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映画【Red】のあらすじと原作のネタバレ!鮮烈なラブシーンを通して描く女性の生きざま!

©2020『Red』製作委員会

思春期の少女を主人公にした作品を得意としてきた人気作家・島本理生が、初めて挑戦した官能小説を原作とする映画『Red』が2月21日に公開されます。主演は夏帆妻夫木聡。人気監督でもある池田千尋と三島有紀子が原作を大胆に脚色、三島が監督を務めました。その結果、原作者も納得の「映画バージョン」が誕生しました。その内容と原作との違い、特に最も違うと言われる結末についてご紹介しましょう。

映画『Red』あらすじ(ネタバレなし)

『Red』 塔子

©2020『Red』製作委員会

空虚な結婚

一流商社に勤める真(間宮祥太朗)と結婚した塔子(夏帆)は、娘の翠を授かり、経済的には不満のない生活を送っていました。しかし、真の両親との同居は、特に義母の麻子(山本郁子)に何かと気を遣わなければなりませんでした。さらに、真が塔子の気持ちをないがしろにした上、長い間セックスも拒否し続けていることも不満でした。

『Red』 鞍田

©2020『Red』製作委員会

禁断の再会

そんなある日、塔子は鞍田(妻夫木聡)と10年ぶりに偶然再会します。彼はかつて塔子がバイトをしていた設計事務所の社長だった男で、妻がありながら塔子と関係を持っていました。二人はすぐに愛を蘇らせます。
鞍田は自分の事務所を閉じて、今は友人の設計事務所で働いていました。塔子は毎日の生活に空しさを感じていたこともあり、鞍田が務めている事務所で働こうとします。真は塔子からその思いを聞いても、経済的には働く必要がないことを理由に賛成しませんでしたが、最終的には塔子の熱意を汲んで渋々同意します。

満たされる心

塔子は鞍田の助力もあって事務所で働き始め、その才能と熱意を評価され、家庭では味わえなかったやり甲斐に満ちた毎日を送るようになります。そんな彼女に、ちょっと強引な同僚の小鷹(柄本佑)が近づきます。彼女の生い立ちや鞍田との過去まで見抜いて小鷹に、塔子は次第に心を開いていきますが、鞍田はそんな二人に軽い嫉妬を覚えるようになります。

揺れ動く心

塔子は、鞍田が担当していた案件をサポートすることになり、二人は新潟の現場に赴きます。そしてその帰り、二人は鞍田の家で激しく愛し合いますが、塔子は鞍田から離婚していたこと、そして悪性リンパ腫を患ったことを打ち明けられます。
塔子は正社員になり、ますます仕事に打ち込みます。しかしその代わり翠に寂しい思いをさせてしまい、真に責められてしまいます。
クリスマスの深夜、塔子は家を抜け出すと鞍田のもとへ駆けつけ、愛し合います。しかし、病状が思わしくない鞍田は、大事にしていた本を塔子に託そうとします。一気に悲しみがこみ上げてきた塔子は、鞍田に今の関係に終止符を打つと告げると、家に戻っていきます。
年が明けると、鞍田は事務所を辞めていました。塔子は再び新潟の現場に、今度は小鷹とともに赴きます。そこで起こった思わぬ事態をきっかけに、塔子は大きな決断をすることに…。

女性作家の強力タッグだからこそできた原作の結末の「改良」をネタバレで検証!

『Red』 真

©2020『Red』製作委員会

(※非常に薄いネタバレあり)

小説から映画への“変身”

島本がこの作品の原作で初めて官能小説を手がけたのは、自身が結婚し子供も産んだことで、それまでの『ナラタージュ』のように思春期の少女の立場で物語を創るのが難しくなったからだそうです。そこで、同世代で同じような立場の女性の共感を得られるような作品を、ということで、この『Red』が書かれたそうです。
その原作を脚色したのは、最初に触れたように、二人の女性監督。池田は『東南角部屋二階の女』、『先輩と彼女』、『スタートアップ・ガールズ』などを、三島は『しあわせのパン』、『幼な子われらに生まれ』、『ビブリア古書堂の事件手帖』などをそれぞれ手がけてきて、それらの多くで自ら脚本を執筆しています。そんな二人の共同作業によって原作の小説が映画の土台となる脚本に“変身”したわけですが、かなり大きな“手術”が行なわれました。

結末の大胆なアレンジ

(※ここでは原作の結末についてのネタバレがあります)
二人の脚本は、登場人物を整理して絞り込むなどして、物語の進行をスムーズにさせています。映画監督ならではの「映画的処理」と言えるでしょう。
しかし、原作から最もかけ離れているのは、結末の展開です。原作では10数年後まで描かれていて、塔子は一旦は離婚を決意するものの、家庭を守るという選択をします。ただ、魏父母とは距離を置いたり、自分の意志を貫いたりと、以前とは別人のように自我に忠実に生きていることが描かれています。これに対して映画版は“現在”で幕を下ろし、(詳しいネタバレは控えておきますが)最後に塔子が選ぶ決断と行動は、原作とは正反対と言ってもいいものになっています。
このような大胆な変更、特に結末の改変は、原作者だけでなく原作のファンからもダメ出しを食らうことが少なくありません。ところが、原作者の島本は何とこの結末のつけ方を絶賛しているのです。「女性だからこその選択」といった趣旨の意見を述べているそうで、先ほどの「映画的処理」ではなく、あくまでも作品の本質に関わるものです。そうだとすれば、それはまさしく、三島と池田が原作(そして原作者)をきちんと理解していた何よりの証拠で、原作のキモを損ねずに巧みに改変することで映画としての完成度を高めたことになります。塔子が「自分に忠実に生きる」という選択をする、という点では原作通りなのですから。

実力派揃いの出演者が映画をさらにグレードアップ

『Red』 塔子と小鷹

©2020『Red』製作委員会

夏帆の挑戦

ヒロインを演じた夏帆にとって、塔子の役は実年齢よりちょっと上、それに家庭を持っているという、ちょっとした“挑戦”です。しかも、これまでは割りと明るく清純な感じの役が多かった彼女ですが、ここでは不倫に走ったり快楽に溺れたり、濃厚なラブシーンを演じたりと、従来のイメージとはかなり違う系統の役を演じています。ともすれば同じ女性からも嫌われそうな面も持つキャラクターですが、ある意味「生身の大人の女性」であり、それが監督の狙いだったのでしょう。その期待に見事に応えて熱演を披露した夏帆にとって、この映画は大切な存在になりそうです。

共演者たちも好演

もちろん、相手役となる妻夫木聡の好演も見事です。いろいろと背負った、陰のあるキャラながら、しっかり生身の男としての存在感も表現しています。
鞍田と対照的な性格ながらどこかつかみどころのないキャラで塔子と鞍田を翻弄する小鷹役は、独特な雰囲気と存在感を持つ柄本佑にピッタリ。もっと登場して物語を引っ掻き回して欲しかった、と思えるほどです。
間宮祥太朗も、さわやかな好青年から『全員死刑』の主人公のような狂暴キャラまできちんと演じられる実力の持ち主です。自覚がないまま塔子を追い込んでいく真の役も、単なる「イヤな夫」に終わらせず、人間味を漂わせて演じています。
出番は短いものの強烈な印象を残すのが、塔子の母親に扮した余貴美子。塔子の「決断」のきっかけの一つを作る重要な役回りで、ベテランならではの存在感で場をさらっていきます。スタッフも出演者も実力派が揃って見応えもあり、何より多くの女性の共感を呼びそうな、文句なしの傑作に仕上がっています。※この映画は【R15+】に指定されています。

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