映画『怒り』や『悪人』など、多くのヒット邦画の原作小説を手がける人気小説家、吉田修一。
彼による原作と同名の映画『太陽は動かない』、本作は、舞台が世界中に点在するというスケールの壮大さ、さらにアクションシーンの激しさから、これまで映像化が不可能であると言われてきました。
本記事では、ファン待望の映画『太陽は動かない』のストーリーをネタバレ付きで紹介していきます!
主人公の名前を取って、“鷹野一彦シリーズ”と呼ばれる本原作。その3部作のうちの2編、『太陽は動かない』『森は知っている』を練り合わせて制作された映画『太陽は動かない』。スパイアクションものとしても十分すぎる完成度。さらに壮絶な設定が付け加えられ、未だかつてない邦画SFの世界を切り開いているのです……!
映画『太陽は動かない』の予告がこちら!
藤原竜也と竹内涼真の初共演、W主演が話題の映画『太陽は動かない』。『海猿』『MOZU』など、多くの邦画アクション映画を手がけた、羽住英一郎監督。ヒットメーカーである彼が本作の監督をつとめます。
予告を見ると、「これ場所どこだ!?」というシーンがたくさんありますが、国内以外にもブルガリアでの1ヶ月に及ぶ海外ロケを敢行したそう。ブルガリアでの列車のアクションシーンは、列車を丸ごと貸し切り、実際に走行させながら撮影したらしいですよ!近年の邦画にしては、かなり景気いいですよね。本気度伝わります……!
敵か味方か!?
ネタバレ前に前置きすると、本作かなーり複雑なストーリー。映画『太陽は動かない』は場面ごとに舞台が次々と飛び、抗争の火種も変化、どんどんスケールがでかくなって、最終的には国絡みの争いに発展していきます。
さらに、登場人物が主人公の敵なのか味方なのか、最後の最後まで分からないという脚本。小説であれば「ん?今のセリフ?」と、数ページ戻れますよね。しかし映画版……、予告動画のテンポからして、しっかり頭を働かせて観ないと、あなたも騙されてしまうかも……!
映画『太陽は動かない』の登場人物とキャストを紹介!
藤原竜也と竹内涼真、意外にも本作が初共演。舞台仕込みの演技と自然なドラマ系、系統が真逆のふたりですが、一体どんな雰囲気に仕上がるのか、期待が高まります!
さらに、国外の実力のある俳優をキャストに迎えている本作『太陽は動かない』。ここでは、登場人物とキャストを簡単に紹介していきます!ストーリーに思う存分のめりこめる、演技派揃いの手堅いキャスティングなのです……!
AN通信のエージェント“鷹野一彦”(藤原竜也)
本作の主人公である鷹野一彦。演じるのは、藤原竜也です。彼もう、いつもこの顔していますよね!今度はどんな目にあうんでしょうね……。
「AN通信」という、アジアのニューズを発信する小さな会社のエージェント。「24時間ごとに定期連絡をしなければならない」という規約の下で働いています。もし、この規約を破ると?というか、そもそも「AN通信」の本質って……?
鷹野の同僚 “田岡亮一”(竹内涼真)
主人公の鷹野と行動を共にする、田岡亮一。演じるのは今をときめく俳優、竹内涼真です。撮影ではスタントなしで10m落下したんだそうですよ!凄まじい。
鷹野と同じく「AN通信」のエージェントとして働く田岡。彼にも、24時間ごとの定期連絡を怠れない深い事情があります。
謎の女 “AYAKO”(ハン・ヒョジュ)
日本映画に度々出演し、近年ではハリウッドドラマにも出演している韓国人女優・ハン・ヒョジュ。鷹野の敵と手を組む謎の女AYAKOを演じます。登場人物がかなり多い本作。みんな重要な役どころなのですが、全員紹介していると日が暮れてしまうので、超重要な彼女だけピックアップしました。
彼女が敵なのか味方なのかで、主人公の運命は大きく左右される、キーマンであるAYAKO。身長172センチ、やっぱり高身長の女優さんってミステリアスな役がバチっと決まりますよね……!
以下、映画『太陽は動かない』のネタバレ!
原作小説『太陽は動かない』のストーリーに沿った脚本になることが伝えられている今作。原作はとにかくスケールが壮大で、登場人物の関係性が複雑です。この辺りの難解さも「映像が不可能」と言われた理由の一つなのでは……。
本記事では、『太陽は動かない』のストーリーを原作小説からネタバレ付きで紹介していきます!ただ、絶対に映画そのものを鑑賞した方が面白いと思われる今作(当然ですが)。この内容に演技を付けて観られるって、なかなか凄いことですよ……!ファン待望なのも頷けます。
本来なら2020年5月15日に公開予定だった今作。残念ながら、新型コロナウイルス感染拡大の影響で公開が延期になってしまいました。ただ、連ドラの放送が予定通り行われていることから、公開は「延期」であって「中止」ではないことが予想されます!
WOWOWで「太陽は動かない ドラマ版メイキングインタビュー編」を見たんですが…マジか‼︎です。全てがクライマックスの連続だという体を張った撮影。あんな高いところから落下とか、爆破とか、ドラマのスケールを超えてます。再放送あり!#太陽は動かない #竹内涼真 #WOWOW https://t.co/7XWrprt2VS pic.twitter.com/PAQsXhudhW
— ぽん❣️ (@Ryo_Take_yas) April 22, 2020
安心してスクリーンで鑑賞できる日まで、首を長くして待ちましょう……!
『AN通信』の裏の顔とは?
アジアのニュースを発信する小さな会社 “AN通信”。ところがこれは表向きであり、この組織の実態は「産業スパイ組織」。本当の “AN通信”の目的は、「独自に入手した裏情報を大企業や政府に高値で売ること」でした。
本作の主人公 “鷹野一彦”は、AN通信のエージェント。若手の田岡亮一を部下にコンビを組み、日夜スパイ活動に身を投じています。
新油田の開発をめぐり各国が衝突!
南シナ海で新油田が見つかったことで物語は動き始めます。
ます、中国のエネルギー企業 “新源石油”がこの油田の開発に手をあげました。一企業である新源石油は、日本(興和)・韓国企業(ナムスン)と提携し、開発を進めることを提案します。
しかし、新源石油による油田開発を阻止しようと目論んでいたのが、中国政府。新油田開発は国主導で行われるべきというのが彼らの考えです。
そもそも新源石油は地方企業。外国企業(日本・韓国)の資本を勝手に受け入れて計画を進めている状況も、政府的には気に入らないわけです。
中国が企てた爆破テロ計画
そこで、中国政府は “天津スタジアム爆破計画”という、とんでもない計画を立てます。新源石油に敵対心を持っている団体、“ウイグル過激派”を扇動することで、サッカー日韓戦開催中の天津スタジアムで爆破テロを起こさせるというもの。
日韓の民主に、あえて中国を憎ませることで、日韓企業が新源石油との提携を打ち切るように仕向けようというのです。そうすれば、資本のなくなった地方企業 “新源石油”を潰すのなんて簡単。政府が新源石油開発の手綱を握れるというわけです。
テロを防がなければ田岡の命もない!
この一連の目論見に巻き込まれた鷹野。日本企業・興和の上海支社に拉致されてしまいます。そこで鷹野は、すでにこの爆破計画の情報を仕入れていた興和の支社長・新井と対面することになります。
興和とナムスンがテロの情報を知ったのは、鷹野のライバルであるスパイ、デイビッド・キムの情報提供によるものでした。爆破テロを阻止するように命じられる鷹野。ただ、ここに来るまでに“ウイグル過激派”との交渉に失敗していた鷹野には、もうその手段がありません。
「できないじゃ困るんですって!もっと本気でやってもらわなければ!」新井は言いながら写真を一枚、鷹野に見せます。そこには、無残に痛めつけられた相棒、田岡の姿。田岡は凄惨なリンチを受け、今はテロが起きる天津スタジアムに移されていると……。
つまり、テロを防がなければ、田岡が死にます。ここまでするのか?と思いますが、油田開発の提携を切られれば支社長のポジションを引きずり下ろされることは必然。新井も必死です。
『AN通信』諜報員の秘密
“AN通信”で優先すべきは、利益。私情を挟むことは硬く禁じられていました。本来なら田岡を見捨て、もっと利益の出る任務に移ることが鉄則。しかし、鷹野は迷います。
実は、鷹野含め全員、AN通信のエージェントの胸には小型爆弾が埋め込まれているのです。スパイの成功にかかわらず、1日1回の定時連絡を怠れば、爆弾が起動して本人は死亡します。天津スタジアムのテロは3日後。つまり、テロの前にAN通信の小型爆弾で田岡は死ぬでしょう。
鷹野は影武者を立てAN通信を欺き、天津スタジアムに向かうのでした。
再交渉決裂!腕づくで救出するしかない!?
テロを止めるため、“ウイグル過激派”と再交渉する鷹野でしたが、それも失敗に終わります。あとは、爆破当日に天津スタジアムから直接田岡を救出するしか方法はありません。
CNOXの真の計画が明らかに
この混乱の中、鷹野のライバルスパイ、デイビッド・キムを雇った中国大企業・CNOXは、油田開発よりも大規模な計画を進めていました。「宇宙太陽光発電」これが実現すれば、油田とは比べ物にならないエネルギーが手に入ります。
つまり、油田開発、テロ、国家共謀……全てはこの宇宙太陽光発電を水面下に進めるための隠れ蓑だったのです……!いやこのフェイクで田岡、死にかけてるけど……。
過酷な攻防で一命をとりとめた彼ら。しかし待っているのは……。
AN通信を欺き、田岡を救うために命をかけた鷹野。彼らエージェントは、実はみんな親に捨てられた子どもたち。虐待死として処理され、戸籍を消された子どもたちをAN通信はエージェントに雇用していたのです。
雇用といっても、幼い頃から厳しい訓練、そして胸に埋め込んだ爆弾で絶対服従を強います。大人になった彼らは、AN通信のエージェントとしてスパイ活動に身を投じ、もし35歳まで生き延びることができれば自由を与えられることになっています。
しかし、これまで自由になったエージェントはひとりもいません。
映画『太陽は動かない』残酷な運命から逃げる姿を切り取る
組織を欺き、幼い頃から同じ運命を共にしてきた相棒を助けた鷹野。この二人、ストーリーのラストでは一命を取り留めます。しかし、彼らが死にかけてまで身を投じていた抗争。結局は大組織の利益のための隠れ蓑でしかなかったわけです。
さらに、任務を放棄してまで守った命も、結局いつか爆弾で消されてしまうでしょう。もちろん鷹野自身も、いつか爆弾で亡き者にされると知っています。これまでのエージェントが皆そうだったように……。
普通、こういうスパイ物って、ラストは任務遂行してご機嫌なHIPHOPが流れて終わるじゃないですか?でも、彼らは違うんですね。ワイスピみたいに、最後にみんなでバーベキューなんてできないのです。
今日どんなファインプレーをしても、もし明日連絡を怠れば胸の爆弾が作動するのですから……。