サブスクの普及により見たい映画がサクッと鑑賞できるようになった昨今。
ずらりと並んだ作品の中から、タイトルやジャケットで選んで借りていたのが懐かしくも感じますが、気になった作品がすぐに見れ、映画が生活に馴染むのはやっぱり嬉しいものですよね。
ガッツリと「映画をみよう!」という時だけでなく、何か作業をしながら映画を流すという方も増えているそうです。
今回はそんな時におすすめな、スローで癒される映画6選を紹介します。
日常に溶け込むようなゆったりとした作品で、穏やかな昼下がりや静かな夜に流しているもの心地よいような作品を集めました。
映画をより身近に楽しんでみませんか?
ナイト・オン・ザ・プラネット
公開年 | 1992年 |
製作国 | アメリカ・イギリス・フランス・ドイツ |
上演時間 | 129分 |
監督 | ジム・ジャームッシュ |
「ナイト・オン・ザ・プラネット」あらすじ
タクシー運転手と乗客の様子が描かれたオムニバス映画。ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキそれぞれの夜のタクシーでの様子が切り取られている。
「ナイト・オン・ザ・プラネット」のここが魅力的!
日本でも人気の高いジム・ジャームッシュ監督による「ナイト・オン・ザ・プラネット」。派手な出来事は起きず、それぞれの場所で繰り広げられる会話がゆったりと流れていきます。
しかし、それぞれの人生が垣間見える会話に引き込まれ、観賞後には温かな余韻が残り定期的に見たくなるような作品です。
5つの物語が登場しますが、特にニューヨークで繰り広げられる物語が筆者は大好きです。クスッと笑えながらも愛に触れてほっこりし、疲れた心も緩んでいくはず。
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バグダッド・カフェ
公開年 | 1987年 |
製作国 | ドイツ・アメリカ |
上演時間 | 91分 |
監督 | パーシー・アドロン |
「バグダッド・カフェ」あらすじ
広大に広がる砂漠の中にポツンと佇む「バグダッド・カフェ」。ダイナー・モーテル・ガソリンスタンドであるバグダッド・カフェにドイツ人女性の観光客が訪れる。彼女が訪れたことで日常が緩やかに変化し、それぞれの人生が色付いてゆく。
「バグダッド・カフェ」のここが魅力的!
日本でも大ヒットを記録し、ミニシアターブームの火付け役となった「バグダッド・カフェ」。登場するのは、仕事と育児にストレスを抱え怒鳴ってばかりのブレンダと、働かない夫。やる気のない店員と、過去の栄光を引きずり絵を描いて暮らす老人…。
「名作」としての呼び名の高い本作ですが、癖の強い登場人物ばかりで正直な所「本当に評判の良い作品なの…?」と物語の序盤で思っていました。しかし、怠惰な雰囲気が停滞していた街に、ジャスミンが訪れたことで少しづつ日常が変化していく様を見ていると、どんどん心が豊かになり、観賞後には「やっぱり名作だ…!」と思うはず。
そして作品をより味わい深いものにしている主題歌、「Calling You」。
一度聞いたら耳に残る曲ですが、聞けば聞くほど曲の良さがじんわりと広がり、歌詞も物語とリンクしているので観賞後にも余韻が続きます。
筆者個人的には、映画と主題歌が最もマッチしている作品だと思っています!観賞後にはぜひサウンドトラックもチェックしてみてくださいね。
ロスト・イン・トランスレーション
公開年 | 2003年 |
製作国 | アメリカ・日本 |
上演時間 | 102分 |
監督 | ソフィア・コッポラ |
「ロスト・イン・トランスレーション」あらすじ
CM撮影のために来日した俳優と、夫の付き添いで東京を訪れた若い妻。孤独を抱える2人がホテルのバーで出会い、次第に距離を縮めていく。
「ロスト・イン・トランスレーション」のここが魅力的!
「SOMEWHERE 」(2010)や「ヴァージン・スーサイズ」(1999)などを手がけ、ガーリーブームの火付け役となったソフィア・コッポラ監督作品。
ホテルのバーでたまたまアメリカ人を見かけたことで、距離が近づいていく2人。初老の俳優をビル・マーレイが、夫の付き添いで来たものの放って置かれてばかりで孤独を感じる妻をスカーレット・ヨハンソンが演じています。
日本でなかったら出会わなかったかもしれない、2人の絶妙な関係が繊細に描かれています。
当時19歳のスカーレット・ヨハンソンがとにかく魅力的…!セクシーなイメージが強いスカーレット・ヨハンソンですが、本作ではキュートで透明感があり違った魅力を感じることができます。(とは言っても19歳にして色気も兼ね備えているのですが!)
ソフィア・コッポラ監督の魅力が本作でも炸裂し、映画のどの場面を切り取っても美しく、「東京ってこんなに魅力的に映っているんだ」と呆気に取られてしまいます。
日本人のダサさが感じらる所もあり、日本人じゃなかったらこの作品がもっと好きだろうなと残念に感じる部分もありますが…。作品に登場する東京は無機質で美しく、とても魅力的です。
マイ・ブルーベリー・ナイツ
公開年 | 2007年 |
製作国 | 香港・フランス・中国 |
上演時間 | 95分 |
監督 | ウォン・カーウァイ |
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」あらすじ
失恋をし心に傷を負ったエリザベスは、カフェに通うことになりオーナーと度々会話を重ねる。次第にオーナーに惹かれていくエリザベスだったが、別れた恋人が女性と歩いている姿を見かけ、逃げるように街を飛び出し旅に出る。
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」のここが魅力的!
監督は「恋する惑星」(1994)や「ブエノスアイレス」(1997)など数々の名作を手がけ、香港に止まらず世界的に愛されるウォン・カーウァイ監督。本作で初めて英語劇に挑戦し、主人公・エリザベスをジャズシンガーのノラ・ジョーンズが演じました。
ウォン・カーウァイ監督らしいスタイリッシュな映像と温かみのある色味が物語や劇中の音楽とマッチし、心地良い作品です。恋人を忘れようとニューヨークを飛び出したエリザベスはメンフィス、ラスベガスと旅に出るロードムービー仕立てになっています。
そしてなんと言ってもジュード・ロウがとにかくかっこいい…!!近年の出演作は「キャプテン・マーベル」(2019)や「ファンタスティック・ビースト」シリーズなど、かっこよさが全面的に出ているキャラクターではないですが、今作のジュード・ロウはとにかくかっこいいんです。(2回目)
また、主人公を演じたノラ・ジョーンズを始め、キャット・パワーやライ・クーダーなど豪華なアーティストが集結したサウンドトラックも大きな魅力!音楽好きの方も必聴、必見の作品です。
ぜひ、甘いスイーツを事前に用意してから鑑賞してみてください。
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スモーク
公開年 | 1995年 |
製作国 | アメリカ・日本・ドイツ |
上演時間 | 113分 |
監督 | ウェイン・ワン |
「スモーク」あらすじ
14年間、同じ場所で同時刻に写真を撮り続ける、煙草屋の店主。銀行強盗に巻き込まれ、妻を亡くした作家。生き別れた父を探すため、偽名を使いながら各地を転々とする少年…。
ブルックリンの街角に佇む煙草屋を舞台に、繰り広げられる日常が描かれる。
「スモーク」のここが魅力的!
アメリカ・日本・ドイツによる合作で生まれた「スモーク」。過去と現在を行き来しながら描かれる群像劇です。
本作も派手なことは起こりません。登場人物それぞれの視点から抱える悲しみや嘘が描かれ、淡々と物語は進んでいきます。
「スナッチ 」(2000年)や「コードネームU.N.C.L.E. 」(2015年)で知られるガイ・リッチー監督のように、散りばめられたピースが徐々に繋がり、最後にカチッとはまる!というタイプの映画ではありません。描かれるそれぞれの日常は、ただただ煙のようにゆっくりと消えていきます。
起承転結がはっきりとした映画が好みの方は、消化不良に感じるかもしれませんが…。不思議なことに、この映画は観賞後にほっこりと温かい気持ちに包まれ、(あくまで主観ですが)「あぁいい映画みたな」という気持ちになるのです。気づけばまた見たくなり、見れば見るほど作品の良さがじんわりと広がるような映画です。
映画を見るのって意外と気力が入りますよね。2時間集中しなければいけないし、つい登場人物に感情移入してしまったり。「疲れているけどなんだか映画が見たい」という時には、ぜひ鑑賞してみてください。
コーヒー&シガレッツ
公開年 | 2003年 |
製作国 | アメリカ・イタリア・日本 |
上演時間 | 97分 |
監督 | ジム・ジャームッシュ |
「コーヒー&シガレッツ」あらすじ
コーヒーを飲み煙草を吸いながら繰り広げられる、11のショートストーリーが詰まった作品。なんてことない会話から、クスッと笑ってしまうゆるい会話、はたまた教訓を感じる会話…様々な登場人物による会話が繰り広げられる。
「コーヒー&シガレッツ」のここが魅力的!
1本目に紹介した「ナイト・オン・ザ・プラネット」と同じ、ジム・ジャームッシュ監督による作品です。
「キャロル」(2015)や「オーシャンズ8」(2018)など出る作品全て美しカッコ良すぎるケイト・ブランシェット、ドック・オクでお馴染みアルフレッド・モリーナ、ジム・ジャームッシュ監督作常連のビル・マーレイ、そしてアーティストのイギー・ポップやGZA、RZA…
と豪華すぎるキャストたちのなんてことない会話が、モノクロ映像でひたすら続く贅沢な作品!
作中の登場人物は俳優の名前と同じなのも魅力的です。
コーヒーを注ぎに来た店員を見て「俳優のビル・マーレイか?」「そうだけどここだけの話に…」といった感じで本人役で登場する物語も。作品に止まらず、映画俳優が好き!という方には堪らない作品なはず。
「ショコラ」(2000)を見ればチョコが食べたくなり、「サイドウェイ」(2004)を見ればワインが飲みたくなるように、作中に登場する食べ物や飲み物ってとても美味しそうに映っていますよね。ですが、本作ではコーヒーも煙草も美味しそうじゃないんです。(なんなら「あんまり美味しそうじゃないな」とすら…。)
ですが、筆者はそれこそ魅力の1つだと思っています。
「コーヒー&シガレッツ」というタイトルでありながら、コーヒーを味わうような場面はなく、「カフェインは体に悪い」「煙草やめたんじゃないのか」なんてセリフも登場。コーヒーも煙草もただ登場するだけなので、純粋に会話を楽しむことができますが、その会話も深みのある名言が飛び出る訳でもないんです。
何かを感じようとしなくてもいいし、登場人物の意図を探る必要もない。ただただ繰り広げられる会話を、時間を味わうことができ、「映画」という概念が変わる作品です。
まとめ
スローで癒される映画6選を紹介しました。起承転結がはっきりしている映画が好き!という方も、映画の楽しみ方や選び方が変わるきっかけになったら嬉しいです。
筆者は作業中に、何度も見るほど大好きな作品を流すことがよくあります。一瞬で映画の中の世界観に包まれ、いつもの部屋でも時間がゆっくり流れるような錯覚に陥るんです。
ポップコーンやコーラを用意して、映画館のように準備万端で鑑賞をするのももちろん楽しいですよね。筆者も気合を入れて全力で鑑賞するのも大好きですが、穏やかな休日の昼や、静かな夜に映画が馴染むのもとても心地が良いものです。
気になる作品が見つかったら、ぜひ鑑賞してみてくださいね。素敵な映画体験となりますように。