大ヒットしたテレビシリーズ「ダウントン・アビー」が映画化。ドラマの映画化は「ドラマを観ていないと理解できないのでは?」と二の足を踏む人は多いと思います。さて映画『ダウントン・アビー』はいかに?というわけで、ドラマ未見の筆者が映画『ダウントン・アビー』が楽しめるか、Q&A方式で検証します!
あらすじ
20世紀初頭、イングランド北東部ヨークシャーのダウントン村にあるカントリー・ハウス「ダウントン・アビー」。当主のグランサム伯爵/ロバート・クローリー(ヒュー・ボネヴィル)、妻コーラ(エリザベス・マクガヴァン)と、その家族が共に暮らし、そこには、先代伯爵夫人(マギー・スミス)もたびたび訪れていました。ある日、ダウントン・アビーにジョージ5世とメアリー王妃が訪れるという知らせが入り、一家と使用人たちは大いに喜びます。準備を完璧に整えようと張り切りますが、国王滞在中の世話について、残念なお知らせが国王の側近から告げられるのです。
作品概要
『ダウントン・アビー』(2020年1月10日より全国ロードショー)
監督:マイケル・エングラー
脚本: ジュリアン・フェローズ
出演:ヒュー・ボネヴィル、ジム・カーター、ミシェル・ドッカリ―、エリザベス・マクガヴァン、マギー・スミス、イメルダ・スタウントン、ペネロープ・ウィルトン スコープ
Q1:そもそも「ダウントン・アビー」って、どんなドラマ?
4127_D006_00013-00014_R_COMPJim Carter stars as Charles Carson in DOWNTON ABBEY, a Focus Features release.Credit: Jaap Buitendijk / Focus Features
テレビシリーズ「ダウントン・アビー」は。2010年~2015年にかけて放送されたイギリスのドラマシリーズ(日本ではスターチャンネルとNHKで放送されていた)
1912年から1925年にかけてのイギリス、ヨークシャーの架空のカントリー・ハウス「ダウントン・アビー」に暮らす、グランサム伯爵クローリー家とその使用人たちの生活を描いた物語。恋愛、結婚、後継者問題など家族に起るドラマをメインにしながら、当時の起こった史実(タイタニック号沈没、第一次世界大戦など)を織り込み、それらがイギリスの階級社会に及ぼした影響なども描いています。イギリス、アメリカで多くのテレビ賞を受賞している人気ドラマ。
Q2:ドラマを観ていなくても物語についていける?
映画版『ダウントン・アビー』は、2015年に放映されたテレビシリーズ「ダウントン・アビー」シーズン6の数年後の設定になっています。登場人物はドラマシリーズと同じながら、内容は「国王がやってくる!」という特別編の位置づけ。登場人物の関係性はドラマから継続されていますが、ドラマの人物たちにとってもスペシャルな出来事を映画化しており、筆者は「国王がやってくる」と大騒ぎしている使用人たちを見て、「映画ではドラマにはない特別なことが起こる」と冒頭でわかったので安心して観ました。
Q3:登場人物の人間関係はわかりやすい?
(c) 2019 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.筆者も映画を観る前はそこがいちばん不安でした。確かにドラマを観て予習をしていった方が「ダウントン・アビー」の世界にすぐに入れますが、映画を観た印象では、ポイントさえ覚えておけば大丈夫です。
この作品は大きく分けると、クローリー一家の皆さんと使用人の皆さんという2つのグループで成り立っており、各エピソードに即したゲストたちが3つめのグループとして存在します。映画版は、国王夫妻と周辺の人たちが第3グループに該当しますね。計3つのグループから成り立っていると考えておけば、頭の中で人間関係を整理しやすく、ゴチャゴチャと混乱することもないと思います。
では、映画版のストーリーをポイントごとに観ていきましょう。
ポイント1:元執事の復帰、現執事のプライド
クローリー家のしっかり者の長女メアリー(ミシェル・ドッカリー)は、国王夫妻が来ることで浮足立っているように見える若い執事のトーマス(ロブ・ジェームス=コリヤー)に不安を感じ、元執事のカーソン(ジム・カーター)を呼び戻します。そのことでトーマスのプライドは傷ついてしまい、二人の間に緊張感が走ります。
ポイント2:国王の世話係がクローリー家の使用人を追い出す!
(c)2019 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.国王夫妻のお世話にはりきる使用人たちですが、国王の側近がダウントン・アビーの下見に来た際、国王夫妻のお世話と食事は国王側のスタッフで行うと告げて、使用人たちは意気消沈。しかし、一つのアイデアで、彼らは自分たちの願望を形にするのです。
ポイント3:謎の男チェドウッド大佐の目的
クローリー家の亡き三女の夫トム(アレン・リーチ)に近づいてきたチェドウッド大佐(スティーブン・キャンベル・ムーア)。怪しい行動をとる大佐を気にするトムの嫌な予感は的中!彼はとんでもない目的を持って、クローリー家に近づいたのです!
ポイント4:伯爵未亡人バイオレットと王妃の侍女モードの確執
(c) 2019 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.バイオレットとモードは犬猿の仲。というのはモードが自分の財産を自分の侍女ルーシー(タペンス・ミドルトン)に相続させると宣言したから。彼女はバイオレットの息子ロバートの従妹。「なぜ他人のルーシーに財産を与えるのか!」と、バイオレットは激怒! しかし、それには理由が……。演技派女優のマギー・スミスとイメルダ・スタウントンの演技合戦は実に濃厚で見応え大あり!
(c) 2019 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.以上、映画版の予習である4つのポイントを押さえておけば、大丈夫だと思います。
Q4:映画『ダウントン・アビー』の魅力とは
4127_D024_00054_RMichelle Dockery stars as Mary Crawley and Elizabeth McGovern as Cora Crawley in DOWNTON ABBEY, a Focus Features release.
Credit: Jaap Buitendijk / Focus Features
映画『ダウントン・アビー』は、ドラマを知らない観客に「ダウントン・アビーの世界」を伝える役割も担っています。この映画を観ていると、英国貴族の日常に入り込んだような感覚を味わえますが、それこそテレビシリーズ「ダウントン・アビー」の魅力のひとつなのではないでしょうか。
カントリー・ハウスの内部、インテリア、美術品、衣装など、貴族の私生活が垣間見られるのは本当に楽しく、また、使用人たちは自分たちの仕事に誇りをもっており、当主や奥様との間に上下関係はありますが、お互い認め合う様子がうかがえます。パワハラ、モラハラみたいな世界とは無縁な信頼関係で成り立っているところに安心感があります。
4127_D001_00007_RCPhyllis Logan stars as Mrs. Hughes, Michelle Dockery as Lady Mary Talbot and Jim Carter as Mr. Carson in DOWNTON ABBEY, a Focus Features release.
Credit : Jaap Buitendijk / © 2019 Focus Features, LLC
エレガントな貴族社会の中に生きるキャラクターが魅力的に描かれ、かつ、ユーモアもあるので親しみやすさも!映画を観て「テレビシリーズも観てみよう」と思う人はいるはずです。
というわけで、ドラマ「ダウントン・アビー」を観てから映画版を観てもいいですが、シーズン6まであって長いので、とりあえず映画『ダウントン・アビー』から観るのも大ありだと思います!