1995年の公開(日本では1996年公開)以降、今もなお映画ファンの記憶に鮮やかな『セブン』。
この作品をきっかけにサスペンスやホラーにハマった人も多いはず。
今回は、語り草となっているラストシーンだけでなく、二度、三度と観たくなる魅力をあらすじとともに振り返っていきます。
基本情報
- 原題:SE7EN
- 監督:デヴィッド・フィンチャー
- 脚本:アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー
- キャスト:ブラッド・ピット,モーガン・フリーマン,グウィネス・パルトロー,ケヴィン・スペイシー
- 公開:1996年1月27日
- 時間:127分
以下よりネタバレを含みます。
承知の上、読み進めて頂くことを推奨します。
第一の事件のネタバレ-暴食-
サマセットという男
刑事サマセット(モーガン・フリーマン)の朝。
整頓された所持品を、いつもの様に体に身につけ、いつもの様に出勤する。
殺人事件の現場。
そこには、男が横たわっていた。
銃声を2発。
夫婦喧嘩の末の事件。
そこに、新人刑事のミルズ(ブラッド・ピット)が転属し、サマセットの元へとやってくる。
サマセットはミルズに、何故ここに来たのかと尋ねる。
ミルズは難癖を付けられたと、面倒くさそうに対応する。
サマセットはそんな意気揚々な若者に、7日間はおとなしくしていろと釘を刺すのだった。
サマセットは、ベテランの老齢刑事だ。
定年を7日後に控えている。
いつも寝る時に、メトロノームを睡眠導入に使う。
そんな気難しいベテラン刑事が、サマセットである。
月曜日
ミルズの朝。
横には、妻のトレイシー。
起きると、しわくちゃなシャツ、ハンガーにまとめられたネクタイ。
サマセットとは正反対なのが、朝の風景で伝わる。
電話で、早速現場に入るミルズ。
ミルズは気を利かせ、コーヒーを用意するもサマセットは受け取らない。
相変わらずの気難しさである。
事件現場。
発見のまま何も触っていないという現場の警官。
ミルズは本当に死んでいるのか疑うも、それは現場を見れば一目瞭然だった。
スパゲティに顔を埋めたまま、45分も動かなかったそうだ。
被害者は、信じらない肥満体の男。
排泄すら、椅子に座ったまま行なっている。
まさしく、その光景は異様。
人に殺されたのか、それすらもわからなくなるほどに、その現場は異様な光景だった。
しかし冷静に調べていくと…
手足が縛られ、無理矢理食べさせられていた事がわかる。
暗い部屋で、椅子に座らされ、手足を縛られ暴食させられていた。
ミルズに聞き込みを指示するサマセット。
異様ではあるが、この街ではそんな残忍な事件が当たり前の様に起きるような場所だったのだ。
当然、ミルズは文句を言うが、サマセットは関係ないと、あしらう。
2人は司法解剖の結果を聞きにいく…
遺体は、尋常ではないくらいに内臓が大きくなっており、その全てが食べ物によって膨れ上がったものだった。
そして額には、銃口の跡。
これは、れっきとした殺人事件であることが明らかとなる。
胃が破れていたが、それは犯人がお腹を蹴り上げた時に内臓が破裂したもの。
署長は、デブ嫌いの男がいじめただけの事件だという。
しかしサマセットは、計画的な犯行であると主張する。
これは始まりに過ぎない、動機もない事がそれの裏付けであるという。
そして、サマセットはこの事件を降りると宣言。
定年まで残り6日。
そんな時にやる仕事ではないと、サマセットは突っぱねたのだ。
しかし上司の署長はそれを許さない、意気揚々とミルズが立候補するも、結局この暴食事件はサマセットが担当する事になる…
第二の事件のネタバレ-強欲-
火曜日
オフィスビルの一室で弁護士の殺人事件が発生。
有名な弁護士らしく、マスコミが集っており、事件概要についての記者会見を行っていた。
事件の担当は、ミルズだ。
カーペットには、血で”GREED(強欲)”の文字。
そして被害者の妻と思わしき女性の写真には、血でメガネっぽく目が縁取られていた。
その事実を、署長が署の自室にいるサマセットに伝えられた。
しかしサマセットは、無関心である。
昨夜の事件のことを語る。
それは同じ殺人事件だが、別の事件となる。
犬の散歩中に男が襲われ、倒れていると、さらに両目も刺されてしまうという悲惨な事件。
サマセットの近所で起きていたものだ。
こんな世界に、こんな日常にうんざりだと、サマセットはいう。
署長は、そんなサマセットに対して、刑事は君の転職だと諭し、昨晩の巨漢の事件の時に胃の中に入っていた何かを渡す…
それはプラスチック片。
無理矢理食わされていたとのこと。
違和感を感じたサマセットは、再び現場へと赴く。
そのプラスチック片は、冷蔵庫を動かしたときに削れた床の一部だった。
冷蔵庫を動かすと…
壁に、”GLUTTONY(暴食)”の文字が油で書かれていた。
そして、それと一緒にメモが貼り付けられてある。
その内容は、ジョン・ミルトンの失楽園の一節。
サマセットは、これは始まりである。
”Gluttony(暴食)”、 ”Greed(強欲)” 、”Sloth(怠惰)”、”Wrath(憤怒)”、”Pride(高慢)”、”Lust(肉欲)” 、”Envy(嫉妬)”
の7つ。
あと5つは起こると、サマセットはこの事件の担当を一方的に降りてしまう。
当然ミルズは、お任せを、と意気揚々に答えたのだった。
その晩サマセットは、何かを思いついた様に図書館へとタクシーを拾って向かう。
その車中、外には暴漢事件が起きていた。
そんな光景に嫌気がさし、ここを離れてくれと頼むのだった…
サマセットは、図書館でカンタベリー物語や神曲などから、この殺人事件がどの様に行われるのかを理解すべく助言したメモを、ミルズに残す。
一方ミルズは、事件現場の写真からこの事件の概要を掴もうと必死に調べていた…
そんなミルズの背中を、もの悲しげに見つめるトレーシーだった。
第三の事件のネタバレ-怠惰-
水曜日
翌朝、ミルズはそのアドバイス通りにダンテやカンタベリー物語を読む。
しかし、その内容に怒っている…
署内の自室は、サマセットからミルズの物に変わっていた。
ぎこちない2人。
ミルズはカンタベリー物語などのペーパーバックは、サマセットから隠す様にデスクの引き出しに入れる。
そんな中、電話が鳴る。
ミルズは気を使うも、サマセットは君のオフィスだと言い、ミルズが電話を取る。
電話の主は、妻のトレーシー。
サマセットと話たいと言い、夕食に招待されるのだった…
寝耳に水状態のミルズ。
2人はその晩、連れ立って帰宅をする。
トレーシーと対面を果たすサマセット。
ミルズは愛犬たちの元へ、サマセットとトレーシーは他愛もない世間話をする。
夕食の時間、3人はサマセットの込み入った話を聞く。
そんな会話の最中、突然家の中に揺れが発生する。
地下鉄だという。
不動産屋に騙され、地下鉄が通る揺れを感じさせないうちに早々に内見を終わらされたというエピソードを語ると、失礼と思いながらもサマセットは大笑いしてしまうのだった。
これを機に、サマセットとミルズの距離は縮まっていく…
夕食後も2人は、早速事件の概要を調べ始める。
現場に残された手掛かりを基に、様々な共通点を洗い出していく。
これは”7つの大罪”である、説教だと説くサマセット。
一方、ミルズは罪だといい、その答えを導き出していた事にサマセットは驚く。
そして、ある手がかりに行き着く。
それは弁護士の妻の写真の目。
血で縁取られた目の写真だ。
サマセットは何かを見たか、あるいは何かを見るはずだと、そこにヒントがあるはずだと考察する。
トレーシーは一足先に寝ていた。
ふと起きると、部屋に2人は居ない。
弁護士の妻の元へと、向かっていたのだ。
2人は失意の弁護士夫人に、何か現場の写真の中で変化はないかを聞く。
今の状況ではとても無理だというが、サマセットは今でないといけないと、ミルズを急かす。
すると、壁の絵が逆さまである事に気が付く。
そしてサマセットとミルズは、弁護士の殺害現場の大きな絵をどかし、その場所を調べ始める。
すると、誰かの指紋で”HELP ME”と書かれてあったのだ。
それは、被害者のものではない。
警察のデーターベースから、指紋を照合する。
担当者は、3日かかるかもしれない。
早く照合できる様に、どこかで祈って待っててくれと2人に言う。
2人は、近くのソファーで待機するしかなかった。
刑事について、この事件についての与太話をしながら、仮眠をとるサマセットとミルズ。2人の距離感は、もはや相棒とも言える関係性に近付いていた。
木曜日
翌朝、お互いにもたれかかって寝ていると、署長に起こされる。
照合が終わったのだ。
通称ビクター、本名はアラン。
特殊部隊を率いて、犯人と思わしき人物の現場へと急行する。
前科もあり、弁護士との接点もある。
署長は、このビクターが犯人だと断定していた。
しかしサマセットは、この男に奥がない、と犯人ではないのではという疑いを抱く。
現場に向かう車中、ミルズはサマセットに銃で撃たれたことはあるか、と問う。
サマセットは刑事人生34年の中で幸いにも1度も無い。
銃を抜いたことも、過去に3度だけ。
撃ったことは1度も無い。
一方ミルズも、撃たれた事はない。
しかし撃ったことは、1度だけ。
新米の頃にあるのだという。
ヤク中で家に踏み込むと乱射され、警官も腕を撃たれていた事で撃ったのだと。
その容疑者は救急車の中で息を引き取った、しかしミルズはそいつの名前を思い出せないことにイラついていた。
そんな会話を交わす2人、到着すると特殊部隊の後に続いて中へと踏み込む…
ビクターは、ベッドに寝ている。
いや、死んでいる…
特殊部隊員は、直ぐにミルズとサマセットを呼ぶ。
この家は、犯人の家では無い。
ビクターもまた、”7つの大罪”になぞらえる殺人事件の被害者だったのだ。
壁には”Sloth(怠惰)”の文字。
ベッドに縛り付けられ、無理矢理怠惰な生活を強いられている。
そしてその観察を、1年間続けていた犯人だった…
1年間ベッドに縛り付けられていたビクターの体は、痩せほそり、肉と皮だけの状態で、身体も虫に食われている。
そんな中、当然死んでいると思われた。
しかし、ビクターは生きていたのだ。
大慌てで救急車を呼び、運ばれるのだった…
ミルズは憤りを隠せない。
こんな残忍なやり方をする犯人への怒りが、徐々に膨れがっていく。
そんな最中、サマセットがミルズに冷静にいる様諭す最中に突如として記者が現れる。
マスコミに情報が漏れていたのだ。
乱暴するミルズは、文句があるなら直接言ってこいと、自身の名前をスペルをその記者に言い放ち追い払う。
サマセットは、お金で警官から情報を買ったのだと、いつもの事のように感じていた。
ビクターは病院に運ばれた。
しかし、彼から引き出せそうな情報は無い。
目に光を当てただけで、ショック死するほどに弱っていた。
更には、舌も噛み切っていて喋ることも出来ない。
事件は再び、行き詰まりを迎える。
その日の晩、サマセットの元に1本の電話。
ミルズの妻、トレーシーからだ。
サマセットに相談があると、翌朝、会う約束をする。
第四の事件のネタバレ-色欲-
金曜日
翌朝、街のダイナーで朝食がてらにサマセットとトレーシーがいる。
トレーシーは、この街に馴染めないでいた。
犯罪が多く、人々が行き交う都会に慣れない様だった。
そこで、この街の生活が長いサマセットにとある相談を持ち込む。
それが、妊娠。
子供ができたと打ち明ける、しかしサマセットはそれなら尚更、旦那に言うべきでは?と言う。
しかしトレーシーは、この街が嫌いで、この街で子供を育てていくべきか…悩んでいた。
その考えを察知したかの様に、サマセットは自身の過去を語り始める。
サマセットも過去、好きな女性との間に子供ができた。
しかし、この世界で子供を誕生させるべきでは無いと、過去に諦めていたのだ。
その決断に間違いはないと思っているが、違う決断をしてれば、と思わない日はないという。
もし子供を産まないのなら、内緒にしろ。
子供を産むのなら、精一杯甘やかして育てなさい。
サマセットは、そう言ってトレーシーの相談に答えるのだった。
署に呼び出されたサマセット、この事件についての会議である。
7つの大罪になぞらえているこの連続殺人事件は、現時点で判明しているのは、”Gluttony(暴食)”、 ”Greed(強欲)” 、”Sloth(怠惰)”、の3件。
残り4件の発生が、起きるとされる。
ミルズは、この犯人は薄らバカだと罵る。
一方サマセットは、それを否定。
何故なら、ビクターの一件だ。
1年前から計画に移し、ぴったし1年経った日に見つけさせたのだ。
それは、計算のもと行っていたのだと。
ミルズはクソ野郎だと言う。
それは図書館に通っていようとも、クソ野郎でしかないと。
その言葉で何かに気がついたサマセットは、ミルズに所持金を確認し、ある場所に向かう。
サマセットたちは図書館に行き、7つの大罪に関する本のリストを作成する。
そしてダイナーに2人並んで座ると、ミルズの金を足してそのリストとお金を、突然現れた男に隠して渡す。
1時間後と言う約束をして、サマセットだからこそやるんだと言い、消えていく。
1時間の時間潰しの間、サマセットはこのカラクリを説明する。
現れた男、あの男はFBIである。
FBIは、図書館の貸し出し傾向を監視しているのだという。
それは特定の本で、兵器や戦争に関するもの、失楽園などの本を読んでいるのか。
そして図書カードの作成には身分証がいる。
それで、個人の特定が可能なのだ。
しかしこれは逮捕につなげるものではなく、あくまでも役に立てるため。
それでサマセットは、7つの大罪に関する本で、犯人も勉強したはずだと思い図書館の貸し出しリストから特定しようと試みたのだ。
そのリストが手に渡ると、共通する1人の人間に行き着く、それがジョン・ドウ。
2人は、そのジョン・ドウの登録住所へと向かう。
容疑者かどうかも分からない人物、サマセットはとりあえず、話を聞こうと部屋を訪ねる。
ノックをするが、反応はない。
するとここで、サマセットに4度目の銃を抜く機会が訪れる。
このフロアに上がってくる1人の男性。
サマセットがそれに気が付くと、その男が銃を抜く。
そしてこちらに目掛けて躊躇なく撃ってくる。
間一髪避けると、すぐさまミルズはその男を追う。
追い詰めるも、潜んでいた男にあと一歩の所でやられてしまうミルズ…
そして銃をこめかみに突きつけられてしまう…
しかし犯人は撃たずに、その場を後にする。
サマセットが駆けつけたことで、逃げたのだと…
犯人を逃してしまうも、とりあえず家にガサ入れをしようと踏み込もうとするミルズ。
ミルズは、犯人に負傷させられ、頭に血が昇っている状態だ。
それを止めるサマセット。
FBIの情報でここに来た2人、しかしその事実は公表はできない。
部屋に踏み込むための、他の正当な理由が必要だったのだ。
それを考えるために、ミルズに冷静になってもらおうと、サマセットは説得していた。
ミルズは確かにその通りだと、一見冷静になった様に見せかけ、ドアを蹴り破る。
サマセットは、ミルズに大バカ者と怒る。
するとミルズは、お金はまだ残ってるか?と、サマセットに聞く。
ホームレスにお金を渡し、嘘を吹かせたのだった。
こうして2人は、正当な理由でジョン・ドウの部屋に踏み込む事に成功する。
スープ缶、ビクターの無くなった手のホルマリン漬け。
次々に見つかる手掛かり。
この部屋に住むジョン・ドウが、一連の事件の犯人であることは明らかだった…
そしてミルズが何かを見つけ、サマセットを呼ぶ。
現像室として使っていたバスルーム、そこにあるバスタブに衝撃の写真が残されていた。
ビクターの家の前に現れたカメラマン、ジョン・ドウは一度サマセットとミルズの前に現れていたのだ。
カメラマンに扮して、何食わぬ顔で現場に訪れていたのだった…
その晩には、捜査員や鑑識が部屋に立ち入り本格的な捜査が始まる。
そんなガサ入れの最中、部屋に電話の音が鳴り響く!
ジョン・ドウからの電話だ。
出るのは、ミルズ。
すると、ジョン・ドウはミルズたち警察を褒めるのだった。
今回の訪問で、今後の計画が変わってしまった事を伝え、終始上から目線の発言で一方的に電話を切ってしまう。
ミルズとサマセットは、再び捜査に戻ると、部屋にあった見知らぬ金髪の女性の写真に目を付ける。
土曜日
金曜日に新たな手がかりをジョン・ドウの家で見つけた2人、向かった先はワイルド・ビル皮革店。
何やら、ジョン・ドウは革によるアイテムをオーダーしていた模様。
店主に聞き込みの最中、金髪の女性が見つかったと一報が入る。
風俗店。
入った先のドアには、”Lust(肉欲)”の文字が刻まれている。
金髪の女性は遺体だ。
怯えている男性は、ジョン・ドウに無理矢理女性と行為をさせられる。
貞操帯の先にナイフが付いた特注の物を装着させられて…
その男性にはサマセットが対応し、風俗店の店主にはミルズが担当した。
ジョン・ドウの目撃証言を引き出すが、男は憔悴し、店主ははぐらかす。
結果的に、効果的な情報は得られなかったのだ。
その晩、ミルズとサマセットはバーで飲んでいた。
サマセットは言う。
この事件にハッピーエンドはないと。
ミルズは捕まえれば、ハッピーエンドだと反論するも…
サマセットは続ける。
ジョン・ドウが悪魔だったら、お前も納得するだろう。
しかしジョン・ドウも、1人の人間なのだと。
サマセットは、こんな世界に疲れ、嫌気がさしていた。
無関心が美徳とされる世界に…
目の前で犯罪が起きていても、踏み入れば逆にやられる。
だから、無関心が1番良いとされてしまう。
そんな世界なのだ。
人はそんな世界に、英雄は求めていない。
サマセットは、平凡に暮らしたいのだと。
ミルズはそんなサマセットに対して、異論を唱える。
講釈を垂れるのは勝手だが、それは素直じゃないと。
ミルズは、一通りサマセットの話を聞いた後に諭した。
無関心が美徳だと、どう思おうと知った事ではない。
ミルズは、自分にさえ関心があればいい。
サマセットは、無関心な世の中だから警察を辞めるわけじゃない。
警察を辞めるから、そう思いたいんだと言う。
サマセットは、その無関心である事実に、ミルズに同意を求めていたのだと。
そうする事で、警察を辞める理由になるからだ。
しかし、ミルズは同意できないと言う。
その話をしてから、サマセットは固まったままだった…
そうして、2人は帰宅した。
ミルズはトレーシーの隣で、眠りにつく。
一方サマセットは、いつもの様にメトロノームで一定のリズムを刻んで寝ようとするが…
眠れない…メトロノームを放ってしまうのだった。
どうやら、ミルズが言っていたことが図星であったようだ。
無関心なのは世の中ではなく、他でもない自分だったのだ…
第五の事件のネタバレ-傲慢-
日曜日
ジョン・ドゥから通報が入る。
またやったぞ、と。
5番目の殺人。”Pride(高慢)”である。
ベッドに遺体、壁にはPrideの文字。
遺体の左手には睡眠薬、右手には電話。
綺麗な顔立ちのモデルが被害者。
そんな彼女は、顔が削がれていた。
電話で助けを求めれば、ひどい顔で生き延びることができた。
それができないならば、自ら死を選べと睡眠薬を持たされていたのだった。
署に戻ると、サマセットはもう少し刑事を続ける事を決めていた。
この事件の蹴りをつけると、そしてもうすこしの間ミルズの相棒でいたいと。
この日は、月曜日からちょうど1週間。
サマセットの退職の日だったのだ。
そして、遂に奴が現れる。
なんと、血まみれの姿で、自首してきたのだ。
一連の事件の犯人、ジョン・ドウである。
考察 その1「衝撃のバッドエンドにつながる誤算」
「セブン」はカトリックにおける「七つの大罪」をモチーフに事件が発生していきます。金曜日に自宅を突き止められたジョンは逃走後、調査中のサマセットとミルズに電話で「今日のことで計画を変更しないといけなくなった」と告げます。殺害方法を予測された上で実行するIQの高さと、知能犯らしい子どもじみた意地がうかがえる台詞です。日曜日までは殺害方法、被害者ともに抜かりがありません。罪を犯している物に対して、七つの大罪になぞらえて裁きの手を下していたジョン。しかし残った「憤怒」「嫉妬」の被害者は、これまでとは明らかに雰囲気が違います。
第六・第七の事件のネタバレ-嫉妬・憤怒-
ジョン・ドウの要求
ジョン・ドウが警察署に現れ、拘束される。
その後、弁護士を呼ぶように要求するジョン・ドウ。
指紋を取るも、手には一切指紋がないと報告を受ける。
それは、指の皮を削いでいた為。
ジョン・ドウ宅へ行った時、指紋すら出なかったのは、それが原因だったのだ。
自首をしてきたジョン・ドウ。
しかし、サマセットやミルズが尋問することは出来ない。
弁護士を通して、このまま裁判にいく事になるのだ。
しかし、ミルズはジョン・ドゥがただ闇雲に自首してきた訳ではないと考える。
そこで初めて意見が合った、と言うサマセット。
ジョン・ドウの自首には、必ず何かがある。
ジョン・ドウは、残り2件の殺人は、遂行済みであると弁護士を通して発言する。
ミルズとサマセットだけを、6時に現場へと案内すると言うのだ。
これを断れば、遺体は出ないまま。
何故ミルズとサマセットだけなのか…
それは、ジョン・ドウは2人を尊敬しているという。
そして、断った暁には、ジョン・ドウは精神病を主張すると言うのだ。
この異常犯罪ではそれが通る可能性も非常に高く、刑が軽くなることが予想される。
一方、犯人の要求を飲めば、ジョン・ドウは罪を全て認めるという。
署長は、その判断をミルズとサマセット、2人に委ねた。
ミルズは有無を言わさず、罪を認めるならと要求を飲むことに。
一方サマセットは、このやりとりを証拠に要求を飲まないように交渉する。
死体の存在がない可能性に賭けてみたのだ。
しかしジョン・ドウは、死体の存在を公表し、警察が見捨てた事が騒ぎになると目論む。
事実、ジョン・ドウの身体に付着した血液は、3人の血が混ざっていた。
1人は、高慢の被害者。
残り2人は、1人は別の女性、もう1人は身元不明の血である。
こうして2人は、ジョン・ドウの要求を飲むしか無くなってしまう…
結末
2人は小型マイクを装着するため、体の毛を剃って準備を進めている。
与太話をしながら…
その光景は、もはや長年相棒として活動してきたかの様な雰囲気を魅せていた。
いよいよ、最終決戦だ…
ヘリコプターからは、いつでもジョン・ドウを狙えるように遠くから見守る。
そして、サマセットの運転でミルズを助手席に、ジョン・ドウが後部座席で拘束されながら車で現場へと向かう…
その車中で、ミルズはいう。
ジョン・ドゥがしたこと、これは時間が経過すればみんな忘れてしまうと。
過ぎ去れば、時間と共に日常に戻るのだという。
しかしジョン・ドウは、この事件の全てを知れば…
人々は認めざるを得なくなるのだという。
この素晴らしい結末を…
どうせお前も1人の人間だと言うミルズ。
ジョン・ドウもそれは否定しない。
しかし自分は選ばれた人間なのだと言う。
それまで口を閉ざしていたサマセットが、遂に口を開く。
ジョン・ドウは殺人を楽しんでいる、それではとても選ばれた殉教者とは言えないと。
それに反論する、仕事は楽しむものだろと。
ジョン・ドウの態度が一変したのは、ミルズのとある発言である。
ミルズがジョン・ドウに対して言った言葉、「お前は罪のない人を殺した」。
ジョン・ドウは、これに態度を荒げて反論する。
最初の肥満男は、存在するだけで食欲を無くさせる気持ちの悪い存在である。
弁護士は、金を稼ぐためには平気で嘘をつく。
高慢の女性は、心が醜く見かけだけの存在だ。
金髪の女性、ビクター、みんな罵っていくジョン・ドウ。
この世界で、彼らに罪がないなんて嘘だろ!?
と、饒舌に怒りを露わにする。
しかしもっと罪なのは、それをよしとする普通の人々の罪である。
罪な人間たちを許している人々だ。
日常で些細な事だから、それを許してしまっている。
ジョン・ドウは、その許してしまう人々に向けて見せしめを行う。
これからは、許されない。
そして、それを学び従うのだと言う。
ジョン・ドウは、望んでこの場にいる。
ミルズはいずれ逮捕したさと、言い合いになってその場は終わる…
そして、遂に現場へと到着。
到着した場所は、何も無い大平原。
辺りには鉄塔しかない。
時間を確認する、7時1分。
ジョン・ドウは、もう間も無くだと言う。
そして2人は、何もない場所にジョン・ドウに誘導される。
するとそこに、宅配便のトラックがやってきた。
そのトラックには、サマセットが向かう。
危機を察知して、遠くで荷物を受け取るサマセット。
しかし、ジョン・ドウの計画はミルズと2人で話すことだったのだ。
ヘリからは、ジョン・ドウをいつでも射殺できるように狙う。
荷物の受取人は、ミルズになっていた。
サマセットは、用心しながらその荷物を開ける…
その中身を見た時、サマセットは驚く。
そして、ミルズとジョン・ドウの方に目を向ける。
サマセットは荷物の中身を見たことで、ジョン・ドウの計画を悟り、一目散にミルズの元へ走り出す。
一方、ミルズはジョン・ドウに銃を向けたまま膠着状態が続く。
ジョン・ドウは、ミルズのことを羨ましがっていた。
そしてジョン・ドウは、トレーシーの名前を出す。
ミルズは、ジョン・ドウから妻の名前を聞いて、なぜ?と訝しげる。
するとジョン・ドウは、ミルズの平凡な夫としての生活に嫉妬していた事が告げられる。
今朝、ミルズが家を出た後、ジョン・ドウは警察官からお金で得た情報をもとに、ミルズ宅に行っていたのだ。
そして平凡な夫の生活を体験してみようとしたのだ。
しかし抵抗したトレーシー、ジョン・ドウはそんな生活を営むミルズに土産を持ってきたと言う…
女房の首だと…
そして、サマセットがミルズに銃を捨てろと声を荒げ走ってやってくる。
7つの大罪、6つ目の罪人は、平凡な幸せを手にした生活を贈るミルズを妬んだジョン・ドウ自身だったのだ。
ジョン・ドウは、”Envy(嫉妬)” となる。
そして…
それに圧倒的な怒りを向けたミルズが、最後の”Wrath(憤怒)”だった。
復讐したいほどの怒り、まさしくそれは7つの大罪で言うとこの怒りの罪となる。
その計画を遂行させるためにジョン・ドウは、ミルズの事を煽る。
サマセットは、決死にミルズを説得する。
このまま撃てば、こいつの計画通りになってしまうと。
そして、ジョン・ドウはミルズの知らない事実を打ち明けてしまう。
トレーシーが命乞いをしたこと。
お腹の中に赤ちゃんがいた事実を…
それだけは言わせまいと、サマセットも思わずジョン・ドウを殴ってしまう。
そして、ついにその時は訪れる…
強い憤怒を抱いたミルズは、ジョン・ドウに対して、何度も引き金を引いてしまうのだった…
ジョン・ドウの7つの大罪が遂行された瞬間である。
サマセットも、隣にいながらその光景を黙認するほかなかった…
一連の事件はこれで幕を閉じる、ミルズは署長が面倒はみるとサマセットに告げる。
一方サマセットは、是非とも、とお願いする。
署長にこの後のことを聞かれると、サマセットは…
何とかやるさと答え、その場を後にする。
そして最後は、ヘミングウェイの一節で締められた。
「この世は素晴らしい 戦う価値があると」
サマセットは、後の部分は賛成だと言い、物語は幕を閉じる…
考察 その2「なぜトレーシーは殺されなければならなかったのか」
自宅に踏み込まれたことで計画が変更になったとしても、トレーシーでなければいけない確実な理由はないように思います。
追記
ちなみに、この考察とは関係ありませんが、ミルズがジョン・ドウを撃つ瞬間。
本当に0コンマ数秒、トレーシーの顔がサブリミナルされます。
もちろんこれは、ミルズが引き金を引く決意を表した瞬間なのですが…
この手法は、デヴィッド・フィンチャーらしいとも言えるやり方。
この後の作品となる『ファイトクラブ』でもサブリミナルが多用されており、脚光を集めますが…
その前身とも言える『セブン』で、早くもそのやり方を見出していたことが分かります。
是非とももう一度見直す際には、そんな場面にも注力してみてはいかがでしょうか?
銃口を突きつけながら引き金を引かなかったジョンの謎
木曜日の事件直後、カスコミのカメラマンがミルズを盗撮するシーンがあります。気付いたミルズは激昂し、スペル付きで名乗りながらカメラマンを追い返します。そして翌日の金曜日、ジョンの自宅を突き止め、あと一歩というところまで追い詰めたミルズでしたが、反撃に遭いジョンに銃口を突きつけられます。サマセットが駆け付け危機一髪命拾いしたミルズでしたが、では何故ジョンはこのときミルズを撃たなかったのでしょう。サマセットがミルズの名を叫びながら駆けつける直前、銃口を前にミルズが観念したように目を閉じるカットまであります。ここにトレーシーを殺害した理由があるのではないでしょうか。
予定より酷く美しい計画を思いついた?
逃走後のジョンの自宅から、サマセット・ミルズの調査でカメラマンが盗撮した写真がジョンの自宅から発見されます。このことからジョンはカメラマンからあらかじめミルズの顔と名前の情報を得ていたことがわかります。そしてジョンは、自宅に踏み込まれた際、サマセットが名前を呼びながら駆けつけたことで自分を追っている刑事がミルズであることを確信します。その上でミルズを貶め、さらに残りふたつの裁きを完成させる計画を思いついたのかもしれません。
追記:別ライターによる考察
※本記事は、当初書かれた人とは別のライターによって追記されています。
各考察は、最初に書かれたものであり、別のライターによってあらすじなどは加筆されています。
もちろん、ジョン・ドウはターゲットを、<七つの大罪>によって選定しています。
しかしその中に、トレーシーの死は含まれていません。
では何故、トレーシーでなければいけなかったのか…
それは最後、7番目の「WRATH(憤怒)」の完成でした。
憤怒、これはただ怒る事ではありません。
圧倒的な怒りを指します。
刑事として犯人を追い詰めただけの、ただの怒りではダメなのです。
憤怒を完成させるためには、相当の怒りが必要です。
人を殺したくなるほどの、そう、それはまさしく復讐するほどに。
その怒りに関しても、ジョン・ドウは入念に調べていたはずです。
ジョン・ドウの存在、それは冒頭のOPの描写ですでに登場しています。
この記事の考察で示されている計画の変更、それはあくまでもジョン・ドウの行動の一部にすぎません。
殺しのターゲットを、変えたわけではない様に思います。
ジョン・ドウの言う計画の変更とは、あくまでも自宅の差し押さえによる拠点の変更くらいのものでしょう。
憤怒と嫉妬のターゲット、1番大事なのは、嫉妬です。
憤怒は、元々誰でもよかったのでしょう。
要するに、ジョン・ドウが嫉妬を抱く対象であれば。
それが偶然にも、ジョン・ドウ自身を追う刑事に対して抱いたものなのだから、それは、ジョン・ドウにとっては格好のターゲットだったのかもしれません。
要するにジョン・ドウにとっての計画は、7つの大罪をやり遂げることが重要であり、計画の変更は重要ではなかったのです。
そしてその遂行の様は、あまりにも衝撃的な形で最後を迎えてしまうのでした…
デヴィッド・フィンチャー、ブラッド・ピット、モーガン・フリーマン・・・映画【セブン】を彩る名手
映画を何度でも楽しみたいなら『セブン』を観るべし
視点を変えてみると違った面白みが見えてくるのも「バッドエンド」の魅力のひとつです。『セブン』に限っていえば、事件の始まりから終わりまでの日数も七日間です。ジョンがサマセットの定年前までに事件を完結させようとしていたとは思えません。もしそこにジョンの目論見があるとすれば旧約聖書で神が天地創造した「七日間」なのではないでしょうか。ジョンが「自分は選ばれた」と嘯いていたことから、自らを神に重ねていたとも考察できますね。
追記:別ライターによるまとめ
映画『セブン』は、あまりにも衝撃的な内容で多くの人の記憶に残る名作に数えられます。
名匠デヴィッド・フィンチャー監督、モーガン・フリーマン、ブラッド・ピットらの出世作でもあり、いまだに語り草となる代表作でもあります。
この映画『セブン』、7つの大罪を重ねた7日間の物語であります。
しかしこのセブンには、実はもうひとつの意味が込められたものだったのです。
そのもうひとつの意味とは…
記事冒頭にリンクされている記事にて、その詳細を綴っています。
是非とも、この記事を読んだ後にでも一読していただけると幸いです。
また、通常とは違った視点で鑑賞ができるかもしれません…