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映画【ザ・ライフルマン】の見どころまとめ!政治家目指す高校生主演、16歳少年兵が見たラトビア独立の死闘

ザライフルマンポスター

出典:IMBD

ラトビアで制作された映画『ザ・ライフルマン』は、本国での歴代興行記録を塗り替え、2019年には「ラトビアで歴史上一番観られた映画」という地位を獲得しました。

第一次世界大戦下、ドイツとロシアの強大な力に翻弄されたラトビア(当時は国として認められていませんでした)。祖国の独立のために激戦の最前線で命をかけた兵士達の物語は多くの同胞の心を打ちました。日本でいう、映画『硫黄島からの手紙』みたいな感覚ですね。

本記事では、映画『ザ・ライフルマン』の見どころを軽いネタバレ付きで解説していきます!

本作はシネマート主催の映画祭“のむコレ2020”にて上映が決定、さらに年明けには日本でBlu-rayが発売されるということで、近いうちにしれっと配信サービスに登場する可能性が高い……!と思われます。その際「なんだ、戦争ものか〜」とうっかりスルーしてしまわぬよう、ここで概要をバッチリ抑えていただけたら幸いなのです!

映画【ザ・ライフルマン】の予告動画がこちら!

ジャンル 戦争アクション
日本公開日 2020年11月8日
監督 ジンタルス・ドレイベルグス
主演 オトー・ブランテヴィッツ

映画『ザ・ライフルマン』は、狙撃隊に配属された16歳の少年兵の目線から第一次世界大戦の戦禍を描いた作品。史実小説の実写映画化です。

筆者はね、この作品が「ほう、ドイツとロシアの間にちょこちょこある国のひとつが、戦争映画を作ったんだね」と、サラーっと日本上空を流れてかないで欲しいなと思うのです。

ラトビア独特の地理的条件と不遇の歴史について、事前に少し知っておくだけでも今作の没入レベルは格段に上がるはずなのです……!

“ラトビア”ってどこ?支配の歴史とラトビア人の猛烈な根性

「ちょっと待ってくれ、まずラトビアってどこ?」。ラトビアは1991年のソ連崩壊によってやっと現在の形に独立した新興国。ドイツとロシアの間に挟まれた、いわゆるバルト三国の中のひとつです。挟まれちゃっていますよね。

こう、地理的にどうしようもない感じがしますが、2つの大国に挟まれる形で、紀元前からずーっと侵略と征服を繰り返されていたのが今のラトビア人、ラトビアの民族なのです。

第一次世界大戦では大国同士の激戦に巻き込まれる

第一次世界大戦でラトビアの民は旧ソ連の支配下でドイツ軍と戦います。さらにソ連からの独立のため、最終的に2つの大国を相手に死闘を繰り広げることになるのです。

しかも、ちょうど2つの大国の間に挟まれているラトビアの土地は「東部戦線」と呼ばれる、東ヨーロッパで最も激しい戦場になりました。

本当、地理的にどうしようもないのですよ。

国を持たずに母国語を守ったラトビア人

ラトビア、ラトビアと言いますが、本作『ザ・ライフルマン』の時代にはラトビアはまだ正式な国ではありませんでした。あくまで大国の支配地域のひとつであり、彼らは“自称ラトビア人”と名乗っていたのです。

不幸にも正式な国を持てなかったラトビア人。しかし、現存するヨーロッパ語の中でもかなり古代的な発音の“ラトビア語”を現代まで守り抜いた、不思議な民族なのです。ラトビア語は本作『ザ・ライフルマン』でも使われていますが、きわめて原始的で独特のリズムを持った言語。インドの古代語・サンスクリット語にちょっと似ているんだそうです。

一回も国を作ったことがないのに「ラトビア人」と名乗り、古代から伝わるラトビア語を現代まで保存したわけです。しかも、こんな陸続きの大国に都度侵略され続けながら、ですから壮絶ですよ。

支配されても心は売らないラトビア・スピリッツ

おおっぴらに国を持てず、大国にずっと支配されてきたラトビア人。

1200年頃にドイツ辺りから、騎士団を連れてガチガチに武力で固めたキリスト教司祭がラトビア人を“強制改宗”させるためにやってきたことがありました。この時、土着の宗教さえ奪われたラトビア人ですが、古代から続く「ラトビア神道」と呼ばれるその価値観はひっそりと残され、大戦時下でも彼らの心の支えになりました。そして現代にまで受け継がれたのです。

ボコボコに殴られている最中も決して目はつぶらないというか、持っているカードのみで全力を尽くす精神。虐げられた少数民族の打たれ強さ、瞳に揺らぐ青い炎……!本作『ザ・ライフルマン』でも強烈に描かれています。

こういうの、私たち日本人は大好きですよね……。

映画【ザ・ライフルマン】の見どころを押さえる!

雪に埋もれる兵士

出典:IMBD

本作『ザ・ライフルマン』の原作小説『Blizzard of Souls』 の作者アレクサンドルス・グリーンスは、実際の戦争経験者。第二次大戦後のソ連占領時代にはラトビアで禁書とされ、本作の原作者は処刑されているのです……。

これまで世界に知られていなかった歴史を映画化した本作。戦争の答え合わせとも言える激闘の記録なのです。

地獄の目撃者、16歳少年役は“素人俳優”!

予告動画を見て「素朴な子だな……」と思っていましたが、主演はまさかの素人高校生。本気で怯えて、本気で怒り、柔らかい頭で“16歳のライフル隊長”を体現しています。「カメラ側の目から一筋だけ涙流す」とか、そういう小ワザは繰り出しません。

戦闘シーンの撮影中に気絶してしまったこともあったそう。地べたに腹這いになった時大砲の衝撃で地揺れがし、あまりの恐怖に目眩がしたとも語っています。俳優志望というよりも、母国であるラトビアの独立戦争を追体験するつもりで本作の主演に臨んだというオトーくん。将来は政治家になりたいという夢があるのだとか……!

主演のオトーくんから日本の観客に向けたメッセージが公開されましたが、ここで既に本作を観る前に必要な心構えを全部語ってくれています。

もうちょいアングルなんとかならんかったのでしょうか。可愛いですね。本作を「周りの列強から自由を勝ち取る物語」と語るオトーくん。日本のみんなにも感じるところがあるのでは、と言ってくれています。

映画【ザ・ライフルマン】の見どころまとめ

  • 16歳の少年兵が指揮する「ライフル狙撃部隊」の運命は?
  • ラトビアの支配と征服の歴史を知るともっと深く楽しめる!
  • 原作者はソ連占領時代に処刑。封じられた歴史の映画化
  • 主演は演技初挑戦の高校生!柔軟に役に入り込む姿に注目!
  • ラトビア人の根性がどこから来るのか本編から感じ取りたい(筆者の気持ち)

映画【ザ・ライフルマン】の切ない結末

戦禍のラトビア兵

出典:IMBD

映画『ザ・ライフルマン』自体は紛れもなくラトビアの独立のきっかけ、大きな躍進の物語です。実際、第一次大戦のあとラトビアは歴史上初めて国家として独立します。

ただ、その20年後に第二次世界大戦が起きてしまうんですよね。するとラトビアは再び解体され、ヒトラーとスターリンによって勝手に「ロシア領」にされてしまいます。その後、本作の激戦を上回るほどの悲惨な歴史を経て、ラトビアがやっと国家として独立したのは1991年のことでした。

ソ連占領下、一体どんな気持ちで原作者アレクサンドルス・グリーンスは本作を発表したのか。本作の製作陣はどんな気持ちで100年前の戦記を映画化したのか。そして、この作品を多くのラトビア人はどんな気持ちで鑑賞したのか。本作を観れば私たちにもわかるでしょうか。

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