2021年1月29日に公開される、映画【名もなき世界のエンドロール】。行成薫さんの傑作小説が実写映画化されました。本記事では、【名もなき世界のエンドロール】の原作ネタバレ。プロポーズ大作戦の結末とタイトルの意味についても書いていきます。
映画【名もなき世界のエンドロール】について
2012年「小説すばる新人賞」を受賞した、行成薫さんの小説が映画化。監督は【ストロベリーナイト】など、数々のミステリーを手がけてきた佐藤祐市さんです。
ストーリーは、強い絆で結ばれた幼馴染みのキダとマコトは、10年かけて、マコトは表とキダは裏、それぞれの社会でのしあがる。住む世界の違う女性に近づき、プロポーズをしようとしていたが、実はそれは、日本中を巻き込む“壮大な計画”だった。
ラスト20分の真実。この世界の終わりに心奪われる―。
筆者は、世界を終わらせるプロポーズって何だろう?と考えさせられました。いなくなったヨッチがどうなったのか?そのあたりもネタバレで書いていきます。
映画【名もなき世界のエンドロール】のキャスト
原作ネタバレを紹介する前に映画のキャストを紹介します。
筆者個人としては、最近ドラマなどで活躍されている、ヨッチを演じる山田杏奈さんに注目していて、ヨッチの闇の部分と明るい部分をどう演じ分けるのか気になります。
キダ | マコトとヨッチの幼馴染で主人公 | 岩田剛典 |
マコト | キダとヨッチの幼馴染でリサにプロポーズする | 新田真剣佑 |
ヨッチ | キダとマコトの幼馴染で二人と仲良くなる | 山田杏奈 |
リサ | マコトと交際する高飛車なモデル | 中村アン |
安藤 | リサの父で大物政治家 | 石丸謙二郎 |
宮澤社長 | キダとマコトが働いた自動車修理工場の社長 | 大友康平 |
川畑 | キダを〈交渉屋〉へと育てる裏社会のトップ | 柄本明 |
【名もなき世界のエンドロール】の原作ネタバレ
三人の出会い
幼いころ両親を亡くしたキダ(岩田剛典)と、同じ境遇でドッキリが好きなマコト(新田真剣佑)は幼馴染み。小学5年の時に、同じ境遇のヨッチ(山田杏奈)が引っ越してきた。前の学校でいじめられていたヨッチは学校で自己紹介ができず、マコトに助けてもらい、そこから三人は仲良くなる。
ヨッチと過ごした日々と絆
キダはとにかくビビりで、またマコトとヨッチからドッキリにかけられコーラを浴びていた。キダはヨッチとよくファミレスでご飯を食べた。ヨッチはナポリタンが好きでいつも食べていた。高校三年間、野球をしていたキダ。最後の試合、もう負けそうなのに、雨の中ずぶ濡れになりながらヨッチが応援してくれた。
三人でヨッチが昔住んでいた場所に行き、いじめていた同級生を見つけて喧嘩もした。いじめの時、最終的に、自分がいないものとされたトラウマがあるヨッチ。同級生に「忘れんじゃねえ!バーカ!」と言い少しスッキリすることができた。
ヨッチはいつも押しボタン式の信号を渡るとき、ちゃんとボタンを押して渡っていた。そのまま渡ろうとするキダやマコトをよく注意していた。
キダはある日、ヨッチに告白するが、少し遅かったと言われ、ヨッチは先に告白してきたマコトと付き合うことになった。
高飛車なリサとの出会い
高校を卒業したキダとマコトの二人は宮沢社長(大友康平)の経営する、自動車修理工場で働いていた。20歳のクリスマスイブからマコトは理由があり、口をあまり聞かなくなった。
そこに赤いスポーツカーに乗った、有名モデルで父は大物政治家のリサ(中村アン)が来た。高飛車な態度で金は出すから、パパに内緒で車を直してほしいと言った。犬を轢いたと言っていたが、車の傷痕はひどいものだった。
マコトはリサに突然、一輪の花とそこから万国旗を出すという手品をしてみせた。キダは意味が分からなかった。マコトはリサが気になり、彼女を手に入れると決めた。その翌日マコトは退職願を出して会社を辞め、キダの前から消えた。二人が働いていた工場もやがて潰れ、キダは社長の紹介で、川畑(柄本明)という男を紹介され、交渉屋となった。
その半年後キダとマコトは再会する。マコトはリサに釣り合う男になるため、社長となるべくお金を血を吐く思いをしながら貯めていた。マコトにはリサにプロポーズするという目的があった。
親友マコトを手伝う「交渉屋」キダ
交渉屋となったキダはリサと付き合っていた男に拳銃をつきつけ、二人を別れさせた。さらに、マコトが社長になるため、ひきこもりになっている、小野瀬マコトという男と交渉した。マコトは小野瀬マコトという名前と学歴を手に入れた。
ついに決行されるプロポーズ大作戦
マコトは、表社会で血を吐くような努力をしてワイン会社の社長にのぼりつめ、1年前からリサと付き合っていた。31歳のクリスマスイブに、ついにプロポーズ大作戦を決行することにしたキダとマコト。
19時からクリスマスの音楽イベントが屋外で行われるが、キダはそこにいた。
マコトとリサはすぐ近くのホテルの最上階のスイートルームで楽しそうに過ごしていた。キダはその会話を盗聴器で聞いていた。さらにパソコンを使ってその二人の様子をクリスマスイベントのステージに映し出した。観客はモデルのリサだと騒ぎだす。これからスキャンダルが公開される。
マコトはリサに初めて会ったときと同じく、一輪の花と万国旗の手品をしてみせた。10年前車屋で会ったことをリサも思い出した。大学に行ったのも嘘だと伝えるマコト。
さらにドッキリで指輪を渡した。リサは喜ぶがマコトは「これは俺の終わりの始まりだ」と言って、今度は赤い小さな欠片「塗膜片(とまく)」を見せた。
10年前のクリスマスイブの悲劇
20歳のクリスマスイブ、ヨッチとマコトが同棲する転居祝いとクリスマス会を兼ねて二人の家に集まることになった。その時にマコトはヨッチに指輪を渡すつもりで準備していた。
キダが二人の家に向かう途中、押しボタン信号のところで、倒れているヨッチと何かが散らばった破片を見つけた。ヨッチはもう死んでいた。ヨッチは事故にあって亡くなった。
マコトの最後のドッキリ
31歳のクリスマスイブ。ホテルのマコトがリサに詰め寄る。
リサが轢いたのは犬じゃなくてヨッチだった。そして、今渡した指輪もヨッチにあげるために買ったものだった。リサは怒りといら立ちながらも涙を流していた。
「ヨッチを覚えてるだろ?」とマコトが聞くが、最初は「知らない!」と言い張るリサ。しかし観念して、態度も悪くなり、私が轢いたと認めた。キダとマコトの10年間が終わった。
マコトはリサがヨッチのことを忘れないでいてくれたならよかった。と思っていたが、全く反省の色は見られず、ヨッチが車に轢かれたことも、ヨッチが生きていたことも完全にリサの父親に消されてしまった。それがマコトは許せなかった。
リサはヨッチが突然飛び出してきたと言ったが、常に押しボタン信号の押しボタンを押していたヨッチが飛び出すはずないとマコトが言い伏せた。ヨッチはクリスマスの鶏肉を買いに行く途中で轢かれたのだった。
その直後、リサの指にはマコトの手品により、赤い糸がくくりつけられていた。それを引っ張ると爆発するという仕組みで、ホテルの部屋は爆発し、二人とも死んだ。
キダはホテルの部屋を見つめながら涙を流した。
一人で生きていくキダ
翌日のクリスマス当日。
キダは花瓶替わりのコーラの空き缶と、ヨッチが吸っていたメンソールのタバコをもって、「クリスマス会」をしていた。月命日にはマコトと二人でよくここに来ていた。
そこに警察官が来てひき逃げがあったと言うと、さっき自分が轢かれそうになった車のことを警察官に話した。警察官から身分証を見せてほしいと言われ、出すと、そこには「澤田マコト」と書いてあった。キダはマコトの名前を名乗って生きていくことにした。
まとめ
【名もなき世界のエンドロール】のタイトルの意味は?
筆者は原作を読んで、マコトの世界を終わらせるプロポーズというのは、全世界や日本中を終わりにしてしまうと勘違いしていました。
タイトルの意味は何なのかを考えてみました。
「名もなき世界」について
ヨッチ→亡くなり、リサの父からいなかったことにされる。
キダ→自分の名前を捨て、マコトの本名を名乗ることにした。
「エンドロール」について
原作は時系列がコロコロ変わるので、二回読み直してみると、いろんな伏線が回収できてとても面白いと思います!