SF映画の傑作『E.T.』は、なぜ傑作と言われ続けているのか…
およそ40年近く前に公開した映画にも関わらず、今も高い評価を獲得し続けている作品です。
そんなSF映画の金字塔『ET』のあらすじを徹底考察!ETと主人公エリオットの繋がりや、38年後の続編についても紹介していきます!
映画『E.T.』について
1982年に公開した、スティーヴン・スピルバーグ監督によるSF映画、『E.T.』。
公開からおよそ40年近く経過した今でも、名作として輝き続ける傑作映画です。
しかしこの映画、実はとても低予算で作られた作品。
制作費は、日本円に換算して、約10億円ほど。
興行収入が、現在のルートで計算すると約830億円隣、破格の大ヒットを記録したことがわかります。
日本では、15年ほど興行収入No.1の記録を保持していた作品でもあります。
主演はヘンリー・トーマス、しかし本作のヒットにおいて人生を左右されたのは、末っ子の妹役を演じたドリュー・バリモア。
この可愛さにより、アメリカでは時代の寵児とも言えるブレイクをしています。
そして、人生を壊すほどのターニングポイントとなっていたのは有名な話。
物語は、主人公エリオットと宇宙人ETの友情の物語。
40年が経過した今でも語り継がれている、映画界に輝く名作中の名作。
映画『E.T.』の作品情報
原題:E.T. The Extra-Terrestrial
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:メリッサ・マシスン
出演:ディー・ウォレス、ヘンリー・トーマス、ピーター・コヨーテ、ロバート・マクノートン、ドリュー・バリモア
公開:1982年12月4日
時間:115分
配給:CIC
映画『E.T.』のあらすじ
地球に、未確認飛行物体が降り立つ。
それは宇宙船。
宇宙船の中から、宇宙人が何人も降りてくる。
彼らの目的は、植物だった。
植物を採取し、サンプルとして持ち帰ることが目的。
その中の1人が、宇宙船から遠く離れた場所の植物を物色し始める。
すると、この事態を察知していた政府の人間が近づいてくる。
その事態に気がついた宇宙人たちは颯爽と、大空へと飛び立っていく。
ひとり、遠く離れた宇宙人を残して。
取り残された宇宙人は、10歳の少年エリオットと出会うことになる。
そして彼とは強い繋がりを持ち、深い友情で結ばれるのだった…
映画『E.T.』を徹底考察!
『E.T.』は、宇宙人E.T.とエリオット少年との繋がりを描いた作品です。
この2人の繋がりは、実は友情を描いたものでは無い、と言うのはご存知ですか?
もちろん、映画の物語として、表向きは友情なのですが、実はある出来事で暗喩として描かれている作品なのです。
映画『E.T.』で描かれている、隠れた設定を紐解いていきます!
E.T.とエリオット
エリオットとE.T.は、強いつながりを持ちます。
劇中では、初めて出会った2人はエリオットが部屋に連れてきて、一緒に生活を始めます。
E.T.とコミュニケーションを取り始めるのです。
最初の繋がりは、部屋にやってきた最初の晩。
エリオットとE.T.がシンクロします。
指を唇に持っていくと、E.T.も同じ行動を見せるのでした。
このシンクロは、この場面だけの出来事ではなく、エリオットとE.T.が、心と意識までもがつながりを持っていることが、この後に判明します。
それはエリオットの学校のシーン。
E.T.は、家で冷蔵庫を漁ります。
そしてビールを飲み、酔っ払ってしまいました。
同様に学校にいるエリオットも、E.T.同様に酔っ払ってしまいます。
最後はコメディ的な笑えるオチで終わるシーンですが、実はこのシンクロは暗喩としてはとても重要なシーンでした。
エリオットと、E.T.が単なる友情だけの繋がりでは無いと言うことを示しているのです。
スピルバーグ監督が描きたかったこと
スピルバーグ監督が、本作に込めた暗喩、いわゆるメタファーとなるのは離婚です。
”両親の離婚”と言うのが暗喩として描いたことだったのです。
エリオットの家は、母親が3人の子供を育てています。
そこにE.T.がやってきます。
ここで、どうやって両親の離婚を描くのか…
と言うのが、エリオットとE.T.のシンクロでした。
要するに2人は家族以上の関係である、と言うのがこのシンクロによって生み出されていたのです。
クライマックスで、E.T.が瀕死状態になり、エリオットにもその状態が引き継がれます。
2人は友情では示しきれない特別な関係だと言うのが、兄の言葉で初めて示されるのです。
これまでは、シーンとして描かれてきたのがここで、言葉で説明され、ふたりの関係性が明らかにされるのでした。
そして、ラストの別れのシーン。
E.T.が一緒に行こう、と言い、感動のシーンがやってきます。
家族との別れ、それは最愛の人物との別れだったのです。
映画『E.T.』の続編
2019年、アメリカのとある企業のクリスマスキャンペーンのCMに『E.T.』が起用されました。
しかもそれは、単なるCMではなく、続編として展開されました。
E.T.が再びエリオットの元に、38年ぶりにやってくると言うもの。
しかもこのCMは、実際にスティーブン・スピルバーグも監修しているとのこと。
4分強の動画ですが、しっかりと映画『E.T.』を踏襲し、時間が経過していることを描いているれっきとした続編として、ふに落ちる物語になっています。
映画『E.T.』の続編・解説
メイキングも公開されています。
本作は、基本としてはCMですが、その技術はそのまま映画並のクオリティで製作されています。
物語はエリオットの元にE.T.がやってきます。
エリオットは、すっかりおじさんになっていて、奥さんと子供がふたり。
家族は驚くも、エリオットとE.T.が再開を果たし、家族を紹介します。
そしてエリオットの家でホリデーを過ごします。
ここは企業CMらしい場面でもありますがインターネットを説明し、時代の変化を説明。
楽しいひとときを過ごした後、E.T.にも家族がいることがわかります。
そして、迎えがくるので、子供たちと、自転車に乗って山へと向かいます。
ここで、あの名シーンの再現です。
ここからの展開は、82年の『E.T.』の感動の名シーンを踏襲し、宇宙へと帰っていくE.T.を見送りCMが終わりを迎えます。
38年ぶりの続編。
それがCMだとしても、しっかりと当時の作品を愛する人たちが作ったことが分かるような短編でした。
映画『E.T.』を考察・まとめ
以上、映画『E.T.』で描かれていた繋がりを紐解いてきました。
その繋がりが38年ぶりに復活したのも、この映画のファンにとっては嬉しい出来事です。
とてもハートフルで、たった4分の短編でも満足のいく物語になっていました。
公開から長い時間が経過した今でも、名作として語り継がれ続けている映画『E.T.』。
この記事を読んで、その理由のひとつともされるストーリーの内容を少しでも理解していただければ幸いです!