日本公開前に世界32の映画祭に選出され、うち16部門を受賞した映画『いざなぎ暮れた。』。この映画祭の成績を見て「単に外国人ウケする映画だったのかな?」と思う方もいるでしょう。
2020年2月21日から島根県でのみ上映が始まり、好評から上映延長が決定。そしてまもなく東京・新宿でも公開される今作。本記事ではすでに鑑賞した方の口コミによってジワジワと話題になっている、映画『いざなぎ暮れた。』をネタバレしながら紹介していきます!
僕や二人が島根県出身のネルソンズ、メンバーが出演している島根県地域発信型映画「いざなぎ暮れた。」がまたまた快挙です!!新たな賞を獲得してこれで世界32の映画祭に出品され、16の賞を獲得している本作品。地元上映も延長されたのでぜひ!!https://t.co/0dHMQLPOlb
— 奥村隼也 (@kyubinsentar) March 10, 2020
果たして、映画『いざなぎ暮れた。』は『カメラを止めるな』に次ぐ、ヒット邦画になり得るのでしょうか……!?
映画『いざなぎ暮れた。』の予告編であなたは何を感じる?
私たち日本人はどうしても、海外で評価されたエンタメを特別なものとして捉えてしまう傾向がありますよね。今作も「海外映画賞多数受賞……、海外映画賞多数受賞……」と思いながら予告を見て、その楽しげな雰囲気に拍子抜けした方もいるのでは。
東京から島根の田舎に「資金集めのオレオレ詐欺」をしにやってくる、人生崖っぷちの男。何も知らずに一緒に連れてこられた恋人。この二人をメインに繰り広げられるスピーディーなドタバタ劇で今作は進行していきます。スピーディーなのもそのはず、映画『いざなぎ暮れた。』の撮影期間はなんとたった3日間。
撮影場所は、『古事記』ある「国譲り神話」にも記された、歴史ある神事が今でも行われる「島根県松江市美保関町」。“神様に一番近い港町”と呼ばれるこの町に全くそぐわない、新宿で生きる若者たち。企みを持って町にやってきた若者は、神聖な町を飲み込んでしまうのか?それとも町が彼らを……?
映画『いざなぎ暮れた。』“ブレイク必至”のメインキャストを紹介!!
映画『いざなぎ暮れた。』が各方面で評価されている理由のひとつが、実力と魅力を兼ね備えた今作のメインキャストのふたりの演技。ふたりとも「現在TV、CMにバンバン出ている大ブレイク俳優!」というわけではないのですが、出演作品では毎回確たる存在感を残し、着実に階段を上っている俳優さんです。
今作の主演がきっかけで、ますますメジャーになるのではないでしょうか……!?
元新宿No.1ホスト “ノボル”(毎熊克哉)
1987年生まれ、広島県出身の毎熊克哉。2009年から俳優活動をスタートさせ、映画『ケンとカズ』の主演が、国内の複数の賞を受賞。この受賞作『ケンとカズ』の監督は、彼の俳優専門学校時代からの親友なのだとか。いいですね、青春の延長って感じですね……!
その後、東映の会長から声がかかり、吉永小百合主演映画『北の桜守』出演。商業映画に出演しだしてからはまだ2年も経っていませんが、『万引き家族』などの話題作に次々と出演し、これからブレイクしていくであろう注目俳優です。
今作では、何やら怖い人から頻繁に電話がかかってくる、明らかに“東京でやらかしてしまっている” 元新宿No.1ホストを演じます。
これまで薬の密売人役だったり、ヤクザ、エロなどダークな作品への出演が目立っていた毎熊克哉。今作でも、「怖い人に追われて田舎で詐欺を企てる」という物騒な役どころではあります。しかし、どこかシリアス過ぎない絶妙な抜け感が好評なのです。
何も知らない金髪の恋人“ノリコ”(武田梨奈)
国内の若手アクション女優として、不動の地位を獲得している武田梨奈。彼女は、セゾンカードのCMで頭突きの瓦割りを披露してからというもの、ずっと「頭突きのコ」をいうイメージを持たれ続けてきました。
FB見てたら「空手家で女優の頭突き瓦割り」ってので武田梨奈さんって人がマジで頭突きで瓦割る動画見た。瓦割りもビックリだけど、気合いの声がすげー「空手家だ(O_O;)」って思ったわ。旦那さんなる人いたら、あの声で怒られたら土下座するよな
— Venom (@noihugo) March 15, 2019
しかし近年では、ドラマ「ワカコ酒」で癒し系の側面も見せてくれています。そして今作でのキャバ嬢役。一人酒女子とキャバ嬢って、また見事に真逆のキャラクターですよね。
以下ネタバレ注意!映画『いざなぎ暮れた。』バチ当たりなふたりの結末はどうなる!?
さて、期待のメインキャストの紹介を終えたところで、いよいよ映画『いざなぎ暮れた。』のネタバレに突入していきます!なかには「主人公の男が胸糞悪い!」というレビューがチラホラありますが、本当に胸糞悪い男かどうかは、ネタバレを読んでから判断しても良いのでは!?
新宿のカップルがやってきたのは島根にある“神様に一番近い港町”
黒光りする車、ダッジ・チャレンジャーで高速を飛ばし、新宿からふたりの男女が着の身着のままやってきたのはある港町。東京から800キロ離れたその町は、神様から一番近い港町と言われる「島根県美保関」でした。
運転していたのは、元新宿ナンバーワンホストの「ノボル」。夜中に叩き起こされて、何も知らずに連れてこられた金髪の恋人「ノリコ」は助手席に座っています。「サプライズ弾丸旅行」と恋人を説き伏せつつ、車から降りるノボルでしたが、明らかに何か企んでいる!!
表向きは“サプライズ弾丸旅行” しかしこの旅の真相は……?
道中、喧嘩しまくりのノボルとノリコ。ガチャガチャ言い合いながらも、ノボルは時折、かかってくる電話にうろたえます。電話の相手は明らかに「東京の怖い人」。金銭トラブルに巻き込まれている様子です。
自分と恋人の身を守るために東京から離れたノボル。しかし彼にはもうひとつ、この街で果たそうとしている大きな目的があったのです……。
実の親戚に“オレオレ詐欺”!? それって普通の「困った孫甥」では!?
ノボルがわざわざ高速を飛ばして僻地を訪れた理由。それは、オレオレ詐欺をして現金を手に入れるため!「そんなの東京でやれば?」と言いたいところですが、なんと彼 “実の親戚”にオレオレ詐欺をするために島根までやってきたのです。
いや、それ普通に親戚にお金もらいに来ただけやないかい!窮地に陥っても、流石に赤の他人は騙せない……。親戚のおばあちゃんなら、いつかお金を返せますもんね。こんな風にノボルの心根の優しさが、ちょこちょこと顔を出します。
「オレオレ、ノボルだよ」「ああ、ノボルちゃんね……!」普通の再会です。
町で行われるのは“2680年の歴史ある祭典”神様が見てるぞ!! どうする!?
さらに運悪く、ノボルたちが町を訪れたのは、町をあげての由緒あるお祭り「諸手船神事」が行われる特別な日。町は活気づいており、地元の若者にもノボルたちの存在は知られます。神事に力を入れている若人衆は彼らの企みをやめさせ、追い出そうとするのですが……。
しかし、後には引けないノボル。わがままかと思いきや、気丈にノボルを立てるノリコ。この東京組、そもそもがいい子たちなので「嘘をつき続ける」状態にだんだん無理が生じてきます。ただ、このままでは東京に帰れない。本当の意味で切羽詰まったふたりは、地元の若人も東京のヤクザも巻き込んで暴走を始める……!
映画『いざなぎ暮れた。』は心のカドを丸くする、予想外のロードムービー!!
詐欺、ヤクザ、ホストとアウトローなキーワードが詰まった『いざなぎ暮れた。』ですが、刺激だけを売りにする映画とは全く違った作品です。
東京・新宿で追い詰められて、ほんの少しの前しか見えなくなってしまったノボル。しかし“神様に一番近い港町”で奮闘しているうちに、だんだんと鎧が脱げてきてしまうのが、クスリと笑えるポイントです。
刺々しい東京組の心象の変化に合わせて、観ている人の心のカドも取れていくような映画『いざなぎ暮れた。』は2020年3月20日から「テアトル新宿」で公開です!結末はぜひ、映画館で見届けてみてはいかがでしょうか?