映画【騙し絵の牙】原作あらすじとネタバレ!塩田武士が主人公を大泉洋にあてがきした話題作!

騙し絵の牙

出典:公式HP

映画『騙し絵の牙』が3月26日に公開されます。
原作は大泉洋さんを主人公・速水に「あてがき」したことで話題になっている、塩田武士さんの同名小説です。表紙と各章の扉ページには大泉洋さんの写真が飾られています!

この記事では映画『騙し絵の牙』の原作の、ネタバレありのあらすじをご紹介します。

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映画『騙し絵の牙』の同名原作小説のあらすじ、ネタバレ!

騙し絵の牙原作

出典:kadokawa

二階堂大作の作家生活40周年記念祝賀会

二階堂大作の作家生活40周年記念祝賀会がホテルで華やかに開催される。スピーチの先陣を切るようにと二階堂に指名されたのは速水輝也。「人たらし」と称される速水は、持ち前のユニークさで皆の緊張感をほぐし、笑わせる。

カルチャー誌「トリニティ」

編集長速水

出典:公式HP

薫風社。カルチャー誌「トリニティ」の月に一度の特集会議。編集長・速水は部をけん引すべき2人、副編集長・柴崎真二と彼の同期の中西清美の仲が険悪なのが気になる。それでもなんとか6本の特集と担当者が決まる。

「トリニティ」は文芸部出身の速水のこだわりにより、小説と漫画の連載を持っている稀有な雑誌だ。そのため作家とのタイアップ広告も組みやすいのだ。

廃刊の危機

速水は編集局長・相沢徳郎に、この先の半年が勝負だと宣言される。「トリニティ」は雑誌の最低ライン、実売率6割りを死守しているが、ネット情報に押されて厳しい状況だ。しかし、速水は自分の雑誌が廃刊になることなど考えたことがなかった。

今度の機構改革案の廃刊リストには文芸誌「小説薫風」が載っている。実質あと2ヶ月で、連載途中の小説や作家との信頼関係はどうするのだろうか。速水の「トリニティ」にもプレッシャーがかかる。

二階堂へ執筆依頼

なんとしてでも「廃刊」を避け、自分の雑誌を守りたい速水は二階堂へ執筆依頼をする。「小説薫風」で担当だった当時(7年前)には実現しなかった、二階堂の近未来のスパイ小説のアイデアを「トリニティ」で形にするためだ。

この7年間、作品の役に立てばと、資料と手紙を定期的に送ってきたことが功を奏し、二階堂は快諾してくれた。

速水と高野恵の関係

一年半前から、速水と編集部員の高野恵はお互いに酒に酔ったときだけ密会をしてきた。恵の自宅マンションでしか会わないし、プライベートのLINEもしないから付き合っているとも言えない関係だ。

パチンコ業界からのオファー

速水は二階堂の小説の取材費不足を相沢に訴える。しかし、「トリニティ」に大物作家の連載があるからといって、黒字化しなければ廃刊は免れないという現実を突きつけらる。それでも「ひとつ、いい話がある」と食事に誘われたが、速水は憂うつだった。

約束の日、都内のイタリアンレストランの個室で相沢から紹介されたのは大手パチンコメーカーの清川徹。彼は警察の規制強化に伴う市場規模の縮小を余儀なくされているパチンコ業界の未来を憂慮し、コンテンツ産業として生まれ変わろうとしている。

二階堂の傑作忍者小説『忍びの本懐』シリーズを映像化、パチンコ台として使わせてもらえるよう、速水に説得してほしいのだ。もし説得できたら、「トリニティ」の取材費に1000万円出し、グループ傘下の温泉施設とアミューズメント施設の全面広告を年間契約するというのだ。

二階堂の冷ややかな視線が頭に浮かんだが、速水は「トリニティ」を黒字化させられるこのチャンスを逃すことはできなかった。

若手作家・高杉裕也の苦悩

本が売れなくなってきて、ゲームや動画などにシェアが奪われている現状で、「小説薫風」の廃刊や自分の立場に不安を覚える若手作家・高杉裕也が、速水に相談を持ちかける。他社で出版予定だった小説があるが、編集者との相性が悪く、気持ちが乗らないので、速水に託したいというのだ。

速水はプロットを読むと、貧困と格差をテーマにし、社会のより深いところへ潜ろうとする高杉の強い意志を感じ取った。「小説薫風」の廃刊は痛手だが、出版へこぎつける手立てを考える、と約束する。

作家の担当争い

速水が編集部に戻ると、恋愛小説家・久谷ありさの担当を巡り、高野恵と中西清美がもめていた。明日は文学賞の選考会だ。作家と担当編集者たちが酒場やカフェなどで賞の選考会の間に結果を待つ会合の「待ち会」にはどちらを送り込むべきか…

待ち会には、結局、速水が出席した。そこにはかつて薫風社にいた三島雄二が現れた。三島は薫風社で連載していた漫画家を、独立した自分のエージェントに引き抜いた策士だ。速水と同期の小山内甫(はじめ)は後輩である三島のこの行為のせいで営業部に異動(左遷)になったのだ。

三島は今度は久谷ありさを担当することになったと言う。速水は、またこの野郎に持っていかれるのかと、気が滅入った。

高野恵の引き抜き話

速水は高野恵が薫風社と並ぶ大手出版社から引き抜きにあっているという話を耳にする。高野恵は女優・永島咲の担当だ。他にも小説家や漫画家、エッセイストらと密な関係性を持っている。丸ごと持っていかれたら「トリニティ」にとっては致命傷となるだろう。痴情とは別次元でのショックを受けた。

家庭内の不穏な空気

ある日の休日。速水は自宅での居心地の悪さを感じていた。妻・早紀子は少し前に他社の雑誌を万引きした。穏便に済ませてもらったとはいえ、それを悪びれるでもない態度にイラつく。こじれている夫婦関係を修復する気にはなれない。

早紀子の母校である名門女子中学の受験を目指す娘・美紀はけなげにも不穏な空気を感じ取り、気を使ってくれる。

速水は暗黙のルールを破り、仕事にかこつけて高野恵にLINEをしてみたが、既読になっても返信はなかった。

社内のきな臭い話

普段はつかみどころがないが、いざとなると一瞬で相手を論破するところから「多田くらげ」の異名を持つ専務・多田茂雄と専務派の編集局長・相沢に呼ばれた速水。二階堂大作を筆頭に、ほかの作家たちも電子書籍化させるようにしろ、とのことだ。

負債を圧縮するために、総務部が退職金の数値を改ざんしているのではないかという、きな臭い話も聞いた。

高野恵が引き抜きを断る

高野恵からLINEが来た。返信が遅れたのは引き抜きの件で悩んでいたからだった。結局、引き抜きの件は断ったらしい。

中央委員会への誘い

速水は中央委員会への参加を労働組合側から誘われ、相沢には経営側の不利にならないようにうまく立ち回るようにと言われた。

経済誌「アップターン」編集長・秋村光一も相沢に呼ばれたらしい。秋村は速水の同期だが、話術も人望もない。彼は何を命じられるのだろう。不気味さを感じた。

怪文書が出回る

「トリニティ」の部内会議。一発逆転を狙えるような話題はなし。副編集長・柴崎の報告では実売が落ちているという。

速水が解散の合図をしたとき、篠田が上の階で出回っている怪文書のビラを見せた。ある編集部内の幹部が、外部企業から得た不明瞭な金で私腹を肥やしているというもので、具体性には欠けていた。

速水は中西の指摘により、相沢とパチンコ業界の関係が気になってきた。もし相沢が私腹を肥やしていたら、自分もその企てに加担したことにならないか?

多田専務へ夜討ちをかける

夜9時半。速水はほとんど毎晩飲み歩いている多田専務の帰りをかれこれ2時間ほど待ち、タクシーで帰ってきた多田専務に声をかけた。夜分に家まで押しかけてきたことを責められながらも、多田専務の愛煙のタバコを差し出した。これは、記者時代に刑事の態度を軟化させた夜討ちのテクニックだ。

多田専務は話を聞いてくれたが、電子化の件では二階堂を説得する以外の方法はないとして、状況は変わらなかった。怪文書のコピーを見せても「100%ガセだ」と断言した。

多田専務が家に入ったあと、近くに停めてあった車の運転席に人影が見えた。速水が近づこうとすると、突然エンジンがかかった。ハイビームの強い光に目がくらんだが、もう一度運転席を見るとそこにいたのは秋村だった。車は猛然と走り去った。速水は脚の震えを感じながら、何かが起きているが、何なのか分からないことへのいら立ちを感じた。

離婚話浮上、高杉からの電話

夜討ちから2日後のこと。速水が家に帰ると妻・早紀子が離婚したいと言う。驚いたことに娘・美紀が早紀子に離婚を勧めたのだ。いつもつらそうにしている母親を思ってのことだった。早紀子についていくと決めていた美紀に「パパがいなくなっても、平気か?」と聞くと「ごめんなさぁい……」と言って、号泣した。

速水はいたたまれなくなり外へ出た。高架下まで来るとしゃがみこんで泣いた。

手にしていたスマホが振動した。高杉裕也だった。相談があるという彼に、明日にしてほしいと、電話を切った。これまでどんな若手作家に対してでも、こんな対応をしたことがなかったので、速水は罪悪感を感じた。

多田専務が突然の解雇

多田が突然解雇された。

多田は関西に本社を構える美容器具販売メーカーと芸能事務所との間を取り持つと空手形を切り、仲介協力費として現金3000万円を受け取った。しかし、社長が筋ワルだったため、指名した人気モデルの事務所がことごとくNGを出したのだ。

速水に多田の解雇理由を伝えた相沢の口ぶりから推察すると、相沢も甘い汁を吸っているに違いない。

中央委員会には多田の代わりに社長派の中心人物である池田常務が出席するらしい。労使交渉は苦労しそうだ。社内派閥はやっかいだ。

専務派だった相沢はその性格からして、すでに社長派に寝返っているだろう。相沢は、電子書籍化は多田の考えだからもういい、「トリニティ」をWEBマガジン化させれば速水を文芸に移動させる、と言う。WEBマガジン化は人員削減、廃刊への段取りだ。速水にとって、文芸への移動は魅力的だが、組織に振り回される裏取引はしたくなかった。

怪文書は秋村の仕業だったことも知らされた。秋村の元妻は社長の妻の従妹らしい。つまり、秋村は社長派のスパイだった。多田の家の近くにいたのはそういうことか。速水は社内にはびこる魑魅魍魎に吐き気がした。

中央委員会開催

中央委員会、午後の部。議題は「相次ぐ雑誌廃刊を問いただす」だ。雑誌を守ろうとする皆の気持ちが分かっているだけに、速水に重圧がのしかかる。社長派は多田がいなくなり、対立する派閥がいなくなったことで組合の弱体化を図るのは今だ、と思っているだろう。速水にはこの会社が傾いていく姿が容易に想像できた。

速水「人を減らして、紙をなくして、切り詰めて…。筋肉質な態勢を大義名分にして、組織の根本を弱らせて、その先に何があるか、編集局長もご存じでしょ?」
相沢「その先に何があるんや」
速水「何もありません」
相沢「君は何を言うとるんや?」
速水「出版社なんていらないってことですよ」

会議室が静まり返り、幹部らはバツの悪そうな顔をしていた。

言葉の応酬では速水が勝った。しかし、雑誌は守れなかった。

若手作家の死

埼玉県春日部市。速水は高杉裕也の通夜に向かった。実家で執筆していた高杉は首を吊って亡くなった。速水に相談があると電話してきた2日後のことだ。

遺書の最後の言葉は「作家として死にたい」だった。あの電話のとき、きちんとフォローしていればと、速水は後悔で胸が張り裂けそうになった。

速水が退社

高杉の通夜の数日後、速水は編集局長室へ向かい、相沢に退職願を出した。速水を制御下に置いておきたい相沢は引き止めたが、速水の決意は変わらなかった。

速水の送別会。速水は編集部員たちの前で薫風社の編集者として最後のあいさつをした。「トリニティ」は規模を大幅に縮小してWEBマガジンになる。再雇用が認められなかった内橋ら契約社員たちには言葉を尽くしてわびた。

高野恵は過去には男性問題で異動になり、今は相沢と不倫しているらしい。驚きもあるが速水にとって、彼女はかつての部下であり、それ以上の存在ではなくなっていた。

「トリニティ」会社設立記念パーティー

二階堂大作の作家生活40周年記念祝賀会行われたのと同じホテルで「トリニティ」会社設立記念パーティーが開かれる。リストラを受け入れたのだろう、薫風社をすでに退社し、大阪の実家で母親と2人暮らしをしている小山内も会場に現れた。

トリニティは「三重」を意味する。企業理念は「創作、創刊、創業」だ。

「創作」書き手に寄り添う企画・取材サポート・原稿の編集。

「創刊」電子出版。メルマガでの連載も。

「創業」メディアミックス。他業種との提携でコンテンツの販売力強化。

これまでバラバラに点在していたサービスをまとめ、コストダウンを図るのだ。

株式会社「トリニティ」代表取締役社長として登壇したのは速水だ。周到な準備と強烈な運で、会社設立からたった3ヶ月でエンタメ業界が無視できない存在になっていた。

二階堂の作品をパチンコ台で大ヒットさせた清川が紹介された。もちろん二階堂も会場にいた。久谷ありさも。永島咲の版権も押さえてある。速水は人気の作家、漫画家、脚本家、翻訳家など、薫風社の人脈を食い荒らした。おいしいところを全部持っていって新会社を立ち上げたのだ。

小山内の左遷・リストラの原因を作った三島は役員になっている。雑誌「トリニティ」の契約社員だった内橋も雇用されたようだ。部外者となった相沢は節操なく速水にこび、高野恵は苦虫をかみつぶしたような表情をしている。

以前、二階堂のパーティーで速水がスピーチ役に当てられたのも、速水自身の仕込みだったらしい。

小山内は速水を騙し絵のようなものだと思った。視点を変えて見たら牙をむく悪魔が浮かび上がるような。

速水は出版業界を直撃する竜巻となった。

速水のルーツを知る

人一倍細やかな気遣いで皆に慕われ、薫風社の雑誌を、小説を守ろうとした速水。優秀な編集者として一目置かれた存在でもあり、退社を惜しまれた。その速水があっという間に反転した。騙し絵を見ていたと気づいたとき、小山内は速水のルーツを知りたくなった。

小山内は薫風社に入社してから、同期の速水は東京出身だと思っていたが違った。滋賀県出身だった。一度も彼の関西弁を聞いたことがなかったので驚いた。

小山内は、滋賀県でつつましく一人暮らしをしている速水の母親に取材と偽って会い、昔の話を聞いた。小山内が来ることを知っていた速水とは、観光船「ミシガン」で会えた。

父親の家庭内暴力に悩まされた「岸」姓だった少年時代。その父親が突然の事故死。母親が再婚して「速水」姓になった。継父は読書好きだったから速水と気があった。継父の書いた小説を読ませてもらい、速水なりの意見をしたら喜んでもらえた。ここが速水の編集者としてのスタート地点となる。

継父の小説は東京の大手出版社の文学誌に掲載が決まりそうだった。しかし、巻き込まれた贈賄容疑で継父は逮捕された。何者かのタレ込みにより掲載は見送られた。出所後、継父は母子のためを思い、姿を消した。

継父がこっそり残してくれたお金で速水が最初に買ったのは、観光船「ミシガン」のチケットだった。その後、東京の難関私立大学へ進学、1年間のアメリカ留学も継父のお金でまかなった。

新聞社での記者経験ののち薫風社に中途入社。必死の努力の甲斐があり、速水は優秀な編集者になった。雑誌があれば巻末に速水の名前が記載される。いつか継父が見つけてくれることを願っていた。ずっと会いたいと思っていた。

継父からの手紙

速水が「小説薫風」にいたとき、見慣れた筆跡の手紙が投げ込みで届いた。速水が担当の原稿をほめてくれていた。継父のものに間違いないと速水は確信した。「小説薫風」が廃刊したときにも手紙がきた。

速水は中央委員会で廃刊を惜しむ読者の声として、その手紙を朗読したのだった。

起業した理由

小山内は新会社「トリニティ」で紙はやらないのかと聞いた。

速水は「親父の亡霊を追い求めていたせいで、若い才能(自殺した高杉のことだろう)を失ってしまった」と言った。速水は継父と訣別し、新しい出版の形を求めて起業したのだ。

作家との人脈を築いたのも、雑誌のために奔走したのも、裏の顔を見せて会社設立をしたのも、すべて本当の速水だ。

別れ

出版人であること以外では、速水が求めた生きがいは娘の美紀だけだった。しかしすでに別居している。妻とは価値観がかけ離れているからもう一緒に生活できないが、親として美紀のそばにいたかった。

「達者でな」速水は目を合わせずにつぶやいた。小山内はこの男と会うのはこれが最後だと感じた。

速水はその後何も言わずにその場を離れた。

小山内は胸の内で別れを告げた。

まとめ

映画『騙し絵の牙』の原作、ネタバレありのあらすじをご紹介しました。

リアルに描かれた出版業界の光と影、社内派閥、廃刊の危機。読んでいて、どうなることかとハラハラしました。速水が起業するという、どんでん返しは本当に痛快でした。驚愕・感動後のラストの別れはちょっと切ないですが、読後感はよかったです。

ユニークで皆に愛される「人たらし」の主人公・速水は、まさに大泉洋さんでした。驚くほどはまったあてがきですから、映画版も楽しみです。

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