2018年1月20日に公開した映画『嘘を愛する女』。
主演は長澤まさみで、共演は高橋一生、吉田鋼太郎。
監督を務めた中江和仁が、1991年の朝日新聞に掲載されていたコラムを見て着想を得た作品。
愛した人が身元不明、果たしてそんな事実が起こり得るのか…
実在する出来事を紹介します。
映画『嘘を愛する女』は、実在する?
映画『嘘を愛する女』は、長澤まさみ主演で2018年に公開したラブサスペンス。
監督の中江和仁が、1991年の朝日新聞のコラムを読んだことで着想を得た物語となる。
主人公は、バリバリのキャリアウーマンの川原由加利役を長澤まさみ。
5年間同棲する彼氏、小出桔平を高橋一生。
病に倒れ、身元不明だった彼氏、桔平の身辺調査を由加利から依頼される探偵の海原を吉田鋼太郎が演じます。
特に、長澤まさみと吉田鋼太郎の絶妙なリズム感、独特の雰囲気はとても見ていて軽快な場面があり、秀逸な作品です。
主要人物以外にも、海原の事務所の事務員にDAIGO、桔平の謎のストーカーに川栄李奈、旅先の居酒屋の女将に黒木瞳、海原の別れた妻は奥貫薫、そして、旅先で出会った男性に津嘉山正種など、錚々たる面々が脇を固めます。
物語は5年共に生活をした同棲する彼氏が、突如くも膜下出血で倒れてしまいます。
すると何故か、警察から聞かされた事実、彼の身元が全て嘘であること。
そこから、彼氏の桔平の身辺調査を始める。
愛した男性の身元を探るというミステリーから、本当の愛とは何かを問うラブストーリーもある、ハラハラドキドキの見応えたっぷりの1作。
映画『嘘を愛する女』の作品情報
監督 | 中江和仁 |
原案 | 1991年朝日新聞掲載「夫はだれだった」 |
脚本 | 中江和仁 近藤希実 |
出演 | 長澤まさみ 高橋一生 吉田鋼太郎 DAIGO 川栄李奈 黒木瞳 奥貫薫 津嘉山正種 |
主題歌 | 松たか子「つなぐもの」 |
公開 | 2018年1月20日 |
時間 | 117分 |
映画『嘘を愛する女』のあらすじ
川原由加利、彼女はキャリアウーマンで、同棲5年になる彼氏の小出桔平と暮らしている。
ある日、桔平とそろそろ結婚の約束をしようかと、親に合わせようと話を持ちかける由加利。
半ば喧嘩っぽくなってしまい、桔平は家を出て行ってしまう。
母親と合わせる日、桔平はその場に現れなかった。
家に帰っても桔平は居ない…
仕方なく、由加利はその日、1人で就寝すると…
夜中に、家のインターホンが鳴る。
桔平ではなく、2人の男性。
刑事だという…
その2人の一方で急いで病院に同行すると…
彼氏の桔平が病院で寝ていた。
小出桔平、彼の身分証となる免許証を掲示から渡されると、これは偽造だと言われた。
小出桔平は偽名で、彼の本当の身元は不明なのだと。
医師からも話を聞き、くも膜下出血だと言い、意識不明の状態。
動揺した由加利は、自宅に戻り冷静になる。
そこで、桔平の持ち物を探る…
しかし彼の過去に関するもの、身元が分かる物は一切出てこなかった。
今この時代に、携帯電話すら持っていない桔平。
彼は何者なのか…
由加利は探偵に身辺調査を依頼するのだった…
『嘘を愛する女』が着想を得た実際の出来事とは?
この映画、5年共にいた恋人が身元不明という突拍子もないストーリー、実は実在した出来事なのです。
監督を務めた中江和仁が1991年の朝日新聞に掲載されたコラムを読んだことで、この物語の着想を得たとのこと。
しかし映画では、同棲したカップル、昏睡状態の彼氏。
そんなストーリーで話が展開する映画です。
しかし実際の出来事ではもっと、重たく、辛い展開を見せています。
そんな掲載当時のコラムを基に、要所をまとめます。
この経緯は、コラムの内容を記載しますが、映画の内容にも通じるネタバレに繋がりますので、ご了承ください。
1991年朝日新聞掲載「夫はだれだった」要所まとめ
この1991年の朝日新聞のコラムは、辻仁成さんのエッセイでした。
中江和仁監督は、高校生の時に読んだらしく、その時はいち読者としての至って普通の感想を抱いたのだとか。
そのコラムでは、衝撃的なタイトルがつけられ、「私の夫はだれだった?」という摩訶不思議な展開からスタートします。
5年間連れ添った夫が、50歳で病死。
奥さんは区役所に死亡届を出そうとした所…
持っていた戸籍抄本のコピーが偽物だったことが判明。
夫の戸籍も、そこには無かったのです。
しかしこの事実は、死んだ後ではなく生前にも疑わしい出来事があったのです。
夫は、病状が進む中で、頑なに病院にいかなかったのだそう。
当然ながら、身分を偽っていた為、健康保険を持っておらず、医者にかかることができなかったのだとか。
その際、奥さんは不審に思い、夫の勤務先に問い合わせを行ったところ、夫の存在がそこにはないことが判明します。
さらには、身分証明が偽物だということもわかり夫に問い詰めたことがあったというのです。
すると、夫は最期に「死ぬしかなかった。本当は生きていたかったんだ」と、言い残し息を引き取ったとのこと。
夫の死後、警察に相談するなどして、夫の身元を調べようとしたらしいのですが、結果として全く持って夫が誰なのか、その正体が明かされぬまま。
正体不明のまま、謎だけを残して亡くなったのです。
果たしてこの奥さんは、結婚生活の5年間誰と共に生活していたのか…
あまりにも非常で、切ないコラムとなっていました。
映画ではしっかりと答えを出していた
この物語、映画ではちゃんと答えを出していました。
愛した人が誰であって、身辺に嘘があったとしても…
1番大切なのは、愛した人との時間。
一緒に過ごした時間が大切だとし、物語は綺麗に幕を閉じていました。
もちろん、夫が身分を隠していた理由も、映画の創作で、実在した出来事を基にしていながらも、基本はフィクションとなる本作。
物語として綺麗に収まってはいましたが…
もし、本当に同じ境遇に陥った場合、愛する人を赦し、再び愛することができるのか…
築いた信頼が嘘によって崩れるのか…
それは当然想像の域を出ませんが、どういう決断をするのでしょうか?
そんな愛の尊さを改めて感じさせてくれる、そんな映画でした。