日本のビデオゲームが生んだキャラクターがハリウッド映画の主人公に!見た目は可愛いハリネズミだけど超音速で走る「ソニック」が大活躍する映画『ソニック・ザ・ムービー』(近日公開)。まさに音速で突っ走るノンストップのアドベンチャー!悪の天才科学者に扮したジム・キャリーの怪演も評判のこの快作について、中川大志がソニックの声を担当した日本語吹き替え版も含めてご紹介します!
『ソニック・ザ・ムービー』のあらすじ(ネタバレ無し)
地球への逃避行
宇宙の彼方のある星。音速よりも速く走れるなどさまざまな特殊能力を持っているソニック(声:ベン・シュワルツ)は、友人のロングクローと一緒に平和に生活していました。しかしある日、ソニックの特殊能力を狙う強大な悪者が彼らに襲いかかります。思ったところへ一瞬にして移動できる力を持つ金色のリングを使って、ロングクローは自分が盾になりながらソニックを「宇宙の果ての惑星」=地球へと逃がします。
ソニックはアメリカ・モンタナ州の小さな町グリーンヒルズにたどり着き、自分を狙う魔の手を避けるため人間たちからも身を隠しながら、たった一人で生活し続けました。友達がいない寂しい毎日の中で、彼は町の保安官トム(ジェームス・マースデン)と妻のマディ(ティカ・サンプター)に特別な興味を持っていました。
悪の天才が野心を抱き…
ある夜、ソニックは寂しさを紛らわせるために、音速移動を駆使して遊んでいました。しかし、それが原因で誤ってグリーンヒルズがある地域を一斉に停電させてしまいます。政府や軍、そしてCIAはこの原因不明の異常現象の調査を開始しますが一向に解明できず、仕方なくいわくつきの天才科学者ドクター・ロボトニック(ジム・キャリー)に調査を依頼します。
さまざまな最新機器と助手たちを引き連れてグリーンヒルズにやってきたロボトニックは、すぐにソニックの存在に気が付き、彼の驚異的な特殊能力に目を付けます。全宇宙を支配することができるほどの力を秘めたソニックを捕まえようと、ロボトニックは自身の発明した科学技術を駆使してソニックの捜索に躍起になります。もちろんそれは、彼が受けていた命令とはまったく関係がない、彼の暴走でした。
やっと出来た友達とともに…
ソニックはロボトニックから逃れるため納屋に隠れていましたが、そこでトムに誤って麻酔銃で撃たれてしまいます。意識が戻ったソニックはトムたちに事情を説明し、彼らもソニックを受け入れます。偶然ながら、彼らは友達になることができたのです。
トムたちの協力で逃走を続けるソニックでしたが、そのドタバタの中で、大事に持っていた金色のリングをサンフランシスコへと移動させてしまいます。ソニックとトムは、ロボトニックの野望を阻止する切り札でもあるリングを取り戻そうと、大冒険を始めますが…。
ソニックってどんなキャラ?デザイン騒動って?
ソニック誕生
ソニックはもともと、1990年代初めに日本のゲームメーカー「セガ」のビデオゲームに登場するキャラクターとして誕生しました。正式名称(?)の「ソニック・ザ・ヘッジホッグ(ハリネズミのソニック)」が示す通り、ハリネズミを擬人化したデザインです。セガ自体のマスコットキャラクターとしての役目も担っているため、全身の色もセガのロゴに合わせて青(コバルトブルー)になっています。子供にも親しみやすいデザインのおかげで、日本だけでなく海外でも絶大な知名度と人気を誇る大人気キャラクターとなりました。
永遠の少年?
彼の最大の特徴は、何と言っても音速(ソニック)で走ることができるという能力。そのため、姿を識別されることなく人間の目の前を走ることもできるので、まるで忍者のように突然現れたり姿を消したり…ということもできます。
性格は自信家でちょっと尊大。でも、そのおかげでどんな困難にも物おじせずに立ち向かうことができるのです。自由を心から愛する一方でちょっと寂しがり屋。純真な少年のような性格ですね。
デザインのやり直しで公開延期!?
ご存知の方も少なくないと思いますが、実は今回の映画、そのソニックのデザインが原因で公開が延期になりました。映画の製作が進んでいる頃、この映画用に新たにデザインされたソニックの姿がポスターや特別映像、そして予告編などで公開されると、リアルで人間的なデザインだったのが不評で、世界中のファンに加えてゲーム版を創作した日本のクリエイターたちまでもダメ出しする騒ぎになりました。製作者側はすぐにソニックのデザインからやり直し、CGもすべて作り変えるために映画自体の公開延期を決定しました。こうして、思わぬ形で完成までに時間がかかってしまったこの作品ですが、新たなソニックのデザインだけでなく映画自体も好評で、大ヒットを記録しました。
映画の見どころ&キャストを紹介 中川大志がソニックの吹き替えを担当!
単純明快な音速アドベンチャー
映画の評判がよかったのは、変にヒネらずに正統派のハリウッド流ファンタジー・アドベンチャーとして手堅く仕上げてあるからでしょう。ソニックのキャラや能力の設定を巧みに活かした、まさしくノンストップの冒険映画として、最後まで飽きずに観ることができます。
往年のコメディスター復活!
とは言え、悪役が魅力的ならこの手の映画はさらに面白くなります。この映画も“枠”こそ正統派ですが、キャリーがロボトニックに扮していることで、別の面白さが生まれています。彼の出世作となった90年代中頃の『エース・ベンチュラ』や『マスク』などのコメディを連想させる怪演ながら、その後の『トゥルーマン・ショー』や『マジェスティック』などのシリアスドラマで培った演技力を活かして、主役のソニックを食ってしまわないように程よく暴走(?)しています。
ソニックの良き相棒になるトムに扮したジェームズ・マースデンは、『きみに読む物語』などのヒット作、そして何と言っても『X-MEN』シリーズのサイクロップス役でおなじみです。加えて、本格的な歌の勉強はしていないにもかかわらずプロ並みの歌唱力を持っていることでも有名で、ミュージカル映画『ヘアスプレー』やディズニー映画『魔法にかけられて』、そして人気ドラマ『アリーmy Love』などでは見事な歌声を披露しています。
見事なクオリティの吹き替え版
この映画の日本語吹き替え版で、若手人気俳優の中川大志がソニックの声を担当していることも話題になっています。子役から演技の経験を積んできていて、劇場アニメ『ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年』、そして『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』などで声優の経験はありますが、今回はかなり本格的、しかも主役ということで、かなりプレッシャーもあったようですが、クオリティの高い吹き替えを披露しています。
そして、守備範囲が広く実力もトップクラスの人気声優・山寺宏一が、キャリー並みの芸達者ぶりでロボトニックの声をアテています。これ以上のキャスティングはないでしょう。
新型コロナウイルスの影響で日本では「近日公開」となっていますが、ソニックの活躍はスクリーンで観てこその爽快さです。一日でも早くその日が来ますように…。