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【実在する事件を題材にした映画14選】フィクションから伝記物まで悲喜こもごもな傑作選!

新聞紙

実在する事件を題材にした映画を、様々な観点からピックアップ!
今回特集するのは、あくまでも事件をベースにした作品を中心にしたもの。
海外映画をベースに、邦画となる国内作品も含めます。
人物などを描く伝記ものから、事件にも着目してお届け!
さらには、実際の出来事をベースに着想を得たフィクション作品も含み、広い視点でセレクトしました。
映画の内容はもちろんのこと、事件の概要も紹介していきます!

1.罪の声

公開:2020年10月30日
対象事件:グリコ・森永事件(1984年〜1985年)

2020年に公開された、小栗旬、星野源のW主演となる『罪の声』。
劇中では“ギンガ萬堂事件”として登場するストーリーの鍵となる大きな事件。
これは、実際に起きた”グリコ・森永事件”をベースに描いています。
この『罪の声』は、原作は小説。
作者の塩田武士は、漠然と”グリコ・森永事件”について書きたいと小説家を志すも、最初は新聞記者となる。
その後、小説家としてデビューを果たすも経験値の低さから編集から許諾は得られず、しっかりと実力を経てから叶えた作品。
実際の”グリコ・森永事件”が起きた1984年から1985年の新聞は全て読んだとされる、作者の心意気をそのままに映像化しています。
物語ではしっかり犯人は描かれているものの、実際には時効になっており、日本最大の未解決事件として歴史に残っています。
小栗旬は、今の時代にこの事件を追う新聞記者を。
一方、星野源は、実際の”グリコ・森永事件”でも用いられ、この事件を題材に描くきっかけとなった子供の声の主として、大人になった今、この事件との向き合い方が描かれる重要な役どころとなる。
さらには、ネクストブレイク筆頭の若手女優、原菜乃華も出演。
彼女は、過去の回想シーンで短い登場シーンながらしっかりと存在感を残しています。
物語ベースはフィクションながら、しっかりと実際の事件をベースに展開する衝撃は、かなりの見応えがある作品です。

1984年グリコ・森永事件がベース

1984年(昭和59年)と1985年(昭和60年)に渡って、関西の企業をターゲットに展開された一連の脅迫事件の総称が、グリコ・森永事件。
警察庁広域重要指定事件としては、初めての未解決事件となり、一連の犯人は未だ特定されていません。
ことの始まりは、1984年3月。
江崎グリコ社長を誘拐し脅迫。
その後、丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋などの会社に対しても脅迫。
さらには、1984年5月と9月、1985年2月に商店などで青酸入り菓子が置かれるなど、お茶の間も震撼させています。
1984年4月12日に、警察庁広域重要指定事件が発令されます。
この警察庁広域重要指定事件とは、県警などを跨がず、全国の警察で協力体制が敷かれる厳戒態勢で捜査が行われる。
この為、連携不足などが相まり、より事件解決を困難にさせたとの声もあがっています。
この一連の事件の過程で、警察を煽るように挑戦状なども送られているなど、一言で語るにはあまりにも情報量が多い。
世間を震撼させた、日本最大級の未解決事件です。

2.フルートベール駅で

公開:2014年3月21日
対象事件:オスカー・グラント三世射殺事件(2009年1月1日)

2009年の元旦、カリフォルニア州にフルートベール駅で発生した、黒人男性の射殺事件。
この事件を映画化したのは、『ブラックパンサー』で世界的に名を広めたライアン・クーグラー。
主演は、マイケル・B・ジョーダン。
この事件を映画として描くため、ライアン・クーグラーは被害者家族との関係性を深め、信頼を築きます。
ライアン・クーグラーはこの事件をニュースで知るも、その瞬間に映画で描きたいと思い立ちます。
この事件は、罪の無い一般の黒人男性が、警官に射殺されてしまうというもの。
アメリカの社会問題として大きな注目を集める人種差別の事件の中でも、しっかりと事件の経緯を描いた作品として、非常に高い評価を獲得している名作のひとつです。

2009年のオスカー・グラント三世射殺事件を描く

射殺されたのは、オスカー・グラント。
22歳の青年。
刑務所に入っていた経歴はあるものの、家族がいて、ちゃんと人生をやり直すと決めていたごく普通の青年だったオスカー。
そう、ごく普通の青年。
何も他の人とも変わらない。
そんな彼は、友人たちとニューイヤーのお祭りに参加するため、電車でいざこざが発生。
要するに喧嘩です。
それで通報を受けた警官が駆けつけ、関係者たちをフルートベール駅で拘束。
現場は混沌としていたと言われていますが、オスカー・グラントらは暴力的な態度は一切とっていませんでした。
むしろ、裁判の証言では平和的な態度だったとも言われています。
現場の空気では、横暴な態度だったのは警官だったとも言われていて、無抵抗の人間に射殺した警官が糾弾されています。
もちろん、様々な状況証拠、現場の映像から対象の警官は、起訴されています。
世間的には射殺したと糾弾されるも、実際には11ヶ月だけの服役で仮釈放となっていて、この刑の軽さも大きな問題となっています。

3.ゾディアック

公開: 2007年6月16日
対象事件:ゾディアック事件(1968年〜1974年)

デヴィッド・フィンチャー監督によって、2007年に公開されたミステリー作品『ゾディアック』。
アメリカでも有名な未解決事件の、”ゾディアック事件”を題材としています。
この作品は、”ゾディアック事件”の第一人者と称されるロバート・グレイスミスによるノンフィクション小説『ゾディアック』を原作にしたもの。
主演は、ジェイク・ジレンホール。
マーク・ラファロやブレイク前夜のロバート・ダウニー・Jr.などが出演。
いわゆる事件を追うミステリー映画の一ジャンルを担う作品ですが、1960年代から1970年代を描く作風、殺人の描き方、『セブン』を彷彿とさせる不気味な雰囲気、デヴィッド・フィンチャーの特色がふんだんに生かされており、高い評価を獲得しています。

40年以上も未解決となるゾディアック事件!

この”ゾディアック事件”は、未だに捜査中となる未解決事件です。
ゾディアックとは、犯人が警察やマスコミに、ゾディアックと名乗り犯行声明を送ったことで名付けられています。
1968年〜1974年にかけて、若いカップルを中心に5名が殺されてしまいます。
犯行声明が送られたことで、劇場型殺人となる猟奇殺人事件として有名。
長きに渡って様々な考察がされており、2021年には犯人が断定されるも、有識者となる専門家筋ではその犯人も違うのでは、という見解もされており、今なお議論を繰り返しています。
この殺人事件が未解決とされているのは、おそらくすでに真犯人は亡くなっている為。
長年の捜査のもと、様々な被疑者も候補に出てはいるものの、未だ解決には至っていません。
未曾有の未解決事件として、今も注目され続けています。

4.怒り

『怒り』ポスター
出典元:https://www.toho.co.jp/movie/lineup/ikari-movie.html

公開:2016年9月17日
対象事件:リンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件(2007年3月26日)

残虐な殺人事件が発生し、その犯人と思われる3つのケースを描くミステリー群像劇となる作品。
最新作の『流浪の月』が2022年5月に公開したばかりの李相日が監督・脚本を務めます。
冒頭から発生する残虐な事件とは、2007年に発生したリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件を題材としたもの。
この事件の犯人を最後まで明らかにせず、東京、千葉、沖縄の3都市で疑わしい人物を鍵にそれぞれに何かと向き合う様が描かれます。
キャストには、渡辺謙、宮崎あおい、松山ケンイチ、池脇千鶴、広瀬すず、森山未來、妻夫木聡、綾野剛、高畑充希、原日出子、ピエール瀧ら、錚々たる面々が集います。
この豪華キャストを交えて展開し、それぞれの心情、事件の行方、どれを切り取っても重厚でとても見応えある作品です。

2007年のリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件を着想に!

今回の映画『怒り』は、原作は小説であるものの、扱う事件は2007年のリンゼイ・アン・ホーカーさん殺害事件から着想を得ています。
この事件の容疑者となる市橋に関しては、逮捕に至るまでの逃亡、懸賞金をかけて情報を募るなど、ニュースで再三にわたって報じられるなど、大きな注目を集めていました。
犯人の市橋は、後にこの事件の手記として「逮捕されるまで―空白の2年7カ月の記録」を執筆。
この本の印税収入は、遺族に弁済として渡されるものでしたが、娘の死でお金を受け取るつもりは無いとし遺族側は拒否しています。
大規模な逃亡劇を繰り広げ、その後は逮捕され、現在では無期懲役となり服役中とのこと。

5.ブラック・クランズマン

公開:2019年3月22日
対象事件:ロン・ストールワースが実際に行った捜査(1978年)

監督を務めたスパイク・リーにとっては、悲願のアカデミー賞獲得となる、脚色賞を受賞し、各方面から絶賛されている本作『ブラック・クランズマン』。
ストーリー全体としては、黒人警官が白人至上主義の団体「KKK」に潜入捜査する様をコメディ的要素を含んだ娯楽作品とした特色が大きいのが特徴です。
一方で、単なる娯楽作品で終わらず、しっかりスパイク・リーらしく社会風刺も効いているのが、高評価の一員とされています。
主演は、ジョン・デヴィッド・ワシントンとアダム・ドライバー。
この2人の配役もまた、素晴らしくコメディ的要素を強めている模様。
そもそも声に特徴のあるアダム・ドライバーが、電話だと全く異なる声質でそれに気付かないというのも、なんとも滑稽である。

白人至上主義団体の中に黒人警官が潜り込んだ実話

この『ブラック・クランズマン』は、実在の事件を描いたものではなく、とある黒人警官が体験したか回顧録を題材にした作品。
ロン・ストールワースという人物が書いたもので、彼はコロラド州コロラドスプリングの警察署にて、初めてのアフリカ系アメリカ人の警察官として幹部まで上り詰めた人物です。
そんな彼が1970年代後半に行った捜査が、今回の題材となっているもの。
白人至上主義団体”KKK”への潜入捜査。
わかりやすく言えば、白人を第一に掲げる団体に黒人が潜入し、劇中でも描かれているように電話応対をストールワースが行い、謁見など潜入は白人の警官が行っています。
潜入は9ヶ月もの間続き、この功績は職務期間中だった現役時代は誰にも話さなかったと言います。
その後、ロン・ストールワースは2005年に現役を退き、2007年にコロンビア大学で刑事司法の博士号を取得。
2014年にようやく、件の潜入捜査に関する回顧録を出版しています。
(この回顧録は、日本語訳も出版されています)

6.モリーズ・ゲーム

公開:2018年5月11日
対象事件:モリー・ブルームの半生(2004年〜2014年)

ジェシカ・チャスティン主演の2018年の作品となる『モリーズ・ゲーム』。
表と裏のギャップがあまりにも衝撃的な、実際にあった出来事を描いた伝記作品。
オリンピックを目指して、あと少しの所まで手が届いていたモリー・ブルーム。
そんな女性が、怪我をきっかけに選手を引退しそこから一転、ギャンブルの世界で時代を築いていく様を描く。
原作には、大物セレブとしてハリウッド俳優のプレイヤーXが登場します。
余談ですが、このプレイヤーXは、一説では複数の人物を掛け合わせた架空のキャラクターと言われていますが、その多くの要素はトビー・マグワイアという説が広く知れ渡っています。
事実、トビーはモリーの顧客の1人として過去にスキャンダルされたこともあるのだとか。
そんなハリウッドの裏側で活躍していたモリー・ブルームの闇カジノを描いた作品、それが『モリーズ・ゲーム』です。

モーグル選手の第二の人生がギャンブル狂!?

モリー・ブルームが逮捕されたのは2013年ごろ。
違法賭博など複数の容疑で逮捕されています。
1億ドルのマネーロンダリングや、違法賭博など。
一時期は名だたるハリウッドセレブが通う会員制の高級カジノを経営していましたが2008年のリーマンショックで破綻。
そこから、彼女のビジネスは徐々におかしくなっていったのです。
この映画『モリーズ・ゲーム』は、そんな彼女、モリー自身の回顧録をもとにしたもの。
選手を引退した後から、ギャンブルの世界で胴元としてのし上がっていく様、そこから逮捕された後までを描いています。

7.ニュースの天才

公開:2004年11月27日
対象事件:政治新聞ニュー・リパブリック誌の捏造記事事件(1998年)

ヘイデン・クリステンセン主演の伝記映画『ニュースの天才』。
本作は、アメリカのニュー・リパブリックという権威ある政治新聞の記者であるスティーブン・グラスという人物が1998年に起こした捏造記事の事件を描いたもの。
監督のビリー・レイは、主に脚本家として活躍し、現在でも多数の映画作品で脚本を務めています。
そんな彼が、より克明に、ミステリアスに描く伝記作品。
個人的にも、初めて観た時の衝撃から、割と好きな作品です。

アメリカの権威ある政治新聞ニュー・リパブリックの捏造事件

これは今でいう、やらせ…
とかではなく、そもそも、何もない所から記事に起こした完全なる捏造
要するにとなる。
これは、単なる捏造ではなく1995年から1998年にかけて、若手のホープとしてやり手の記者だったスティーブン・グラスが書いた記事、それらの捏造記事全てでっち上げだったという衝撃的なもの。
ニュースとなった出来事もそもそも、存在せず、それに関する証言など記事にしたもの全てが捏造だったのです。

8.スポットライト 世紀のスクープ

公開:2016年4月15日
対象事件:聖職者による性的虐待をボストン・グローブ紙が暴く(2003年)

2015年度に公開した映画の中で、最良とも言われる最高の評価を獲得した名作、『スポットライト 世紀のスクープ』。
マーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス、マイケル・キートン、ジョン・スラッテリー、スタンリー・トゥッチなどが出演し、犯罪とは縁がないと思われている聖職者たちの闇を暴いた事実を映画として描いた作品。
2003年にピュリッツァー賞を受賞した、「ボストン・グローブ」紙の記事を書く経緯を描いています。
その記者やボストン・グローブ紙のデスクらをマーク・ラファロ、レイチェル・マクアダムス、マイケル・キートン、ジョン・スラッテリーが務め、このティーブ・ロジャース実暴くのに重要な鍵を握る弁護士をスタンリー・トゥッチが演じます。
最初は1件の神父による性的虐待から始まり、その裏に潜むカトリック教会に属する巨悪を暴くストーリー。
その実状にただただ驚愕する内容です。

タブーを暴いた新聞記者たちの決死の仕事!

ほぼほぼ映画の内容の事実が起きていたこと。
映画の最後には、今回と同様の事件が起きた地域が記載されています。
それはアメリカだけではなく、世界中の地域で起きていたことが示されています。
要するにこの問題は、アメリカだけではなく、世界中、あなたの街の教会でも起きているのだと、危機感を持たせている内容だということ。
さらに、劇中でも描かれていますが、この出来事を受けて、責任者は辞任をしますが、その後、ローマへと栄転。
日本でいう政治家の様な黒い世界が、裏では蔓延っていることを示唆しています。

9.スキャンダル

映画『スキャンダル』予告編

公開: 2020年2月21日
対象事件:ロジャー・エイルズによるセクハラ(2016年)

2016年にFOXの複数の女性社員から告発され、FOXニュースを辞任したロジャー・エイルズのセクハラの実態を描いた作品。
シャーリーズ・セロンが特殊メイクでアメリカで有名なキャスター、メーガン・ケリーを演じ話題に。
その他、マーゴット・ロビー、ニコール・キッドマンら、ハリウッドでの各世代での名女優が共演したことで、日本でも注目を集めていた映画です。
メディアの帝王とも呼ばれたロジャー・エイルズに立ち向かおうとする、彼女らの密かな戦いを描いた作品。
アカデミー賞で、辻 一弘がメイクアップ&ヘアスタイリング賞を獲得している視覚的にもとても優れていると評価を受けています。

メディア王のセクハラ事件!

この一件で告発されたロジャー・エイルズは、アメリカでは長きに渡って活躍を遂げてきた人物で、ニクソン大統領などと政治的な番組で議論を交わすなど、とにかく敏腕で絶大な支持を獲得する人物でした。
晩年期には、FOXニュースのCEOに就任しています。
当時のアメリカでのFOXニュースは、No.1とも言われていた局ですが、このスキャンダルで地位の座を陥落してしまうほどに大打撃を受けてしまいました。
今回の1件でセクハラが明るみに出るまえも1度、セクハラ被害が1980年代にあったことが暴露されるも、FOXニュースはその事実を否定していた出来事があります。
その後、2016年の告発で、過去のニュースの裏付けになってしまう形で、ロジャー・エイルズは辞職する結果に。
その後、ロジャー・エイルズは2017年に病に倒れ、亡き人となっています。

10.ルーム

公開: 2016年4月8日
対象事件:フリッツル事件(2008年)

アメリカでは知る人ぞ知る女優だったブリー・ラーソンを、一躍世界的俳優へと押し上げた作品、『ルーム』。
この映画は、実在の事件から着想を得て製作されたもの。
ブリー・ラーソンがとにかく高評価を獲得し、まだアメリカですら無名に近い存在だったにも関わらずアカデミー賞を獲得し、一躍大ブレイクを果たします。
そしてこの映画が高い評価を得る要因となったのは、悲惨な事件を扱う作品ですが、着目されたのはその対象となる被害者。
ずっと長い年月監禁された事件の経緯ではなく、描かれたのはその後の女性の心情を切り取ったこと。
この映画で扱っている事件は、男に監禁された女性が性的暴行をずっと受け続け、あまつさえその男の子供を産んでいる、そして監禁されたまま育てているということ。
あまりにも悲惨な事件ですが、映画では監禁を終えた後の物語が展開し、幸せとは何かを定義しています。

事実は小説よりも奇なり!あまりにも悲惨な事件

映画では、男に監禁され、性的暴行を受けていたというのが、事件の概要ですが…
事実は、さらにひどい状況になります。
オーストリアで起きた事件で、通称フリッツル事件。
実際には、実夫から肉体的暴行、性的暴行を受け、実際に7人の子供を産んでいます。
そしてこの監禁生活は、24年もの間続いたというのです。
その父親は2008年に逮捕され、現在は終身刑となっています。
現在は80歳を超え、90近い年齢です。
事実は映画よりももっと、悲惨な状態となっています。
ここに書いていないだけで、自分の子供も殺害しているなど、犯人の行いは信じられないものばかりです。

11.真・鮫島事件

公開: 2020年11月27日
対象事件:鮫島事件(2001年)

2020年に公開したホラー映画『真・鮫島事件』。
武田玲奈が主演し、「鮫島事件」の映画化は実質2度目となる。
映画自体は、前回含めホラー映画になっているものの、実際の事件は都市伝説的に語られているだけで、ホラー展開などの様子は一切ない。
ただ、この事件の性質上ホラーにするとより際立つというだけで、ホラー映画になりがちというもの。
前回の映画化では、『2ちゃんねるの呪い 劇場版』というタイトルで、監督は『真・鮫島事件』と同じ永江二朗が務めています。

真相は誰も知らない。伝説の鮫島スレ

2ちゃんねるの掲示板で、「伝説の「鮫島スレ」について語ろう」というスレッドが立ち上がったのが最初。
それが鮫島事件、2001年の出来事。
このスレッドで、最初の投稿はこういうもの。

ここはラウンジでは半ば伝説となった「鮫島スレ」について語る

スレッドです。知らない方も多いと思いますが、2ちゃんねる歴が
長い方は覚えてる人も多いと思います。
かくいう俺も「鮫島スレ」を見てから2ちゃんねるにはまった
ひとりでして、あれを見たときのショックは今でも覚えています。
誰かあのスレ保存してる人いますか?

— 22世紀を目指す名無しさん(ID:yWtu.nZk)

ここから、ネット民が尾ヒレをつけていき、「何らかの理由で真実が日本国政府と公安調査庁に隠蔽されており絶対に語ってはならない内容である」といった内容になっていった。
このスレ主がのちにジョークであるという発表を行ったものの、その後も鮫島事件の噂は増え続け、もはや手に負えない状況となっている。
言ってしまえば、鮫島事件はネット民の悪ふざけで、噂を噂で上書きして行って膨らんだもの。
それ故、根幹となる事件そのものも存在しない。
誰も知らない訳だから、誰にも語ることはできない…
それ故、映画化など作品化するとホラーにしやすいのである。

12.ある女流作家の罪と罰

公開: 2018年10月19日アメリカ公開(日本未公開)
対象事件:リー・イスラエル文書偽造事件(1993年)

本来は、コメディエンヌとしてアメリカで活躍するメリッサ・マッカーシー。
しかしそのイメージは一転、本作ではシリアスな一面を出す非常に珍しい作品。
でもそのキャスティングが功を奏し、この映画はブラック・ユーモアに包まれ、アメリカでは非常に高い評価を獲得しています。
元となったのは、2008年に刊行されたリー・イスラエルの自伝本を原作にしたのが本作、伝記映画となる。
かつて伝記作家だった年増の女性が、落ち目になり、食べていく為売りに出した著名人の手紙が思いのほか高く売れたことで、文書を偽造していく様を描いたもの。
その落ちぶれた女性の演技を見事に体現したメリッサ・マッカーシーは、本当に見事で、いつも明るい彼女の本来の姿を忘れてしまう程にハマっています。
ちなみに、メリッサ・マッカーシーの最新作は、『ソー:ラブ&サンダー』の劇中劇でマット・デイモンらと並んで出演。ヘラ役を演じる女優役。
そんなメリッサらしさが、一切なく、シリアスな役を見事に演じる本作は、文学好きなら必見とも言える1作。

リー・イスラエルがついた嘘に皆が信じた

この事件、わかりやすくいえば、故人となる著名人が生前に書いたとされる手紙を、リー・イスラエルが捏造したというもの。
もちろんコピーしたとかではなく、手紙そのものを捏造し、嘘で書かれたもの。
しかしこれがバレずに出来たのは、リー・イスラエル自身が作家として一番活躍していた頃は、その著名人らに取材をしていたこと。
伝記作家として、その著名人らに取材をしていたのです。
そしてその頃の経験を活かして、手紙などを捏造したのでした。
最終的には、贋作や盗みを行った末、1993年にバレて逮捕という結末を迎えています。

13.127時間

公開: 2011年6月18日
対象事件:アーロン・ラルストンの悲劇(2016年)

先に挙げた映画『スキャンダル』などで注目された#MeToo運動の煽りを受け、セクハラが告発され、現在は追放となっているジェームズ・ブランコの主演映画となる『127時間』。
これは、正確には事件ではないですが…
あまりにも悲惨で怖い出来事なので、取り上げなくてはいけない1作。
ダニー・ボイル監督が、人間の根っこの部分を怖くもあり、力強く映画いた傑作とも言える衝撃の作品。
人っ子ひとり、滅多に通らない場所で、127時間も抜け出せない状況で過ごしたとある男性の急死に一生を得た出来事。
山を登る時や、1人で行動する時には、必ず誰かにどこに行って、いつ帰ってくる的な連絡はしておこうと、心から思える戒め的1作です。

アウトドア好きの青年に起きた悲劇

この『127時間』で起きた出来事、これは概ね真実に近いと言われています。
原作は、実際にこの一件を体験した、アーロン・ラルストンによって描かれた自伝本の映画化作品。
この127時間のサバイバルは、アーロン・ラルストン自身がサバイバル術に長けていたからこそ、生き延びることが可能で、常人ならば、まず間違いなく生き延びることは不可能だと思われます。
そんな奇跡のサバイバルを、ダニー・ボイルら、『スラムドッグ$ミリオネア』の制作陣が集結して、製作されているのです。
ラストは少し目を背けてしまうかもしれませんが、人は生きる為ならばなんでもする、というその生き様が見れる典型的な作品です。

14.嘘を愛する女

公開: 2018年1月20日
対象事件:夫はだれだった?(1991年朝日新聞掲載コラムより)

長澤まさみ主演、高橋一生出演の映画『嘘を愛する女』。
この映画は、1991年の朝日新聞のコラムに載っていたものから着想を得て製作された作品。
愛した男性の身元が不明である事実を知った女性の物語。
映画では結婚前で、同棲している彼氏でしたが、事実は5年間結婚生活を共にしていた男性でした。
さらに映画は昏睡状態でしたが、事実は死後に夫の身元に関する情報を知ります。
映画ではこの事実に、愛する人の何を愛するのか…
好きな人がどういう人生を送ってきたのか…
どんな仕事をしていて、何を普段しているのか…
連れ添っている人の何を愛しているのか…
そんな疑問を呈する内容になっています。
そして、主人公の長澤まさみ演じる女性は、彼について調べ始めるのです。
今回、長澤まさみの演技は当然ながら、身元を探す手伝いをする探偵役に吉田鋼太郎が出演。
そんな2人の奇妙なバディも、見どころのひとつです。

事実は映画よりも悲惨な結末を迎えている、多くの謎を残した一件

この映画が着想を得たのは、1991年の朝日新聞に掲載されたあるコラム。
そのコラムの内容をまとめると…
5年間連れ添った夫が、50歳で病死。
奥さんは当然、死亡届を区役所に届けようとしますが…
亡くなった夫の戸籍がないことに気が付きます。
そして改めて奥さんが持っていた戸籍抄本が、実は偽元だった事にそこで初めて気がついたのでした。
不可解なことは、実は生前にもありました。
病気になって、病状が悪化するのに、病院には頑なに行きませんでした。
そして不審に思った奥さんは、夫の勤務先に問い合わせをします。
すると、そんな職員はいないと言われ、夫の身分証も偽も出会ったことが判明するのでした。
その事実を問い詰めると、夫は「死ぬしかない。本当は生きていたかった」と亡くなる間際に言い残していたそう。
夫の死後、奥さんは彼の身元について、警察などにも問い合わせ、いろいろ調べたそうなのですが…
結局だれなのか、わからなかったそうです。
彼女が結婚した男性は、果たして何処の誰だったのか…
その謎が明らかにされないまま…
あまりにも無情な結末となっていました。
映画ではこの事実に決着がついていますが…
事実は…
映画よりも酷い現実だったのです。
夫の身元不明が、死後に明らかになったのですから…
そしてこの記事を読んだ中江和仁が、映画化に着手し製作したのが本作『嘘を愛する女』だったのです。

まとめ

以上、様々な事件を扱った映画をピックアップしてみました。
事件や、事件に関与した人に着目した映画ばかりを選んでいます。
また、今回ピックした映画たちは、当然のことながら、氷山の一角。
こういったジャンルの作品は、探せば探すほど出てくるので、また追加で増やしていく予定です。
今回は最初だった事もあり、有名な事件をベースに作成しましたが…
忘れた頃に本記事にアクセスしていただくと、またさらにマニアックな作品とかもラインナップされているかもしれません。
是非そんな作品群の充実を乞うご期待!

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