映画【母性】が2022年11月23日(祝・水)に公開されます。
ある女子高生が遺体で発見されるところから始まる、娘を愛せない母と、母に愛されたい娘による、愛と憎しみの激憎エンタテイメントです。
娘を愛せない母・ルミ子 | 戸田恵梨香 |
遺体で発見された娘・清佳 | 永野芽郁 |
湊かなえさんの小説は重いけど面白いんだよね!
母と娘、どっちが正しいこと言ってるんだろうね?
本記事では、【母性】の原作ネタバレについて書いていきます。
【母性】の原作は?
原作「母性」は10年前の
2012年10月31日に刊行されました📖累計発行部数120万部を超える
「母と娘」を巡るミステリー小説!すでに原作を読んだ方もこれからの方も…❁
この秋、原作小説・映画とあわせて
母性に惑わされてみるのは
いかがでしょうか?🌹#湊かなえ#映画母性 #11月23日公開 pic.twitter.com/ScXVsyVXh2— 映画『母性』公式 (@bosei_movie) October 31, 2022
原作者 | 湊かなえ |
出版社 | 新潮社 |
発売日 | 2012年10月31日 |
「告白」など、多数のベストセラー小説を生んだミステリーの女王・湊かなえさんの小説で、彼女が作家を辞す覚悟で執筆した、累計100万部を突破している衝撃的問題作です。
【母性】の原作ネタバレ!
ここからは【母性】の原作あらすじを整理していきます!
(※ネタバレ注意!)
10月20日、女子高生が倒れているのが発見された。
母親が通報したが、「愛能う限り大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて信じられない」と言葉を詰まらせた。
娘の誕生と幸せ
母の手記①
教会の神父(吹越満)に勧められ、ルミ子(戸田恵梨香)は手記を書いた。
私は絵画教室で知り合った田所哲史(三浦誠己)と24歳の時に結婚した。
同じ生徒で哲史と同級生の仁美から忠告されるも、母(大地真央)が哲史の描いた薔薇の絵や彼を褒めたから、母が喜ぶと思ったから。
私はいつも母を喜ばせるため、母に愛されるために行動し、言葉を選んで生きてきた。
だから大人にも好かれた。
3度目のデートでプロポーズされ結婚。
出会って1年後には、田所の実家が用意してくれた新居に2人で住み始める。
そこは実家からバスで1本の距離だった。
やがて、娘の清佳を産み、母がとても喜んでくれてルミ子はこの日が人生で一番幸せだった。
私は母が喜んでくれるために、娘を愛し大切に育てた。
また、相手のことを思いやり、どう言えば相手が喜ぶか考えて話すよう、清佳を育てた。
おかげで母は自分も清佳のことも愛してくれた。
娘の回想①
高校生になった清佳(永野芽郁)は中谷亨(高橋侃)と付き合っている。
彼から、清佳は言っていることは正しいけど情がないと諭される。
私は間違っていないのになぜとがめられるのかと泣いて怒った。
3歳のころ、高台の家で両親と幸せに暮らしていた。
おばあちゃんからは「無償の愛」を受けていたが、母からの愛は違う気がしていた。
母の教え通り、大人が何を言って欲しいか考えながら話すようになる。
全ては母に愛されるためだった。
台風の夜
母の手記②
結婚して7年、ルミ子が31歳の時、事件は起きた。
娘が小学校に上がる前、田所が夜勤の時は不安で仕方なく、実家の母に泊りに来てもらっていた。
母が手作りで用意した小鳥の刺繍のバッグを最初は喜んでいた娘だが、キティちゃんのにして欲しいとせがんだ。母がせっかく用意してくれたのに、この子にはやはり田所の血が流れていると感じる。
その日は台風が来ると天気予報で言っていたため、田所は早く出勤し母も早めに来た。
雨が強くなり、停電になったのは夜8時頃。
ろうそくの火をともして母と語っていれば怖くなかった。
母は、寝室ではなく箪笥に挟まれた部屋で寝て、そこへ娘がいつも布団にもぐりこみ一緒に寝ていた。
夜中にドカンと大きな音がして目が覚めると、土砂崩れが起きていた。
娘が「ママ!」と叫ぶ声が聞こえ、母の元へ行くと、母が箪笥の下敷きになっている。
何とか助けようと引っ張るが全く動かない。
先ほどつけたろうそくの灯が落ち、部屋が火事になり、火の手が箪笥の部屋にも来ている。
母は娘を助けるよう何度も頼んだが、私は諦めようとしない。
母の最期の言葉は
私はあなたを産んで幸せだった。愛能う限りあの子を大切に育ててあげて。
というものだった。
それからの記憶はあいまいだが、娘を助け出し一緒に外に出た。
母の最期の願いだからと、娘を大切に育ててきた。
娘の回想②
私はバッグにキティちゃんの刺繍をしてほしかっただけなのに既製品が欲しいと勘違いされた。
大好きなおばあちゃんはいなくなった。
台風の日、おばあちゃんと2人で寝ていると、突然箪笥が覆いかぶさり、動けなくなった。
助けに来た母とおばあちゃんは言い争っているが、何を言っているか分からない。
火事になり意識がもうろうとしていると、母の悲鳴が聞こえた。
その後、油臭い腕に引っ張られ助け出された。
私はおばあちゃんは「圧死」だと思っていたが、田所家は「焼死」と言っていた。
両親はおばあちゃんの死因について全く語らなかった。
田所家からの仕打ち
母の手記③
事件後、人生は一変した。3人で田所の家に入る。
しかし、事件から4年後、娘の10歳の誕生日に眠っている顔を見て頭をなでてあげようとすると、無意識に手を払いのけられた。
愛してきた娘にそんなことをされ絶望を感じた。
娘と手をつなぐと温かくて母を思い出し悲しくなってしまう。だから娘に触れられなかった。
つないできた手を振り払ったこともあった。
義母が辛く当たってきて、死ぬことも考えたが、しだれ桜の花が1つ咲いているのを見つけて、母が自分を見てくれている。褒めてもらえるように頑張ろうと思った。
哲史の妹、律子は最初は仕事をしていたがすぐやめて一日手芸をするようになる。
そして男と付き合い始め、私にお金を貸してほしいと言うまでに。
家族は律子が逃げないよう、交代で見張っていたが、ある日、娘が律子を見張っていなかったから彼女は結局男と駆け落ちして大阪へ行ってしまう。
心配になった哲史が見に行くとたこ焼き屋をやっていて、もう死んだと思って欲しいと言っていたそうだ。
娘の回想③
母から、触らないで。あんたの手はベタベタして気持ち悪いのよ。と言われ、それから母に手を出すことも、触れてもらうこともなくなった。
田所の家では、母を守ろうと、意地悪な義母に抵抗することもあったが、嫌なら出ていけばいいと言われてしまうと何も言い返せなくなった。
最初は2階に3人で寝ていたが、ある日、母が泣きながら、なんでなの…と言いながら、私の体に拳をぶつけてきた。母を守れなかった私が悪いと思い、歯を食いしばり寝たふりをした。
しかし4年生のころ、離れができて母の拳を受けることはなくなった。
りっちゃんが男にだまされそうになっていると知り、私が出ないよう見張ることになったが、数日で帰ると言う彼女の言葉にだまされた。りっちゃんが帰ってこなかったせいで、私が責められた。
母を守った気がしていた。
赤ちゃんとの別れ
母の手記④
台風の日から6年後、母の命日に、2人目の妊娠に気付いた。
そのころ、哲史の妹の憲子と4歳の息子の英紀がよく家に来るようになる。
英紀は癇癪をよく起こし、手が付けられないほどで、幼稚園を1か月で辞めさせられた。
嫁ぎ先にもいづらくなったようだ。
英紀は私を慕い、散歩に行ったり、膝に乗せてあげたりすると、おとなしくとてもいい子だった。
散歩のときにはいつも「僕の事何番目に好き?」と聞いてくるので「一番だよ」と言うと喜んだ。
娘が家のことをやってくれているので感謝し、ハンドクリームを塗ってあげたがあまり喜んでいないように見えた。
その後、切迫早産になり、安静にしているところへも憲子はやってきて、英紀を散歩に連れていくよう私に頼む。
さすがに娘は怒り、汚い言葉で憲子たちを追い返そうとした。
娘の態度と汚い言葉にショックを受けた。
私は英紀を少し散歩に連れて行ったが、またいつもの質問の時、「1番だよ」と答えても、嘘だ!赤ちゃんが1番だ!と怒って私を突き飛ばし、走って行ってしまった。
尻もちをついたときに、出血し、私は流産してしまう。
赤ちゃんができたことを英紀に伝えてしまった娘をうとましく思った。
翌日、英紀は油でやけどをしてしまい、憲子たちは来ることはなくなり、家族3人で、大阪に行ったと聞いた。
娘の回想④
憲子と英紀が家に来るようになり、私は触れられもしないのに、母が英紀を膝に乗せたりすることに嫉妬していた。やんちゃでも甘やかされ、腹立たしかった。
母が妊娠し、「お姉ちゃん、協力してね。」と言われたのが嬉しかった。
そして、ある日家のことを終えたあと、離れに戻ると、母が優しい言葉をかけてくれて、ハンドクリームを塗ってくれた。時が止まればいいのにと思うほど嬉しくて、話すと涙がこぼれそうで必死にこらえた。
しかし、その後、英紀と散歩に行った母は流産してしまった。
翌日、憲子は悪びれる様子もない。
喧嘩している間に英紀が油に手を突っ込み、手を冷やしてあげながら、痛いね、おばちゃんと赤ちゃんはもっと痛かったからね。と言ってやった。翌日から2人は来なくなった。
母がハンドクリームを塗ってくれることは二度となかった。赤ちゃんを守れなかったんだから仕方ないと思った。
詐欺師
母の手記⑤
流産した私を救ってくれたのは、倒れた時救急車を呼んでくれた、近所の中峰敏子さんだった。
月1回の手芸教室に誘ってくれ、いろんなものを作り、そこに集まる人たちと悩みを共有できる時間が幸せに感じた。
ある日敏子さんの姉の彰子さんという人が、占いをやってくれて、それがすごく当たっていた。
母とも話をさせてくれてすごくうれしかった。
彰子さんから娘との関係が上手くいってないことを指摘され、彼女から薬を買って娘に飲ませた。
娘は薬のおかげで成績も上がり、ボランティアにも参加したり目に見えて効果が出た。
そして先生と会えばもっと母と話ができるらしく、ついに会えると分かった時、義母に敏子さんが詐欺師だと言われ、彼女との関係は途絶えた。
それも娘が義母に敏子さんが詐欺師と告げ口したからだ。
娘の回想⑤
母が手芸教室に通い出して1年たったころ、薬を飲むよう渡された。
にきびの薬と言われ仕方なく飲んでいたが、にきびはよくなるどころか増えた。
また、成績についてもテストを毎回チェックされ、間違いがあるとぶたれた。
クラス委員に立候補しないの?ボランティアには参加しないの?と言われるので仕方なく参加した。
やはり全ては母に愛されたいという気持ちから常に従った。
その半年後、母は手芸教室を辞めた。
祖母が母に優しくなっていたので、母を守る必要がないことが寂しく感じた。
決定的な食い違い
母の手記⑥
ある日、娘が夜10時という遅い時間に帰ってきた。
今日こそは厳しく言い聞かせようと思うが、まずは優しく笑顔で声をかけようとすると、娘の目が、赤く腫れていた。それには触れず、座るよう言うと、娘は泣きだし、おばあちゃんが私を助けるために自殺したのは本当か?と聞いてきた。
私は母が火事の時に、自分の舌を噛み切って亡くなったことを思い出した。
娘は、ごめんなさいと何度も繰り返した。
私は「愛してる」と言い両手をのばして娘を抱きしめた。
しかし、その手を振り払い、娘は自室へ駆けて行った。
その後私は眠ってしまったが、義母の「何してるんだ!」という声で目が覚めた。
外に出ると、娘が桜の木の下に倒れていた。首を吊って自殺しようとしたのだ。
田所は絵を残し、私の前から消えた。
大切な娘の意識が早く戻って欲しいと願う。
娘の回想⑥
ある日、亨とデートしていると、父を見かける。
妻に母の介護をまかせてどこにいくのだろうと亨と別れてついていくと、おばあちゃんの家に入った。そこは仁美さんが今住んでいる。
中に入るとビーフシチューを作りながら幸せそうに話す2人がいた。
私が問い詰めると、仁美さんが、母に好かれようと必死な娘と目をそらす母を見ているのが辛いと言った。父が気づいていてそれを仁美さんに話していると思ったら、喉をえぐられる気分だった。
さらに、あの火事の時に、おばあちゃんが舌を噛み切って死んだ。母は、大切なお母さんを娘に奪われたから許せないとも言った。
私は嘘だ!といいながら仁美さんにワインボトルを振り下ろし、家から飛び出し、バスの中でひたすら泣いた。信じたくなかった。
家に帰り、母に問い詰めると、悲しそうな目で私に両手をのばした。
一瞬抱きしめられるのかもしれないと思った。
その瞬間、母は私の首を絞めた。
自室に逃げ込んだ私は、どうしてここにいるんだろう?と考え、自殺することにした。
母へはママ、赦してください。とメッセージを残した。
暗闇の中、手を握って私の名前を母が呼んでくれた気がした。
そうだ私の名前は「清佳」だった。
それぞれの母性
女子高生の自殺について、愛能う限り愛してきた娘という言葉を使った母親のことが気になる清佳。はりっちゃんの店でその生徒の教師と話した。
亡くなった女子高生と会って話してみたいと思った。
りっちゃんにたこ焼きをもらったから今から行くねと母にメールをする。
祖母は認知症が進行し、りっちゃんも憲子のことも分からないが、母のことだけは、ルミ子ちゃんと呼び、近所や病院にも私の大切な娘と紹介する。
私は生き返った時に、母が手を握って名前を呼んでくれたことで、満足だった。
父は出て行って15年後、ふらりと帰ってきたが仁美には捨てられた。
火事の時、高台の家に入った時、薔薇の絵をまず移動させたことに罪悪感を持っていて私たちから逃げたらしい。
もう一度家に戻ると、おばあちゃんが舌を噛み切って息絶えていた。
父は私を引き出し、母と私と一緒に外に出た。
母はおかえりなさいと言って父を許した。
父が帰ってきた翌年、私は亨と結婚して家を出た。
こどもができたことを母に伝えると、おばあちゃんが喜ぶわ。と涙を流して桜の木を見上げた。
私たちはおばあちゃんの家に住むことになった。父が描いた親子3人の絵を飾る。
私は自分なりにこどもを愛して愛してすべてをささげようと誓う。
ただ、「愛能う限り」とは決して口にしない。
母から「楽しみだわ。気をつけてね」とメールの返信が来た。
古い屋敷に母が待っている。こんな幸せなことはない。
母と娘の証言はどちらが正しいのか?
さすが、湊かなえさんの作品は、面白くて一気に読み終えました!
この作品も重くて辛い内容ではありましたが、他作品に比べたら分かりやすく読みやすかったです。
私は読む前は、「絶対母親が悪い!」と思っていましたが、読んでみると、彼女なりに苦しんだ部分はあるんだとちょっと同情できました。
決定的に2人の意見が違ったのは、
ルミ子が娘を抱きしめたのか?首を絞めたのか?
それは、実際どうだったのかは描かれていません。
ただ、清佳は母に抱きしめられたなら首を吊ろうとはしなかったはずです。
そう思うとやっぱり、抱きしめたわけではなく、ルミ子は首を絞めたという清佳の回想が正しいんじゃないか?と思いました。
映画ではどう描かれているのか、楽しみに劇場に行きましょう!
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