アメリカを代表する名優といえば何人もいますが、「今なお現役で存在感を放つ俳優は?」というと、数えるほどしかいません。
その数少ない名優の一人として挙げられるのが、ロバート・デ・ニーロです。
今年79歳という、普通だったらもう隠居してもおかしくない年なのに、輝きを放ち続けています。
今回は、そんなロバート・デ・ニーロのおすすめ映画33作を紹介します。
この記事でロバート・デ・ニーロの作品を観てみたくなったら、幸いです。
それでは、どうぞ!
- ロバート・デ・ニーロについて
- ロバート・デ・ニーロおすすめ33選
- 『御婚礼/ザ・ウェディング・パーティー』(1966年)
- 『ミーンストリート』(1973年)
- 『ゴッドファーザーPART II』(1974年)
- 『タクシードライバー』(1976年)
- 『デイア・ハンター』(1978年)
- 『レイジング・ブル』(1980年)
- 『キング・オブ・コメディ』(1983年)
- 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年)
- 『アンタッチャブル』(1987)
- 『ミッド・ナイト・ラン』(1988年)
- 『俺たちは天使じゃない』(1989年)
- 『グッドフェローズ』(1990年)
- 『レナードの朝』(1990年)
- 『アイリスへの手紙』(1990年)
- 『真実の瞬間』(1991年)
- 『バックドラフト』(1991年)
- 『ケープフィアー』(1991年)
- 『ボーイズライフ』(1993年)
- 『ブロンクス物語 愛につつまれた街』(1994年)
- 『スリーパーズ』(1996年)
- 『ザ・ファン』(1996年)
- 『ジャッキー・ブラウン』(1997年)
- 『コップランド』(1997年)
- 『みんな元気』(2009年)
- 『マチューテ』(2010年)
- 『アメリカンハッスル』(2013年)
- 『ジョイ』(2015年)
- 『マイ・インターン』(2015年)
- 『ハンズ・オブ・ストーン』(2016年)
- 『ダーティ・グランパ』(2016年)
- 『ジョーカー』(2019年)
- 『アイリッシュマン』(2019年)
- 『カムバック・トゥ・ハリウッド』(2020年)
- まとめ
ロバート・デ・ニーロについて
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(出典:映画『マイ・インターン』公式サイトより)
ロバート・デ・ニーロは、1943年8月17日にニューヨークで生まれました。
幼いころに両親が離婚したため、母親に育てられることに。
少年時代から俳優にあこがれ、独自の演劇メソッドを持つステラ・アドラーにより演技指導をうけたあと、名門俳優養成所アクターズ・スタジオに通います。
そこで、さらなる演技指導を受け、スクリーン・デビュー。
のちに『アンタッチャブル』で監督を務める、駆け出しのブライアン・デ・パルマ監督の初期作品で起用されています。
着々と演技の実力を磨いていったデ・ニーロは、フランシス・フォード・コッポラ、マイケル・チミノ、マーティン・スコセッシの映画に起用されることで、本格的な役者人生をスタート。
役を演じるにあたり徹底的にリサーチを行い、役になりきる方法は、デ・ニーロ・アプローチと呼ばれ、現在も世界中の役者たちに影響を与え続けています。
ロバート・デ・ニーロおすすめ33選
ここからは、ロバート・デ・ニーロの出演したおすすめ映画33本を紹介します!
『御婚礼/ザ・ウェディング・パーティー』(1966年)
ブライアン・デ・パルマ監督初期のコメディ映画。
全編モノクロ画面で展開する、トーキー映画のコマ回しのようなテンポの速い映像が印象的です。
この映画でデ・ニーロは、銀幕デビュー。
結婚式を控える主人公の同級生役を演じています。
独身最後の生活を謳歌させようと、けしかける悪い友人。
少し、軽っぽいデ・ニーロの若々しい演技が印象的でした。
この時のデ・ニーロ、なんと20歳!そして、出演料が立ったの50ドル(日本円で5683円)だったとのことです。
まだまだ駆け出しのデ・ニーロを見たい、コアなファンにおすすめです!
『ミーンストリート』(1973年)
マーティン・スコッセッシ監督が描いた、ニューヨーク・リトルイタリーを舞台にしたギャングたちの物語です。
デ・ニーロは、若者の一人ジョニー・ボーイを演じています。
ハットをかぶり、ファッショナブルな出で立ち。
通りにあるポストに突然、爆弾を仕掛けたりする何をしでかすかわからない男です。
(アパートの屋上に上り拳銃をぶっ放したあと、「奥さん手元が狂った」と薄ら笑いを浮かべながら言うシーン、お金をライターで燃やしながら、ピストルを向けるシーンが印象的でした。)
この作品では、これからサイコな役を演じるデ・ニーロの一端が垣間見える気がしました。
ギャングに拳銃で撃たれて血まみれになるシーンは、次作『タクシードライバー』の殺戮シーンをも予感させます。
マーティン・スコセッシ監督の過ごしたリトル・イタリーの経験を元に作られた、70年代のアメリカ音楽がイカす作品。
デ・ニーロは、この役を認められ、ゴットファーザー PARTⅡの出演が決まったといいます。
主役のハーヴェイ・カイテルの安定感はすでにこの作品で見られますが、注目されたのはデ・ニーロの方で、ハーヴェイ・カイテルの方はというと長らく不遇の時代を過ごすことになるのです。
ミーンストリート
映画が若い!(語彙) カイテルさんのオープニングとデニロさん登場シーンがカッコいい!ジョニーボーイ、怖いわ、何するかわからな過ぎ、まるで爆弾w チャーリーにとってジョニーボーイは贖罪でジョニーボーイにそれバレてるけど、本当に贖罪なのかな pic.twitter.com/ltjDHoSFtd— benco040 (@Tierney040) December 18, 2019
『ゴッドファーザーPART II』(1974年)
ロバート・デ・ニーロが、第47回アカデミー賞助演男優賞を獲得したフランシス・フォード・コッポラ監督の映画です。
この映画でデ・ニーロは、『ゴットファーザー』(1972年)で、マーロン・ブランドが演じたビト・コルレオーネの若かりし頃を演じています。(若くてイケメン、そして渋いデ・ニーロが眩しいです!)
マーロン・ブランドの演技に寄せ、低い声で話すデ・ニーロ。
この演技をするためにデ・ニーロは、ブランドのしゃべり方を研究。そして、シチリア島に実際に住んでみて、シチリアなまりを習得したという徹底ぶり。
(本当にマーロン・ブランドが、若返って演じているように見えてしまうから不思議です。)
みかじめ料を要求するマフィアを暗殺するシーンは、あまりにも有名なシーンの1つ。
腕にタオルを巻いて、ピストルを忍ばせて引き金を引く。
タオルに引火する拳銃の火の粉。祭りの喧噪の影にある血の臭い。
緊張感のあるシーンです。
父の敵ドン・チッチの暗殺シーンも息を飲むものがありました。
そして、ドン・コルレオーネの誕生。
赤ん坊のマイケル・コルレオーネを抱いて言います。
「愛してるよ。」
マイケルの現在とビトの過去の話が交錯していきます。
一時代を築いたビトとそのあとを次ぐマイケルの苦悩は、物語を重々しくしていました。
デ・ニーロがこの役に抜粋されたのは、演技のアプローチ法が極めてマーロン・ブランドに近いというところもあったようです。
というのも、デ・ニーロがマーロン・ブランドと同じ先生(ステラ・アドラー)により、演技指導を受けていたから。
今年は公開50周年。
その記念として、2022年2月25日から3部作が、特別上映されることが決まりました。
『タクシードライバー』(1976年)
盟友マーティン・スコセッシと共同で作り上げたロバート・デ・ニーロといえば、これ!と即答できる傑作中の傑作です。
煙に包まれたタクシーとトム・スコットのサックスの調べから始まるオープニングが印象的でした。
ベトナム帰還兵で不眠症になってしまった青年トラビスの孤独、生きる意味を見いだすために起こす暴力が強烈に突き刺さります。
(デ・ニーロの衝撃のモヒカン姿は、頭から離れませんよ!)
トラビスが一人で住む、ボロアパートで書く詩が、どこか心に残ります。
「雨は人間のクズどもを歩道から洗い流してくれる」、「人並みに生きるべきだ」、「時は規則正しく過ぎていく。漠然とした毎日が長い鎖のように続く」
まだ10代のジョディ・フォスターや客引きの男を演じる若いハーヴェイ・カイテルも印象的でした。
そして、トラビスが乗せる客の男。
実はこの男を演じていたのは、マーティン・スコセッシ監督なんですが、かなり異様な雰囲気で強烈でした。
『デイア・ハンター』(1978年)
マイケル・チミノ監督が描いた、ベトナム戦争をテーマにした作品です。
製鉄所で働き、週末は鹿狩りを楽しむ田舎の青年達。
徴兵されたベトナムでの壮絶な体験が、彼らの心を狂わせていく。。
この作品でデ・ニーロは、ベトナム戦争に徴兵される青年マイケル役を演じています。
最初の結婚式のパーティーシーン。
彼はこれから起きる戦争の過酷さを振り払うように、周りの若者達同様バカ騒ぎして気を紛らわせています。(マイケルがふとつぶやく、「ベトナムから戻ってこれるかな?」というセリフが、心の揺れを表わしていました。)
神聖ともいえる鹿狩りのシーンから一転して、ベトナム戦争の壮絶シーンへ。
ベトナム兵に捕らえられ、ロシアン・ルーレットを強要されるマイケル、ニック、スティーブンの3人。
恐怖で発狂しそうになるジョン・サヴェージ演じるスティーブンに対して、デ・ニーロ演じるマイケルが涙を浮かべながら、ロシアンルーレットをするよう声を張り上げるシーンは、迫真の演技でした。
「弾を3つくれ!3つくれ」と言いながら、笑いと怒りをないまぜにした表情でクリストファー・ウォーケン演じるニックとロシアンルーレットをするシーンの緊迫感も忘れられません。
この作品の撮影後に亡くなってしまった、故ジョン・カザールの陰影のある演技、
大切な人を失った複雑な心境を見事に演じた、デビューしたてのメリルストリープの存在感も光っていました。
『レイジング・ブル』(1980年)
マーティン・スコッセッシ監督が実在のミドル級ボクサー、ジェイク・ラモッタの半生を描いた、全編モノクロの映像が新鮮な作品です。
デ・ニーロは、ブロンクスの実在のボクサー、ジェイク・ラモッタを演じ、第53回アカデミー賞主演男優賞を獲得しています。
まず、いきなりでっぷりと太ったデ・ニーロが登場するシーンから衝撃的でした。
晩年のジェイク・ラモッタを演じるために、27キロ増量したのはあまりにも有名な話。
体重増量以外にも、本格的なボクシングシーンの体のキレも素晴らしいです。
(妻が対戦相手を褒めたことで、顔がわからなくなるほど叩きのめすシーンは凄まじいものが。)
デ・ニーロ演じるジェイク・ラモッタが、妻ビッキーの行動にイチイチ浮気を疑う様子も異常なものがありました。
弟のジョーイが妻と浮気をしていると疑い、問い詰めるシーン。
ジョーイに「殺してやる!」と叫びながら、殴り倒すシーンは、かなりの緊迫感でした。
引退後にコメディアンになるジェイク・ラモッタ。
ある事件がきっかけで、刑務所に入れられてしまいます。
その際に牢獄の中で、腕と頭を何度も壁に打ち付けて、「なぜ?なぜ?なぜ?」と泣き崩れるシーンは迫真の演技でした。
本作で共演したジョー・ペシは、弟のジョーイ役を演じて注目されるように。
気性の荒い兄をなだめる姿が、印象的でした。
『キング・オブ・コメディ』(1983年)
マーティン・スコセッシ監督と5度目のタッグを組んだ作品です。
デ・ニーロは、人気コメディアンであるジェリー・ラングフォード(ジェリー・ルイス)に心酔する熱狂的なファン、ルパート・パプキンを演じています。
コメディアンの才能があると思い込んでいる、34歳の変質的な男。
自分の才能を認めてもらいたくて、ジェリーの会社に何度もアポを取りに来たり、彼の別荘に勝手に上がり込んだりと、執拗に追いかけます。
しまいには彼を誘拐して、人気コメディ番組に単独で出演。
結果、8700万人の視聴者を獲得し、人気コメディアンになってしまうという皮肉。
「どん底で終わるより一夜の王になりたい」のセリフが印象に残ります。
悲劇なのか、喜劇なのか?
複雑な気持ちになる映画でした。
個人的には、妄想の中でジェリー・ルイス演じるジェリーに首を絞められるシーンで、デ・ニーロが、首をかなり揺さぶられているのが気になりました。
(首は大丈夫なのか?と心配してしまうほど。)
撮影現場では、どんな雰囲気で演じていたのでしょう?
ホアキン・フェニックス主演の映画『ジョーカー』(2019年)は、この映画を参考に作られているといいます。
自分の部屋でジェリーのショーに出演している妄想を抱きながら、ネタを披露しているシーンは、映画『ジョーカー』にも同じようなシーンがありました。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984年)
マカロニ・ウエスタンの巨匠セルジオ・レオーネ監督の遺作となった、約4時間にも及ぶユダヤ系ギャングの少年期~老年期までを描いた作品です。
この作品でデ・ニーロが演じるのは、ユダヤ系ギャングの一員ヌードルスです。
青年期と老年期を見事に演じ分けていました。
世界は自分たちのものだといわんばかりの意気揚々とした青年期。
仲間と勢力を拡大していく中で、沸き起こる葛藤。
栄光から一転、年老いて過去を懐かしみつつ生きる、黄昏の時。
長編の上、老年期→少年期→青年期→老年期→青年期と時代がコロコロ変わるので、気を抜くとストーリーがわからなくなりますが、飽きることなく最後まで一気に魅せます。
老年期を演じた時のデ・ニーロの実際の年齢は、30代でした。
30代にして、「ここまで枯れた演技ができるのか」と思った記憶があります。
大麻を吸いながらイイ気分になっているデ・ニーロも、衝撃的でした。
『ヴィデオドローム』(1983年)のジェームズ・ウッズがギャング仲間のマックスを。
『レイジング・ブル』のジョー・ペシも出演。
少女時代のジェニファー・コネリーも見られますよ!
エンニオ・モリコーネの音楽も素晴らしかったです。
特に、ヌードルスが長年想い続けていた女性デボラと別れるときに流れる音楽が、切なすぎます。
『アンタッチャブル』(1987)
ブライアン・デ・パルマ監督の代表作の1つです。
この映画でデ・ニーロは、実在のマフィアのボス、アル・カポネを貫禄たっぷりに演じています。
物語は、理髪店でヒゲを剃っているアル・カポネの登場シーンから始まります。
(髪の毛を抜き、顔を太らせたその姿は、デ・ニーロ・アプローチによるもの。)
不敵な笑みと、何をするかわからない緊張感。
自分たちの地位を脅かそうとする者たちは、どんな手段を使っても黙らせようとする冷徹なアル・カポネの凄みのある演技が、際立っていました。
個人的に気になったシーンは、裏切り者をバッドで撲殺するシーンです。
笑いながら、突然振り下ろされるバットの乾いた音。
このシーンに、息が詰まるほどの迫力を感じました。
(上から死体を見下ろすショットは、映画『タクシードライバー』のワンシーンのよう)
対する連邦調査官ネス役のケヴィン・コスナーの格好良さも際立っていました。
脇を固めるショーンコネリーの渋み(壮絶な死の際の迫真の演技)、クールなアンディ・ガルシアもよかったです。
ロシア映画の古典『戦艦ポチョムキン』(1925年)から影響を受けた階段落ちシーンのアクションも要チェックですよ!
映画『アンタッチャブル』といえば駅での銃撃戦のシーン
階段を落ちていくベビーカーは『戦艦ポチョムキン』のオマージュで、オデッサの階段シーンで使われたカットバックの手法は後の作品の定番に
いやぁ、映画ってほん…文字数、おはようございます#ベビーカーにやさしいまちづくりの日 #11月12日 pic.twitter.com/GxtJ9halQX— なんとか荘14号室 (@masked_R_ver14) November 11, 2020
『ミッド・ナイト・ラン』(1988年)
『セント・オブ・ウーマン 夢の香り』のマーティン・ブレストが監督した、賞金稼ぎと心優しい犯罪者のバディ・ムービーです。
この作品でデ・ニーロは、警察官を退職して賞金稼ぎを生業としているジャックを演じています。
賞金のために犯人を依頼主の元へ連れて行こうとするものの、一緒に逃走するうちに、情が移っていく様子は、人間的でした。
チャールズ・グローデンとデ・ニーロのユーモラスなやりとりも、この作品を楽しいモノにしています。
チャールズ・グローデン演じる会計士マデューカスが、ジャックに言うセリフ
「来世で会おう!」
のセリフは、昨年2021年に86歳でなくなったチャールズ・グローデンの伝言のように聞こえ、センチメンタルな気分になってしまいます。
昨年、『最終絶叫計画』(2000年)で知られる、レジーナ・ホール主演で、続編が決まったとの報道がありました。
ロバート・デ・ニーロの出演の予定はないようですが、プロデューサーとして参加するとのことです。
『俺たちは天使じゃない』(1989年)
1955年の同名作品を『プルートで朝食を』のニール・ジョーダンが監督した、アクションコメディです。この作品でデ・ニーロは、ショーン・ペン演じるジムとコンビを組む服役囚ネッドをコミカルに演じています。
死刑囚の男に巻き込まれて、脱獄することになる2人。
たまたま立ち寄った村で、神父に変装したところ、名のある有名神父と勘違いされてしまい。。
というストーリーです。
2人の神父が見るからにいかがわしいのに、村人達が本当の神父と思っている様子がおかしいです。
聖歌を歌ときに、適当に声を出して歌ったり、食事の時に祈りの儀式も行わずにご飯をいきなり食べようとする様子に、「神父じゃないだろ!」と、思わず突っ込みを入れたくなってしまいます。
デ・ニーロが、コメディもできることを証明した作品。
(ショーン・ペンも、いい味を出していました。)
気の強い女性を演じる、若きデミ・ムーアも出演しています。
「俺たちは天使じゃない」を見てるんだけれどデミ・ムーアが美しすぎてため息が出る pic.twitter.com/ZUuPow4Qst
— いまさん:粒 I love Tully’s (@Imasandesu) July 29, 2019
『グッドフェローズ』(1990年)
マーティン・スコセッシ監督のギャング映画です。
実在のギャング、ヘンリー・ヒルの経験を元に作られています。
この作品でデ・ニーロは、伝説のギャング、ジミー・コンウェイ役を演じていました。
平静から突然爆発する、気性の荒さに驚愕です。
(相手を完膚なきまでにたたきのめす姿には、ゾッとします。)
そのような姿を見せたあとに言うセリフ。
「仲間を売るな。決して口を割るな」が、妙に恐ろしい響きとして残ります。
ジョー・ぺシもかなりのヤバさでした。
ジョークを飛ばしながら、よくしゃべる陽気な男。
しかし、自分をからかったり逆らう人間に平気で銃をぶっ放し、見境もなく殺してしまうところがあります。
(威圧などはなく瞬殺してしまうところが、本当に恐ろしいです。)
デ・ニーロの狂気とジョー・ペシの狂気。
この2人の演技が、本当に演技なのかと思うほどの恐ろしさでした。
劇中で、ピストルズの『マイ・ウエイ』やCREAMの「Sunshine Of Your Love」などの音楽が使われているのも印象的でした。
『レナードの朝』(1990年)
ペニー・マーシャル監督が撮った実話に基づく感動の名作です。
この作品でデ・ニーロは、惰眠性脳炎の患者という難役を演じています。
小さな頃に突然、体が固まる難病に襲われ、30年以上眠り続けていているレナード。
慢性神経病の患者が入院する専門病院に赴任したセイヤー医師(ロビン・ウイリアムス)は、彼と同じ症状の患者を治そうと奮闘します。
デ・二―ロ演じるレナードが、薬の副作用で痙攣が止まらなくなり、セイヤー医師に力なく「助けて!」というシーン、
「これは本当の僕じゃない」と涙を流しながら訴えるシーンは、やるせない気持ちになってしまいました。
「こんなところに閉じ込めていないで、患者に自由を与えてくれ!」というセリフも心に残ります。
病気の父を見舞いに訪れる女性ポーラに恋をするも、薬の影響で痙攣が止まらなくなった時に、「会うのはこれきりに・・」といったあとダンスを踊るシーン。
病院をあとにする彼女を窓越しに悲しそうに見る姿は、何度見ても涙が止まらなくなります。
#私の好きなデ・ニーロ
レナードの朝のダンスシーン。
何回見ても心震えます。
後にも先にもこれ以上泣けるダンスシーンはありません。 pic.twitter.com/UaY48JiXWJ— 絶望ビリー (@________billy) December 5, 2019
レナードを父親のように心から支える今は亡きロビン・ウイリアムスの優しさ、命に対して苦悩する演技も素晴らしかったです!
(なぜ、こんなに心を揺さぶるのかと!)
そして、元気だった時に一緒に撮ったビデオを見るセイヤー医師の悲しみを誘う演技も。
(所々に流れるピアノの旋律も泣かせます。)
同僚の看護師・コステロ役を演じるジュリー・カブナーやレナードと同じ症状の他の患者さん達の演技も素晴らしかったです。
人間にとって本当に大事なことは何か、を考えさせられる作品でした。
『アイリスへの手紙』(1990年)
ロバート・デ・ニーロが、名女優ジェーン・フォンダと共演した隠れた名作です。
この作品でデ・ニーロは、文盲のために引け目を感じて生きている中年男性、スタンリーを演じています。
工場のレストランでご飯を作る彼ですが、字が読めないことで、「調味料と薬を間違えて訴えられたら大変だ」とコックの職を解雇されることに。すぐに、日雇い労働者として働かざるを得なくなります。
字が読めないがために、社会的弱者になる悲しみ。
(戸惑いながら雨に打たれ、アイリスに「字を教えて!」というシーンが深く心に残ります。)
そして、図書館でアイリスと2人で自分の名前のスペルから覚えていきます。
「僕の望みは、人に笑われないこと」(このセリフ染みます。。)
ジェーン・フォンダ演じるアイリスが、家庭で抱える問題も深刻だったりします。
夫を亡くし、2人の子どもと妹夫婦たちと暮らす彼女。
工場勤務の低賃金で、家計は火の車です。
思春期の娘の扱いにも苦労しています。
鬱々とした毎日に現れたスタンリーに文字を教えることで、希望を見出す彼女。
スタンリーとの交流で、心に掛かったもやのようなものが、ほぐれていきます。
デ・ニーロの朴訥としたキャラクターに好感がもてる作品でした。
ジェーン・フォンダを乗せてデ・ニーロが自転車に乗るシーンも美しかったです!
ちなみに私は、この映画でアイリスが子どもに「トイレのあと、気を使って便座を下ろしてくれてありがとう」というセリフが心に残っています。
(そのセリフを聞いて、私も家で実行するようになりました。)
音楽はジョン・ウィリアムズです。
『真実の瞬間』(1991年)
ハリウッドの赤狩りの歴史をテーマにした作品です。
監督は、映画『アイリッシュマン』(2019年)の製作も担当した、アーウィン・ウィンクラー。
この作品でデ・ニーロは、映画監督デイヴィッド・メリル役を演じています。
政治集会に数回出席しただけで赤狩りの対象となり、仲間の映画関係者を売る話を持ちかけられるメリル。
物語は、彼がその社会的圧力に必死で抵抗する姿を描いています。
信念を貫いて、友人を売ることを拒否し続けている内に、職をどんどん失っていくデイヴィッド。
職がなくなり精神的に落ち込んでいく姿は、身につまされます。
(権力が上から目線で無理矢理嘘の証言をするよう強要し、従わない人間に酷い仕打ちをするような時代に恐ろしさを感じます。)
ラストの十数分に及ぶ、法廷での検事との対決は、見物でした。
とにかく、権力に折れないデ・ニーロ演じる、デイヴィッド・メリルの信念を貫く姿勢には心動かされます。この姿勢は、公然とドナルド・トランプ元大統領を批判した、デ・ニーロ本人とも重なるところがあるように感じました。
若き日のアネット・ベニングがデ・ニーロの妻役として、マーティン・スコセッシ監督がデイヴィッド・メリルの友人役として、登場します。
映画の中で、ハワード・ホークス監督やハンフリー・ボガートの名前が出てきたり、ルイ・アームストロングの音楽が流れるのも興味深いです。
『バックドラフト』(1991年)
消防士の兄弟の活躍と葛藤を描いた作品です。
この作品でデ・ニーロは、火炎調査官のリムゲールを演じています。
かつて起きた放火事件の消火活動で、背中に焼けただれた傷を背負う男です。
火災現場の現場検証作業を担当する彼。
(火事現場での現場検証の際、たばこをプカプカ吹かす姿は素人目にも、火事大丈夫か?と思ってしまったのは、私だけでしょうか?)
ある事件で、ウィリアム・ボールドウィン演じる弟・ブライアンの上司となり、自分の長年の勘を働かせ、放火犯人を突き止めようとします。
メインで出てくるわけではないのですが、姿を見せると映画全体が締まるような気がするのは、そのオーラがなす力でしょうか?
個人的には、ある事件で怪我を負い、「おい、やられたようだ」と言うセリフがクールで好きです。
ちなみにエンドクレジットには、3番目に名前が出てきました。
『ケープフィアー』(1991年)
マーティン・スコッセッシ監督が、『恐怖の岬』(1962年)をリメイクした作品です。
この作品でデ・ニーロは、自分を14年の獄中生活に追いやった弁護士に恨みを持ち、その一家をつけ回すケイディ役を演じています。
筋骨隆々の体の所々に掘られているタトゥーのビジュアルと、狂気の演技が衝撃的でした。
最後の最後まで恐怖を与え続ける演技は、観たあともしばらく頭から離れなくなりますよ。
ケープフィアーの
デニーロのタトゥーこれもヤバし♥ pic.twitter.com/dGICH3DawK
— タラ子 (@taracotino) July 27, 2021
『ボーイズライフ』(1993年)
1957年のアメリカを舞台とした、トバイアス・ウルフの自伝的小説を元に作られた作品です。
この作品でデ・ニーロは、レオナルド・ディカプリオ演じるトビー少年の母キャロライン(エレン・バーキン)の再婚相手、ドワイトを演じています。
カッコつけで、虚勢を張る暴力的な男。
問題ばかり起こすトビーをしつけと称して鍛えますが、だんだんとエスカレートする様子は、今問題になっている連れ子への虐待をリアルに見せられているようでゾッとします。。
(そう思わせてしまうところが凄いところですね!)
本当は気が小さくて弱いのに、それを隠すように威張り散らす男を好演していました。
一方、その新しい父親へ反抗する気持ちと、思春期の少年が抱えるやり場のない気持ちを見事に表現したディカプリオの演技も素晴らしかったです。
「デ・ニーロは、ディカプリオと演技していて楽しかったんじゃないだろうか?」
観ていて、2人の撮影現場の雰囲気までも感じ取ることができるような作品でした。
レオナルド・ディカプリオの才能が注目されることになる、貴重な1作です。(まだ18歳!)
あどけない顔のトビー・マグワイアが共演しているのにも注目ですよ!
『ブロンクス物語 愛につつまれた街』(1994年)
ロバート・デ・ニーロが初監督・製作・主演の3作を務めた作品です。
少年の成長を時に温かく、時に厳しく見守る秀作です。
この作品でデ・ニーロは、主人公カロジェロの実直な父親でバス運転手のロレンツォ役として出演。息子を思う父親を好演しています。
寡黙ながら、本当は優しいお父さん。
小さな時から、自分が運転するバスの運転席のすぐ後ろにカロジェロを座らせて、たわいもない話しをするのが日常です。
カロジェロが成長してからも、そのコミュニケーションは変わりません。
(私は、お父さんのロレンツォが、「バスに一周付き合え!」と言い、一言二言、会話を交わす所が、なんとも好きなシーンです!)
彼は、息子に何度も言います。
「才能の無駄遣いは悲しい。使い方を誤ると何も起こらない。正しく使えばなんでもできる」
ロレンツォは、マフィアのソニー(チャズ・パルミンテリ)に仕事を依頼されても「自分には、運転手の仕事があるので断る」と首を縦に振りません。
自分の息子に近づくソニーに、はっきりとモノを言う骨のある男です。
(どんな大金を積まれても、こういう格好のよい男になりたいものです!)
しかし、マフィアのソニーも、根っからの悪というわけではありません。
「金で解決しない問題もある」「これは俺の人生だ。お前は自分の人生がある。自分の人生を生きろ」と、カロジェロに言う言葉には妙な説得力が。
また、カロジェロが、ひとめぼれした女性とデートすると決まった時に、恋のアドバイスをするシーンがあるのですが、ソニーが「とにかくモノにしろ!」と言う感じなのに対して、父のロレンツォは、「下半身ではなく、頭で考えろ」と正反対なアドバイスをするのは、面白いところでした。)
父親と父親代りのようなマフィアのソニー。そして、別れ。
あるシーンで、デ・ニーロ演じるロレンツォが、「お前は俺の息子だ、幸せになってほしい。何回も言う。俺は、金も車もないが、家族を思ってる。」というセリフも胸に響きます。
デ・ニーロが自分の亡き父親への思いも込めた映画でした。
お子さんを持つお父さんたちには、子を想う父親の気持ちが、心に染みるのではないでしょうか?
名優ジョー・ぺシもいいところで出てきますよ!
『スリーパーズ』(1996年)
バリー・レビンソンが監督が、事実を元にした少年の復讐劇を描いた作品です。
(スリーパーズとは、少年院上がりの者のこと。)
デ・ニーロはこの作品で、主人公の不良少年達を見守るボビー神父役を演じました。
元チンピラという過去をもつ男です。
ボビー神父は、物語のなかで重要な役割を果たします。
少年たちに絵画教室に通えと言ったり、ミケランジェロの絵画について語ったりと、少しでも正しい道に導こうとします。
画面に出てくるだけで、引き締まります。
刑務所に入る少年の一人に「逃げちゃダメだ。お前なら耐えられる。」と、まっすぐな目で言うセリフ、刑務所で虐待されている少年に「君は心が死んだ人間になるな。次は街で会おう」というセリフは、打ちひしがれている少年の心を明るく灯します。
大人になった少年達の罪を弁護する証人も行います。
証言を宣誓する時のデ・ニーロの顔のアップ。
その表情だけの演技に、凄みを感じさせます。
名優ダスティン・ホフマンとの共演も見物です!
(落ちぶれた酔いどれ弁護士なのですが、次第に弁護士としての本能に目覚める姿を好演していました)
少年の一人を故ブラッド・レンフロ、成長した少年の一人を売り出し中のブラット・ピットが演じていました。
『ザ・ファン』(1996年)
トニー・スコット監督のサイコスリラーです。
この作品でデ・ニーロは、刃物会社の営業マンで熱狂的なジャイアンツファンの男、カーリーを演じています。
特に、ひいきにしている人気選手ボビー(ウエズリー・スナイプス)の熱狂的なファンです。
別れた息子と野球を見にいく子煩悩なところがあるように見えるものの、他の観客を口汚くののしるなど、その姿に子供も唖然としています。(子供への接見禁止令が出ているのに、無理矢理会いに行こうとする姿は、恐怖でしかありません。)
熱狂的に応援しすぎて、会社もクビになると、その行動は次第に過激になっていきます。
(ボビーの行動を監視したり、ライバル選手に手を掛けたりと。)
ボビーと無理矢理なきっかけを作り、彼の家に押しかけるカーリー。
その時に、ボビーが発する「ファンはどうでもいい」という発言で、狂気の行動が止まらなくなります。(笑顔の合間に見せる本気の表情が恐ろしいです。。)
純粋な野球少年だったのにどこかで空回りし、おかしな人生になってしまったところは哀しい限りです。しかし、過激すぎました。
最後の最後まで、デ・ニーロの演技があとを引きます。
べ二チオ・デル・トロが、ボビーのライバル選手役で、出ています。
あのジャック・ブラックも出演していますよ!
『ジャッキー・ブラウン』(1997年)
クエンティン・タランティーノ監督のクライムサスペンス映画です。
この作品でデ・ニーロは、銀行強盗で逮捕され出所したばかりの寡黙な殺し屋ルイスを演じています。
彼は、サミュエル・L・ジャクソン演じるオデールに使われている、どこかうだつの上がらない男です。しかし、かっとなると何をするかわからないという、凶暴な面も持ち合わせています。(腕の周りのワンポイントのタトゥーも目をひきます。)
デ・ニーロが、いままで見たことのないような冴えない男を演じていた貴重な一作でもあります。
(デ・ニーロ演じるルイスとブリジット・フォンダが、過去に付き合った日本人について話すシーンで、日本名が「ヒロシ」だったというくだりは、変なシーンでした。)
『コップランド』(1997年)
『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』(2005年)のジェームズ・マンゴールド監督が描いた、警官の町「コップランド」で起きる警察内部の腐敗を描いた社会派ドラマです。
この作品でデ・ニーロは、モー・ティルディン警部補役を演じています。
コップランドの警官達の不正を正そうと、シルベスター・スタローン演じる主役のフレディを説得して、証拠集めをするよう促すニューヨーク調査部所属です。
コップランドの警察官からは嫌われているので、人を使って裏から捜査をさせるという役割。
物語の語り部にもなっていました。
落ちぶれた警官フレディが、コップランドで起きた警官事件隠蔽の闇に触れるうちに、不正を正そうとやがて正義に目覚めることに。
フレディを演じるシルベスター・スタローンが、ロッキーの頃とは打って変わって、覇気のない役柄を演じていたのが印象的でした。(この役のためにスタローンは、体重を増量して挑んだといいます。ここにもデ・ニーロ・アプローチが!)
『みんな元気』(2009年)
小津安二郎監督の『東京物語』のオマージュ作品として知られる、ジュゼッペ・トルナトーレ監督作品のリメイク版です。
この作品でデ・ニーロは、哀愁漂う年老いた父を好演しています。
(オリジナルでは、名優マルチェロ・マストロヤン二が演じていました。)
妻に先立たれ、一人で暮らす寂しい老人フランク。
週末に4人の子どもを家に招こうとしますが、仕事の都合が付かないという理由で断られてしまいます。そして、自ら子ども達に会いに行きますが、そこにはある秘密が。。
デ・ニーロが演じるフランクが、子ども達の成長を喜びながらも「幸せか?」と問いかけるシーン、子どもとの別れ際に見せる弱々しい哀愁のある背中で見せる演技は、役者としての深みを感じさせました。
どんな現実があっても、子ども達を温かい目で見守る父の姿。
そして、父を失望させまいと嘘をつく子ども達。
お互いの気持ちが、よくわかって切ないです。
妻の墓に向かって、語るシーンも泣けます。
「みんな元気だよ」
子ども達を、ドリュー・バリモアやサム・ロックウェル、ケイト・ベッキンセイルとそうそうたる顔ぶれが演じています。
(こんなにいい作品が日本劇場未公開で、DVD発売のみだということが信じられないです。)
『マチューテ』(2010年)
ロバート・ロドリゲス監督のB級アクション映画です。
この作品で、デ・ニーロは、過激な移民排斥主義者の上院議員マクラフリンを演じています。
議員として再選を果たすために、麻薬組織と手を組む欲まみれの男。
(突然寝返り、マチューテ側に加勢してしまう芯のなさです。。)
なんとか生き延びるのですが、最後に「ゴキブリ野郎!」と罵られながら銃で打たれ、口から血をながしながら笑みを浮かべつつ死んでゆくシーンは、まるで時代劇の悪代官のような強烈な印象を残していました。
(支持者の前で演説をするときの話し方が、当時の大統領を模しているように聞こえたのは、私だけでしょうか?)
こんな役を演じきっててしまうのもデ・ニーロの懐の深さです。
スティーヴン・セガールやジェシカ・アルバ、お騒がせセレブ、リンジー・ローハンも出演していました。
『アメリカンハッスル』(2013年)
デビッド・O・ラッセル監督の1970年代のアメリカで起きた収賄事件を題材にした映画です。
この作品でデ・ニーロは、殺し屋ビクター・テレジオ役を演じています。
物語の後半で登場してくるのですが、はじめ「誰?」と思うほどの外見。
くたびれた出で立ちですが、登場するだけで空気が変わります。
(((o(*゚▽゚*)o)))『アメリカン・ハッスル』そしてまさかのデニーロ御大出た〜ッ!その場をたちまち凍りつかせる存在感!これまたヘアスタイルが素敵☆ pic.twitter.com/ALb5db9RV9
— ☮とりちゃん☮ (@flying_freeman) February 26, 2014
主役のクリスチャン・ベールが、禿げ上がった頭髪で腹もでっぷりした出で立ちなのですが、元祖デ・ニーロ・アプローチの本家と共演しているのも興味深いポイント。
『アベンジャーズ』のホークアイ役として知られる、ジェレミー・レニーも市長役で出ていました。
『ジョイ』(2015年)
夢をあきらめた主婦が、自らの発明により人生を変えていく実話をもとにしたサクセスストーリーです。監督は、『アメリカン・ハッスルの』デビッド・O・ラッセル。
この作品でデ・ニーロは、主人公ジョイの父役として登場します。
一筋縄ではいかないひねくれ老人といった風情です。
2度の離婚歴のあるしょうもない父親で、新たに恋人を作ったりしています。
でも、根っこの部分では、娘を愛しているいい親父さんです。
(個人的には、テレビ通販で娘が商品を説明する際の、見守るような優しい表情が印象的でした。)
『ハンズ・オブ・ストーン』のエドガー・ラミレスと、この作品ですでに共演しています。
(主人公の元夫として、デ・ニーロ演じる義理の父と仲が悪いという間柄!)
そして、なによりも主役のジェニファー・ローレンスの演技に圧倒されます。
(デ・ニーロは、彼女を演技でもうまくサポートしていますねー。)
この映画が日本劇場未公開というのも、信じられないです。
デヴィッド・O・ラッセル監督のなぜか未公開映画『ジョイ』何度も何度も運に見放されて挫かれても自分の運命を引き寄せるジェニファー・ローレンスの姿に時におかしくて涙が出るほど勇気をもらう。デ・ニーロが人を殺さない映画は大抵すばらしい。 pic.twitter.com/YPpBnsmYco
— ish (@ISH1500KA) September 23, 2017
『マイ・インターン』(2015年)
『ハート・オブ・ウーマン』、『ホリデイ』のナンシー・マイヤーズが監督したアン・ハサウェイ主演のハートフルドラマです。
この作品で、デ・ニーロは、NYのファッションサイトのCEOを支える70歳のシニア・インターンを好演しています。
約40年務めた会社をリタイヤし、生きがいを求めてインターンに応募するベン(ロバート・デ・ニーロ)。
仕事中毒の女性CEOジュールズ(アン・ハサウェイ)を影ながら支え、時には私生活についても的確なアドバイスを送ります。
生きる糧を得て、生き生きとしていくベン。同じくジュールズも彼のおかげで、人生で大事なことに気づいていきます。
劇中でデ・ニーロ演じるベンが言う名言に注目です。
「音楽家の引退は、自分の中に音楽が消えたとき。私の中には、まだ音楽はあります」
「クラッシックは不滅だ」
「あなたは自分の仕事を優先するべきだ」などのセリフは、セリフ以上に深い意味を持っているように思えました。
個人的には、ベンがホテルのテレビで放映されている『雨に唄えば』のシーンを観て涙ぐむシーンや「サヨナラ!」と、ベンとジュールズが突然日本語で挨拶をするセリフが印象的でした。
97日目「マイ・インターン」’15
デニーロ作品続く
往年の作品ならこれだと思う
A.ハサウェイが観たくて手に取るも、すっかりデニーロにヤラれる
シニアインターンで採用されたベンの姿勢は、歳を重ねてもこんなスタンスで生きたいし理想像
特にハンカチのくだりは良いね pic.twitter.com/ss6yXf8MGM— LUNA🌙 (@LUNA7melody) July 31, 2021
『ハンズ・オブ・ストーン』(2016年)
伝説的ボクサー・ロベルト・デュランとトレーナーの実話を映画化した作品です。
「ボクシングは芸術だ」のセリフから始まる物語。
この作品でデ・ニーロは、18人の世界チャンピオンを育てた伝説的トレーナー、レイ・アーセルを演じています。(見事な老け役。髪の毛は、完全にハゲ上がってしまっていますが、メイクには思えません。実在のレイ・アーセルとそっくり!)
レイ・アーセルは、「真のボクシングとは、何か?」ということを考えている、本物のボクシングを追求している男です。
時にはやさしく、時には厳しく、チャンピオンのデュランをサポートします。
血気盛んな若造と、酸いも甘いも知っている老齢の男との親子のような関係。
被害妄想の強いチャンピオンに常に理解を示そうとしますが、やがて思わぬ方向に事態は進んで。。
プロモーターが巨額のファイトマネーに目がくらみ、デュランに試合をさせることを決めたときの血相を変えて抗議する演技、彼を陰で支える立場になった時の温かいまなざしに感動を覚えました。
『レイジング・ブル』でデ・ニーロが演じたジェイク・ラモッタが、後身を育てる物語とみても面白いかもしれないです。
この映画の中でチャンピオンである主人公が、妻が対戦相手を褒めるような発言をしたときに、「なぜ、相手を褒める?会ったのか?」と嫉妬するシーンは、『レイジングブル』にも同じようにありました。
物語は少し消化不良な感じはありましたが、デ・ニーロの演技は光っていました。
今注目の若手女優・アナ・デ・アルマスが、チャンピオンロベルト・デュランの妻役を演じていました。
『ハンズオブストーン』でデュランの妻役のキューバ人女優のアナ・デ・アルマスがメチャクチャかわええ。学生役は可憐な少女、デュランの子を産んでからは綺麗な奥さんと幅広く演じ分けてる。『世界で最も美しい顔100』の常連さんなのね、納得。 pic.twitter.com/qY9l3k0Efx
— ちっぺ (@chippe_hiro) June 29, 2018
『ダーティ・グランパ』(2016年)
最愛の妻を亡くした老人が自分の最後の人生を謳歌しようと、お気に入りの孫と旅をするバディ・ロードムービーです。
「とにかく、若い娘と遊びたいんだ!」とお下劣な言葉を繰り返す老人を喜々と演じるデ・ニーロの振り切れ方に、唖然とさせられます。
ストイックなデ・ニーロ・アプローチを120としたら、見事に10くらいまでに落とす演技の振り幅。これこそ、デ・ニーロの実力がなせる技だと思います!
(でも、しっかり締めるところはきちんと締めるところが、かっこいいです。)
そして、本作品では、まさかのラップも披露していますよ♪
『ジョーカー』(2019年)
『バンクオーバー』シリーズのドット・フィリップス監督が、ホアキン・フェニックスを主役に据えた、問題作です。
この作品でデ・ニーロは、ホアキン・フェニックス演じるアーサーが心酔する、ゴッサムシティの人気コメディアン、マレー・フランクリンを演じています。
マーティン・スコセッシ監督の映画『キング・オブ・コメディ』(1983年)を参考にして作られている本作品。
デ・ニーロは、人気コメディアン・ジェリーを追いかける男を演じていましたが、この作品では逆に追いかけられるコメディアンを演じています。
笑顔の中に、皮肉のこもった視線を含む男。
自分のショーに出演するアーサーを尊敬しているように見えて、実は笑いものにしているようなところが見受けられます。
憧れの人にそのような扱いを受けたアーサーの怒りは、ついに爆発!
そのあっけない幕切れが、強烈でした。
この作品で、主演のホアキン・フェニックスは、第92回アカデミー賞の主演男優賞を受賞しています。
『アイリッシュマン』(2019年)
マーティン・スコセッシ監督がロバート・デ・ニーロと9度目のタッグを組んだ、3時間半にもおよぶ無法者たちの一代記です。
この作品でデ・ニーロは、実在の殺し屋・フランク・シーランを演じています。
アル・パチーノ演じるジミー・ホッファとジョー・ペシ演じるラッセル・バッファリーノの2人の間で板挟みにあう困った表情が印象的でした。
スコッセッシ監督のオールキャストのような本作品。
ジョー・ペシ、アル・パチーノ、ハーヴェイ・カイテルなど、そうそうたる顔ぶれが集結しました。
#今日の映画
『#アイリッシュマン』
デニーロ,アル・パチーノ,ジョー・ペシ,ハーヴェイ・カイテルに、監督はマーティン・スコセッシ…面白くない訳が無い3時間半と長尺だったが、レジェンド達の熟練された演技や音楽の使い方、流れるようなストーリー展開が見事で全く飽きず、食い入るように観てた pic.twitter.com/ulQ3XXOfbW
— K (@allllllien11) November 28, 2019
『カムバック・トゥ・ハリウッド』(2020年)
『ミッドナイト・ラン』(1991年)の脚本を書いたジョージ・ギャロが、監督・脚本を務めた映画です。
この作品でデ・ニーロは、落ち目のB級映画プロデューサー・マックスを演じています。
『ジョーカー』や『アイリッシュマン』の緊張感のある演技から一転して、ゆるゆるなデ・ニーロを見られる本作品。
トミーリー・ジョーンズ、モーガン・フリーマンのレジェンド俳優たちとの、演技合戦も面白い作品です。
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まとめ
ロバート・デ・ニーロのおすすめ33作品を紹介しました。
肉体改造をし、観るものを驚かせるデ・ニーロ、主役を立てながら存在感のある脇役のデ・ニーロ、年を重ねて深みのある演技をするデ・ニーロ。
幅広い役柄を演じわけるデ・ニーロは、他の役者の追随を許しません。
個人的には、『タクシードライバー』、『レナードの朝』、『ケープ・フィア』、『ブロンクス物語 愛につつまれた街』、『みんな元気』のデ・ニーロが強烈に好きです。
ファンの方の中には、「なぜ、あの作品がないのか?」「いやいや、もっとあるでしょー?」という声もあるかもしれません。
随時更新していきたいと思いますので、よろしくお願いします!