映画【ストックホルム・ケース】のネタバレ!「犯人が好き」人質の共感は結末を変える?

ストックホルムケースポスター

出典:IMBD

トランペット奏者チェット・ベイカーの伝記映画『ブルーに生まれついて』主演のイーサン・ホーク、同作監督ロバート・バドローのコンビが再タッグを組んだ映画『ストックホルム・ケース』が2020年11月6日に公開されます。

本作は、“ストックホルム症候群”と呼ばれる、犯罪被害者が犯人に好意を持ってしまうという心理状態(記事内でもっと詳しく解説しますね!)をテーマにしたクライム・スリラー。

本記事では、映画『ストックホルム・ケース』のあらすじをネタバレ付きで紹介していきます!

極限状態の防衛反応として起こるとも言われているストックホルム症候群。悲壮な映画かと思いきや、ボブ・ディランの名盤に乗せて進む軽快なストーリーはなんというか……、犯人が好き……あれ?

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映画『ストックホルム・ケース』の予告動画がこちら!

ジャンル史実に基づいたクライム・スリラー
日本公開日2020年11月6日
監督ロバート・バドロー
主演イーサン・ホーク

本作『ストックホルム・ケース』は、“スウェーデン史上、最も有名な銀行強盗事件”として歴史に残る銀行立てこもり事件「ノルマルム広場強盗事件」を再現しています。

ストックホルムの銀行で発生した本作の事件は、誘拐・監禁の被害者が長時間犯人と接しているうちに次第に共感を持ち、犯人に連帯感や好意を抱いてしまう心理現象“ストックホルム症候群”の語源。邦画でもこの心理状態を主軸にした作品はいくつかあります。竹中直人が怪演した『完全なる飼育(1999)』なんてまさにそうですが、本作にはこうした湿度は感じられません。

カラッとした立てこもりモノ……、これって日本人にとってはかなり新鮮な作品だと思います。

“少女監禁事件の被害者”が否定するストックホルム症候群

オーストリア少女監禁事件の被害者少女ナターシャ・カンプッシュは、1998年に誘拐されてから8年間、犯人の男に監禁されていました。彼女は後に、雑誌のインタビューでストックホルム症候群を“病気”と定義することに反対しています。

これは病気ではなく、特殊な状況に陥ったときの合理的な判断に由来する状態である。自分を誘拐した犯人の主張に自分を適合させるのは、むしろ当然である。共感を示し、コミュニケーションをとって犯罪行為に正当性を見い出そうとするのは病気ではなく、生き残るための当然の戦略である。

Wikipedia : Natascha Maria Kampusch

戦略だというのですよ。当事者の方が語ると本当に説得力があるというか、自分の心身を守るためにある程度“意識的に”思考を変えているというのです。

ちなみに逆パターン、犯人が被害者に同情したり、共感したりする心理状態のことは“リマ症候群”と名付けられています。ストックホルム症候群と同じ状況下でいくつも例があり、犯人が立てこもり中に考えを改めたり、人質を解放したりするのは“リマ症候群”の影響が大きいのだそう。

これも犯罪行為の罪悪感から、犯人が意識的に自我を守っての行動と考えると「人間ってそこまで強くないよな」と思いませんか。たとえ銃を抱えて銀行に押し入るような男であっても……。

映画『ストックホルム・ケース』のキャストを紹介!

ストックホルムケースキャスト

出典:IMBD

映画『ストックホルム・ケース』のネタバレにうつる前に、本作に登場する人物とキャストを紹介していきます!

観賞者も巻き込むポップな立てこもり映画、不思議な感覚にさせてくれるのはこのキャストの力量ですよ……!

ラース/イーサン・ホーク

イーサン・ホーク

出典:IMBD

“何をやっても上手くいかない悪党”という、既に可愛いキャッチコピーがつけられている強盗犯・ラース。彼がストックホルムの銀行に強盗に入るところから物語はスタートします。

演じるのは、イーサン・ホーク。映画『トレーニング デイ』でデンゼルワシントンと共に主要人物を演じていた姿を知る人は多いのでは。実は俳優業と並行して舞台演出もこなす彼、映画『チェルシーホテル』では監督デビューもしています。

本作には全然関係ありませんがイーサン・ホークは21歳の時に起業、若手の工芸作家を支援してアトリエを与える活動をしていたそうですよ……尊いですね。

ビアンカ/ノオミ・ラパス

ノオミ・ラパス

出典:IMBD

ラースによって人質にとられる女性銀行員のひとり・ビアンカ

演じるのは、ノオミ・ラパス。本作では見た目が地味すぎて「誰?」と思いがちですが、映画『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女(2009)』のヒロイン役の彼女です。同作で世界的に認められたノオミ・ラパスですが、女優のキャリアは実は7歳の子役時代から。

映画『セブン・シスターズ(2017)』では、政府に隠された7つ子の役を全て彼女が演じました。

グンナー/マーク・ストロング

マーク・ストロング

出典:IMBD

強盗犯・ラースの仲間であり、刑務所に収監中の男・グンナー。

演じるのは、マーク・ストロング。去年、映画『1917 命をかけた伝令』に出演していたのは記憶に新しいですね。他にも『ロビン・フッド』『ワールド・オブ・ライズ』など、長いキャリアに確実な代表作がある俳優さんです。

映画『ストックホルム・ケース』のあらすじをネタバレ!

ストックホルムケース本編

出典:IMBD

さて、キャストの紹介が済んだところで(結構豪華でしたね)いよいよ本作『ストックホルム・ケース』のあらすじをネタバレ付きで紹介していきます!

「史実に基づいた」とはいえ公開前の本作、記事の最後には実際のラースがどんな人生を歩んだのかまでご紹介していきます!

ドジっ子強盗・ラース、ストックホルムの銀行に乱入!

スウェーデンのストックホルムに銀行強盗が入りました。マシンガンで武装した男の名前は“ラース”。16歳から強盗を繰り返すラースは既に国内で有名な犯罪者でした。彼は、現場に駆けつけた警官に発砲し、手に軽傷を負わせると9人の人質をとって銀行内に立てこもります。長い長い強盗劇がスタートしました。

ラースの要求は「別の銀行強盗で服役中の友人・グンナーを解放し、自分に合流させること」さらに自由の国アメリカに逃亡するため「資金と逃亡用の車を用意すること」です。

警察の説得により、何人かの人質を解放したラース。しかし、まだ建物内には女性が3人囚われています。人質のひとりである女性銀行員のビアンカは、現状を打破するために恐怖に怯えながらもラースを接触を試みます。

人質たちと銀行に閉じ込められたラース。共感が芽生え始める

犯行発生の翌日、なんとラースの希望は叶えられます。服役中の犯罪仲間・グンナーが釈放され、ラースに合流することが許されたのです。では次は、逃亡用の車と資金です。

ところが、強盗事件を報道するために集まった報道陣によって銀行前は占拠。さらには人質と立てこもっていた金庫室が警察によって封じられ、食糧の提供も拒否されます。銀行強盗というよりも人質と共に銀行に閉じ込められる形となったラース。

たとえ車が手に入っても、とても安全に逃亡できる状況ではありません。さらに「車は用意するが人質は解放してもらう」との警察の回答。人質なしでここを出れば、たとえ車であろうとカーチェイスの末に捕まってしまいます。

そこでラースは、なんとスウェーデン首相に電話をかけます。「安全に国外に逃亡させることを約束しなければ、人質を即座に殺す」。ところが首相はこの要求を拒否。

身動きが取れず、にっちもさっちも行かなくなったラースたち。すると人質にとられていたはずのビアンカとの間に妙な連帯感が芽生えはじめます。人質もろとも金庫室に閉じ込めるという警察の横暴さ、首相の強固な態度には人質たちも反感を覚えたのです。絶望的な状況の中、目的に向かってひた走るラースの姿がなぜか良いものに見えてきてしまいます。この状況の元凶は、紛れもなくラースだというのに……。

世界が驚愕した“人質事件の真相”

立てこもり、というか閉じ込めが長期戦になる中、人質たちは犯人であるラースに笑顔を見せ始めるようになります。何かと不器用で、おっちょこちょいのラースを憎めなくなってきていたのです。

警察からの電話に出ることを許されたビアンカは「犯人のことを信じるのか?」と問われます。するとビアンカは「警察よりはね」とキッパリ答えるのでした。さらにスウェーデン首相に再びコンタクトを取ります。電話したのはビアンカ。「犯人と共に、ここを去らせて欲しい」と人質直々に頼みはじめます。

映画『ストックホルム・ケース』の注目ポイントまとめ

いかがでしょうか……。まもなく公開される本作、映画館で注目したいポイントがいくつかありました。ちょっとまとめてみますね。

  • 16歳から強盗、暴行などの犯罪行為を繰り返していた悪党・ラースに人質が共感するまでの流れが気になる!
  • ビアンカたちのストックホルム症候群は、命を守るための防衛本能?それとも純粋な好意?
  • “自由の国アメリカ”を求めて要求を続けたラースと、ボブ・ディランの音楽のマッチ度

映画『ストックホルム・ケース』の結末は……

ストックホルム症候群

出典:IMBD

実際のノルマルム広場強盗事件は、事件発生5日目の夜中に催涙ガスを使用して警察が突入し幕を引きました。実行犯であったオルソン(本作ではラース)は、懲役10年の判決を受けます。

出所後の彼は自動車販売の仕事に就きましたが、経済犯罪の容疑で警察に追われる身となります。この逃亡生活が、なんと10年。自ら出頭した時には、既に嫌疑は晴れていたというおっちょこちょいぶりは健在です。

しかも逃亡中にタイに移住していた彼は、現地の女性と結婚していました。ちゃっかり人に愛されていたのですから、彼らしい。

2009年に自伝小説を出版して話題になりましたが、その後も息をするように犯罪を重ねたオルソン(ラース)。強盗事件から40周年を記念した(?)2013年の雑誌の特集では、当時の被害者もニコニコしてインタビューを受けています。

もう何がなんだか。ボブ・ディランでも聞いて、魂を解放しましょうか……。

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