6月25日(金)より、台湾のチェン・ユーシュン監督の最新作『1秒先の彼女』が全国の劇場で上映されます。一風変わった男女が織りなす、恋愛模様と奇跡を描いた本作品。
IMDb(インターネット・ムービーデータベース)でも、10点中7.3点と高評価です。
今回の記事では、映画『1秒先の彼女』のキャスト、台湾のおすすめ恋愛映画について紹介します。日本に縁のある、あの人も出演していますよ!
記事を見て、本作をはじめとした台湾映画の魅力に、興味を持っていただけたら幸いです。
それでは、ご覧ください!
映画『1秒先の彼女』概要
映画『1秒先の彼女』は、何をするにもワンテンポ早いアラサー女子と、何をするにもワンテンポ遅いアラサー男子の交流を描いた、ファンタジック・ラブストーリーです。
監督・脚本を務めたのは、映画『熱帯魚』、『ラブゴーゴー』で有名なチェン・ユーシュン。
台湾ニューシネマの異端児として注目を集める監督が、20年前から温めていた企画です。
本作品は、第57回台湾アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、視覚効果賞の最多5冠を受賞しています。
映画『1秒先の彼女』予告編&作品情報
ここでは、映画『1秒先の彼女』の予告編と作品情報を紹介します。
まずは、予告編。
チェン・ユーシュン監督の世界観に触れてみてください!
予告編はこちら。
作品情報はこちら
監督・脚本: | チェン・ユーシュン |
キャスト: | リー・ペイユー、リウ・グァンティン、ダンカン・チョウ、ヘイ・ジャアジャア他 |
制作年: | 2020年 |
制作国: | 台湾 |
上映時間: | 119分 |
配給: | ビターズ・エンド |
映画『1秒先の彼女』主なキャスト
ここでは、映画『1秒先の彼女』の主なキャストを紹介したいと思います♪
なんと、日本と縁の深い人もキャスティングされていたりして。
リー・ペイユー/ヤン・シャオチー役
何をするにも人よりワンテンポ早いアラサー女子ヤン・シャオチーを演じるのは、リー・ペイユーです。テレビ司会者やダイビング番組「水中30メートル」で人気を博します。主な映画出演作品は、『1分間だけ』(2014年)、「海人魚」(17)です。
今回の映画では、第57回台湾アカデミー賞の主演女優賞にノミネート、2020台北電影節の新人賞を獲得しています。劇中の挿入歌「Lost and Found」では、素敵な歌声も披露しています。
リウ・グァンティン/ウー・グアタイ役
何をするにも人よりワンテンポが遅いアラサー男子ウー・グアタイを演じるのは、リウ・グァンティンです。本作の監督チェン・ユーシュンのCMに出演した際に、監督の強い勧めにより、新人俳優の発掘・育成のための演技プログラムで訓練を受け、TVドラマや舞台、映画にて経験を積んできました。映画『ひとつの太陽』(2019年)で、第56回台湾アカデミー最優秀助演男優賞、2020年の台湾版GQ OF THE YEARでは、最優秀演技賞を受賞するなど、台湾国内で注目の実力派俳優なんです。近年の作品は、家族ドラマ『同級生マイナス』(2020年)、聾の世界のイジメを描いた問題作『無聲(むせい)』(2020年)があります。
ダンカン・チョウ/リウ・ウェンセン役
やり手のビジネスマンでプレイボーイのリウ・ウェンセンを演じるのは、香港出身の俳優ダンカン・チョウ(写真左)です。
映画『I DO』(2001年)でスクリーンデビュー後、数々の映画やTVドラマで活躍。
主な代表作にDJチェン監督の『僕の恋、彼の秘密』(2004年)、ツイ・ハーク監督の『セブンソード』(2005年)、ビビアンスー主演の映画『靴に恋する人魚』(2005年)などがあります。
ヘイ・ジャアジャア(黒嘉嘉)/ペイ・ウェン役
ヤン・シャオチーの働く郵便局の後輩ペイ・ウェンを演じるのは、ヘイ・ジャアジャアです。
囲碁棋士(七段)でモデルという異色の経歴の持ち主です。
日本の囲碁番組・NHK Eテレの「囲碁フォーカス」のミニコーナーで講師も担当しており、人気の彼女。今回が映画初出演となります。
囲碁フォーカスから黑嘉嘉ちゃんを1枚 pic.twitter.com/OsiIO6fSaJ
— テク憧 (@techdou) April 12, 2020
映画『1秒先の彼女』を観る前に台湾の恋愛事情を知る♪
映画『1秒先の彼女』を観るにあたって、台湾の恋愛事情はどうなっているのか知っておくと、より作品を楽しめそうです。
台湾女子と台湾男子の性格と恋愛の特徴
まずは、一般的な台湾女子と台湾男子の性格や恋愛の特徴を取り上げてみたいと思います。
(あくまで一般的なので、他のタイプもいるはずです。)
まず台湾女子と男子の性格ですが、台湾女子は基本的におおらかでユーモアがあり、台湾男子は子供っぽくて純粋です。(永遠の中二病?)
男子はシャイであまりしゃべらない方が多く、女子は、はっきりとモノを言うタイプが多いようです。(嫌なことは、嫌。嫌いなことは嫌いと、主張します。)
また、男子がグループ行動をすることが多いのに対して、女子は一人で行動するタイプが多い傾向にあります。
恋愛は、日本のように告白してから始まるのではなく、友達感覚で普通に遊びに行き、その過程でお互いを知ってから恋愛に発展するパターンが多いようです。
付き合い始めると、台湾男子は精神面でも物理面でも女子に尽くし、何でもしてあげるところがあるようです。レディファーストの文化があるので、バイクや車でのお迎え、女子の荷物を持つなんてことは、当たり前とか。(執事のイメージですね!)
一方の台湾女子は付き合い始めると、男子に何でもしてもらいたいお姫様タイプが多いようです。また、恋愛すると親密な関係を求めるところもあります。
毎日携帯で連絡を取り合ったり、友人や家族に対しても気軽に恋人を紹介したりということが、あたりまえ。いざ付き合いはじめるとほかの人に目移りするようなことはありませんが、男子側がまめにコミュニケーションを取らないと、浮気をされるなんてことも。
台湾のバレンタインデーは、年2回ある!
映画『1秒先の彼女』は、消えたバレンタインデーをめぐるお話ですが、台湾のバレンタインデーというのはどういうものなのでしょうか?
台湾ではバレンタインデーは年に2回あります。
1回目は、日本と同じ西暦の2月14日です。台湾では西洋情人節と呼ばれています。
日本と違うところは、男性が女性に花やチョコレートなどのプレゼントをしたり、食事に誘ったりするところです。(カップルによっては、お互いにプレゼントを贈ることも。)
2回目のバレンタインデーは、8月にある旧暦7月7日。(ちなみに2021年は8月14日)
七夕情人節と呼ばれる大々的なイベントで、2月14日よりも重要です。
こちらも男性から女性にプレゼントを贈ります。
最近の台湾のおすすめ恋愛映画をいくつか紹介♪
ここでは、最近の台湾のおすすめ恋愛映画をいくつか紹介します。
台湾男子と台湾女子の恋愛模様を知る助けになるかもしれませんよ♪
【➀アービン・チェン監督『台北の朝、僕は恋をする』(2009年)】
夜の台北を舞台に、恋人が待つフランス旅行を夢見る青年と本屋で働く孤独な女性の間に起きる騒動を描く、ロマンティックコメディ。
「台北の朝、僕は恋をする」可愛いラブストーリーを教えてと言われたら絶対にオススメしたい映画。ひょんなことからトラブルに巻き込まれて台湾の一夜を駆け抜ける2人の話。夜の屋台通りや夜の公園、夜が舞台だけど台湾の魅力があちらこちらに。観光してる気持ちにもなる。サクッと観れるお洒落映画。 pic.twitter.com/XaWSaM3gMp
— 202 (@trance_202) January 25, 2021
【②フランキー・チェン監督『私の少女時代 Our Times』(2013年)】
1990年の台湾を舞台に、さえない女子高生が、学校イチのイケメン優等生と学校イチのワルとの間で揺れる乙女心を描いた青春映画です。
「私の少女時代」
素晴らしい青春恋愛映画。
王道なんだけれど、綺麗で瑞々しくてほろ苦い青春の日々を丁寧に繊細に描いている。
演出も素敵だなぁ。
何度も言うけど、台湾の青春映画は本当に最高だ。
「大丈夫」は「大丈夫じゃない」なんですよ。#私の少女時代 pic.twitter.com/62OHfjXxbQ— いっちー (@camera0525) April 21, 2020
【③チェン・ホンイー監督『台北セブンラブ』(2014年)】
台北のデザイン事務所を舞台にした、おしゃれな男女7人の恋愛模様を描いた作品。
#台北セブンラブ、良かったー♡「そうそう、今の台北ってこんな感じだよね」という景色が盛りだくさん。まるで舞台のような濃密な会話劇と、ときどき挟まれるメタ表現、これはなんのメタファーかなと思う演出、何より登場人物がみんな美男美女! pic.twitter.com/h4CibaSzfx
— nzm_tw (@nzm_tw) April 20, 2019
【④ジョウ・グータイ監督『若葉のころ』(2015年)】
ビージーズの名曲『若葉のころ』の音楽に乗せて、17歳の女子高生とその母の17歳の初恋を描く物語です。
『若葉のころ』交通事故で意識不明の母。未送信メールの相手は初恋の彼。母娘それぞれの恋愛模様。本当の気持を素直に伝えられない無器用な時代。甘酸っぱい記憶。雨、風、陽光が似合う台湾映画らしい透明感のある傑作。 #若葉のころ #映画 pic.twitter.com/ooK4aCG7As
— もりちゃん (@eichan2014) June 4, 2016
映画『1秒先の彼女』を監督したチェン・ユーシュンについて
映画『1秒先の彼女』を監督するのは、チェン・ユーシュン監督です。
テレビのディレクターとして、ホームドラマやコメディなどを手掛けたあと、映画監督デビューします。
初監督作品は、1995年の『熱帯魚』。高校受験を控える中学生が、誘拐犯の家族と奇妙な交友関係を結び、やがて家族以上のものになっていく話でした。
台湾映画『熱帯魚 デジタルリストア版』を鑑賞。
受験直前の少年と太っちょ小学生の二人が、なりゆきでズッコケ家族に誘拐されてしまう物語。
誘拐してるのにシリアス感はほぼゼロ。でも、思春期や家庭の問題、女子の悩みもちゃんと入っていて単なるおちゃらけコメディではない。傑作!#熱帯魚 pic.twitter.com/NXl7VMrMFL— yokito (@yogini_yokito) August 24, 2019
2作目の『ラブゴーゴー』(1997年)では、一軒のアパートで起こる3人の若者の恋愛模様を描いていました。
台湾の小さなケーキ屋さんから始まるとてもキュートな恋愛物語
台湾に訪れたことをすぐに思い出す事ができる、自由でカラフルな色遣いに惚れ惚れ
気軽に大好きといえる作品は少ないけれどこれは本当に大好き!アシェンの純粋で真っ直ぐなこころ抱きしめたい
ラブゴーゴー/チェン・ユーシュン(1997) pic.twitter.com/qx6HoiiqHu— 梨 都 子 (@ritsuko627k) May 5, 2021
その後、数年のブランクを経て、『祝宴!シェフ』(2013年)で16年ぶりに監督復帰。続いて『健忘村』(2017年)を発表。
今回の『1秒先の彼女』は、監督復帰第3作目の作品となります。
チェン・ユーシュン監督の世代 台湾ニューシネマについて
台湾ニューシネマとは、1980年代から90年代に台湾の若手映画監督を中心に展開された新しい波です。台湾人の日常生活や社会問題を取り扱い、深く追求しているところが特徴。台湾社会の暗部を描いた作品も。ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、ツァイ・ミンリャン、アン・リーなどが代表的な監督です。本作品のチェン・ユーシュン監督は、それらの監督とは異なる作風で人気を得、台湾ニューシネマの異端児と呼ばれています。
台湾ニューシネマの監督たちが描いた、おすすめの恋愛映画を紹介♪
台湾ニューシネマの監督たちが描いたおすすめの恋愛映画は、こちらです。
新旧台湾の恋愛映画を見比べてみても楽しいかもしれませんね♪
【➀ホウ・シャオシェン監督 『恋々風塵』(1987年)】
田舎で暮らす幼馴染みの男女が、時の流れによって変化していく姿を描いた切ない初恋物語です。
#恋々風塵
60年代終盤、台湾の鉱山の村で兄妹のように育ったアワンとアフン。馴染めない都会で支え合いながら働く二人はやがて互いを意識するようになるが、アワンは兵役に。都会の息苦しさ、長閑だけど貧しい村の景色、時代背景。様々な出来事と人に囲まれて大人になっていく二人が愛しく切ない。 pic.twitter.com/PeeYbpQl6a
— moksori (@moksori8) April 24, 2021
【②エドワード・ヤン監督 エドワード・ヤンの恋愛時代(1994年)】
首都台北を舞台とした90年代の若者たちの2日間の出来事を描いた青春群像劇です。
「エドワード・ヤンの恋愛時代」
台北を舞台にした恋愛群像劇。日本のバブル期のトレンディドラマみたい?違いはこちらには音楽がない。人物関係が少しややこしい。それぞれの思いが揺れ動き、関係性が少しずつズレていくのが面白い。相変わらず色使いや夜の街並みは魅力的でした。#1日1本オススメ映画 pic.twitter.com/Oz4pW0Kjqx— まさなつ (@miyu0902mh) January 25, 2018
【③ツァイ・ミンリャン監督 『ふたつの時、ふたりの時間』(2001年)】
台北とパリを舞台に、ふたつの都市で過ごす男女の愛と孤独の時間を描いた作品。
#オススメのフランス映画 「ふたつの時、ふたりの時間」ツァイミンリャン 映像が素晴らしい。華の都が終始ドドメ色、華やかさの欠片もない、何の起伏もない映画。でももう一度見直したい、ジャンピエ-ルレオも出ています pic.twitter.com/gMHzKb5l3B
— maggot brain (@yossan050) October 13, 2016
【④アン・リー監督『恋人たちの食卓』(1994年)】
台北を舞台にした、三姉妹の恋愛模様を描いた作品。劇中に登場する、5つ星シェフの父親が作る料理も魅力です。
『恋人たちの食卓』
アン・リー監督の『父親3部作』と呼ばれるシリーズの最終作。
異文化や世代間のギャップをユーモラスに描いた前2作に比べ、本作はほのぼのとした温かさや、しみじみとした切なさが、よりストレートに伝わってくる。伏線の張り方とその回収が、何とも研ぎ澄まされていて、実に見事。 pic.twitter.com/XlBTcgst77— ムービーメン (@Sid_movie) May 23, 2020
まとめ
映画『1秒先の彼女』のキャスト、作品情報、台湾のおすすめ恋愛映画について紹介してきました。
人よりなんでもワンテンポ早い彼女と、人よりワンテンポ遅い彼の間で起きる奇跡の物語。
一風変わった作品をチェン・ユーシュン監督は、どのように魅力的に作り上げていったのか?
舞台となる台南市・大甲の美しい景色とともに、奇想天外な恋愛劇を楽しんでみてはいかがでしょうか?
映画『1秒先の彼女』は、6月25日(金)より全国の劇場で公開予定です。
ぜひとも、近くの劇場に足を運んでください!