画像出典:https://eiga.com/movie/91023/
アルゼンチン犯罪市場最も有名で凶悪な犯罪者 カルロス・ロブレド・プッチ。20歳にして終身刑を言い渡されたが、美しすぎる整った容姿にマスコミからも、国民からも、熱狂的な関心を集め、「死の天使」「ブラック・エンジェル」などと呼ばれた。そんなカルロスをモデルにした本作『永遠に僕のもの』は主演にロレンソ・フェロを迎え、口コミで話題を集めている。
あらすじ
みんなどうかしている、もっと自由に生きられるのに−
ブロンドの巻き髪に透明感溢れる艶やかな白い肌を持つ、美しすぎる少年 カルロス・ロブレド・プッチ、通称カルリートスと呼ばれる。カルリートスは欲しい物を手に入れるためならば盗みも殺人も自分だけは神から許されていると思い込んでいる。カルリートスという名前の持つ「自由な男」という意味通り、欲望を満たすためには目障りな者は誰でも殺してしまうのだ。そんな中、新しい学校で出会ったラモンと意気投合し、ラモンの父親も交え3人で様々な犯罪に手を染めていくようになる―。
主演 ロレンソ・フェロ
画像出典:https://find-something-new.com/archives/1995
アルゼンチン出身のロレンソ・フェロは、これまで子役としての経験はあったが、映画出演自体はこれが初めてとなる。キャスティングされるきっかけは、本作のプロデューサーが父の日に撮影した写真が偶然掲載された雑誌を見て、連絡をしてきたことであった。そこから、オーディションを受け、1000人にも及ぶ応募者の中から見事抜擢された。本作をきっかけに“南米のディカプリオ”“ポストティモシー・シャラメ”などと呼ばれるようになり、世界中で注目の的となっている。作中でもイヤリングを試しに付けている姿が「マリリン・モンローのようだ」と表現されているように、中性的な美しさが大きな魅力となっている。かなり童顔なことに加え、身長も163センチと小柄だが、すでに20歳で成人している。世界中を探しても彼しか持っていないこの個性は、映画業界に彼にしかできない役柄を生み出すことを許したとも言える。彼自身はこれまで音楽をメインにラッパーとしても活動しており、アルバムもリリースしている。また、父親はラファエロ・フェロでアルゼンチン国内では知らない人はいないほど有名な俳優だ。今後、俳優と音楽、二足のわらじを履きこなす彼の更なる活躍が世界中で期待されている。
モデルになった事件とは?
本作のモデルとなったのは、カルロス・ロブレド・プッチで、アルゼンチン犯罪史上最も有名で最凶として知られている。彼が逮捕された70年代、まだ肌の色や身長の高さ、体型など、見た目で人を判断することが普通の時代だったため、一般的に犯罪者とされる人は、見た目が悪い人と思い込まれていた。そんな中で、見た目が極めて優れたカルロスは最凶の犯罪者と言われながらも、多くの熱狂的関心を集め、ファンまでもが生まれる事態となった。そんな彼の人生とは?
カルロス・ロブレド・プッチ
1952年1月22日にアルゼンチンで労働者階級の家族の元に生まれ、逮捕後「生まれながらの犯罪者」「精神異常者」とマスコミで呼ばれる一方で「死の天使」「ブラック・エンジェル」と国民からは呼ばれたカルロスが起こした事件は殺人や窃盗、強姦や性的暴行など35件にも及んだ。
画像出典:https://news.arukikata.co.jp/column/entertainment/South_America/Argentina/BUENOS_AIRES/133_147914_1560933330.html
しかも、この35件もの犯罪を1971年から1972年の約1年の間で行なったというから驚きだ。全ての犯罪で有罪判決を受けたカルロスは終身刑となり、1973年から現在に至るまで刑務所に収容されている。
作中ではカルリートスと共犯者のラモンが恋愛感情を持ち合っているかのように見受けられるシーンが多々あったが、カルロス自身はインタビューを受けた際に同性愛者であることを否定している。実際に性犯罪も犯していることから、同性愛者ではないという主張が正しいという声もあるが、本当はカルロスがどんな犯罪をしても手に入れられなかったものは真に愛した人だったのではないかとも言われており、様々な憶測が今もなお生まれ続けている。
楽しみにしてた「永遠に僕のもの」鑑賞したんだけど、めちゃくちゃ似てんなあ。どちらもべらぼ美しい。素晴らしい映画でしたよ。 pic.twitter.com/wjdh3VtABm
— 小原 綾斗 (@jimihemn) August 22, 2019
まとめ
犯罪に対して全く悪の意識はなく、まるで心を持っていないかのようなカルリートスだが、作中では盗んだモノを周りの人に配るシーンや、涙を流すシーンもある。もし周りの人のためを思って、モノを配ったり、涙を流していたりするのであれば、善悪の区別はわかる人間に育ったのではないかと思う。しかし、カルリートスは間違いなく悪の意識を全く持っていない。もしかしたらモノを配ることも、涙を流すことも、私たちでは理解できない第六感が作用して、自分のための行動として起きたことなのではないかと思う。また、「犯罪者の原因は親にある」と一般的に言われることが多く、本作でも同様のことを表すセリフがあった。しかし、作中で描かれるカルリートスの両親は優しく良い人として描かれている。
育ってきた環境が原因ではないとすると、明確なきっかけは到底わからないが、犯罪を犯すことを厭わない人はもしかしたら世の中にまだ潜んでいるのかもしれない。カリスマ的とも呼ばれてしまう犯罪者は過去に日本でも何人か現れたことはあったが、彼らの人間性を知るのに良質な作品であることは断言できる。ロレンソ・フェロの美しさが話題になっていることからターゲットは女性と思われがちだが、男女問わず見ていただきたい。
「永遠に僕のもの」を観る。“みんなどうかしてる”という第一声が頭から離れない。どう考えても無軌道に犯罪を繰り返す少年の方がどうかしてるのに、心のままに踊り、届かないものを想って涙する無垢な姿を見ていると、本当にどうかしてるのはモラルや社会通念の方なのかとすら疑いたくなる。必見。 pic.twitter.com/CoS0yraP5R
— 映画情報 オスカーノユクエ (@oscarnoyukue) August 26, 2019