映画【鳩の撃退法】が、2021年8月27日(金に公開されます。
主演は『カイジ』シリーズなど数多くの作品に出演し、日本を代表する俳優・藤原竜也さんで、直木賞も受賞した天才小説家の津田伸一を演じます。さらに土屋太鳳さん、風間俊介さん、西野七瀬さんなど豪華俳優陣が脇を固めています。
藤原竜也さんと風間俊介さんの共演。どちらも濃い2人でとても楽しみです!
本記事では、【鳩の撃退法】の原作ネタバレ、読むのが超過酷と話題の小説を完読してみたことについて書いていきます。
映画【鳩の撃退法】の概要
原作・スタッフ
原作 | 佐藤正午 |
監督 | タカハタ秀太 |
脚本 | 藤井清美 |
【鳩の撃退法】の原作は、第157回直木賞を受賞した作家・佐藤正午さんの数ある作品の中で最高到達点との呼び声高いエンターテインメント小説です。累計発行部数は16万部を突破し、第6回山田風太郎賞を受賞するなど高い評価を得て、実写化不可能と言われ続けてきた中で、実写映画として“観客参加型謎解きエンター<転>メント”に生まれ変わります。
監督はテレビドラマ「赤めだか」でギャラクシー賞ほかドラマ界の賞を総なめするなど、映画だけではなくテレビドラマ・バラエティ・ミュージックビデオとジャンルを問わず、マルチに活躍するタカハタ秀太さん。
脚本は、「るろうに剣心」シリーズやドラマ、舞台などを手掛けてきた藤井清美さんです。
あらすじ
かつては直木賞も受賞した天才作家・津田伸一(藤原竜也)は、とあるバーで担当編集者の鳥飼なほみ(土屋太鳳)に書き途中の新作小説を読ませていた。
〈あらすじ〉
一年前、閏年の二月二十九日。雪の降る夜。今は富山の小さな街でドライバーとして働いている津田伸一は行きつけのコーヒーショップで偶然、幸地秀吉(風間俊介)と出会い、「今度会ったらピーターパンの本を貸そう」と約束をして別れる。しかし、その夜を境に幸地秀吉は家族と共に突然失踪する。それから一か月後、津田の元に三千万円を超える大金が転がりこむが、喜びも束の間、それがニセ札であることが判明。
ニセ札の動向には、家族三人が失踪した事件をはじめ、この街で起きる騒ぎに必ず関わっている裏社会のドン・倉田健次郎(豊川悦司)も目を光らせていて、倉田はすでにニセ札の行方と津田の居場所を捜し始めていた……。
神隠しにあったとされる幸地秀吉一家、津田の元に舞い込んだ大量のニセ札、囲いを出た鳩の行方、津田の命を狙う裏社会のドン、そして多くの人の運命を狂わせたあの雪の一夜の邂逅……。
富山の小さな街で経験した出来事を元に書かれた津田の新作に心を躍らせる鳥飼だったが、読めば読むほど、どうにも小説の中だけの話とは思えない。小説と現実、そして過去と現在が交差しながら進む物語。彼の話は嘘か本当か?
鳥飼は津田の話を頼りに、コーヒーショップ店員・沼本(西野七瀬)の協力も得て、小説が本当にフィクションなのか【検証】を始めるが、そこには【驚愕の真実】が待ち受けていた―。
キャスト
- 直木賞作家で主人公・津田伸一:藤原竜也
- 津田の元編集担当者・鳥飼なほみ:土屋太鳳
- 津田と会った翌日から家族で失踪する・幸地秀吉:風間俊介
- 津田の行きつけのコーヒーショップ店員・沼本:西野七瀬
- 秀吉の妻・幸地奈々美:佐津川愛美
- 混乱を招くデリヘル嬢・加賀まりこ:桜井ユキ
- カギを握る郵便局員・晴山次郎:柿澤勇人
- 倉田健次郎の側近・多々良:駿河太郎
- 倉田健次郎の側近・大河内:浜野謙太
- 情報通なデリヘルの社長・川島:岩松了
- 倉田健次郎の側近・山下:村上淳
- バー「オリビア」のママ・加奈子:坂井真紀
- 慈善家の男・堀之内:濱田岳
- 謎に包まれた古本屋の店主・房州老人:ミッキー・カーチス
- 鳩と接触した床屋・まえだ:リリー・フランキー
- 謎に迫る警察官・松方:浜中文一
- 囲いを出た鳩の行方をにぎる謎の大学生・田中:佐藤新(IMPACTors)
- 地方都市の裏社会を牛耳る男・倉田健次郎:豊川悦司
大ベテランからジャニーズの若手まで幅広い出演者ですが、どのように津田と関わっていくのか、このあとネタバレを書いてきますので、想像しながら読んでみてください。
【鳩の撃退法】原作ネタバレ
原作紹介
【鳩の撃退法】は佐藤正午さんの大人気小説で、上下巻で2冊発売されています。
上巻は富山、下巻は東京での出来事が主に描かれています。
幸地秀吉の憤り
この物語は実在の事件をベースにしているが、登場人物はすべて仮名である。僕自身を例外として。津田伸一(藤原竜也)
昨年2月28日の朝、幸地秀吉(風間俊介)は娘の茜から母が起きてこないと聞く。妻の奈々美(佐津川愛美)は風邪なのか寝込んでいた。午後に起きてこない妻のもとにいくと、「あたしたちのあかちゃんがおなかにいる」と言った。秀吉は全身が熱くなった。
その後、バーのマスターをしている秀吉に、若い従業員から3万前借りしたいと連絡がある。ちょうど両替もしたかったので先輩従業員の岩永に頼み、それを了承した。また今日は出勤が遅くなるとも伝えた。
茜の友達・慎改くんの母親で不動産屋の慎改美弥子はベビーシッターを雇っている。妻が茜を時々お願いしているらしく、今日は茜をお願いした。夕方いつも自分が出勤する5時半には妻は起きてくるだろうと雑炊を作って待つ。
茜は秀吉の娘ではない。それを知りながら秀吉は奈々美を受け入れ結婚した。
起きてきて雑炊を食べる奈々美。
そこへ友人の倉田健次郎(豊川悦司)から電話が入る。「6時に封筒を届けるからそれを9時ごろまで預かってほしい。胸ポケットにでも入れておいてくれ。」と頼まれた。秀吉は岩永に連絡しそれが届いたら金庫に保管しておくよう指示する。
秀吉は奈々美に「医者に行ったのか?ほんとうに妊娠しているのか?」と問いかけると彼女は怒りで涙を浮かべうなずく。そして「おなかの子の父親は僕じゃない」と秀吉は言う。父親は誰かと秀吉は問い詰めるが奈々美は答えなかった。
ピーターパンの本
その半日くらい前、午前3時ごろ、秀吉は津田伸一とコーヒーショップで会った。席がなく相席することに。津田はピーターパンの本を読んでいる。その本を近所の古本屋の房州書店で買ったと話した。秀吉は自分の家族について話し、娘がいるが自分の子ではなく、「自分の子供が産まれることはありえない」と言った。津田が今度会ったときにピーターパンの本を貸すと約束をした。帰り際、店員の沼本(西野七瀬)がコーヒーをこぼしてしまいピーターパンの本にシミがついた。
房州老人と殴られた津田
2月28日午後6時ごろ、「女優倶楽部」というデリヘルのドライバーをしている津田は、浅丘ルリ子という源氏名の女を「銀杏」という名のホテルに届ける。客はおじいちゃんだと言っていた。相手は津田のよく行く古本屋の店主・房州老人(ミッキー・カーチス)だ。
ハンバーガーショップでルリ子を待っていると、そこへキャリーケースを持った房州老人が現れる。3万を借りていた津田は待ってくれるように頼む。そこへ幼い子供と赤ちゃんを連れた母親が雑誌と絵本をもって房州老人のところへ鑑定依頼に来た。老人は1万円を渡し母親は「また持ってきます」と言って去っていった。
老人から不動産を探していると相談される。その時社長から高峰秀子を迎えに行くよう言われたため、老人にここで待つよう伝える。
車に行くと2人の男に殴られた。会話の中で1人は山下(村上淳)という男だと分かる。「津田、のさばりすぎだ、この町を出ていけ」と言われる。そして「ケンジロウ」という男から連絡があり2人はいなくなった。そこへ老人が現れ、自分の知っている不動産屋を紹介することになる。ここまでが2月28日9時半までの話。
失踪事件とキャリーバッグ
それから1年2か月たっているが、その間に房州老人は病院で亡くなる。また浅丘ルリ子、高峰秀子も失踪。幸地秀吉の家族3人も2月28日に失踪する。「神隠し」とも報道された。
1年2が月後の5月、房州老人が亡くなったと知らせが入る。不動産屋の慎改美弥子に連絡をし、会うとすでに葬儀まで終わっていた。美弥子は津田に対して自分のベビーシッターで義理の妹でもある銀行員の真珠美にちょっかいを出されたことを根に持っている。銀行員の真珠美とはは過去の居候先だ。現在は違う慎改家の元ベビーシッターの家に居候している。そして形見として老人が大事にしていたキャリーバッグを美弥子から渡される。
居候先にキャリーバッグを持ち帰り、4桁の数字が並ぶ南京錠を0000からひたすら回し、4日かけて空けた。番号は「0228」で以下のものが入っていた。
・古本のピーターパン(2月28日に自分が読んでいたコーヒーのシミのついたもの)
→なぜ老人の手に渡ったかは分からない。
・何冊かの子供の絵本
・大量の一万円札の束→340030000円。
津田はその日からキャリーバッグを車で持ち歩くようにした。なぜ老人が大金を自分にくれたかは分からないがとにかくこれでこの町を出られると津田は思った。
偽札事件発生
津田はキャリーバッグの中のうち、3万円をとりあえず財布に入れ、いきつけの床屋に散髪に行く。フェイシャルマッサージも受け、4700円だったが1万円から支払った。
翌日、コーヒーショップで津田は「女優倶楽部」の社長(岩松了)に呼び出される。
床屋のまえだ(リリー・フランキー)から、前日に津田が使った1万円札が偽札だという連絡があったらしい。警察でまえだは、偽札の出どころが津田だと分かっているが名前は出さず、タクシー運転手から両替を頼まれたので渡したと証言した。聴取から店に戻ると男が2人待っていて同じことを説明した。その2人は「本通り裏の人」の側近で以前津田を殴ってきた2人だ。実はその時社長が「本通り裏の人」に津田には手を出さないよう懇願しに行ったことも聞く。社長は本通り裏に関わると何をされるか分からないので、他に持ってるお金を使わないよう津田に注意した。本通り裏が高峰秀子と郵便局員の失踪、1家3人失踪事件とも関わっているはずだと社長は予想する。他の1万円札が使えなくなった津田は現金がほぼないためコインパーキングから車も出せず、駅の発券機に1万をいれても使えなかったため、キャリーバッグを持って歩いて帰った。
「スピン」と「チキチキ」
津田は給料日までの生活費として沼本から1万をかりる。6月が来て沼本に1万を返そうと連絡すると場所を指定され、「スピン」というバーに行く。岩永という男性従業員に案内されると、そこで沼本は数人で飲んでいて、沼本は「あっちゃん」と呼ばれていた。「チキチキ」というスナックのママ、ともみさん、みなみさんもいる。沼本は房州老人の紹介でチキチキで働きだした。みなみは津田に「あたし変わったんですね」と言った。津田は意味が分からなかったが理由は後々分かることになる。
そしてみんなの話から、この店が幸地秀吉の経営していたバーだということも分かる。岩永とチキチキのママに秀吉のことを聞かれ、会った時のことを話した。ピーターパンの本を貸す約束をしたと話す。津田の車のシートにその本があるのを違法駐車になるため移動させた岩永が気付いていた。
津田は「俺にケンジロウなら会いたがるだろうね?」とカマをかけたが、岩永はケンジロウを知らないと言う。
津田は飲酒していたのでチキチキのみんなと津田を、岩永が津田の車で送ってくれることになった。津田の家につき、岩永から今のスピンのオーナーが倉田で秀吉とは友人だったと聞く。また岩永は、倉田と秀吉が「鳩を3羽飛ばす」という話をしていて意味が分からなかったことも教えてくれた。
津田は結局沼本に1万円を返しそびれてしまった。
晴山という青年
2月28日9時半以降、津田は不動産屋の慎改美弥子に房州老人を紹介し、女優俱楽部の小川真由美をホテル・アカプルコまで送ったところで高峰秀子から電話が来た。今から借りていた3万を返したいのと友人を駅まで送ってほしいと言うので家まで行くことに。その前に房州老人たちの様子を見にいくと美弥子の子供・敏之輔と網谷というベビーシッターもいて挨拶をした。
その後津田は高峰の家に向かい3万を返してもらい、ピーターパンの本に挟んだ。そして高峰の代わりに20代後半の青年の晴山(柿澤勇人)が乗ってきた。彼はひどく急いでいた。彼を近くの駅まで送ると思っていたら、無人駅まで送るよう言われ送った津田。晴山は車の中でピーターパンの本を開き、お金が挟まっているのを見て財布持てばいいのにと言う。到着すると迎えの車が来て乗り込む晴山。年上の女性が運転していてベンツのワゴンタイプだった。時間は23時半ごろだ。その後津田はガストに向かい、社長から依頼された面接を待っているオクダイラさんに会い、慎改家のベビーシッター・網谷の家に泊まる。その話は後ほど出てくる。
この日を最後にピーターパンの本はなくなってしまった。
3月に入り、女優倶楽部では高峰秀子が郵便局員に金をだまし取られたのに家で彼を待っているという噂が流れる。高峰は給料を取りに来た以外はずっと仕事を休んでいた。
3月の2週目の土曜日、浅丘ルリ子の送り迎えをすると高峰秀子が出勤していることを聞く。高峰秀子を迎えに行き駐車場に着くと、旅行鞄と袋2つを持っていた。袋には晴山の荷物が入っていてこれを捨ててほしいと頼まれ津田は承諾した。高峰秀子に会ったのはそれが最後だった。
津田は袋を自宅に持ち帰り中身を見た。使えそうなエコバッグと新品同様のビデオカメラ・ソニーのハンディカムだけは残して、あとはクリーンセンターで燃やした。ビデオカメラには晴山と高峰秀子の日常が撮影されていた。津田は気づかなかったが中にメモリーカードが入っていた。それを同居人の銀行員が見つけ津田がいない間にそれを見たらしく、帰ったら激昂され今までの不満もぶつけられ、部屋を追い出される。カメラ本体は彼女が壊してしまい、どんな映像を見たのか分からなかった。そして、津田は慎改家のベビーシッターの大学生の家に居候することになった。
ここまでが去年6月の話。
奈々美の裏切り
今年の6月、沼本に借りていた1万を返し、彼女の父親のソニーのハンディカムを借りメモリーカードの中身を確認する津田。岩永に住所を知られてしまったことで倉田の側近が押しかけてこないか不安を感じていた。沼本にキャリーバッグを預けようとも思ったが彼女を巻き込むわけにはいかないとあきらめた。メモリーカードの中身については去年の話にさかのぼる。
2年前の夏、幸地秀吉の妻・奈々美は夫からの電話に出るためお迎え途中の神社に車を止めていた。「食事はいらない」と言う夫。友人の倉田の用事ばかりを優先する夫の秀吉が嫌だった。また倉田のことが苦手だった。夫に紹介されて初めて会った時も威圧感を感じ、鳩や犬や轢かれた死骸はクリーンセンター行きだとかわけの分からないことを言っていた。また、消息不明になっている茜の本当の父親・欠端を倉田と夫が殺したとも疑っている。
そこへ郵便局員の晴山が車の外から声をかけてきた。アイスの白くまを買ってきてくれて一緒に食べる。晴山は前からこの道を通る奈々美のことを知っていて、連絡先を交換し2人は秋ごろから頻繁に会うようになる。茜を毎週のように慎改くんのベビーシッターに一緒に預けて晴山と不倫し会うたび関係を持った。メモリーカードの中身は晴山と奈々美のセックスの動画を晴山自身が撮影していたものだった。そして奈々美は妊娠する。晴山と夫は血液型が同じなので、奈々美は子供を産むため晴山と別れ夫と関係を持ち夫の子に見せかけようとする。しかし、もし夫に事実がバレた場合どうするのか晴山に聞いてみると、「奈々美とおなかの子を守る」と言ってくれた。
そして2月28日の午後、奈々美は夫に妊娠の事実を伝えるが、奈々美のもくろみは失敗。夕方に夫から「子供の父親は誰だ?」と質問攻めにあい、涙を流した。
倉田が迫っている
7月8日、社長にまた呼び出される。まえだから連絡があったらしく、偽札事件の続きを語った。「まえだが証言したタクシー運転手は本通り裏に見つかり、俺たち3人に危険が迫っている。俺は船を降りさせてもらう。」そして津田は6月30日に付けで女優倶楽部のドライバーをクビになり退職金を受け取った。社長は何も言わなかったが、倉田がまえだの店に来たのだと津田は確信する。
翌日の朝、キャリーバッグの中の3402枚の万札をゴミ袋に詰め、居候していた部屋を出た。
7月11日から5日ほど駅の裏口にある安宿で泊まり、小説を書く津田。
それから宿を出てまえだに連絡をし、散髪とフェイシャルマッサージを受ける。そこでまえだから「東京に行かないか?」と提案される。中野ふれあいロードに知り合いがいて、人手を探している。住む場所も面倒見て受け入れてくれるという。本通り裏の人間から「逃げるなら今のうちだ。」とも言った。知り合いは、まえだの中学の加奈子先輩(坂井真紀)という人で、「オリビア」というバーでバーテンとして働くことになるそうだ。まえだと社長が自分をここから追い出そうとするので、何があったか問い詰めると、店に倉田が来たと言う。まえだは怖かった。そして津田について知ってるか聞かれ、ピーターパンの本を探しているとも言っていた。だから手遅れになる前に津田は逃げたほうがいいと思ったのだ。津田は「わかった」とまえだに伝えた。
東京へ行く津田
7月13日、チキチキに行く津田。ママと話したくて出勤をずっと待っていたがなかなか来ない。ともみさん、みなみさん、まりこさん、あっちゃんの4人のホステスがいた。沼本にはソニーのハンディカムを返す。なみみは去年自分に会ったことがあるとまた言っていた。
ママが出勤し彼女にピータパンの本を預けて倉田に渡してもらおうとしたが、岩永くんに預けたほうが早いと言われてしまう。
そのまま店を出ると仕事帰りのまりこが来て、倉田は友達だと言うのでそのまま一緒に飲みに行くことに。そしてお互いに酔ってまりこのマンションに泊まり一夜を共にした。朝、目が覚めると誰かがドアホンを鳴らし続けている。カメラで見ると帽子をかぶった若い女だ。しばらく時間がたってから津田が1階に降りていくとその女と男が来た。「よっちゃんやっぱりこいつだったよ。」会話からこの2人が山下という男の妻であるまりこを守る役目をしていることが分かった。そして若い女は女優倶楽部の小川真由美で、男は去年2月28日に自分を殴った2人組の1人だ。1人は山下で刑務所に入っている。津田はよっちゃんに倉田が欲しがっている本を持っていると話し、よっちゃんが側近の先輩多々良(駿河太郎)に連絡。そして倉田から電話があり、「自分大河内(浜野謙太)です。」と名乗る。そして倉田から津田への伝言で
鳩のつがいが飛んでるのを見なかったか?
と聞かれるも、津田はその意味が分からなかった。
津田は大河内に偽札があるコインロッカーの鍵とピーターパンの本を渡し、東京に飛行機で向かった。
鳥飼に小説を売る
それから3か月たち、津田は東京の中野ふれあいロードのオリビアでバーテンとして働いている。
7月26日、オリビアに客として鳥飼なほみ(土屋太鳳)という編集者が同僚と3人で来る。彼女は津田の小説のファンでバーテンが津田と気づくととても感激していた。
その日、富山で、ダムから男女の遺体が上がる。男は郵便局員の晴山で、女は20代前半の津田も全く知らない人だった。津田はこの女はもしかして高峰秀子なのか?2月28日に晴山と奈々美が合流した後どうなったのか?など、どう小説に書くかを考えていた。
鳥飼は8月中ほぼ毎日オリビアに来た。彼女は津田に新しい小説を書いてほしかった。そこで金に困っている津田が今書いている小説の原稿を5万で買わないかと持ち掛けるとそれを承諾する鳥飼だった。
封筒の行方
2月28日夜10時。スピンには秀吉と倉田がいる。
6時に岩永は封筒を預かり金庫に入れたが、倉田が取りに来た8時にはなかった。昼間秀吉に前借りを頼んだ佐野という若い女性店員が持ち出してしまったのだ。倉田は秀吉に「鳩が消えた。すぐに来てくれ」と電話をし、秀吉は2時間泣き止まず相手の男の名前を言わない妻を置いて、9時にスピンに駆けつけた。事情を岩永に聞き倉田に「おれの過失だ」と言い、状況を説明する。倉田は「あの女が何をやらかした?」と聞く。秀吉は言うか悩んだがすべてを話した。
10時が過ぎ、佐野と連絡が取れた岩永は秀吉に報告する。封筒に入っていた3万を前借り分だと思い持ち出し、もう友人に返してしまった。その友人とも連絡がつかないので、自分が今夜中に3万をなんとか用意します。と言っている。ということだ。その友人は店にも何度か来ている若い大学生の男で顔も分かっているので、探せば見つかるかもしれないと岩永は言った。
すぐに倉田の側近がその男を探しに出ていく。そして奈々美にも側近が張り付いていて今ガストで茜にココアを飲ませていると分かる。「茜を巻き込むな」と電話するよう倉田から言われ秀吉は奈々美に電話するがもちろん出ない。
奈々美は茜を連れてガストを出て車でどこかへ向かう。遊び人の大学生の男は「3万を女を買うのに使い、女優倶楽部の高峰秀子に渡した」と言った。
倉田と秀吉は奈々美について話した。
秀吉は倉田に「妻のお腹の子は自分が一緒に育てたい」と懇願する。倉田は失望し、「お前だけ特別扱いというわけにはいかない。奈々美を孕ませた男は俺が面倒を見る。ただしお前の居場所はない。」と言う。その時に秀吉は前日に会ったピータパンを借りる約束をした男の話も倉田にした。そこで側近から倉田に奈々美の車に男が乗り込んだという連絡がある。倉田は、男を引き離し奈々美は妊娠しているので手荒な真似はしないよう指示した。
鳥飼の疑いと寄付
鳥飼は原稿を読み、津田にいろいろ質問する中でこれが小説ではなく実際に起こった出来事でないかと思い、「これ小説ですよね?」と確認する。津田は自分が登場することをあっさり認めた。1家3人失踪事件や偽札事件のことも指摘すると、津田はお金を先に要求する。鳥飼は「10万を用意するから、手書きではなく、パソコンを買ってそれで書いてください。」と言った。
一方、実家の父の容体がよくないため富山にいた加奈子先輩から父が亡くなったと連絡がある。来週いっぱい店は休みたいことと、アミタニという人から津田に手紙を預かっているとも言われる。網谷とは先月まで津田が居候していた、慎改家のベビーシッターだった網谷千沙のことだ。その内容は後ほど紹介する。
その週の木曜、津田がドーナツショップで小説を書いていると、NLH事務局の堀之内元(濱田岳)という人物が現れる。330010000円の寄附金受領証明書とバッジを渡される。何のことか分からず話を聞くと、津田の代理窓口として大河内と何度か会ってやりとりをしたそうだ。あのコインロッカーにあった札束が弱者支援のために寄付された。津田は自分が捨てたのは340020000円だった。あとの101万はどこに行ったのか?その分が偽札で倉田が抜き取って残りを寄付したのだと予想する。
網谷からの手紙
翌週、加奈子先輩から網谷千沙からの手紙を受け取る。
津田は自分の貯金を確認すると本当に100万入っていた。心底嬉しかった。
ということは倉田はお札を1枚だけ抜き取ったことになる。残りは全部本物のお金だったことを知り愕然とする津田だった。
それから月日がたち、10月になりバーには鳥飼たち3人が飲みに来ている。そこへ肉体労働者と思える男が1人で来た。奥のほうで加奈子先輩が相手をした。どこかで見たことがあると津田が考えていると、幸地秀吉だと気づく。左手には皮手袋をしていた。彼に手袋をするどんな理由があるのか考えた。
夫と晴山どちらを選ぶか?
2月28日夜12時。佐野がスピンに戻った。ガストで友達から3万を借りて車を借りて運転してきた。秀吉はその3万は前借り分としてすぐに帰るよう伝える。その後多々良が入ってくる。奈々美と茜を車に乗せているが奈々美が倉田に会いたくないと言うので、秀吉が下に降りて話に行く。戻ってきた秀吉は妻が「あの男を生かしてやってほしい。彼には罪はない」と言っていると伝える。多々良は自分たちはここまで動いているのにと憤る。倉田は納得いかなかったがそれを飲む。
倉田「お前たち家族みんなで仲良く暮らしてくれ。あとのことは俺と多々良にまかせろ」
秀吉「あの男をこっちに渡してくれないか?そうしないと妻は安心できないんだ」
倉田「あの女が俺を信用できないと言ってるのか?それを言いにお前はのこのこ戻ってきたのか?」秀吉は否定しない。倉田はさらに失望する。
倉田は多々良に男がまだ殺されていないことを確認すると、男と側近たちがいる波止場へみんなで向かうことにした。秀吉が奈々美と茜が乗っている車に乗り込み、運転し海のそばに着く。そこにはフードをかぶった男たちと、雪まみれの晴山の姿があった。秀吉は車を降りそこに歩いていく。その瞬間、倉田が車に乗ってきた。奈々美は吐き気がするほど倉田が嫌いだ。外の男たちは晴山を起こした秀吉をシャベルで殴りつける。倉田は奈々美に夫とあの男どっちを取るかを迫る。奈々美は「やめさせて」と言うことしかできない。シャベルは秀吉の左手の甲に刺さり血が噴き出た。「どっちを選ぶか答えろ」と迫る倉田に「秀吉さんを助けて」という奈々美。倉田は「俺に見えない遠くで家族で暮らせ」と言う。そして、晴山は乗ってきたワゴン車に乗せられた。「欠端みたいに殺すの?」「そうだ。父親は1人でいい」という倉田に何も言い返せない奈々美だった。
奇跡の再会
話はオリビアに戻り、津田は鳥飼たちと小説の話をしていた。そして左手に手袋をした男は帰っていった。加奈子先輩が後から追いかけて戻ってくると、手にはピーターパンの本を持っている。「これあんたに返すって」と加奈子先輩は言い、津田はその客を追いかけて街中を走った。タクシーに乗る秀吉を見つけ、「おい!」と言って信号を渡ろうとするが、車に轢かれてしまう津田。だが無事だった。ピーターパンの本は街の人にの親切リレーによりやっぱり戻ってきた。伝書鳩のように何度も自分のもとに帰ってくる。どうやって戻ってきたかを書いていく。
ピータパンの本と3羽の鳩
2月28日深夜0時、津田は面接を待っているオクダイラに謝罪するためガストに行く。到着すると先ほど会った慎改家のベビーシッターの網谷千沙がいた。千沙に話しかけるとさっきまで友達といたが、彼女にお金も車も貸していて動けないと言う。オクダイラさんが見当たらず社長に電話すると、子供と赤ちゃん連れの女性が奥平さんだということが分かる。網谷が子供をあやしてくれている間に奥平さんに面接を延期してタクシーを呼ぶので今日は帰るように話した。しかし今日は雪でタクシーが全くつかまらない。奥平さんは「ネヴァーランドホーム」に半年娘を預けたことがあり、夫が改心して迎えに行ったとき釣りをして大きなカサゴが釣れた話をした。そして奥平さんたちを車に乗せるも娘が泣き止まないため、網谷を呼びに行く津田。そこでお金も車も返してもらえない彼女にやさしい言葉をかけ、網谷は涙を流した。網谷も一緒に車で送ることになる。その時は車にはピーターパンの本はまだあった。
そこから奥平さんを先に送ったとき、娘が寝ていてピーターパンの本を離さないので、そのまま網谷が抱っこして部屋まで連れていった。戻ってきた網谷は奥平さんのことを「みなみさん」と言った。最初網谷にはそう名乗ったのだ。奥平さんがチキチキのみなみさんだったのだ。津田は全く気が付かなかった。
津田は以前にもみなみさんと会っている。津田と房州老人とが以前ハンバーガー屋にいた時、本を売りに来た女性だ。そこ話しているのを聞いていて、彼女の仕事先がホテルだと思い出した。翌日、彼女が仕事先のホテル銀杏に本を持っていき、それを自分に渡すようにお願いしたのだと思った。それで房州老人のキャリーバッグにピーターパンの本が入っていたのだ。また老人は本に挟まっていた3万のうち1万をホテルの支払いにあてた。それが1度目の偽札事件。2度目は津田が床屋のまえだで1枚使用した。3枚目は倉田がロッカーの中のお金から抜き取った。
これがピーターパンの本が戻った理由と偽札事件の真相だ。
2月28日の網谷と一緒にいる津田は、ピーターパンの本がなくなることも、倉田健次郎の名前におびえることも、幸地秀吉1家の失踪事件に自分が関わっていること、さらに3羽の鳩が今まさに飛び立ったということも知らない。
【鳩の撃退法】は読むのが超過酷…
ネットのレビューでは「とにかく疲れた」「ストレスになった」「おもしろくてドハマり」など様々な感想がありました。
あの有名な長ゼリフドラマと比較してみた!
筆者も、ページいっぱいに字が詰まっていて、とにかく読むのに疲れました。
文字がぎっしり…まだ半分?なんて思いながら読みました。
1人でこんなに一気にしゃべるかな?というくらい登場人物のセリフが長すぎます。
セリフが長いと言われるドラマ『渡る世間は鬼ばかり』と比べてみました。
例えば、津田が使った1万円が偽札だったことを社長が説明する部分。ここは、社長1人で15ページも一気にしゃべっています。
対して渡鬼は20ページ以上のセリフもあったそうなので、実際は渡鬼には負けていますが、互角の戦いだと思います(笑)
それでも読者が引き込まれる理由
脱線も多かったですが、時系列はいつの事かちゃんと書かれていたので、その混乱はありませんでした。登場人物や起こった事件がいろんな所でつながっていて、2回目を読んで「この人があの時の人だったんだ。」など理解できて面白かったです。
これから読む方には2回読むことをお勧めします(笑)
読むのが過酷でも、結局次が気になる展開になっていてます。ラストまで読みたいという思いを掻き立てられ、しっかり伏線が回収されッキリできるのも読者が引き込まれる理由だと思いました。
この長さの小説をどう2時間の映画にするのかと思うと想像つきません。
映画のキャストで登場人物はほとんど出ていますし、原作と違うということはなさそうなので映画を楽しみにしましょう!