映画【ハリエット】日本公開目前! 奴隷解放に人生を捧げた黒人女性の半生

本ページはプロモーションが含まれています

アメリカでは誰もが知るハリエット・タブマン。幼い頃から奴隷として働かされていた彼女が、あるとき脱走し、奴隷解放運動家として活動するまでを描いた伝記映画【ハリエット】は2019年アメリカで公開されると、第92回アカデミー賞に2部門ノミネート。高い評価を得ます。今回は日本での公開が迫った【ハリエット】の主人公ハリエット・タブマンの実像と主演を演じたシンシア・エリヴォのプロフィールを中心に、作品の魅力をご紹介します。

ハリエット・タブマンの生い立ちから死去まで

画像3

出典:Wikipedia

ハリエット・タブマンは黒人奴隷の父母を親に持ち、生まれついた頃から奴隷としての人生を余儀なくされていました。5歳からメイドや子守として働き、やがて同じ奴隷の男性ジョン・タブマンと結婚します。それまでの奴隷主が死去すると、ハリエットは渋る夫を残して、北部のフィラデルフィアへ逃亡します。解放主義者の支援を受け奴隷生活から脱却したハリエットは、やがて自身も奴隷解放運動に身を投じます。1861年に南北戦争が勃発すると、ハリエットは北軍の看護師、スパイ、斥候を務めます。北軍の勝利で南北運動が終結した後ハリエットは自伝『ハリエット・タブマンの生涯の情景』を発表。黒人退役兵のネルソン・デービスと再婚します。晩年はニューヨークに移り住み、ここでも元奴隷や戦死した黒人兵の遺族らへの支援を続け、多くの仲間たちに看取られながら93歳で死去しました。

奴隷制度に立ち向かった3人の『ハリエット』

画像1

出典:Wikipedia

画像2

出典:Amazon

アメリカの奴隷や黒人差別を物語るとき日本人でもすぐに思い浮かべることができるのはキング牧師、そしてリンカーン大統領ではないでしょうか。映画【ハリエット】の主人公・ハリエット・タブマンは日本ではあまり知られていません。そしてハリエット・タブマンが奴隷制度に立ち向かっていた1800年代、同じ『ハリエット』の名前を持つ女性が他に2人いたこともまたあまり知られていません。ひとりは小説『アンクル・トムの小屋』の作者で知られるハリエット・ビーチャー・ストウ。もうひとりは奴隷として酷い差別を受けながら自由を勝ち取った『ある奴隷少女に起こった出来事』の著者ハリエット・アン・ジェイコブズ。同じ時代に生まれた3人のハリエットは、それぞれのやり方で自由を求めて戦っていたのでした。

ハリエットを演じたミュージカルスター『シンシア・エリヴォ』

画像4

出典:PR TIMES

映画【ハリエット】で主演を務めるシンシア・エリヴォ。アメリカで誰もが知る活動家を彗星の如く現れた新人が演じるのは、やや違和感があるかもしれません。しかし彼女はスクリーンにはあまり馴染みがないものの、ミュージカル界ではすでにブロードウェイのステージを数多く経験。2013年には、アフリカ系女性作家アリス・ウォーカーのピュリッツァー賞受賞作『カラー・パープル』のミュージカル版で主役のセリーを演じ、その小さな体から放たれる力強く、メッセージ性の強い歌声は高い評価を得ています。2016年のトニー賞では主演女優賞を獲得。エネルギッシュな歌声と繊細な演技への支持は今やミュージカル界に留まらず『ホテル・エルロワイヤル』『ロスト・マネー偽りの報酬』(ともに2018年公開)など多数の映画に出演しています。

日本での公開前にハリエットのあらすじをチェック

画像5

出典:ファッションプレス

基本情報

監督 ケイシー・レモンズ
キャスト シンシア・エリヴォ,レスリー・オドム・Jr,ジョー・アルウィン,ジャネール・モネイ
公開 2019年

舞台は1848年アメリカ・メリーランド州ドーチェスター郡。ミンティ(シンシア・エリヴォ)はブローダス一族が所有する農園の奴隷として、日夜過酷な労働を強いられていました。ある日、奴隷主だったエドワード・ブローダスが急死するとミンティは次の奴隷主に売られる前に脱走。奴隷制のないペンシルバニア州を目指します。執拗に追ってくるエドワードの息子ギデオンから何とか逃げおおせたミンティは、フィラデルフィアで奴隷制度廃止運動家のウィリアム・スティル(レスリー・オドム・Jr)と運命的な出会いを果たします。自由な市民として新しい人生を歩み始めたミンティはハリエット・タブマンへと改名。女性実業家マリー・ブチャノン(ジャネール・モネイ)の支援もありメイドとして働き始めます。しかし自由な生活の一方、残してきた家族のことが気がかりになりふたたびメリーランドへ。命の危険を顧みず、奴隷制度廃止運動家たちの秘密組織『地下鉄道(アンダー・グラウンド・レールロード)』に参加したハリエットは奴隷たちの逃亡を手助けします。

映画【ハリエット】のみどころ

画像6

出典:GIGAZINE

映画【ハリエット】の魅力は、命の危険を顧みず黒人たちを自由の地へ導いたことから「モーセ」と呼ばれたハリエット・タブマンをシンシア・エリヴォがどう演じたのかという点でしょう。小柄なシンシアが過酷な状況でひたむきに自由へと突き進む演技は、賛否が分かれるところ。大袈裟で重厚さに欠けるという意見もありますが、映像で描かれる以上にの凄惨な差別や奴隷制度があったことを鑑みると、伝記映画の入り口として多くの人の共感を得られるとも考えられます。

シンシア・エリヴォがアカデミー賞・主演女優賞にノミネート

画像7

出典:映画.com

ストーリー展開は好みが分かれるところですが、トニー賞、グラミー賞と名だたる賞に輝いてきたシンシア・エリヴォは第77回ゴールデングローブ賞でも主演女優賞と歌曲賞にノミネート。そして第92回アカデミー賞でも主演女優賞、主題歌賞のダブルノミネートを果たしています。【ハリエット】はミュージカル女優として、歌姫として、今もっとも旬な女優をスクリーンで観る貴重なチャンスです。

映画【ハリエット】の日本公開は2020年3月27日!シンシア・エリヴォの演技に注目

画像8

出典:GIGAZINE

ハリエット・タブマンは2020年の20ドル紙幣の新肖像になることが、ほぼ決定的。このタイミングでアフリカ系アメリカ人で、奴隷だった彼女が紙幣に載ることは、世界情勢が混迷を極める中でふたたび彼女の求心力が求められているともいえるのではないでしょうか。何が正しいのか、どこに希望を求めればいいのか、わかりにくい時代だからこそシンシア・エリヴォ演じるハリエットの生き方から何かのヒントを得られるかもしれません。

タイトルとURLをコピーしました