2020年3月末、恐ろしい訃報が飛び込んできました。新型コロナウイルスの合併症による、志村けんさんの逝去。
志村さんが22年ぶりに、人生2度目の映画出演をする予定だった『キネマの神様』。松竹映画100周年を記念し山田洋次監督がメガホンを取る本作は、日本映画界の黄金時代を颯爽と生き、そしてそこにしこりを残して歳をとった男の物語です。
本記事では、映画『キネマの神様』のあらすじを、ネタバレ付きで紹介していきます!また、志村さんの代役に決定した、沢田研二さんについても語っていきたいと思います……!
映画『キネマの神様』の予告動画がこちら!
ジャンル | ヒューマン・ドラマ |
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公開日 | 2021年4月16日 |
監督 | 山田洋次 |
主演 | 沢田研二、菅田将暉 |
映画『キネマの神様』は原田マハの小説が原作、“映画の神様が壊れかけた家族を救う、心温まる物語”です。志村さんは1999年の映画『鉄道員』で、「大酒飲みで仕事もままならない男」を熱演しました。ただ、映画出演はその一度きり。
俳優としての魅力を隠し持ったまま、帰らぬ人となってしまった志村さん。彼の代役になったのが、今やお騒がせ歌手として知られる、沢田研二。ジュリーですね。若い方は「なんで沢田研二?」と思われるかもしれません。
志村けんと沢田研二は、80年代には同じ事務所の先輩・後輩の関係でした。二人はとても仲がよく、一緒にコントをしたりしていたのです。現在の姿しか知らない方からすれば「信じられない」かもしれませんが、実はお若い時の二人は瓜二つのルックスだったのですよ……!
代役・沢田研二と志村けんの繋がり “ジュリけん”を予習!
映画『キネマの神様』を鑑賞する前に、読者の皆さんにちょっと予習していただきたいのが “ジュリけん”コント。そっくりのルックスを利用して、鏡を使った(使ってない)コントや、志村さんがジュリーになりきった“付き人コント”などなど……。
「沢田研二って、こんな面白いお兄ちゃんだったんだ」って。二人が共演しているコントをいくつか見ると「志村けんの代役、沢田研二」が腑に落ちるかと思います。心から楽しそうですよね。
「志村さんのお気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です。」
若い頃にこうして共演したコメディキングが流行病で亡くなった、その代役を引き受ける……。沢田さんがどんな気持ちで本作の主演を受け継いだのか、察するに余りあります。
映画『キネマの神様』のキャストを紹介
さて、映画『キネマの神様』のあらすじの前に、本作のキャストを紹介していきましょう!
過去と現在のパートに分かれ、“二人一役”で進行していく本作。ここでは、主人公・ゴウを演じる二人の俳優についてフォーカスしていきます。
沢田研二/ゴウ
現在パートでの主人公を演じるのは、沢田研二。山田洋次監督作品に出演するのは映画『男はつらいよ花も嵐も寅次郎』38年ぶり。本作では、ギャンブル好きで家族に見放されたダメおやじ、“ゴウ”を演じます。
そんなゴウですが、若い頃には夢を追い、名監督や銀幕スターに囲まれて映画の撮影所で働いていたという過去があります。
菅田将暉/若き日のゴウ
未来輝かしい若い頃のゴウを演じるのは、人気俳優・菅田将暉。もう、映画に出っぱなしですよね。
この頃は映画制作に夢を持ち、撮影所で生き生きと働くゴウですが、一体どこで人生の歯車が狂ってしまったのでしょうか……。
他にも、ダメ親父になってしまったゴウの娘・歩(あゆみ)役に寺島しのぶ、若き日のゴウが夢中になる食堂の看板娘役に永野芽郁がキャスティング。さらに、現代まで細々と続く小さな映画館“テアトル銀幕”の経営者・テラシン役に小林稔侍。彼、テラシンが撮影技師として活躍していた青年期役はRADWIMPS・野田洋次郎が演じます。
映画『キネマの神様』のあらすじをネタバレ!
「映画館にはキネマの神様がいる」。
劇中に登場するこのセリフは、主人公・ゴウだけでなく彼の家族や仲間たちの拠り所になります。“シネマ”じゃないんですよね、より一層レトロな響きの「キネマ」。
映画が大衆にとって最大級の娯楽とされていた時代、銀幕スターが国民の憧れの的だった日本映画の黄金期。その時代に、映画のために生き、大きな夢を携えて邁進していた青年たちがいました。
時代は大きく変わりましたが、キネマの神様は現代でも、映画を心から愛する者の味方をしてくれるのでしょうか。
娘の足を引っ張るどん底オヤジ・ゴウ
39歳独身の歩(あゆみ)は、人間関係のトラブルで居場所をなくし、長年勤めた会社を退職しました。これから転職し、再出発!なのですが、彼女の頭を悩ます大きな問題がもうひとつ。
歩の父・郷直(ゴウ)はギャンブル依存、無職。娘の稼ぎをあてにして、負けも意に介さず賭け事にのめり込んでいました。体調も崩し、借金も発覚した彼、この生活を続けるかぎり歩は父親のおもりをしなければならないのでした。
かつては映画制作所で働き、夢を追っていたゴウ。今でも大好きな映画への情熱をメシのタネに、いや、生き甲斐でもいいから昇華させてくれれば……。歩は父・ゴウにインターネットを教えます。
娘の試みにスポンとハマったゴウ。映画ブログを夢中になって読み漁る日々。豊かにこそなりませんが、ゴウの生活は鮮やかさを取り戻しつつありました。
“キネマの神様”の大ヒットがゴウを押し上げる!
ネットの世界で生き生きとしだしたゴウ、さらに娘・歩にもチャンスが訪れます。映画雑誌を刊行する出版社「映友」から、ライターのオファーが。歩の書いた映画の評論記事を、ゴウが勝手に映友が運営するブログサイトに投稿したのが、編集長の目に留まったのです。
映友は映画雑誌を作っている会社です。しかし近年はブログサイトの勢いに押され、雑誌の売り上げは伸び悩んでいました。歩の文章で起死回生を願う編集長。歩にプレッシャーがのしかかります。
一方、そんな娘を見て閃いたゴウ。ひとつの映画ブログサイトの管理人にメールを送ります。“ばるたん”という名の管理人は、なんと映友の編集長・高峰の息子という偶然が発覚。こうして2組の親子が、ひょんなことから繋がりを持ちます。
高峰の息子 “ばるたん”は、ゴウに「映画ブログを執筆してくれないか」と依頼。映友の提供により、“キネマの神様”という映画サイトが開設され、映画の評論でゴウは広告収入を得られるようになりました。サイトは大ヒットし、映友出版も活気を取り戻します。
“ローズ・バット”とゴウの映画討論を世界中が見守る
大ヒットの結果、なんと英語翻訳され、世界中に注目され始めたブログ“キネマの神様”。
ゴウの評論一本のコンテンツにもかかわらず、多くの賛否両論が寄せられサイトは盛り上がっていきます。そんな中、ローズ・バットというハンドルネームの人物が“キネマの神様”にコメントするようになります。アメリカ人であるということ以外、謎に包まれたローズ・バット。ゴウとはまた違った角度から考察される映画評論は名物になり、さらにそこに意見をかぶせるゴウとのラリーは白熱。すごいですね。ギャンブル親父、どこに行っちゃったんでしょうか。
「愛するキネマのために」
ゴウの活躍が目覚ましい中、ゴウの撮影所時代からの友人・テラシンが経営する小さな映画館が閉鎖することになります。複合映画館のオープンが決まり、経営が難しくなっての判断でした。
“キネマの神様”の成功により自信を取り戻していたゴウ。友人のために自分に何かできないかと考えた彼は、ライバルのローズ・バットに相談を持ちかけるのですが……。
映画『キネマの神様』のあらすじまとめ
全く共通点のない人物が“映画”のために繋がり、クライマックスにはひとつの奇跡を起こす。現代パート序盤のゴウは、不摂生でギャンブル依存、その上多額の借金も発覚するダメ親父なのですが……。
本来は情熱的で行動力のある男。その性質を持て余していたゴウが、再び愛がの世界に足を踏み入れてかつての勢いを取り戻していく姿が痛快です。ブログにライバル、ローズ・バッドが出現した時もゴウは彼を疎まず妬まず、素直に尊敬します。これって、本当にその対象(ここでは映画ですね)を愛していないと難しい姿勢です。
さらに出版社やサイト管理人にバシバシ連絡する図々しさ、しまいにはローズ・バッドを味方につけて映画館を立て直そうとする求心力は、私たちも学ぶべき姿勢ではないかと思うのです……。
- 39歳独身の歩が退職。映画好きのギャンブル親父と彼が作った多額の借金を抱えて途方に暮れる。
- ゴウが「映友」に歩の書いた記事を投稿。歩は編集部に採用、さらにゴウは映画ブログの執筆の仕事をゲット。
- 海外でも読まれるブログに成長。すると謎の評論家、ローズ・バッドが“キネマの神様”にコメントするように。
- 「小規模の映画館は時代遅れ」と諦める旧知の友・テラシン。映画館を畳もうとする彼を助けるために、ゴウはローズ・バッドに協力を要請する。