FOXニュースのベテラン女性キャスターがFOX創立者でCEOのロジャー・エイルズを提訴した事件を描いた映画『スキャンダル』が、2020年2月21日に日本でも封切られる。シャーリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーと豪華のキャスト陣がすでに話題ですが、第92回アカデミー賞でも3部門にノミネート。今回はあらすじと見どころ、そしてひと足先に作品を観た人の感想を紹介します。
【あらすじ】実際の性的スキャンダルを描いた映画『スキャンダル』
出典:ギャガ公式チャンネル
基本情報
- 監督 ジェイ・ローチ
- キャスト シャーリーズ・セロン,ニコール・キッドマン,マーゴット・ロビー
- 公開 2019年
2016年『FOXニュース』の人気キャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が解雇を言い渡され、同局CEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)を提訴。看板番組の売れっ子キャスター、メーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は自身のこれまでのキャリアを顧みて心中穏やかではなかった。いっぽう愴然とする社内でひとり、メインキャスターの座を狙う若手のケイラはしたたかにロジャーに出世を直談判するチャンスを得る。
【見どころ】センシティブな問題をエンターテイメントに昇華し評価を高める
事件の翌年、2017年にロジャー・エイルズが死去すると、映画製作会社『アンナプルナ・ピクチャーズ』がロジャーのセクシャル・ハラスメントに対する告発を題材とした映画化を発表。脚本にチャールズ・ランドルフ、監督にはジェイ・ローチが就任し本格的に始動しました。スキャンダルからたった3年で実名が晒されかつセンシティブな問題を映画にしてしまうというのは、日本ではまずあり得ないことですよね。普通なら暗く重く描かれそうな事件でさえ、見事にエンターテイメントに昇華してしまう力は流石というほかありません。危機に屈しないグレッチェン、自身への飛び火を案じるメーガン、そしてこの機に乗じてメインキャスターの座を狙うケイラ。それぞれあいだで錯綜する思惑はもちろんですが、実在の人物であるグレッチェンとロジャー、そしてメーガンの再現度も大きな見どころ。シャーリーズ・セロンのオファーで今作の特殊メイクに参加したカズ・ヒロは、今作で第92回アカデミー賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート。2017年『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』でアカデミー賞・メイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞して依頼、二度目のオスカーへの期待もふくらんでいます。ちなみに本物のグレッチェン・カールソンは2016年7月21日にフォックスと秘密保持条項を盛り込んだ和解が成立。事件のことに対して話すことは禁じられています。
【評価】ひと足先に作品を観た人は映画『スキャンダル』をどう捉えた?(ネタバレ含みます)
FILM OF THE DAY: Sharp, slick look at Fox News sexual harassment scandals with generally strong performances (though some odd casting). Film could have broadened #MeToo scope, but basically succeeds within its limitations #BombshellMovie #FoxNews#film#CharlizeTheron#MargotRobbie pic.twitter.com/wa4XwoKuHH
— Frank Malfitano (@FrankMalfitano) January 13, 2020
BOMBSHELL rises on its stylish direction, uncompromising pace & confident performances. The screenplay is Diet-Sprite, but competent enough to do its true-life story justice. It all adds up to quite the compelling watch. My biggest takeaway: Kidman stole the show! #BombshellMovie pic.twitter.com/vASrJSJpBo
— Chris Tupaea (@christupaea) January 13, 2020
テーマが性的告発を下敷きにしているだけに、もっとドロドロとした展開なのかと想像していましたが、観た人の感想は意外にも「スタイリッシュ」「かっこいい」「完璧なパフォーマンス」という声が多くあり、マーゴット・ロビーの演技に対して高い支持が集まっています。事件の深刻さを伝えつつも、爽快なエンターテイメントに仕上がっているようです。
【予想】本命なき第92回アカデミー賞!シャーリーズたちの受賞はあるか?
アメリカの女性は芯が強いという言葉で片付けてしまうとそれまでかもしれませんが、相手が大きな力を持っていようと自分なりの正義を主張する姿はやはり美しく、またそういう人にはまわりも協力を惜しまないものです。映画自体の封切りも待ち遠しいですが、アカデミー賞にノミネートされている主演女優賞(シャーリーズ・セロン)と助演女優賞(マーゴット・ロビー)がオスカーを手にできるか、こちらも気になりますね。