主演に趣里、共演に森山未來らを迎えた映画【ほかげ】は、『野火』『斬、』で知られる塚本晋也監督の最新作。
本作は第80回ヴェネツィア国際映画祭のオリゾンティ部門に出品され、NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)を受賞。公開前から早くも話題を呼んでいる。
今回は、映画【ほかげ】のキャストとあらすじなどについて!
映画【ほかげ】のキャスト
映画【ほかげ】のキャストをまとめてご紹介!
キャスト:趣里(役:屋酒屋で暮らす女)
キャスト:趣里、役柄:居酒屋で暮らす女。終戦直後、焼け残った居酒屋で絶望感を抱えながら過ごす毎日。
主人公の女性を演じるのは、女優の趣里さん。1990年生まれ・33歳の趣里さんは、2011年に『3年B組金八先生ファイナル〜「最後の贈る言葉」4時間SP』にて女優デビュー。その後は舞台や映画、テレビドラマなど多くの場で活躍。そして現在、2023年後期放送のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』にて主演を務め、注目を集めている。
■趣里さんコメント
出典:映画【ほかげ】公式HP
憧れの塚本組。一生忘れられない経験をさせていただきました。最高のキャスト、スタッフさん、そして塚本監督と映画作りが出来たことが本当に幸せです。たくさんの心に留めておかなければならないことを教えていただきました。一瞬一瞬の感覚が愛おしく、悲しく、今でも忘れられません。「ほかげ」
どうか皆さまに届きますように。
キャスト:森山未來(役:片腕が動かない謎の男)
キャスト:森山未來、役柄:片腕が動かない謎の男性。
俳優・森山未來さんは1984年生まれ・39歳、兵庫県出身。小学生の頃に劇団ひまわりに所属しており、15歳の時、宮本亜門に抜擢される形で舞台『BOYS TIME』にてデビュー。現在は俳優・ダンサーとして幅広く活躍中。出演作は『モテキ』、『世界の中心で、愛を叫ぶ』『怒り』『シン・仮面ライダー』など多数。
■森山未來さんコメント
出典:映画【ほかげ】公式HP
戦後の騒乱をさまよう報われない魂たち。
そんな生きた亡霊たちを執拗に追い続けるまなざし。
荒廃した世界で必死に生き延びようともがく主人公の無垢な瞳を通して見える世界は、塚本監督のまなざしそのものであり、あるいは、あなたの目に映る、私たちが生きるこの世界に対する視座でもあるのかもしれません。
このような素晴らしい作品に関わらせていただけたことを、心から嬉しく思っております。
キャスト:塚尾桜雅(役:戦争孤児)
キャスト:塚尾桜雅、役柄:戦争孤児の少年。
俳優・塚尾桜雅さんは2015年生まれ、8歳。子役として活動しており、現在テレビドラマや映画、CMなど多くの場で活躍中。映画出演は2022年公開の『ラーゲリより愛を込めて』以来、本作が2作目となる。
キャスト:河野宏紀(役:復員した若い兵士)
キャスト:河野宏紀、役柄:復員した若い兵士。
河野宏紀さんは1996年生まれ・27歳、神奈川県出身。2017年に映画『心が叫びたがってるんだ。』に出演し、以来、映画や舞台を中心に俳優として活動。また2022年、映画『J005311』にて初監督・初脚本を務める。2023年現在は、俳優兼映画監督として活躍中。
キャスト:利重剛
利重剛さんは1962年生まれ・61歳、神奈川県出身。俳優兼映画監督。
監督作は『金田一少年の事件簿』〈堂本版〉『やんちゃくれ』『チーム・バチスタシリーズ』『ATARU』など多数。2023年、趣里が主演を務めるNHK連続テレビ小説『ブギウギ』に大林林太郎 役で出演している。
キャスト:大森立嗣
大森立嗣さんは1970年生まれ・53歳、東京都出身。俳優兼映画監督。
監督作は『ゲルマニウムの夜』『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』『まほろ駅前多田便利軒』『さよなら渓谷』『セトウツミ』『光』『日日是好日』など多数。
映画【ほかげ】のあらすじ
舞台は終戦直後の日本。趣里演じる主人公の女は、半分焼け残った小さな居酒屋で暮らしている。
戦争が終わったとはいえ、食べ物や生活用品など基本物資が圧倒的に不足し、人の心も荒れている世の中。女(趣里)は体を売ることを斡旋され、戦時中と変わらない絶望感を日々抱きながらも、ただその日その時をやり過ごす毎日を送る。
そんなある日、女は居酒屋に忍び込んだ戦争孤児(塚尾桜雅)と出会う。彼との関わりに彼女はようやくほのかな光を見出すが…。
これは、戦争のもたらす痛みの中でもがきながら必死で生き抜く人々の生活、そしてそこにひそむわずかな希望を繊細に描き出した、小さな祈りのような物語。
【ほかげ】の注目ポイント
映画【ほかげ】キャッチコピー
映画『ほかげ』のキャッチコピーは、【戦争が、終わったんだ】。
この言葉通り、本作の舞台は終戦直後の日本です。戦争は終わり、常に命を脅かされなければならない一番苦しい時期は過ぎ去ったはずなのに、生活はずっと苦しい。そして胸には戦時中と変わらない絶望感が巣くったまま…。
「どっちにしたって、人生お先真っ暗だ」。
本予告にて森山未來さん演じる男性が発したこの言葉こそが、この暗い時期を生きた人たちが日々感じていたことの全てだったのかもしれません。
それでも命ある限り、人は生きていきます。暗い面と明るい面、表裏一体の世界をゆらゆらとあてもなくさまよいながら…。
戦争に翻弄されながらもわずかな光に希望を得、強く生きた女性(趣里)と戦争孤児の少年(塚尾桜雅)、そして彼らを取り巻く人々。
本作に登場する人々の関わりの中には、苦しい時代を生きた人たちが生涯抱え続けたリアルな痛みが凝縮されています。
ぜひ劇場に足を運んで、戦後を生きた人たちが見た世界を体感してみてください。
【ほかげ】監督は塚本晋也
塚本晋也監督作品の特徴とは
映画【ほかげ】の監督を務めるのは塚本晋也さんです。1960年生まれ・63歳の塚本晋也さんは東京都出身。1989年に『鉄男』で劇的なデビューを果たし、以来、監督兼俳優として幅広く活動を続けています。
塚本晋也監督の作品の大きな特徴として、揺れ動く手持ちカメラでの撮影映像が随所に見られることや、それによる圧倒的な臨場感が挙げられます。塚本監督はこのことについて、「作品を客観的に観るのではなく、なるべく観客が映画の中に入って一緒に体験している感じになってほしい」と過去インタビューなどにて語っています。
『野火』『斬、』の流れを汲んだ塚本晋也最新作
本作『ほかげ』は、映画『野火』や『斬、』の流れを汲んで制作されたものです。
戦場の極限状況におかれた人々をリアルに描き出した『野火』、そして人間の”生と暴力”の本質に迫った『斬、』。
終戦直後を舞台とした『ほかげ』では、戦争を通してあらゆるものを失ってきた人々の生活がリアルに描き出されています。
生きることとは何なのか、死とはどのような意味をもつのか。
私たち人間の中に潜む暴力とはどんなものなのか。
塚本晋也監督が『野火』『斬、』に続いて描き出す、生と死にまつわる究極の生々しさ、そして混沌の中で生きる苦しさ。本作『ほかげ』では、私たち人間の奥に潜む知られざる本質をどのように暴き出してくれるのでしょうか。とても楽しみです!
映画【ほかげ】の公開日
公開日は、2023年11月25日です!
まとめ
映画【ほかげ】は、終戦直後の混乱の中で必死に生き抜く人々の姿を精彩に描き出した、小さな祈りのような物語です。
苦しい時代を生きた人たちのリアルな生活や痛みが、塚本晋也監督の手でどのように表現されているのか、ぜひ劇場にてご覧ください。
※塚本晋也さんの塚は旧字体が正式表記です。
※記事内画像出典:映画【ほかげ】公式HP