映画『無頼』ネタバレ。6人の演技が秀逸!

12月12日(土)より井筒和幸監督の最新作・映画『無頼』が公開されています。

正義を語るな、無頼を生きろ。欲望の昭和、虚妄の平成を生きた寄る辺なき者たちの群像劇

キャッチコピーを見るだけで、ゾワゾワと心の奥の何かが騒ぎだします。

今回の記事では、映画『無頼』のあらすじやネタバレ込みのストーリー、個人的に気になるキャストなどについて紹介します。

この記事を見て、映画『無頼』を観に映画館へ行きたくなったら幸いです。

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映画『無頼』の概要

昭和を駆け抜けた社会のはみ出し者たちを描いた映画『無頼』。

監督は、『岸和田少年愚連隊』『パッチギ』『黄金を抱いて飛べ』など、様々なアウトサイダーたちの姿を一貫して描き続けて来た、井筒和幸監督。

偽りのノスタルジーに彩られた昭和懐古ブームを凌駕する、8年ぶりの新作にして集大成との位置づけの井筒和幸監督版『ゴッドファーザー』です。

主演は、元EXILEのパフォーマーで現在は俳優として舞台や映画で活躍する松本利夫。

共演に『チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』『純平、考え直せ』の柳ゆり菜。

その他、木下ほうか、小木茂光、ラサール石井、升毅、日本屈指のドラマーとして活躍する中村達也、フォークシンガー三上寛が脇を固めます。さらに、井筒組の過酷なオーディションを勝ち抜いた、総勢400数人もの俳優たちも物語を彩ります。

主題歌は、泉谷しげる。

自身のヒット曲『春夏秋冬』を新しく無頼バージョンとしてアレンジし直しています。

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映画『無頼』のあらすじをネタバレ込みで紹介

映画『無頼』のあらすじについて、ネタバレ込みで紹介します。

少年期 貧しい家庭で育つ正治

1956年夏、「もはや戦後ではない」といわれた時代から物語は始まる。2歳の頃、母親を亡くし、大財閥だった父の遺産を食いつぶし飲んだくれている父親と、親代わりの兄2人の4人で暮らす中学生の井藤正治。彼は、貧しい生活を強いられている。2人の兄とアイスキャンディ売りをしたり、自分の家の屋根から銅販(どうばん)を剥がして売るなどして、何とか生計を立てている。唯一のごちそうは、兄と鉄板で食べる魚肉ソーセージ。映画館に貼られている『太陽の季節』のポスターや街頭テレビで流れる力道山のプロレスに集まる庶民を恨めしい眼差しで見つめている。

時は流れて。。

最も慕う兄2人が家を出てしまい、父と2人暮らしをすることになる正治。次第に、飲んだくれの父親に我慢ならず、家から追い出してしまう。

日雇い労働で食いつなぎ、何とか生計を立てていたある日、父親が死んだことを伝えられる。2人の兄も家を出てしまっていて、行方知らず。もう、頼るものは、誰もいなくなってしまった。

荒んだ心を抱えつつ、地元で愚連隊として頭角を現した正治は、高校生を恐喝してはじめての鑑別所へ送られる。

18歳の時だった。

青年期 オリンピックの狂騒と独房

1963年秋。アメリカではケネディ大統領が暗殺され、日本が高度経済成長期に突き進む時代。正治は、ヤクザの兄弟分にけしかけられ、ホステスの引き抜きで揉めた商売敵のチンピラを切りつけて、刑務所に入ることになる。

刑務所では、看守が東京オリンピックの金メダル獲得のニュースを聞いて、歓喜している。日本が金メダルをいくつ取ったなどと、浮かれている始末だ。東京オリンピックの狂騒とは裏腹に、寂しい独房の中で、不味い飯を出される正治。その近くを這いずる虫を見て言う。

「頑張って生きなきゃな」

その後、出所するも、再びヤクザとひと悶着を起こし、5年間の刑務所生活に逆戻りする正治。やがて極寒の網走刑務所へ移送される。

29歳の時だった。

出所後、親子の盃を交わす

1972年。高度経済成長で景気が上向いている時代。網走での刑期を終えた正治は、実の兄である孝(中村達也)と再会。

孝の働きかけにより、北陸の虎という異名で恐れられた、若松組三次団体の組長・川野(小木茂光)と親子の杯を交わすことになる。

「まっちゃん、杯かわさねーか?」

若松組直系の川野組の子分となり、兄や愚連隊仲間と自分の事務所を持つことになった正治。敵対する地元の組との抗争を経て、組は武闘派として名を馳せていくことになる。

1973年。中国との国交正常化によるパンダブーム、オイルショックによるトイレットペーパー不足が起こっていた時代。

組員と車を走らせていた時、正治は、ホステスの佳奈に心奪われてしまう。佳奈の店に入り浸る正治。佳奈のために大きなパンダのぬいぐるみを持って来てやったり、「トイレットペーパーがないの」と言われればトイレットペーパーを持ってきたりと、佳奈の気を引いていく。

その男らしさにどこか惹かれていく佳奈。

2歳で母を亡くし、貧しい子供時代を送ってきた正治と父の会社の借金の肩代わりのために働く佳奈。同じような境遇の2人は、次第に惹かれあっていく。

佳奈と入ったホテルの一室で過ごしていたある日、敵対する組のタレコミにより正治はまたも逮捕されてしまう。

刑務所の拘置所で接見する佳奈。

「毎日、手紙を書くから」

正治 出所/川野組長暗殺と8回目の懲役

1974年。出所した正治を佳奈は待ってくれていた。佳奈を連れ、自分の生まれ育った家を訪れる正治。土地は全て銀行に持っていかれ、残っていたのは垢にまみれた貯金箱だけ。

正治は祖父の代から世話になっていた銀行に話をつけに行くが、時代は変わっていた。担当者は耳を貸そうともしない。そこで正治は、三菱重工爆破事件をヒントにある事件を起こすことを思い立つ。

1977年。ロッキード事件で田中角栄が逮捕され、日本中に衝撃が走った次の年。親子の杯を交わした川野が兄貴格の橘組組長・橘(ラサール石井)との関係悪化の果てに暗殺されてしまう。

川野を失ったことで、河野組を離れて一本立ちした正治だったが、他の組員を束ねていく資金もない。そこで、正治は、刑務所で知り合った若松組直系の遠州・井坂組組長井坂(隆大介)と兄弟の杯を交わすことになる。

「極道はそこらの公務員じゃない。厳しいな」

井坂組の仕事も数多く舞い込んで順調に事が進んでいた、1978年。正治は暴力行為等処罰法違反で、8回目の懲役となる。その際、ある事件をきっかけに子分が撃ち殺されてしまったという訃報を受けることになる。

「必ず、落とし前つけさせろよ」

正治 若松組の直系に昇格 和合会との全面戦争

数年後、出所する正治。佳奈と籍を入れ、つかの間の幸福が訪れる。

1984年。井坂組組長の井阪が、時代の流れと共に引退を決意する。それに伴い、正治は若松組の直系に昇格。

翌年、若松組の新組長に谷山(升毅)が就任することが発表される。その知らせを良く思わない若松組直系の組長たちは、別組織の和合会を結成し、谷山を暗殺してしまう。

正治達は、報復に立ち上がる。和合会との全面戦争。

子分たちがダンプにダイナマイトを積み、ピストルを用意して分裂派の会長宅へ突っ込む。会長に雇われた機動隊のバリケートをかいくぐって、突進する子分たち。彼らは、負傷してしまうのだった。。

天皇崩御とともに昭和の時代が終わりを告げたとき、正治はどうする?

1989年。天皇崩御のニュースが流れると共に、昭和の時代が終わりを告げる。正治の組も時代の流れと共に、不動産金融や証券会社を配下にして経済ヤクザとして、名を馳せることになる。

1992年。施行された暴力団対策法とともに、暴力団は排除され基盤はやせ細り、生きていく術を失う。正治の子分たちも市会議員に転向しようとする者、田舎に帰って農業をやろうと考える者、変化についていけずに呆然とする者と、それぞれの行き場を模索するようになる。

正治は佳奈に言う。

「俺、今までなに残してきたんだろ?」

兄孝の死と正治の決意

予てから体調を崩していた実の兄の孝が、病床で苦しんでいる。

「楽に死なせてくれよ」

痛みに耐えている孝を見るのは忍びない。

病院に無理を言って、孝の希望を叶えてやろうとする正治。

孝は安らかな眠りにつく。。。

時は流れて。

正治はもう、60歳になっていた。

60歳記念パーティが開催され、井藤組の面々が正治を取り囲んで盛大に祝う。苦楽を共にしてきた組員たち。皆、年を取った。でも、それぞれが、いい顔をしている。

正治の心の中に、いろいろな思いが巡る。

正治は井藤組の解散を決意する。

映画『無頼』6人の役者の心に残った演技!

松本利夫演じる井藤正治

松本利夫

出典:映画.comより

主人公である井藤正治を演じるのは、EXILEの元パフォーマーであり役者の松本利夫です。

正治は、やくざの親分としての覚悟と強さを持つ反面、少年時代に貧しい生活を送って来たがゆえの優しさも持った男。自分を襲撃に来たチンピラを完膚なきまでに痛めつける若い衆に、「もう、やめとけ!」と情けをかけたりします。

映画の中では、正治自身が誰かを殺めるシーンは、ほぼ出てきません。これは、単なる極道映画として正治をクローズアップするのではなく、普通の人間としての正治の生き方をクローズアップしたかったからではないでしょうか?

子分が撃たれ、絶命の知らせを刑務所の接見で知ったシーンで、正治が涙をこらえながら話す姿には強く心を打たれました。

柳ゆり菜演じる佳奈

柳ゆり菜

出典:公式HPより

正治の妻・佳奈を演じるのは、柳ゆり菜です。

正治と初めて会ったときは、ただの気の強い女性という印象でしたが、次第に正治を支える極道の妻としての貫禄が増して来ます。

貫禄だけではありません。井藤が浮気を繰り返すことに対して、他の男性に言い寄られたというようなことを告白して、井藤をやきもきさせようとする女子の一面もみせたりします。

良い演技でしたが、組長の姐さんとなる心の葛藤や昭和を生きた女性の視点をもっと詳しく描いてほしかったなぁと個人的には思いました。

木下ほうか演じる井藤組顧問の中野

木下ほうか

出典:映画.com

正治の組の顧問・中野を演じるのは、木下ほうかです。

民族派の政治活動家として参院選にも出馬している彼は、戦後の昭和という時代を憂いています。

劇中で、「ゴミ、悪たれ、結構。でもね。青少年に明るい未来を見せたいんだよ!」というセリフが心に残ります。昭和から令和の今。青少年どころか、日本中が明るい未来を描けないようになってしまっています。

「人に成功と名声を求めてどうする?」というセリフも心に響きます。

「この前、スペインで闘牛を見て来たんだけど、あれ、卑怯だね。牛一頭に対して、5人でいじめてるんだもん。。カラオケ行きたくなってきたなー」と、脈絡もなく言う場面には、ユーモアを感じました。

個人的には、もう少し中野の言葉を聞きたかったです。

中村達也演じる井藤孝

中村達也

出典:映画.com

井藤組の最高顧問を演じるのは、日本屈指のドラマー中村達也です。

実の弟であり井藤組の組長でもある正治を、精神的にも支えます。

劇中で、正治が敵対する組へのケジメとして事務所で指を詰めるシーンで佳奈に言う「姐さん、まな板使ったよ」と声を落としていうセリフに冷静な怖さを感じたり、「男の仕事で命懸けられるのは、ヤクザだけだよな」というセリフにしびれました。

体調がすぐれない孝に会いに来た正治と佳奈たちを家に招くシーン。

あらかじめ作らせた自分の遺影を見せて話すくだりには、胸が熱くなりました。

ブランキージェットシティ時代の陽気なドラマーのイメージを持っていましたが、この映画では、余計なものを排除した抑えた演技がとても素晴らしかったと思います。

升毅演じる谷山

升毅

出典:公式HPより

若松組の次期組長を演じるのは、ベテラン俳優の升毅です。

谷山は、次期若松組の組長です。

谷山が、新組長に就任し、ガサ入れが入った時に警官に対して毒づくシーン。「ワシ、六法全書読みこんどんのじゃ!こらあ!」

迫力が半端ないです。

個人的にはマイルドな演技のイメージがあった升さんですが、この演技で印象ががらりと変わりました。出番は少ないですが、強烈な個性を発揮しています。

佐藤五郎演じる加藤

井藤組の子分を演じるのは、佐藤五郎です。今回、3000人を超えるオーディションから選ばれた役者さんです。実は、宮藤官九郎監督の『中学生円山』や庵野秀明監督の『シンゴジラ』にも出演しているようです。

映画の中に登場する加藤は、鬱々とした気持ちを抱えながら暴走族をしている青年。家では、鳩を飼っている優しい一面も持ちます。そんな加藤がやがて、井藤組へ。

トラックにダイナマイトを積んで対立する組を襲撃するシーンで、帽子をかぶり拳銃を構える姿は、映画『仁義なき戦い』の菅原文太のよう。

あまり馴染みのない俳優さんでしたが、人懐こさとシリアスな面を兼ね備えたいい味を出している役者さんです。

映画『無頼』を観た人の感想

映画『無頼』を観た人の感想を紹介します。

映画『無頼』劇場情報

映画『無頼』の劇場情報は、下記から。

無頼 | 劇場情報

まとめ

映画『無頼』のあらすじ、ストーリーのネタバレ、気になるキャストなどについてお伝えして来ました。

昭和の裏側を生きたアウトローたちの人生が、146分の中にびっしりと詰まった本作品。

劇中での彼等の生き様や言葉は、現在閉塞感を感じている私達に、必ずや訴えて来るものがあるのではないでしょうか?

登場する、個性的な役者さんたちも必見です。あまり馴染みのない役者さんもいますが、とても魅力的で、この作品からたくさんの方が新たに注目されることを期待します。

劇中で効果的に流れる泉谷しげるの『春夏秋冬』も心に突き刺さります。

映画『無頼』。ぜひ、劇場でご覧ください!

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