて死ぬ」という流れも完全に無視。悪役であったクエンティンは最終的にCUBEに取り残されて息絶えますが、周囲を尊重して懸命にCUBEの謎を解いた登場人物も皆死んでしまいます。

ホラーとはいえ物語ですから、私たちが死に理由を求めたくなるのは当然です。特に理由なく「うっかり」や「不運」で死んでいく登場人物たちの最後に「納得できない」という評価をする方も一定数いるようです。

結局、最後にカザンがCUBEを脱出することに成功します。しかし「外はどうなっているの?」とレブンが発したように、明るい光=脱出・自由とは語られていないところも、なんともいけず。

また、この生き残った青年・カザンの扱いも「ええ!?それだけ!?」というほど素っ気ないものです。3桁の素因数分解を暗算で、一瞬でできるんですよ……、もっと君のこと知りたいよ。

映画『CUBE』の続編は『CUBE ZERO』がおすすめ

当時大人気から、類似タイトルの作品が出回った『CUBE』ですが、正式な続編は2つ。『CUBE 2』と『CUBE ZERO』です。いずれも監督は別の方。

CUBE 2』は「劣化版」なんて言われて少々残念な評価。一方『CUBE ZERO』は、『CUBE』の前に遡った時系列で展開され、建物の外の描写も出てきます。ZERO』では、CUBEが作られた理由、仕掛け人についても僅かに明かされるなど、一作目ほどではありませんが決して見て損はないはず。

映画『CUBE』のストーリーまとめ

罠にかかるクエンティン

出典:IMBD

  • 全く見覚えのない“立方体の部屋”で目覚めた5人の男女
  • 部屋のほとんどには“仕掛け”がしてあり、どれも命を奪うデストラップ
  • 数字に素数が含まれている部屋はトラップが仕掛けられているという説
  • 極限状態から、メンバーの本性が現れ始める
  • ついに起きるクエンティンによる殺人、そして数字の真実が明らかに
  • ラストの死闘!最後に光あふれる外に出たのは、カザンただ一人
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