第92回アカデミー賞ノミネート作品をまとめてご紹介!今年も本命不在の大混戦?オスカーの行方を徹底予想!

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2020年1月13日に、第92回(2020年)アカデミー賞のノミネート作品が発表されました。2019年も多くの優れた映画が公開され数々の賞レースを賑わせましたが、今年オスカーに輝くのはどの作品になるでしょうか?ノミネート作品を見ていきましょう。

第92回アカデミー賞授賞式について

2020年のアカデミー賞授賞式は92回目となり、2月9日(日本時間2月10日の昼間)に行われます。今年は例年より数週間ほど早い開催となっています。第91回授賞式(2019年)のすっきりした進行が好評だったらしく、2020年のアカデミー賞授賞式では前年に引き続いて司会者なしで行われるようです。

昨年の第91回授賞式ではもともと『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(2017)などに出演しているケヴィン・ハートが司会を務めることが報じられていましたが、同性愛を嫌悪する旨を呟いた過去のツイートが掘り起こされたことが問題となり自ら司会を降りるという事態に。代わりの司会者は結局授賞式直前まで見つからず最終的に司会者なしでの進行となった形ですが、結果的には時間をかけすぎないスムーズな進行が高評価となり、近年取り沙汰されていた米国におけるアカデミー賞授賞式の低視聴率問題も第90回(2018年)に比べ大幅に回復した点が、今年の2020年度も司会者を起用しないことにつながったと見られています。

また昨年の第91回アカデミー賞授賞式では、『ボヘミアン・ラプソディ』のノミネートを受けてのクイーン+アダム・ランパートによるオープニングや、『アリー/スター誕生』歌曲賞ノミネートによるレディー・ガガとブラッドリー・クーパーのデュエットなど豪華な演出も話題となりましたが、第92回アカデミー賞授賞式ではどのようなパフォーマンスが繰り広げられるのでしょうか?

第92回アカデミー賞の主要6賞ノミネートをご紹介!

作品賞

フォードvsフェラーリ
アイリッシュマン
ジョジョ・ラビット
ジョーカー
ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
マリッジ・ストーリー
1917 命をかけた伝令
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
パラサイト 半地下の家族

監督賞

マーティン・スコセッシ(アイリッシュマン)
トッド・フィリップス(ジョーカー)
サム・メンデス(1917 命をかけた伝令)
クエンティン・タランティーノ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
ポン・ジュノ(パラサイト 半地下の家族)

主演男優賞

アントニオ・バンデラス(英題:Pain and Glory)
レオナルド・ディカプリオ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
アダム・ドライバー(マリッジ・ストーリー)
ホアキン・フェニックス(ジョーカー)
ジョナサン・プライス(2人のローマ教皇)

主演女優賞

シンシア・エリヴォ(ハリエット)
スカーレット・ヨハンソン(マリッジ・ストーリー)
シアーシャ・ローナン(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語)
シャーリーズ・セロン(スキャンダル)
レニー・ゼルウィガー(ジュディ 虹の彼方に)

助演男優賞

ブラッド・ピット(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)
ジョー・ペシ(アイリッシュマン)
トム・ハンクス(原題:A Beautiful Day in the Neighborhood)
アル・パチーノ(アイリッシュマン)
アンソニー・ホプキンス(2人のローマ教皇)

助演女優賞

キャシー・ベイツ(リチャード・ジュエル)
ローラ・ダーン(マリッジ・ストーリー)
スカーレット・ヨハンソン(ジョジョ・ラビット)
フローレンス・ピュー(ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語)
マーゴット・ロビー(スキャンダル)

『ジョーカー』が作品賞・監督賞・主演男優賞を含む最多11部門でノミネート

主演のホアキン・フェニックスの演技がずば抜けてはいたものの他の部門でのノミネートは厳しいかと思われていた『ジョーカー』でしたが、下馬評を覆し、主演男優賞の他にも作品賞・監督賞・編集賞・脚色賞・メイクアップ&スタイリング賞・撮影賞・音響編集賞・録音賞・衣装デザイン賞・作曲賞でそれぞれノミネートされ、第92回アカデミー賞では最多11部門でのノミネートとなりました。

フェニックスの演技は高く評価されており、賞レース前半では第76回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞獲得に貢献したほか、最近では第77回ゴールデングローブ賞ドラマ部門の主演男優賞に輝きました。フェニックスの有力なライバルとしては同賞で争ったアダム・ドライバー(マリッジ・ストーリー)が挙げられますが、フェニックスのオスカー受賞の可能性は極めて高いといえるでしょう。

今年のアカデミー賞は全体的に混戦気味?

作品賞にノミネートされた作品群は『ジョーカー』以外はどの作品も各賞レースでの受賞を果たしており、全体的にはどの作品でも受賞の可能性が大いにあり大混戦という状態です。『ジョーカー』は賞レース後半では苦戦していた模様ですが、アカデミー賞においては最多11部門でのノミネートとなりオスカーの可能性は十分に残されたと見ることができます。

各男優賞・女優賞にノミネートされた俳優たちも熱演を見せており、誰がオスカーを獲得してもおかしくないという状況といえます。シャーリーズ・セロンとマーゴット・ロビーが主演女優賞・助演女優賞にそれぞれノミネートされた『スキャンダル』では女優たちの演技合戦が光りましたし、徹底的な役作りに臨んだ『ジュディ 虹の彼方に』のレニー・ゼルウィガー、あるいは主演女優賞と助演女優賞両方にダブルノミネートされているスカーレット・ヨハンソンの存在も気になります。ベテラン女優のキャシー・ベイツとローラ・ダーンは『リチャード・ジュエル』主人公の母親役、『マリッジ・ストーリー』離婚騒動での弁護士役をそれぞれ演じており、物語の中でも重要なポジションとして大きな存在感を残しています。

なおヨハンソンの主演・助演女優賞のダブルノミネートは、女優としては2007年のケイト・ブランシェット以来9人目の快挙となります。過去ダブルノミネートされた女優8人のうちオスカーを獲得できた例は4人で、ブランシェットは2007年の第80回アカデミー賞での受賞は叶いませんでしたがその後2013年に主演女優賞を獲得しています。ヨハンソンは今回受賞すれば初のオスカーとなりますが、果たして受賞できるでしょうか?

また助演男優賞にノミネートされているトム・ハンクスは主演男優賞で2度のオスカーに輝いていることで知られていますが、今回ノミネートされたのは2000年の『キャスト・アウェイ』以来20年ぶりとなります。そのほかにもアンソニー・ホプキンス、アル・パチーノ、ジョー・ペシといった往年のオスカー俳優が軒並み20数年ぶりに助演男優賞にノミネートされており、非常に面白い展開となっています。『羊たちの沈黙』『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』『フィラデルフィア』という1990年代初頭の名作を熱演しそれぞれの作品で主演男優賞に輝いたホプキンス、パチーノ、ハンクスといった名優たちが今の時代になってオスカーを争うという興味深い展開が期待されます。ちなみにパチーノは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』、ハンクスは『トイ・ストーリー4』のウッディの声の吹替としてそれぞれ出演しているほか、『ジョーカー』に出演しているロバート・デ・ニーロが『アイリッシュマン』の主演・製作を務めている点でも授賞式では注目が集まるでしょう。

Netflix映画が大躍進!

第91回アカデミー賞でアルフォンソ・キュアロンによるNetflix映画『ROMA』が高い評価を受けたことは記憶に新しいですが、2019年もNetflixから多くの優秀な映画が世に送り出されました。特に『マリッジ・ストーリー』は評価が高く、賞レースでも多数の賞を受賞しています。さらに巨匠マーティン・スコセッシ監督の最新作『アイリッシュマン』では20数年にわたる壮大な物語でロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ、ジョー・ペシといった往年の名優が熱演を見せ、パチーノとペシはそろって助演男優賞にノミネートされています。『2人のローマ教皇』もジョナサン・プライスとアンソニー・ホプキンスの演技が光る作品で、両者とも主演・助演男優賞にノミネートされています。

これらの作品の他にも長編アニメーション映画部門に『失くした体』『クロース』、長編ドキュメンタリー映画部門に『アメリカン・ファクトリー』、短編ドキュメンタリー映画部門に『眠りに生きる子供たち』がノミネートされるなど、Netflix映画だけで24のノミネートを果たしている点にも注目です。

『ROMA』のような低予算映画や『アイリッシュマン』のような上映時間が3時間超に及ぶ作品などは、ハリウッドではあまり歓迎されないというのが現状です。しかし、ハリウッドでは難しいことをNetflixでは行うことが可能であるというのも事実といえます。ネット配信による映画公開という形はスティーヴン・スピルバーグなどといった映画界の重鎮より批判を受けた過去もあり、今後も波紋を呼ぶことになるでしょうが、Netflix映画の躍進ぶりにより2020年はネット配信映画の在り方についてさらに議論が巻き起こることが予想されます。

第92回アカデミー賞その他のノミネート一覧と考察・予想

主要6賞以外のノミネートはこちらの項の後半にまとめています。ご参考になさってください。

話題作『パラサイト 半地下の家族』はアカデミー賞にどこまで割って入れるか?

出典元:映画『パラサイト 半地下の家族』公式サイト

今年度の第92回から「外国語映画賞」の名称が「国際長編映画賞」に変わりました。前回のアカデミー賞で『ROMA』が多くの部門を席巻したことや、第71回カンヌ国際映画祭で日本の『万引き家族』がパルムドールに輝きアカデミー賞でも受賞が期待されたことは記憶に新しいでしょう。これらのケースが表しているのは、言語が英語でない映画でも国際的に高く評価される機会が増えたということであり、アカデミー賞においてもアメリカ国内の映画だけでなく世界中の優れた映画が受賞する可能性が拓かれたといえます。とはいえ、現段階ではやはり英語以外の外国語映画が対象となるという意味では特に変わりはない模様です。

さて、昨年2019年の第72回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールに輝き、世界的にも注目を集めている韓国映画『パラサイト 半地下の家族』が、第92回アカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・美術賞・編集賞・国際長編映画賞の計6部門にノミネートされています。韓国映画としては国際長編映画賞(外国語映画賞)のノミネート自体が初の快挙でありますが、それを飛び越える大きな飛躍を見せました。監督・脚本を務めたポン・ジュノはかねてより国際的に注目されていた存在でもあり、『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞にどれほど割って入れるかについても焦点の一つとなりそうです。

長編アニメ映画部門はまさかの『アナ雪2』落選、日本のアニメ映画もノミネートならず

長編アニメーション映画賞では人気シリーズ『トイ・ストーリー4』と『アナと雪の女王2』の一騎打ちが期待されていましたが、『アナと雪の女王2』は残念ながら選考から外れてしまいました。とはいえ、今年は『トイ・ストーリー4』以外にも『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』やNetflixの話題作『失くした体』などのように優秀な作品が多いため、落選もやむなしという状況です。『ヒックとドラゴン』はシリーズ3作全てでノミネートを達成していますが、今作でオスカー獲得はできるでしょうか?

また、『アナと雪の女王2』からはテーマ曲「イントゥ・ジ・アンノウン」が歌曲賞にノミネートされています。授賞式では圧巻のパフォーマンスでもう一度あの歌を聴くことができるかもしれません。

なお、長編アニメ映画部門には日本のアニメ映画から『天気の子』『若おかみは小学生!』『プロメア』のノミネートがそれぞれ期待されていましたが、残念ながらいずれも落選という結果に終わりました。

『スキャンダル』メイク&スタイリング賞で日本出身のカズ・ヒロさんがノミネート!

日本の映画作品のノミネートは叶いませんでしたが、『スキャンダル(原題:Bombshell)』のメイクアップ&スタイリング賞で日本出身のカズ・ヒロ(旧:辻和弘)がノミネートされました。カズ・ヒロは第90回アカデミー賞でも『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』での特殊メイクを担当し、オスカーを獲得した実績を持っています。この作品でチャーチル役を演じ、見事主演男優賞に輝いたゲイリー・オールドマンに厚い信頼を寄せられていたカズ・ヒロの技術は『スキャンダル』でも遺憾なく発揮されています。特に主演を務めるシャーリーズ・セロンの姿はモデルとなった実在のキャスターにそっくりで、全米が二度見するほどの出来だと評判です。オールドマンもセロンも「カメレオン俳優」と呼ばれるほどの徹底した役作りを行う俳優であり、『スキャンダル』でもカズ・ヒロによる特殊メイクは映画の中でも重要な要素の一部となっている模様で、第90回アカデミー賞に続き2度目の受賞が期待されます。

長編アニメ映画賞

ヒックとドラゴン 聖地への冒険
失くした体
クロース
Missing Link(原題)
トイ・ストーリー4

短編アニメ映画賞

Daughter(英題)
Hair Love(原題)
Kitbull(原題)
Memorable(原題)
Sister(原題)

脚本賞

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密
マリッジ・ストーリー
1917 命をかけた伝令
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
パラサイト 半地下の家族

脚色賞

アイリッシュマン
ジョジョ・ラビット
ジョーカー
ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語
2人のローマ教皇

撮影賞

アイリッシュマン
ジョーカー
The Lighthouse(原題)
1917 命をかけた伝令
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

美術賞

アイリッシュマン
ジョジョ・ラビット
1917 命をかけた伝令
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
パラサイト 半地下の家族

音響編集賞

フォードvsフェラーリ
ジョーカー
1917 命をかけた伝令
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

録音賞

アド・アストラ
フォードvsフェラーリ
ジョーカー
1917 命をかけた伝令
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

編集賞

フォードvsフェラーリ
アイリッシュマン
ジョジョ・ラビット
ジョーカー
パラサイト 半地下の家族

視覚効果賞

アベンジャーズ/エンドゲーム
アイリッシュマン
ライオン・キング
1917 命をかけた伝令
スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け

歌曲賞

「君のため」トイ・ストーリー4
「(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン」ロケットマン
「I’m Standing With You」Breakthrough(原題)
「イントゥ・ジ・アンノウン~心のままに」アナと雪の女王2
「Stand Up」ハリエット

作曲賞

ヒルドゥル・グーナドッティル(ジョーカー)
アレクサンドル・デスプラ(ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語)
ランディ・ニューマン(マリッジ・ストーリー)
トーマス・ニューマン(1917 命をかけた伝令)
ジョン・ウィリアムズ(スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け)

衣装デザイン賞

アイリッシュマン
ジョジョ・ラビット
ジョーカー
ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

メイクアップ&スタイリング賞

スキャンダル
ジョーカー
ジュディ 虹の彼方に
マレフィセント2
1917 命をかけた伝令

国際長編映画賞

英題:Corpus Christi(ポーランド)
英題:Honeyland(北マケドニア)
レ・ミゼラブル(フランス)
英題:Pain And Glory(スペイン)
パラサイト 半地下の家族(韓国)

短編実写映画賞

兄弟愛
Nefta Football Club(原題)
向かいの窓
Saria(原題)
A Sister(英題)

長編ドキュメンタリー賞

アメリカン・ファクトリー
The Cave(原題)
ブラジル -消えゆく民主主義-
娘は戦場で生まれた
Honeyland(英題)

短編ドキュメンタリー賞

In the Absence(原題)
Learning to Skateboard in a Warzone (If You’re a Girl)(原題)
眠りに生きる子供たち
St. Louis Superman(原題)
Walk Run Cha-Cha(原題)

第92回アカデミー賞ノミネートまとめ

ここまで、第92回アカデミー賞ノミネート作品について見てきました。最後に授賞式の見どころについて簡単にまとめてみましょう。

  • 昨年の2019年に続き司会者なしの進行はどのような盛り上がりを見せるのか?
  • 最多11部門にノミネートされた話題作『ジョーカー』はどこまで食い込めるか?
  • 韓国映画としてアカデミー賞に初ノミネートされ6部門でノミネートされている『パラサイト 半地下の家族』はどこまで評価されるか?
  • ベテラン勢トム・ハンクス、アル・パチーノ、ジョー・ペシ、アンソニー・ホプキンスがノミネートされる助演男優賞の行方は?
  • Netflix映画はどこまで躍進するか?

優秀な作品が多数世に送り出された2019年の総まとめとして、どの作品が受賞するか楽しみに待ちましょう。第92回アカデミー賞授賞式は2020年2月9日(日本時間2月10日昼)開催です!

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