映画『青くて痛くて脆い』徹底分析!吉沢亮と杉咲花の名演技の秘密

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映画『青くて痛くて脆い』は大ヒットした映画『君の膵臓をたべたい』の著者・住野よるの同名原作の映画化。主人公は吉沢亮、ヒロインは杉咲花。若手演技派のふたりの演技が素晴らしい青春映画の良作に仕上がっています。若くて世間知らずで悩める年代だからこそ渦巻くドス黒い感情。それがこの映画の鍵となっています。

『青くて痛くて脆い』あらすじ

非社交的な性格で友達のいない田端楓(吉沢亮)は、ある日の授業で自分の中の正義を熱く語り、教授に質問をあびせる秋好寿乃(杉咲花)と知り合います。楓が避けても、どんどん懐に入り込んでくる秋好に根負けした楓は、彼女の夢である「世界中の人に平和を」「戦争のない世界を」を実現するための秘密結社「モアイ」の立ち上げに関わります。最初はイヤイヤでしたが、純粋に夢に向かって邁進する秋好に引っ張られ、楓はモアイの活動を楽しむように。ところが脇坂(柄本佑)が仲間入りしてから、楓は「モアイ」の中に居場所をなくしてしまい……。

吉沢亮と杉咲花の演技合戦

吉沢亮が『キングダム』に負けない素晴らしい演技で魅了

『キングダム』で秦の若き王を演じて大絶賛された吉沢亮が『青くて痛くて脆い』ではネガティブな大学生を演じていて秀逸です。自分が傷つくのが怖いから、人との間に距離を置いていた楓。自分を守るために自分の都合のいいように物事を考えて納得していたけれど、変わっていく秋好だけは納得できず、友情が憎しみに変わっていく……。若く視野が狭いがゆえに、闇落ちしていく楓を演じる吉沢亮が放つ熱量が、物語が進むにしたがってグイグイ上昇していくのがわかります。静かな青年の中にくすぶる秋好への負の感情がどんどん肥大していく様は生々しい! 吉沢は「映画を観た人に嫌われそうな役だったのですが、演じていて楽しかった」と公式サイトのインタビューで語っていますが、楓の役を完全に自分の中に落とし込んでおり、『キングダム』の時に負けない素晴らしい演技を見せています。

杉咲花の秋好は、彼女以外に演じられないキャラクター

自分の中の正義を貫き、ただまっすぐに自分の夢を語り、周囲にドン引きされても負けないヒロインの秋好。小さいサークルの「モアイ」を大きく成長させ、周囲から一目置かれる存在になっていく中、かつての仲間、楓の反感を買ってしまう。まっすぐな理想を語っていた秋好は変わってしまったのか、それとも……。そこが本作の謎のポイントです。杉咲は原作のファン。「秋好役を演じたい」と熱望していただけあって、熱い芝居を見せてくれます。吉沢亮との相性も抜群。楓として負の感情をぶつけてくる吉沢をたくましく受け止める杉咲はまさに秋好そのものです。

この二人だからこそ成し遂げられた楓と秋好

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吉沢は、美男ですが明るく太陽のようなタイプではなく、どこか陰があり、屈折した感情を抱いているように見えます。そんな彼に楓役はドンピシャのキャスティングだったと言っても過言ではありません。そして杉咲は、誰もが賢く明るく礼儀正しいイメージを持っており、その優等生的なイメージが秋好と重なります。周りに白い目で見られても自分の主義を貫く強さも持ちあせており、そのメンタルの異常な強さを秋好の個性としたのは杉咲の演技力です。
吉沢と杉咲は、楓と秋好として映画の中でしっかり生きた。その生々しさが最後、心をえぐられるような感動を生むのです。

青春ミステリーという名のもとに青春の恥を描いていく

青くて痛くて脆い

(C)2020映画「青くて痛くて脆い」製作委員会

秋好と「モアイ」の真実を暴く演出

映画『青くて痛くて脆い』は、現在と回想が交錯する形で展開していきます。楓と秋好の出会い、人懐っこい秋好が楓を巻き込んで「モアイ」を結成するという日々は回想で綴られますが、現在の楓は「彼女は死んだ」と友人に語ります。二人の間に何があったのか、「モアイ」はなぜ巨大なサークルになっていったのか……。その謎に迫る描写はミステリーの趣もありますが、実はそれがトリック!
ネタバレになるので詳細は映画が公開されたら見ていただきたいのですが、楓の秋好への執着心、自分自身へのコンプレックス、傷つきたくない臆病な気持ちが、このミステリアスな青春物語に大きな影響を与えています。最後まで観ると、大人たちは若い頃の未熟な自分を見るようで、恥ずかしくなるかもしれません。

素晴らしいドラマを生み出してきた狩山俊輔監督

演出は「泣くな、はらちゃん」「Q10」「俺のスカート、どこ行った?」(いずれも日本テレビ)などを手掛けた狩山俊輔監督。狩山監督は、風変りなキャラクターを魅力的に見せるのがうまい! そんな監督の力量が、映画でもフルに発揮されています。今後も狩山監督の作品に期待したい!

ストレートな青春映画とは一線を画すひとひねりした展開と心の闇をえぐりだす内容が、切実に胸に迫ってくる映画『青くて痛くて脆い』。絶賛おすすめ映画です。

『青くて痛くて脆い』DATA

(C)2020映画「青くて痛くて脆い」製作委員会

原作:住野よる「青くて痛くて脆い」(角川文庫刊)
監督:狩山俊輔
出演:吉沢 亮、杉咲 花、岡山天音、松本穂香、清水尋也、森 七菜、茅島みずき、光石 研 柄本 佑
(2020年8月28日より、全国東宝系にてロードショー)

『青くて痛くて脆い』公式サイト
(C)2020映画「青くて痛くて脆い」製作委員会

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