映画『パーム・スプリングス』をネタバレ解説!
ナイルズは、サラと出会った時点で、もう何度もタイムループを経験していた男でした。
サラは、洞窟の中に入った後、自分の部屋で目が覚めた途端にナイルズに詰め寄り状況の把握をします。
その結果、タイムループの中に彷徨っている事実が判明するのでした。
ナイルズとサラ
ナイルズとサラを中心に進んでいく、この『パーム・スプリングス』は、2人のこれまでの人生を回帰することが非常に重要な物語です。
サラは、いわゆる軽い女で男をとっかえひっかえ、チャランポランに過ごしてきた女性です。
彼女が最初に不機嫌になっていたのは、そんな自分に嫌気がさしていたことが、後に判明するのです。
一方、ナイルズは何にも縛られることがないこのループ生活を楽しんでいました。
生きる上でのしがらみが、嫌になってしまっています。
ナイルズは、映画全編通してもどんな男性なのか、パーソナルな部分は明かされません。
最後に、犬を飼っていたということだけが明かされるのですが…
とにかく秘密が多い男性、というのがこのナイルズという男性なのです。
巻き込まれたのはもう1人
このタイムループに巻き込まれてしまったのは、実はもう1人存在します。
それが、J・K・シモンズ演じるロイ。
彼も結婚式に参列していた1人で、ナイルズがまだタイムループの中に入って間も無くしての頃です。
お酒とクスリの影響で、気が緩んでしまいロイを巻き込んでしまったのです。
その結果、ロイはナイルズに矛先を向け、怒りのまま彼に矢を放っていました。
ロイは、遠方から来ているので何回かに1回ロイの前に現れる存在。
このサラとナイルズ、おまけにロイを含めた3人がタイムループに巻き込まれ展開されていきます。
タイムループはおまけ
実はこの映画、タイムループに巻き込まれておきながら、タイムループはおまけにしか過ぎません。
鑑賞済みの方ならばわかると思いますが、この物語の本質は自分と向き合うということ。
ナイルズは、サラと出会った事でそれまでの自分と向き合い答えを出します。
一方サラは、ナイルズがついた嘘によって、信じられる者が自分しかいないということに気がつきそれまでの自分と向き合うきっかけになるのでした。
その結果、サラはループを利用してこのタイムループから抜け出す方法を身につけるのでした。
タイムループが何か重要な意味を持つもの、とかではなくその原因は何もわからないまま、この物語は幕を閉じます。
あくまで、この作品におけるタイムループとは、2人のキャラクターが成長するきっかけに過ぎないのです。
あらすじをさっくりネタバレ!
映画『パーム・スプリングス』のあらすじを、結末まで、さっくりと掻い摘んでネタバレ解説します。
おさらいがてらにチェックする程度にご覧いただくければ幸いです。
11月9日
ナイルズは、彼女のミスティと結婚式に参加。
しかし2人の相性は、悪い。
ミスティはなんでもかんでもナイルズのせいにして、自分は悪くないと、彼氏を咎める。
そんなミスティに飽き飽きしていたナイルズ。
一方サラは、新婦の姉。
ブライドメイドとして結婚式に参加していた。
でも顔に笑顔はなく、しかめっ面。
夜のパーティーでも、踊る気分にもなれない。
そんな彼女の元に現れたのは、ナイルズ。
ミスティという彼女がいながら、2人はとてもいい感じになる。
なぜなら、ミスティはバスルームで他の男といい感じなっていたのだ。
ナイルズとサラは、パーム・スプリングスの岩場で、イチャイチャとしていた。
その最中、突如ナイルズの肩に矢が刺さる。
ロイという男性が放った矢。
それが刺さったのだ!
驚くサラを置いて、ナイルズはどこかに消える。
追いかけるロイ。
サラは戸惑いながらも2人を追う。
すると、洞窟に2人はいた。
サラはナイルズに声を掛けるも、ナイルズは来るなという。
そんな言葉も聞く耳を持たず、サラは洞窟にいるナイルズの元へと向かうと…
2度目の11月9日
翌朝、と思ったその日は昨日。
11月9日。
ナイルズはいつも通り、プールでビールを飲みながら優雅な時を過ごす。
すると、すごい剣幕でサラが現れたのだ。
そう、ナイルズはタイムループの中に居る男で、何度も何度も11月9日を繰り返していた。
サラは、事態の把握をすると、このタイムループから抜け出すために試行錯誤を始める。
しかし、結果として抜け出せないことを知ると…
もう、諦めてこのタイムループをナイルズと共に楽しむ様になる。
サラの過去
サラには、絶対に隠さなくてはならない秘密があったのです。
それは、サラは、妹の結婚相手と寝ていたのです。
結婚式の前夜に…
サラは、いわゆる尻軽女で落ち着きのない性格でした。
しかしそんな自分にも、いい加減嫌気がさしていたサラ。
そしてそんな自分を変えるきっかけとなったのが、ナイルズの嘘でした。
それまで、ナイルズはさらに対して一度もしていないと言っていました。
そんな誠実なナイルズが好きだったし、特別な関係である2人である絆でもあったのです。
しかし、それは嘘で、ナイルズは何も知らないサラと何度も過去にしていたと、暴露してしまいます。
その結果、サラはナイルズのことを信じることが出来なくなってしまい、いい加減この生活から抜け出す方法を見つけることになるのです。
結末
ナイルズの嘘をきっかけに、サラはナイルズの元から消えてしまいます。
ナイルズはそれまでの自分を改め、自分に本当に必要なのはサラだったことに気がつきます。
ナイルズはサラを探します。
起きてすぐにサラの部屋に行くも、彼女はいませんでした。
もういい加減諦めて、新郎の部屋で飲んでいた時…
ナイルズは、気がついてしまいます。
新郎の部屋の枕から香る匂い。
これがサラのものである事に…
そう、サラが11月9日の朝を迎えていたのは自分の部屋ではなく、妹の結婚相手の部屋だったのです。
そして諦めかけたナイルズでしたが、サラを取り戻すために奮闘します。
すると、サラが目の前に現れます。
サラは、このループから抜け出す方法を見つけたのだと。
ナイルズはこのループ生活を気に入っていましたが、サラと一緒にいる為に、共に行くことを決め、2人はこのタイムループから抜け出す事に成功するのでした。
まとめ
以上、映画『パーム・スプリングス』の内容を紐解いてきました。
この映画は、タイムループという設定に拘らず、ラブコメやアイデンティティを見つめ直すきっかけを描いている作品です。
これがアメリカなどでは絶賛されています。
もちろん、タイムループの面白さを残しつつも、その設定に囚われすぎていないことが大きな評価につながっているのです。
単純なラブコメにタイムループが乗っかっている、と言っていい物語です。
そして、その物語により、深みを増しているのがJ・K・シモンズの存在。
本記事では、そのロイに関してはあまり言及していませんので、是非そんなロイの視点でも観ていただければと思います。
ロイの人生の深みは、とても味わい深い部分でもありました。
映画『パーム・スプリングス』は、とてもリズミカルに進むので、非常に観やすく楽しい作品です。
現時点(2021年4月16日時点)では、まだ劇場公開されているので、ぜひスクリーンで鑑賞してみてください!