6月4日(金)より全国の劇場で、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、トミー・リー・ジョーンズの3大レジェンド俳優が主演の映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』が公開中です。
B級映画のプロデューサーが、ギャングから借りた借金を返すために思いついたある妙案。
それは、映画撮影初日に主演俳優に死んでもらい、保険金を得ること。
今回の記事では、映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』の概要、あらすじネタバレ、個人的に気になったシーンについて紹介します。
今も現役で活躍中のレジェンド俳優達が生き生きと演じる本作品。
記事を見て、作品に興味をもってくれたら幸いです。
それでは、ご覧ください♪
映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』概要
公開中の映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』の監督は、ロバート・デ・ニーロ主演の映画『ミッド・ナイト・ラン』(1988年)で脚本を担当したジョージ・ギャロ。
彼が学生時代に観たハリー・ハーウィッツ監督の自主制作映画、『The Comeback Trail』をリメイクした作品です。
主演は、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、トミー・リー・ジョーンズ。
ザック・ブラフ、エミール・ハーシュ、ケイト・カッツマンら実力俳優陣が脇を固めます。
映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』ネタバレ
ここからは、映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』のあらすじをネタバレ紹介します。
平均年齢78歳のレジェンド俳優達の年齢を感じさせない演技に注目です!
B級バイオレンス映画「尼さんは殺し屋」の失敗で多額の借金を追うプロデューサー・マックス
時は1974年。
ミラクル映画社のB級映画プロデューサー・マックス(ロバート・デ・ニーロ)は、ビジネスパートナーであり甥っ子のウォルター(ザック・ブラフ)と映画館近くのカフェにいます。
映画館の前では、彼のプロデュースした映画「尼さんは殺し屋」の上映に対する宗教団体による抗議デモが行われています。
映画は不評で、閑古鳥が鳴いている始末。
ギャングのボスから借りた35万ドルも水の泡です。
「俺の作品で列ができるのは初めてだ」とマックスが言うと、ウォルターは答えます。
「あれは抗議だよ!おじさん、そろそろ身を引いたら?」
「身を引く?どういう意味だ?」と意にも介さない様子のマックスです。
ギャングのボス・レジーの取り立て
マックスが自分の家のアパートに帰ると、そこにはギャングのボス・レジー(モーガン・フリーマン)が部下を従え待っていました。
「貸した35万ドルを返せ!返さないと映画『黒い罠』のガキみたいにするぞ。いや、『死の接吻』みたいに階段から落とそう」などと、映画マニアの彼は、映画の内容を織り交ぜマックスを脅します。
「72時間やる。それまでに金を返さないと映画『絞殺魔』みたいにしてやる!」
マックスは、残された時間で借金の工面をすることになります。
かつての弟子ジェイムズに借金の肩代わりを依頼するマックス
マックスは、いまやハリウッドの売れっ子プロデューサーとなったかつての弟子、ジェイムズ(エミール・ハーシュ)を訪ねます。
「借金の肩代わりをしてほしい」とマックス。
ジェイムズは、あっさりと肩代わりを快諾しますが、ある条件を突き付けてきます。
その条件とは、マックスがミラクル映画社の未来の希望として温めていた壮大な哲学SFアクション大作『パラダイス』の権利を売ってくれというもの。
30万ドル、50万ドル、100万ドルと売値を上げていくジェイムズに対して、マックスは首をタテに振ろうとしません。
「だめだ。やらん!エドウッドに売ってやる!」
交渉は、物別れに終わってしまいます。
ウォルターの説得で映画『パラダイス』の撮影をスタートするも、ある事件が。
ミラクル映画社に戻ったマックス。
甥のウォルターに、『パラダイス』の権利を100万ドルで売る話を断ったと告げます。
「蹴ったの?100万ドルを?」
ウォルターの説得もあり、マックスは渋々、ジェイムズとの映画『パラダイス』の共同制作に同意することになります。
ジェイムズ、いち押しの人気アクションスター・フランク(パトリック・マルドゥーン)で映画『パラダイス』の撮影はスタートしますが、マックスは彼の軽っぽい演技に納得がいきません。
一方、甥のウォルターは、スターのフランクをひと目見たいと浮かれます。
高所で撮影準備をしているフランクにサインをもらいに行く、ウォルター。
快くサインに応じてくれたフランクでしたが、高所でバランスを崩し転落死してしまいます。。
不謹慎ながらも、マックスは大喜びです。
なぜなら、自分の夢の企画が他人によって製作されることがなくなったから。
「ウォルター!浴びるほど、酒を飲もう!人の不幸は蜜の味だ!」とマックス。
事故によりジェイムズに、500万ドルの保険金が入ることになるとは露知らずです。
眠っていたボツ企画で、保険金目当ての映画を作ろうと思いつくマックス!
夢の企画『パラダイス』の撮影が事故で中止になり喜んでいたマックスですが、ジェイムズが保険金を掛けていたと知ります。その額、500万ドル!
激怒するマックス。
「なぜ、映画を撮ってもいないのに、あいつにだけそんな大金が入るんだ?」
撮影中止によりジェイムズと契約した100万ドルも手に入らず、レジーに返す借金はそのまま残り続けることに。
「そうか!」とんでもないことを思いつくマックス。
「主演俳優に保険金をかけて、初日の撮影中に死んでもらえばジェイムズと同じように保険金が下りる!」
マックスは保険金の分け前を渡すことを条件に、レジーから資金提供を取り付けることに成功します。
決して完成することのない保険金目当ての映画。
撮影準備、スタートです。
かつての西部劇スター、デューク・モンタナ主役で嘘の映画撮影をすることに!
マックスは映画の主役として、往年の西部劇スター、デューク・モンタナ(トミー・リー・ジョーンズ)に白羽の矢を立てます。
老人ホーム暮らしで自殺願望のあるデュークは、常に一人ロシアンルーレットをして死ぬ機会をうかがっている男です。
そんなデュークをマックスと甥のウォルターは訪ね、映画のオファーを出します。
「次の映画で主役を演じてもらう。あんたは主人公にぴったりだ!」
マックスのうまい言葉に乗せられて、デュークは主演を務めることを快諾します。
同時に監督選びも進んでいきます。
数人の監督希望者の売り込みの中、デューク主演の映画への想いを熱く語る女性監督メーガン(ケイト・カッツマン)が現われます。
「主人公の苦悩に深い共感を得たんです。私にこの作品を撮らせてほしい。自信があるんです!」とのメーガンの熱い想いに対して、「男くさい映画だから、男性監督の方がいいのでは?」というマックスたちの意見にデュークは銃をぶっ放し、こう言います。
「この女性を監督にしろ!」
嘘の映画撮影が本格的にスタートすることになります。
嘘映画『西部の老銃士』の撮影スタート!デュークを殺すための仕掛けを考えるマックスですが、ことごとく失敗します。
映画『西部の老銃士』の撮影がスタートします。
嘘映画とは知らず、本気の撮影スタッフたち。
主演のデュークが乗る馬には、ジョン・ウエインと何作も共演したという名馬を起用することに決めます。(いい映画を撮る目的ではなく、馬を使ってデュークを殺すためです。)
撮影初日。
マックスは女性監督メーガンに、デュークが燃える荷馬車の中を飛び越えるシーンを撮る提案をします。
アクション!
デュークが火だるまになることを期待していたマックスでしたが、危機一髪で炎を飛び越えます。
吊り橋が落ちるよう仕掛けたり、気性の荒い牛を使ったり、と何とかしてデュークを殺そうとするマックスですが、ことごとく失敗。
マックスの思いとは裏腹の良いシーンが次々と収められることで、撮影クルーたちも大いに盛り上がっていきます。
保険金が下りないことに怒り心頭のレジー自らが、デュークを殺しに!
撮影の合間にマックスに何度も連絡してくるレジー。
「死んだか?」レジー。
「死んでいない。しぶとい」とマックス。
変化しない状況に業を煮やしたレジーは、部下と撮影中に現れ、デュークを殺そうとします。
自分の乗る馬にマックスを乗せ、逃げるデューク。
車で追いかけるレジーの一味。
追いつめられたデュークとマックス。
レジーは、デュークに銃口を向けこう言います。
「俺はあんたの映画が好きだが殺す!」
「これは、どういうことだ?」とマックスに聞くデューク。
デュークとマックスの大ピンチに機転を利かせた甥っ子のウォルターは、現在まで撮った映画の撮影フィルムを繋ぎ合わせ、近くのドライブインシアターで流します。
映像を見るレジー、デューク、マックス。
「おったまげた!こりゃ、最高傑作だ!ロスで会おう!」
レジーは、こう言って映画の完成を楽しみに去っていきます。
嘘の映画を作ろうとしたマックスの心にも、映画人としての血が騒ぎます。
「あと1日、頑張って映画を完成させるんだ!」
デュークに気合を入れるマックスです。
そして、晴れて映画『西部の老銃士』は完成し、公開されることになるのです。
映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』で気になったシーンをpickup!
映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』は、出演している役者さんが生き生きと演じているのがこちらにも伝わってくる映画でした。
ここからは、映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』で個人的に気になったシーンを紹介したいと思います♪
映画好きの登場人物達が愛おしい♪
本作には、真の悪者は登場しません。
形の違いこそあれ、みな映画愛に満ちた良い人間たちです。
ロバート・デ・ニーロ演じるマックス。
甥っ子のウォルターに指摘を受けると、すぐにすねる所が子供のようでした。
でも、ウォルターにはどこか甘いのか、「もういうなよ!」などと、彼を許すところもあり、憎めない良いおじいちゃんです。
はじめ保険金目当てのインチキ映画を撮ろうとしていたのに、撮った映像が予想外にいいものになっているとわかると、ちゃんとした映画を作ろうと心境が変化していく様子には、グッときました。
この作品は、マフィアやナイスガイを演じていた時のストイックな状態から解放されて、伸び伸びと演技を楽しむロバート・デ・ニーロの姿をみるだけでも価値があると思います!
ところで、マックスが長年温めていた企画、壮大な哲学SFアクション大作『パラダイス』は、どんな映画なんでしょう?
アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』(1972年)のような映画でしょうか?
「カムバック・トゥ・ハリウッド!!』の舞台が1974年だから、マックスが長年温めているアイデアの映画が、すでに今の時代に公開されていると考えると、なんだかおかしいですね。
ザック・ブラフ演じる甥っ子のウォルター。
借金返済のことばかりで、なんとかデュークを殺すことばかりを考えているマックスに対して、純粋に映画作りに関わろうとする姿が印象的でした。
ギャングのボス・レジーが、デュークを殺しにやってきた時に、途中まで撮影したフィルムを繋ぎ合わせて大スクリーンで流すシーンは特に印象的でした。
このシーンは、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画『ニュー・シネマ・パラダイス』(1989年)で、主人公が、亡き映画技師が残したフィルムを流すシーンさながらの心に残るシーンだと個人的には思っています。
ケイト・カッツマン演じる女性監督・メーガンも印象的でした。
保険金目当ての偽の映画を制作するための駒として監督起用されたにも関わらず、思い切ったアイデアで往年の映画スター・デュークを生き生きと蘇らせ、映画自体を素晴らしいものに作り上げていく姿に拍手です。
(往年のスターを蘇らせるなんて、クエンティン・タランティーノ監督みたい!)
小さい頃にお父さんと観に行った映画がデューク・モンタナの主演映画で、その時の記声を震わせながら語る彼女の演技に胸が熱くなりました。
エミール・ハーシュ演じるジェームスのどこかコミカルな演技も印象的でした。
ジェームスはマックスのかつての弟子でしたが、落ちぶれているマックスとは反対に、名プロデューサーにまで上り詰めています。
マックスの長年温めていた企画『パラダイス』の権利を手に入れ、撮影を開始したのにも関わらず、主役が死んでしまい、ワイドショーのインタビューに答えるジェームス。
「これは嘘の表情だ!同情を買おうとして泣き出すぞ!ほら!泣いた!」などと、ジェームスのことを知り尽くすマックスが、甥っ子のウォルターに語る姿が笑えます。
エミール・ハーシュは、コメディの才能もあるとみました。
今後、コメディ作品に出演する際は要注目です!
老人ホームに入居するお年寄りたちも印象に残りました。
マックスたちが映画の出演交渉で、デュークのいる老人ホームを訪れるシーン。
映画のプロデューサーが来たとわかったお年寄り達は、「ローレンス・オリヴィエと共演した」とか「イングリッド・バーグマンの映画に出た」などと、まじめに自分を売り込んできます。
その様子が可愛らしかったです。
モーガン・フリーマン演じるギャングのボス・レジーがセリフで語る映画が気になる!
本作でモーガン・フリーマン演じるレジーは、映画マニアのギャングです。
セリフの中で、いくつか気になる映画のタイトルを言っていました。
そのいくつかを取り上げたいと思います。どれも観たくなる作品ばかりですよ♪
◎金を返さないと映画『黒い罠』のガキみたいにするぞ。
ワンカット映画が好きなら、オススメの傑作「黒い罠」。
オープニングが最高で、何者かが車に爆弾を仕掛けて、爆発するまでを狂気の長回しで見せる。凄まじい緊迫感。
60年前の映画にもかかわらず、この新しさ!今流行りのワンカット映画の源流ともいえる作品。学生時代に観て、衝撃を受けました。 pic.twitter.com/dAOx6qNAIe
— SYO(映画ライター) (@SyoCinema) March 5, 2019
◎『死の接吻』みたいに階段から落とそう。
「死の接吻」鑑賞。生前父はよくR・ウィドマークが車椅子の人間を階段から突き落とす場面に驚いたと話していましたがデビュー作であるこの作品でした。名手H・ハサウェイによるノワールの秀作ですがとにかくウィドマークの悪の魅力に尽きる映画で主演V・マチュアが霞みます。あの不敵な笑顔と笑い声。 pic.twitter.com/QwPH7gdEmZ
— 阿乱隅氏 (@yoiinago417) September 27, 2020
◎映画『絞殺魔』みたいにしてやる!
「絞殺魔」#1日1本オススメ映画
ボストン連続絞殺魔事件を扱った映画。よくある猟奇的な映画のような惨殺シーンはない。ただ物語が進むにつれて名づけようのない恐怖や不気味さを感じる。前半~中盤に多用されるスプリットスクリーンも見所! pic.twitter.com/m1XBLqSrjP— 僕と映画と週末に (@Home_Bound_1980) July 7, 2016
過去作『ミッドナイト・ラン』と似た要素もあり?
映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』の監督であるジョージ・ギャロは、過去にロバート・デ・ニーロの主演作『ミッドナイト・ラン』(1988年)で脚本を担当しました。
この作品は、賞金稼ぎの男が、マフィアの資金を盗んだ会計士を捕まえて100万ドルをもらう話でした。
元警官で賞金稼ぎの男(ロバート・デ・ニーロ)は、チャールズ・グローディン演じる会計士デュークを目的地に移送します。しかし、2人で逃走するうちに奇妙な友情が芽生え、賞金より彼を逃がすことに心が傾いていきます。
これは、保険金目当ての嘘映画はそっちのけで、本気の映画作りに熱が込もってしまう本作品と、似たところがあると感じました。
映画『ミッドナイト・ラン』のチャールズ・グローディン演じる会計士の名前はデューク、デニス・ファリーナ演じる資金を持ち出されたマフィアの男の名前はジミー、と本作とも共通した名前を使っています。
エンドロール中に席を立たないで♪
本作品は、エンドロールを迎えたあとも油断して席を立ってはいけません。
マックスのミラクル映画社の過去公開された作品紹介のあと、問題の「尼さんは殺し屋」の予告編が流れるからです。ロジャー・コーマンのB級映画のような作品。これで一本映画を作っても楽しそうに思えました。
誰か撮ってくれませんかねー?
まとめ
映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』の概要・ストーリー・個人的に気になったシーンについて紹介しました。
借金だらけのB級映画監督が思いついた起死回生のアイデアが、思わぬ方向に進んでいく物語。
104分の上映時間は、テンポよくあっという間でした。そして、その後の展開も観てみたいと思わせる作品です。
豪華俳優陣、その脇を固める俳優たち、それぞれのキャラクターに感情移入して観ると、また別の興味がわいてきて、より作品を楽しめる気がします。
映画に出てくる馬にも注目してみてください。
実は、物語の重要な役割を果たしていたりして♪
映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』は全国の劇場で上映中です!