主演に杉咲花さん、共演に若葉竜也さんらを迎えた映画【市子】は、舞台【川辺市子のために】をもとに制作された社会派ミステリーです。
今回は、映画【市子】の原作である舞台作品【川辺市子のために】のあらすじとネタバレについて解説します。この記事を読めば、ヒロイン・市子の生い立ちや、市子が無戸籍になってしまった詳しい理由が分かりますよ。
映画【市子】のあらすじ
杉咲花演じる女性・川辺市子は、3年間一緒に暮らしてきた恋人・長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日、忽然と姿を消した。
途方に暮れる長谷川のもとを訪れたのは、市子を探しているという刑事・後藤だった。「この女性は誰なのでしょうか」。市子の写真を差し出しながらそう問いかける後藤に、長谷川は戸惑う。
川辺市子という人間は存在しない…。長谷川はそこで初めて、市子が違う名前を名乗っていたことや、複雑かつ壮絶な過去を抱えていたことを知るのだった。
彼女はいったい何者だったのか。
そして、幸せな暮らしを捨ててでも市子が手に入れたかったものとははたして…。
映画【市子】の登場人物まとめ
・川辺市子(杉咲花)・・・壮絶な過去をもつ女性。3年間一緒に暮らしてきた恋人・長谷川にプロポーズされた翌日、忽然と姿を消した。
・長谷川義則(若葉竜也)…市子の恋人。市子の失踪後、彼女の壮絶な過去と真実を初めて知ることになる。
・北見冬子(石川瑠華)・・・失踪した市子と接触していた女性。
・田中宗介(倉悠貴)・・・市子の最初の恋人。
・川辺なつみ(中村ゆり)・・・市子の実母。
・小泉雅雄(渡辺大知)・・・ソーシャルワーカー。市子の母・なつみの元恋人。
・北秀和(森永悠希)・・・市子の高校時代の同級生。
・山本さつき(大浦千佳)・・・市子の幼なじみ。
・梢・・・市子の学生時代の友人
・後藤修治(宇野祥平)・・・市子の行方を追う刑事。
映画【市子】のキャストについて詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。
原作ネタバレ: 市子はなぜ無戸籍になってしまった?
【市子】の原作は舞台【川辺市子のために】
映画【市子】について、舞台作品を映像化するにあたり細かい設定に変更がある可能性は考えられます。
ただ、映画【市子】の公式サイト等を見る限り、基本的な人物設定やストーリー展開については、舞台の設定とあまり変わらないと思われます。
そこで今回は、映画【市子】の原作である舞台作品【川辺市子のために】の内容をもとに、ヒロイン・市子の生い立ちなどについての解説を進めていきます。
ネタバレ要素がありますのでご注意ください。
杉咲花演じるヒロイン・市子の生い立ち
主演の杉咲花さん演じるヒロイン・市子は、1987年に生まれました。
このとき、市子の母・なつみは21歳。なつみに暴力をふるっていた元夫が失踪した後のことでした。
赤ちゃんが生まれた場合、通常は生まれた日を含めた14日以内に出生届を提出する必要があります。
しかし市子の母・なつみは、この出生届を提出しませんでした。
市子の母・なつみが出生届を提出しなかったのはなぜ?
市子の実母・なつみが出生届を提出しなかった理由は、市子の父親と思われる元夫と関わりをもつことを恐れたためです。
さらに、当時のなつみ自身が性依存症であったことも、届けを出さなかった理由の一つと考えられます。
元夫以外の男性とも関係をもっていたため、市子の父親が誰なのか、正確なことはわかりません。
しかし、母親が元夫との離婚後300日以内に子を出産した場合、その子は書類上、元夫の子とされてしまうことが民法上決まっています。
※摘出推定制度の見直しにより、離婚から300日以内に生まれた子どもも、再婚した夫の子と推定されるようになりました。改正法は2024年4月1日に施行予定です。
上記の事情より、なつみが出生届を提出しなかった理由は以下の2点であると考えられます。
・DV夫と関わりをもつことを恐れた
・市子の父親が誰なのか、正確にはわからない
そのため、結果として市子は無戸籍児となってしまいました。
市子の妹・川辺月子
1988年、市子の母・なつみは資産家の男と再婚。この男とのあいだにできた子を「月子」と名付けました。
月子が生まれたのは、市子が3歳のときのこと。
しかしなつみは結局、月子の父である男と別れ、別の男・小泉雅雄と交際を開始します。
小泉雅雄はソーシャルワーカーをしており、なつみと市子の暮らす家をよく訪れていた男性です。
そして彼には「ツキコ」という難病持ちの娘がいました。
川辺月子と小泉ツキコの戸籍交換
川辺なつみの娘・月子と、小泉雅雄の娘・ツキコの年齢は同じ。
そして、ツキコのほうは筋ジストロフィーという重い病気を患っていました。
小泉雅雄は、娘のツキコを男手一つで育てています。
しかし、ソーシャルワーカーとして働きながら難病の娘の面倒を見るのは、並大抵のことではありません。
このため、なつみは小泉雅雄にこのような提案をもちかけます。
難病のツキコの面倒は、女の自分が引き受ける。その代わり、自分の娘・月子のほうは、あなたに育ててもらいたい、と…。
小泉雅雄はこの提案を受け入れました。
この時、なつみの娘・川辺月子と小泉雅雄の娘・ツキコの戸籍交換がおこなわれています。
川辺月子として生きていくことになった市子
市子と月子(小泉ツキコ)の戸籍交換
こうして、市子と月子 (本当は小泉ツキコ)は、川辺なつみの娘としてともに暮らすことになりました。
しかし月子(小泉ツキコ)は筋ジストロフィーという難病を抱えています。
やがて病状が進行するうち、ついに立ち上がることもできなくなってしまいました。
このときなつみは、市子と月子(小泉ツキコ)の戸籍を交換することを決断します。
これは、戸籍をもたない実の娘・市子のため。
病気で動けない月子の代わりに、健康な体をもつ市子に戸籍を渡し、生きていく道を与えたのです。
こうして無戸籍だった川辺市子は、川辺月子として生きていくことになったのでした。
まとめ
今回は、映画【市子】のヒロイン・市子が無戸籍となってしまった理由について、原作である舞台【川辺市子のために】を参考に解説しました。
映画【市子】は、川辺市子という一人の女性の半生を通して語られる、重厚かつ唯一無二のヒューマンストーリー。ぜひ劇場にてご覧ください。
記事内画像出典:映画【市子】公式サイト