ジャン・レノといえば、映画『レオン』でナタリー・ポートマンと共に主演し、一流俳優の仲間入りをしました。『レオン』の名演が印象的すぎて、ジャン・レノのことを「レオンの人」と認識している方も多いのではないでしょうか。
しかしジャン・レノの役の振り幅はとても広く、70歳を超えた今でも新たな役どころに精力的に挑戦しています。
昔、トヨタのCMにドラえもん姿で登場したジャン・レノのことを、筆者はいまだに忘れられません。
本記事では、殺し屋役がサマになりつつも「自分を動物に例えるなら”ラクダ”」と語る、ジャン・レノについて紹介していきます。
そして後半は、筆者おすすめのジャン・レノ出演映画から、彼のキャリアを振り返ってみましょう!
ジャン・レノのプロフィール
- 生年月日 1948年7月30日(71歳)
- 出生地 モロッコ
- 国籍 フランス
- 身長 187cm
ジャン・レノの両親はスペイン人。当時、独裁体制だったスペイン政権から逃れ、モロッコへ移住した両親から生まれたのがジャン・レノです。
ジャン・レノはフランス人俳優として活躍していますが、ルーツを辿ればアフリカ大陸で生まれたスペイン系ということになります。
彼は『レオン』で”孤独なイタリア系移民”を演じていましたが、このあたりの設定は本人のバックグラウンドにも通じる部分があったのですね。
ジャン・レノは17歳の時に家族でフランスへ移住し、フランスの名門演技学校へ通い始めます。
ジャン・レノといえばこの人!リュック・ベッソン監督の映画に多数出演
ジャン・レノを語る上で外せないのが、映画監督リュック・ベッソンの存在でしょう。
ジャン・レノとリュック・ベッソンは、1980年という同時期にキャリアをスタートさせます。
キャリアの初期からリュック・ベッソンは、ジャン・レノを自分の作品に頻繁にキャスティングしています。
彼の監督した映画『グラン・ブルー』でジャン・レノは一気に知名度を上げ、それから華々しいキャリアを築いていくことになります。
新進気鋭の若手監督と、移民の若手俳優のタッグ。
どちらかが優位というよりも『お互いを有名にし合いながら、ハリウッドにその名を轟かせていった』という、ちょっと青春ぽい印象です。
あとでも紹介しますが、そのキャスティングのセンスに2人の熱い友情が感じられることもしばしば。
母国ではコメディ出演がメイン!ジャン・レノ”実は銃嫌い”
ジャン・レノといえば『レオン』のイメージもあってか、銃を持つ役が多いですよね。しかし、意外なところで本人は銃が嫌いなのだそう。
確かに、オフショットの優しげな雰囲気からガンマニアではなさそうですが・・・。
実際に、フランスではコメディ映画メインに出演しています。さらに2010年以降、ちょっとぽっちゃりしだしてからは、ハリウッド作品でもコメディ要素の強い役を多く演じています。
見た目が中身にやっと追いついたような感じでしょうか・・・!
ジャン・レノの出演映画 ”おすすめ11選”
さて、映画『レオン』は名作と言われていますが、ジャン・レノを世界的なスターに押し上げた出世作でもあります。
しかし、ジャン・レノのキャリアといえば、勿論『レオン』だけではありません。
続いて、ジャン・レノのキャリアを作品を通して振り返っていきましょう。
主役級の俳優でありながら、結構ちょっとした役どころでも登場するのがジャンレノの魅力。
役の大小に関わらず存在感を発揮して、映画のスパイス・・・否、箸休め的存在になっているのです!
【サブウェイ】
原題:Subway
公開:1985年
監督:リュック・ベッソン
時間:104分
リュック・ベッソンがキャリアをスタートさせたばかりの頃の作品。
サブウェイ(地下鉄)で社会不適合者たちがさまざまなジタバタを繰り広げる内容で、ごちゃっとしているのですが、とにかく画面がハイセンス。
監督自身も若く、出演している俳優陣ものちにヒットする若きスターたち。
脚本はスタイリッシュな犯罪アクション。
しかし演者が若いこともあり、青春の憂鬱のようなものが端々に感じられるのです。もし10代の方が観たら、共感して夢中になってしまうかも。
ジャンレノは主役ではありませんが、ドラマー役として出演しています。身体が大きいからなのか演出なのか、とにかく存在感抜群です。
若きジャン・レノのドラムソロは一見の価値あり!
【グランブルー】
原題:Le Grand Bleu
公開:1988年
監督:リュック・ベッソン
時間:132分
ジャン・レノ、ブレイク前夜の作品。監督はリュック・ベッソンです。
通常、ダイビングといえばシュノーケルなどの道具を使用しますが、『フリーダイビング』という道具を一切身につけないジャンルが存在します。
フリーダイビングに魅了された2人の男の友情と、そこにヒロインも交えた複雑な恋愛模様を描いた物語。
ジャンレノは準主役で、主人公の幼馴染を演じています。
2人は対照的な性格でありながら、内心ではお互いを信頼しあい、互いにフリーダイビングに人生を懸けてゆきます。
”海”をここまで美しく表現した映画はなかなかないのでは。
単なる青春活劇では終わらない切なさが、この映画の魅力です。
【ニキータ】
原題:Nikita
公開:1991年
監督:リュック・ベッソン
時間:115分
こちらもリュック・ベッソン監督作品。
『政府お抱えの殺し屋』になることを余儀なくされた不良少女が主役の物語です。この少女、不良ではあるのですが、いざ殺しとなると本来の柔らかい性格が邪魔をしてしまい、ひどく葛藤することになります。
彼女のギャップと、苦悩について丁寧に描写された、ヒューマン要素の強いアクション映画です。
ジャン・レノは終盤少ししか出演していないのですが、存在感抜群。
ちなみに、この映画から『ジャン・レノ=殺し屋』をいうインスピレーションを得た監督が、のちに映画『レオン』をジャン・レノ主演で製作するのです。
【紅の豚】声の出演
原題:紅の豚
公開:1992年
監督:宮崎駿
時間:93分
ジャン・レノは吹き替え声優としても活躍しています。
特にアニメでは本領発揮しており、『紅の豚』以外にもディズニー映画『ライオン・キング』の百獣の王”ムファサ”のフランス吹き替えも担当しています。
ジブリ映画は海外での人気が高く、各国で実力派の俳優が吹き替えを担当する傾向がありますが、今作の”ポルコ・ロッソ”のフランス語吹き替えにジャンレノは抜擢されました。
ポルコのダンディな雰囲気はもちろん、あのニヒルな感じもジャンレノの声にマッチしていて、フランスで絶賛されました。
日本のレビューでも「フランス語版のポルコが最高で、キャストを見たらジャンレノだった・・・」という声がちらほら。
大きな身体できめ細やかな演技をするのがジャンレノの特徴ですが、”声のみの出演”だと繊細さが特に際立つのかもしれませんね。
【レオン】
原題:The Professional
公開:1994年
監督:リュック・ベッソン
時間:133分
言わずと知れた名作『レオン』。一度は観たことがある方がほとんどかと思います。
孤独な2人の、恋人でも親子でもない不思議な関係は、観るものを惹きつけます。お互いがお互いの人生に不可欠な存在になってから、やっと物語は大きく動き出すのですが・・・。
あまり、書くと止まらなくなりそうなので割愛しますが、とにかくこのジャン・レノ、はまり役!
長い間共に作品を作ってきたリュック・ベッソンだからこそ引き出せた、ジャン・レノの新境地がここにあります。
ナタリー・ポートマンが可愛いのは周知の事実。
ちなみに彼女が作中かぶっていた、ぴったりと編まれたシースルーの帽子。とても素敵で憧れるのですが、どうしても筆者がかぶると八百屋の果物みたいになってしまうんですよね。
【ミッション:インポッシブル】
原題:Mission:Impossible
公開:1996年
監督: ブライアン・デ・パルマ
時間:110分
映画『ミッション:インポッシブル』といえば、シリーズ化された人気作品ですが、もともとアメリカで人気を博していたTVシリーズ『スパイ大作戦』の映画版なのです。
そんなTVシリーズからの往年のファンも納得させたのが、映画版第1作目の今作。
この頃には、ジャンレノはハリウッドでも人気俳優の地位を獲得していました。
ジャンレノが演じるのは、CIAに潜入するスパイチームの一員”フランツ”。
フランツは、作品の要となる重要な役柄。しかし時折、彼のコミカルなシーンも混じることで、作品の貴重な”箸休め”として活躍しています。
【WASABI】
原題:ワサビ
公開:2001年
監督: ジェラール・クラヴジック
時間:95分
2000年代に、ジャン・レノ×広末涼子という組み合わせ。
当時「日本版レオンだ!」との触れ込みで、日本ではとても話題になったそうですが、実際はコメディ映画。
ジャンレノと広末涼子は実の親子だし、新宿のチンピラはみんなフランス語ペラペラです。
今作、脚本をリュック・ベッソンが担当しており、どこかぶっ飛んだような、特徴的な非現実感が常に漂います。
日本を舞台に、遺産目当てに命を狙われる実の娘(広末)を、守り通す父親(ジャン・レノ)の物語と、一見シビアな設定ですが、あまり難しいことは考えず、とにかく画面を楽しむのがオススメです。
ちなみにジャン・レノは、ヒュー・ジャックマン、ロバート・デニーロに並ぶ親日家で、熱燗が大好きなのだそうですよ!
【ダ・ヴィンチ・コード】
原題:The Da Vinci Code
公開:2006年
監督: ロン・ハワード
時間:149分
ベストセラー小説『ダヴィンチ・コード』の映画版。
かなり原作に忠実なミステリー映画で、ルーブル美術館で起きた殺人事件を、宗教や芸術、”人類史上最大の謎”について触れながら紐解いていくというもの。
日本でも公開当時は特番が組まれるなど、大々的に宣伝されましたよね。
ジャン・レノはフランス司法警察の警部役で、主役のトム・ハンクス演じる『疑惑の教授』を追い詰めるという役どころ。ちょい役ではありますが、登場すると例えようのない安心感があります。
キリスト教や西洋美術史に通じていないと今作を深く理解するのは難しく、それでも作中に親切な解説があるのですが、かえってそれが作品を難解にしているというか・・・。
これきっと監督も、映画にするのが大変だったと思います。
【黄色い星の子供たち】
原題:The Round Up
公開:2010年
監督:ローズ・ボッシュ
時間:125分
40年代にフランス政府によって行われた”ユダヤ人一斉検挙”、「ヴェル・ディヴ事件」と呼ばれる出来事です。
フランス政府が”ナチスに肩入れした過去”ということで、フランス国内ではタブー視されている黒歴史でもあります。
この事件をユダヤ人の子供達目線で描いた作品で、実際に検挙されながらも生き残った子供達の証言をもとに制作されている今作。
黄色い星、とは当時ユダヤ人が胸につけること義務付けられた印のことを指します。
ジャン・レノは彼らを助けようとするフランス人医師の役です。
主演に名を連ねているジャン・レノですが、この作品のメインは過酷な環境に置かれた可愛い子供達。
背景はホロコーストの頃であり食糧難の時代なのですが「ジャン・レノがぽちゃぽちゃしている」と、各方面からツッコミがあったのだとか。
確かに、おじいちゃんになってきましたよね。
【シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~】
原題:Comme un chef
公開:2012年
監督: ダニエル・コーエン
時間:85分
「このためにぽっちゃりしたのでは?」というほど、コック帽がしっくりきていますね。
ジャン・レノは、三ツ星レストランの有名シェフを演じています。しかしながら彼は、店の審査を前にして大きな問題を抱えてしまい、三ツ星存続の危機に陥っていました。
そこに登場するのが、あらゆるレシピを舌のみで記憶できる特殊能力を持つ元シェフのペンキ職人(すごい設定)ジャッキー。2人で力を合わせて、レストランを再起するぞ!という物語。
とにかく、ユルい!
映画なので当然、それなりに危機もあるのですが、基本的にはギャグ連発の作品で終始ニコニコしながら観られます。
【ザ・スクワッド】
原題:The Squad
公開:2015年
監督: バンジャマン・ロシェ
時間:92分
少し前までは、大好きなコメディに多数出演していたジャン・レノ。近年は、また無骨なアクション映画に駆り出されることが増えてきました。
おそらく本人の希望というよりは彼の年齢も考えて、『ハードボイルドなジャン・レノがまもなく観られなくなる?!』という、制作側の焦りによるキャスティングなのかな、という感じもします。
しかしそこは、求められたら答えるジャン・レノ。
”パリ警視庁特殊捜査チームを率いる刑事”を熱演しています。今作には、銃撃戦やカーチェイスが盛りだくさんなので、ジャンレノを案じる鑑賞者は、違った意味でハラハラすること請け合いです。
「やっぱりジャン・レノといえばこんな感じだよね〜!」と思いたい、観客のために作られた印象の作品です!
まとめ
ハリウッドに進出してからは、助演ばかりが目立っていたジャン・レノ。
しかし、近年になってようやくジャン・レノ主演の映画が増えてきています。
歳を重ねてからでも主演が張れる貴重な俳優さんとして、息長く頑張ってもらいたいものです・・・!
彼の出演作品の中でも、レオン以前のものは”静かな野心”が感じられて、特におすすめですよ!