『ヘレディタリー/継承』絶賛相次ぐ現代ホラーの最高傑作!暗黒ホームドラマの魅力に迫る!

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・声も出せない恐怖映画…ヘレディタリーとは?

ヘレディタリー/継承は監督アリ・アスターの長編映画監督デビュー作でありながら
『現代ホラーの頂点』とも謳われているホラー映画です。
昨年12月はTOHOシネマズ新宿にて『絶叫上映』が開催されたものの
あまりの恐ろしさに叫ぶどころではなく、終盤まで一切声が上がらなかった。
という逸話も生まれたほどです。


出典元:https://www.imdb.com/title/tt1454468/mediaviewer/rm1306032896

監督・脚本:アリ・アスター
出演:トニ・コレット、ガブリエル・バーン、アレックス・ウォルフ、ミリー・シャピロ、アン・ダウドほか
上映時間:127分

・祖母の死…家族に起きた異変とは?ヘレディタリーのあらすじ

ミニチュア模型アーティストのアニー・グラハムは、
長年疎遠であった母エレンの死をきっかけにグループ・カウンセリングに参加するようになる。
アニーはカウンセリングの席で、
エレンが解離性同一性障害を発症していたこと
父が精神分裂病で餓死したこと
兄が極度な被害妄想が原因で自殺したこと
そして自身も夢遊病に悩まされていることを語る。
先天性遺伝による精神疾患がいずれは自分の子ども達にも発現するだろうとアニーは恐怖している。
そんな最中、グラハム一家は怪現象に苛まれるようになり・・・

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・忍び寄る不審な物音…ありとあらゆるホラー映画からの引用

この映画には
『普通の人々(1980)』の様な身近な人間同士の些細な不和だったり些細でもない不和だったり、
『赤い影(1973)』ばりの不穏な雰囲気やら
『シャイニング(1980)』や『エクソシスト(1973)』の様な何かに取り憑かれる怖さやら
『サスペリア(1977)』の様なグロテスクでスラッシャーな描写やら
『ローズマリーの赤ちゃん(1968)』の様なオカルトな描写やら
『女優霊(1996)』の様な超常現象やら
ありとあらゆる種類の豊富な『怖さ』が含まれています。
『ゾンビとかリアリティがなくて全然怖くない』とか『家族ドラマの何が怖いの』とか思っている人でも
どこかの要素にもれなく引っかかって嫌な気持ちに陥るようになっていて
サービス満点、至れり尽くせりで超ハッピーな感じのホラー映画となっています。
『家族・血縁』という『一生解けない呪い』にまつわる話が基本的な主軸となっております。
ちなみに、上記で取り上げた映画の1つ『普通の人々(1980)』は
家族の長男がボートで事故死をしてしまい、
お母さんが生き残った次男をずっと責め続けるという強烈な内容の映画なんですが
本作『ヘレディタリー/継承』において
私が個人的に一番引っ掛かった『怖さ』は上記の『普通の人々(1980)』とかなり近い部分です。
劇中で起きてしまう正視に耐えない凄惨なとある『事件』は
自分が加害者になったような生き地獄を感じる羽目になり、かなり来るものがありました。


出典元:https://www.imdb.com/title/tt1454468/mediaviewer/rm1306032896

また、この映画において特筆すべきは音響面で
観客をビックリさせる用途以外でも色々と特徴的な使われ方をしており
何でもないシーンであっても常に聞こえるか聞こえないかくらいの音量で
低い籠った重低音がノイズとして流れ続けているので、不吉な一触即発の雰囲気があり
観賞後はちょっとした音でも恐ろしく感じます。(文面で書いても何も伝わらないですね)
最近では、
『音を立てたら怪物が寄って来てしまうので
会話はもちろん、物音を立てずに生活しなければ生き残れない』
という設定のホラー映画『クワイエットプレイス(2019)』などでも
効果的に音響が使われていましたが
本作は映画館で観るとより味わい深い作りになっています。
さらに登場人物のキャラクターや演技がどれも強烈で、特に4人家族の内、母と娘は一度見たら忘れないインパクトがあります。


出典元:https://www.imdb.com/title/tt1454468/mediaviewer/rm135454421

家族の母親『アニー』役の
『トニ・コレット』という女優さんが物凄い熱演をされていて(主に顔面で)。
映画『シャイニング(1980)』に登場する夫婦で例えると
『どんどんおかしくなってしまうお父さん』(ジャック・ニコルソン)と
『夫の変貌ぶりに絶叫して錯乱するお母さん』(シェリー・デュヴァル)の
2人の役回りを一挙に担ったキャラクターなので
劇中では、まあもうとんでもない形相を惜しげもなく披露してくれています。


出典元:https://www.imdb.com/title/tt1454468/mediaviewer/rm1302019211

アニーは劇中でドールハウスの製作を職業にしていますが
もともとパニック障害を持っていてリハビリの一環で始めたことがそのまま仕事になっており
『自分が頭がおかしいと夫に思われたくない』という思いが根底にあるので
おかしな現象が多発して精神が不安定になっていくにつれ
『自分の発言を信じてもらえない事への恐怖』と
『自分自身すら信じられない恐怖』で
度重なる超常現象の核心に迫りつつも自身が追い込まれていく。という
見ているだけで苦しくなるキャラクターになっています。

また、この映画を象徴するキャラクターである
家族の娘『チャーリー』役の『ミリー・シャピロ』という女優さんは
一目見た瞬間に『何かがやばい』と分かる不気味な雰囲気を漂わせる強烈な個性の持ち主で
今後の活躍にも期待したいところです。

・忍び寄る不穏な物音…ヘレディタリー感想

前述したとおり全編通して普通のシーンで常に不穏で
何の変哲もない普通の写真がアップになるだけで不安が掻き立てられます。
黒沢清監督作の邦画ホラー風な気持ち悪さや
妙に親切すぎる近所のおばさんとの奇天烈な関係性であったり
現実でも存在する何てことないあらゆる『怖さ』と地続きになっています。
例えば
『床のシミが血痕に見えた』とか
『嫌な夢をみた』とか
『夜中にカーテンが不自然な揺らめき方をした』とか
『暗がりから何かがこっちを見ている』とか
『花びらが落ちてるのかと思ったら雀の死体だった』とか
『あの人最近様子がおかしい』とか
実生活に起こり得る様なことには何百回と恐怖を感じたことがあります。
呪いの有無が問題なわけではなく、
『気のせい』なのか『超常現象』なのか『何か起きるんじゃないか?』という不安そのものが怖いのです。
そんな心理状態に観客を持っていく事が出来ればホラー映画的には『勝ち』なので
感情を剥き出しにされてしまった後は、着の身着のままのめり込んでいかざるを得ないような感覚を覚えます。
ちなみに
この映画は元になった原作がなく、
監督の実体験を元に創作したお話だそうです。
監督曰く『劇中の母親アニーと同じく自身のリハビリの為にこの映画を製作した。』との事で
あらゆる人生の嫌な出来事が詰まっている感じがします。
でも、人生には嫌なことが必ず起こるので
逆に言えば真摯に向き合わなければ癒されない傷もあるのかもしれません。
(結果、世界を呪い殺さんばかりの映画になってしまいました。)
この映画は特に観賞後、結構影響を受けるというか尾を引く(特に音に過敏に反応する)ので
なんか呪われたような錯覚をしてしまうんですよね。
記憶に残る映画というのはある種の呪いなのかもしれません。

色々な要素がある分、かなり先の読めない映画なので
是非、初見時に経験した
『この映画は一体どこへ向かっていくのだろうか?どういう終わり方をするのだろうか?』という
ディズニーランドのスペースマウンテンの様な
レールの見えないジェットコースターに揺さぶられる感覚を体感してみてください。
そういえば
『ヘレディタリー/継承』劇中で使用されている
ジュディ・コリンズの『青春の光と影(原題: Both Sides Now)』 という曲がありまして
今年公開予定のトイストーリー4の予告編でも流されています。
なんとなくトイストーリー側はとばっちり受けた感があります。

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