11月13日(金)に、中山七里さんのベストセラー小説が原作となった、映画【ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-】が公開されます。本記事では、【ドクター・デスの遺産】の原作ネタバレと結末について、徹底解説していきます。
【ドクター・デスの遺産】原作ネタバレと結末
映画【ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-】について
「安楽死」をテーマとした、中山七里さんの推理小説『ドクター・デスの遺産』が、実写映画化されました。
人には、生きる権利と死ぬ権利が平等にある――。
安らかな死をもたらす白衣の訪問者は、聖人か、悪魔か。警視庁の敏腕コンビVS闇の医師、極限の頭脳戦が幕を開ける。大人気警察医療ミステリーです!
監督は、ドラマ化も決定した【神様のカルテ】などの作品を手掛けた深川栄洋さんです。
筆者は予告動画を見たら、犯人が早く知りたくなり、原作を一気読みしてしまいました。その感想についても後ほど書いていきます。
映画【ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-】の登場人物を紹介
この映画で二回目の共演となる、綾野剛さんと北川景子さんがメインで「ドクター・デス」に立ち向かう刑事を演じています。
原作にはいない、新米刑事役の岡田健史さんの二人との関わりも気になります。
・警視庁捜査一課の敏腕刑事、犬養隼人(綾野剛)
・犬養のバディ、冷静沈着な女性刑事、高千穂明日香(北川景子)
・実直で真面目な新米刑事、沢田圭(岡田健史)
・警視庁捜査一課の班長、麻生礼司 (石黒賢)
・警視庁捜査一課の刑事、室岡純一 (前野朋哉)
・警視庁捜査一課の刑事、青木綾子 (青山美郷)
原作ネタバレと結末
事件の始まりは八歳の男の子の証言
「悪いお医者さんが来てお父さんを殺しちゃったんだよ」
という一本の通報が警視庁通信指令センターに入った。馬籠大地という八歳の男の子だった。
念のためと、捜査一課の犬養と高千穂は大地に会いに行く。大地の父、健一は末期の肺がんで自宅療養していたが、父が亡くなった際、「二人の医者が来た」と大地が証言した。一人目は看護師と二人で来て、注射をし、二人が帰った後、それまでしゃべっていた父親が亡くなったと。解剖の結果、一人目の医師に塩化カリウム製剤を注射され、それが原因で亡くなったことが分かった。
ドクター・デスの往診室というサイト
大地の母親は犬養の聴取の結果、「ドクター・デスの往診室」というサイトで「安楽死 請け負います」という文を見つけ、治療費、子供との生活の不安に追い詰められた末、「安楽死」を依頼したと白状した。母親は本人にも承諾を得たこと、さらに「主人を安らかに死なせることができてうれしかった。ドクター・デスには感謝してもしきれない」とまで言った。
安城邦武の死
犬養たちが、サイトから犯人を割り出そうとするがうまくいかない中、馬籠健一の死がドクター・デスによる安楽死と世間に知れ渡ってから、また警視庁通信指令センターに「ドクター・デスに安楽死させられたやつがいる」という通報が入る。
安城邦武という男だというのだ。安城は病院で死亡していて、工場で起きた爆発事故の被害者で、重症患者だった。高カリウム血症が死因のため、安楽死させられたとも考えられたが、家族も職場の人間も誰も彼のことを悪く言う人はいない。自分の夫が苦しむ姿をみるのがつらく、妻もサイトはのぞいたが、悩んでいるうちに急変して亡くなったということだった。
捜査の結果、塩化カリウム製剤の入ったバッグは見つかったものの、防犯カメラの映像も不審な点はなく、結局ドクター・デスの犯行かはわからなかった。
岸田正人の死
サイトからの捜査により、岸田正人にたどり着く。
岸田正人は24歳という若さで昨年亡くなっていた。母親を聴取すると、拡張型心筋症で、母親がドクター・デスに「安楽死」を依頼していた。
聴取により、その医師の特徴は、小柄で頭が禿げていることが分かった。看護師についてはわからないとのことだった。
犬養自らがおとり捜査
犬養には腎不全で入院して透析をしている娘・沙耶香がいる。
娘の名前を変えて、さらに別の病院に入院していると伝え、自らがおとりとなり、安楽死を「ドクター・デス」に依頼した。無事、依頼は完了し、決行日を迎え、病院でドクター・デス待ち構える犬養たち。だが時間になってもドクター・デスは現れない。その時、犬養の携帯に麻生から連絡が入った。沙耶香が入院している本当の病院に塩化カリウム製剤が入った点滴バッグが届いた。「ドクター・デス」からのこれ以上近づくなという脅しだった。計画は失敗。ドクター・デスのハッキング能力が完全に上回っていた。
沙耶香の病室に謝罪に行くと「私安楽死なんて望んでない。まだ絶望してないし病気だって治ると信じている」と言われる。犬養は、娘の安全のためにも、改めて「ドクター・デス」を捕まえると心に誓った。
法条正宗の死
通信指令センターへ法条正宗が安楽死させられたという通報が入った。彼は総資産400憶の法条グループの総師だった。犬養達の捜査により、息子の英輔が安楽死を依頼したことが発覚。
正式には籍は入れていないが、正宗の後妻とその息子に遺産を取られたくないためと思われたが、そうではなく、後妻が遺産を手に入れるため動き、家の中がもめていたため、それをやめさせたいという正宗の願いと、威厳を保っていた父の苦しむ姿を見たくなかったという理由だった。
ここで英輔が付き添い看護師の顔を覚えていて、似顔絵捜査にこぎつける。ショートボブの丸顔で目が小さい。30から40代くらいの女性だった。
看護師・雛森めぐみへの聴取
捜査により、ついに「ドクター・デス」に付き添っていた看護師を聴取することになった犬養たち。雛森めぐみは、初めは、しらを切っていたが、殺人共犯として逮捕されると聞くと、「知らなったんです。先生は抗がん剤をうっていると思っていたんです。」と白状した。
めぐみへの聴取により、医師の名前が寺町亘輝と発覚した。
安城邦武の死の真相
捜査を進めるも、寺町という医師は見つからない。
そんな中、今までの「ドクター・デス」に安楽死させられた人の中で安城邦武だけは、安楽死とは言えず最後まで苦しみ続けて亡くなったことが発覚。「ドクター・デス」のサイトにそのことを書き込むと、それは自分が安楽死させた人ではないとの返事が。
再捜査をしたところ、爆発事故は安城の確認ミスということになっていたが、実は職場の同僚の小菅のミスということが分かった。小菅は安城が目覚めたら、それがばれてしまうことを恐れ、「ドクター・デス」による死に見せかけ、塩化カリウム製剤の入った点滴バッグをすりかえ、安城を殺したのだった。さらに小菅は、毎日見舞いに行く中で苦しみ続ける彼を楽にしてやりたいという思いもあったと吐露した。
寺町亘輝の逮捕
めぐみの証言から一週間たっても、寺町の消息はつかめなかった。
そんな中、各現場の玄関にあった土から、土手の土がみつかる。つまり、寺町の靴についていた土から、ホームレスで土手で生活していることが発覚し、あっさり寺町は逮捕される。
しかし、聴取から、自分は白衣を着て往診に付き添うバイトをしてお金をもらっていたというのだ。実際に医療行為をしていたのはめぐみだったと。
「ドクター・デス」は寺町ではなく雛森めぐみだったのだ。
犬養は雷にうたれたように、慌ててめぐみを確保しようとするがすでに姿をくらましていた。
真犯人がなぜ「ドクター・デス」となったのか?
めぐみを探している最中、非通知で犬養にめぐみから、海外に渡航すると電話が入る。
その電話でなぜめぐみが「ドクター・デス」となったのかが分かる。
めぐみは中東で無国籍医師団の看護師だった。そこで山のような死体と死にかけている人たちを目の当たりにする。さらに手の施しようがなく、苦しむ人たちを楽に「安楽死」が日常的に行われていたのだった。
めぐみが尊敬していたブライアンという医師も同じことをしていた。めぐみも最初は躊躇したものの、その状況にだんだんと慣れていった。そんな中、めぐみとブライアンは爆撃を受け、ブライアンの胸は鉄筋に貫かれていてもうどうしようもなかった。ブライアンは注射器をめぐみに渡し、「死ぬ権利を与えてくれ」と言った。
めぐみはそこで最愛の人に「安楽死」の処置を行い、「ドクター・デス」が誕生した。
衝撃の結末
めぐみは新幹線の中にいた。日本での最後の依頼を請け負い、これを最後に海外に渡航するつもりでいた。
久津輪博信という末期がんの患者で本人自ら依頼をしてきた。出雲市の久津輪の家に行くと、そこには先回りしていた、犬養と高千穂がいた。ドクター・デスの依頼者の中で、久津輪がブライアンにとても似ていたため、めぐみは必ず依頼を受けるだろうと先回りしていた。
だがその時、土砂崩れが起き、久津輪の家がつぶれてしまう。
めぐみ、犬養、高千穂の三人は無事だったが、久津輪の胸に天井の梁がのしかかり、どうにもならない状態だった。めぐみは「このまま放っておいても、もって10分か15分。苦しみ続けるだけ。私は楽にする道具は持っている」と、注射器をとりだした。
犬養は注射をやめさせようとするが、めぐみが「警察官としてこの人が苦しんだまま亡くなっていくのを指をくわえて見ているの?」と問いかける。そして、三秒待つからその間にこの注射器を粉々にするよう言った。犬養は葛藤したが、久津輪のうめき声を聞き、肩を落とした。そして、めぐみが注射をするとそれまで苦しんでいた久津輪の顔が安らかになった。
犬養と高千穂は殺人犯を逮捕したのに、敗北者の顔をしていた。
その後、沙耶香に「ドクター・デス」逮捕の報告をしに行く犬養。
安楽死をさせてしまって落ち込む犬養は、沙耶香に、「もし自分が助からない病気で苦しさが増すだけになったらそれでも病気と闘い続けるか?」と問う。沙耶香は「あたしだったら安楽死どうのこうのはまず考えない。最近はとことんやったれとか思う。あきらめの悪い誰かさんの娘だからじゃないかな」と答えた。
まとめ
筆者は原作を読んで、「安楽死」させること自体は犯罪だが、辛そうな家族をみるなら楽にさせてあげたいという依頼者の気持ちも少しわかってしまいました。だからといってめぐみのように繰り返していいとは思いません。誰もが起こりうることなので、考えさせられる内容だと思いました。
予告からみる、この映画と原作の違いを挙げてみました。
- 犬養の娘が誘拐される?
- 犬養が高千穂からビンタされる→原作で高千穂は後輩で一歩引いた印象です。犬養!と呼び捨てしていたし、これはびっくりしました。
- 岡田健史さんが新米刑事役で出演
上記の点や他にも原作との違いがあれば、そこにも注目しながら映画館で見ましょう!