近年では、ナレーターそして『モーガン・フリーマンが語る宇宙』などテレビ番組でのホストも務める俳優モーガン・フリーマン。しかしそんな彼が若い頃、俳優になるかパイロットになるかで迷ったことはあまり知られていません。今回は、名作にはなくてはならない俳優モーガン・フリーマンのキャリアをおすすめ映画とともに振り返ります。
モーガン・フリーマン出演のおすすめ映画 〜ヒューマンドラマ〜
モーガン・フリーマンの真骨頂といえば知的な大人の演技。なだめるような語り口はヒューマンドラマでこそ光ります。
『ドライビング Miss デイジー』
監督:ブルース・ベレスフォード
キャスト:ジェシカ・タンディ,モーガン・フリーマン,ダン・エイクロイド
公開:1989年
『ドライビング Miss デイジー』のあらすじと見どころ
ユダヤ系の老婦人で元教師のデイジー(ジェシカ・タンディ)は息子のすすめで黒人運転手のホーク(モーガン・フリーマン)を雇います。周囲の偏見を嫌い運転手を雇うことに懐疑的だったデイジーでしたが、ホークの真面目な仕事ぶりにやがて全幅の信頼を置くようになります。戦後のアメリカに根強く残る人種差別を受けながらも絆を固く結ぶ二人でしたが、突如デイジーが認知症になり老人ホームへの入居を余儀なくされます。ある日、症状が進んだデイジーのもとをホークがおとずれます。出会った頃のような軽妙な会話を交わすふたり。ホークがデイジーにパンプキンパイを食べさせるシーンで余韻を残したまま映画は幕を閉じます。1960年代のアメリカ南部を舞台に、ユダヤ人や黒人に対する人種差別の実情を取り上げながらも、ひたむきに生きるホークとデイジーの半生を明るく描いています。デイジーを演じたジェシカ・タンディはこの作品で最高齢(80歳)でアカデミー賞主演女優賞に輝きました。
『許されざる者』
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:クリント・イーストウッド,ジーン・ハックマン,モーガン・フリーマン
公開:1992年
『許されざる者』のあらすじと見どころ
町の酒場で娼婦とトラブルを起こしたカウボーイ二人に、娼婦たちは懸賞金をかけます。風の噂で懸賞金の話を聞いたキッドという男が田舎で隠居していた殺し屋マニー(クリント・イーストウッド)を誘い、カウボーイの首を狙いに酒場へ向かいます。道中でマニーの昔の仲間ネッド(モーガン・フリーマン)を伴い三人はカウボーイのひとりを殺害しますが、ネッドが保安官のリトル・ビルに捕らえられ拷問の果てに殺されてしまいます。マニーはもうひとりの賞金首とネッリトル・ビルを射殺。雨の中、ネッドの仇をうったマニーは娼婦たちに見送られ酒場を去っていきます。『許されざる者』は西部劇の傑作として今も語り継がれる名作のひとつです。孤独なガンマンたちの生き様を描き切り、アカデミー賞作品賞を受賞しています。
『ショーシャンクの空に』
監督:フランク・ダラボン
キャスト:ティム・ロビンス,モーガン・フリーマン
公開:1994年
『ショーシャンクの空に』のあらすじと見どころ
優秀な銀行員だったアンディ(ティム・ロビンス)は、無罪を主張するも認められず妻殺しの罪でショーシャンク刑務所に収監されまてしまいます。長年服役している調達屋のレッド(モーガン・フリーマン)から小さなロックハンマーを入手。主任刑務官の遺産相続問題を解決したり、図書係を務める傍ら州議会から図書館予算の請求に成功したり、持ち前の知性でのし上がっていきます。やがてアンディは20年前にレッドから受け取ったロックハンマーで脱獄に成功。ほどなくしてレッドも仮釈放され、脱獄前にアンディが残していった伝言を信じてメキシコへ向かい、再会を果たします。塀の中のストーリーだけに場面展開に派手さはありませんが、その分アンディとレッドの上質な友情がより浮き彫りに。ラストでは、20年間信念を貫き通したアンディの勝利に胸の空く思いが押し寄せます。
『ミリオンダラー・ベイビー』
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:クリント・イーストウッド,ヒラリー・スワンク,モーガン・フリーマン
公開:2004年
『ミリオンダラー・ベイビー』のあらすじと見どころ
プロボクサーを目指すマギー(ヒラリー・スワンク)のジム入会を認めようとしないオーナーでトレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)。見かねたフランキーの友人スクラップィ(モーガン・フリーマン)は、こっそりマギーに基礎を教えます。やがて熱意に負けたフランキーはマギーを指導。二人三脚でタイトルマッチまでたどり着きますが、相手の反則行為によりマギーは全身付随に。回復の見込みがなと知ったマギーはフランキーに死なせてほしいと懇願します。悩み抜いたフランキーはマギーの点滴に致死量のアドレナリンを注入し、姿を消します。クリント・イーストウッドと二度目の共作。『許されざる者』とは違った形の男の友情も見どころのひとつです。
『最高の人生の見つけ方』
出典:映画.com監督:ロブ・ライナー
キャスト:ジャック・ニコルソン,モーガン・フリーマン
公開:2007年
『最高の人生の見つけ方』のあらすじと見どころ
実直な自動車修理工のカーター(モーガン・フリーマン)とお金儲けに奔走する人生を送ってきた富豪のエドワード(ジャック・ニコルソン)は、同室で闘病生活を送ることに。共に余命半年を宣告されたふたりは、カーターが密かに書き記していたバケットリストを家族の反対を押し切って実行に移します。スカイダイビング、マスタングに乗る、ライオン狩り・・・。世界を旅して回るうちカーターの妻から「夫を返して欲しい」と手紙を受け取ったエドワードはカーターを説得し帰路へつきます。友情を深めたふたりでしたが、途中カーターがエドワードと絶縁状態だった娘との再会を画策したことでけんか別れしてしまいます。ほどなくしてカーターの容体が悪化したと知らせを受けたエドワードは、カーターからリストの残りを達成するように諭され娘と再会。その頃カーターはこの世を去り、後を追うようにエドワードも旅立ちました。二人の遺灰はエベレストに安置され、バケットリストの最後のひとつが果たされます。『最高の人生の見つけ方』は特に目新しい演出があるわけではありません。ストーリーもタイトル通りのシンプルなものですが、それだけにジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンの演技が命の作品。オスカー俳優の共演だからこその映画です。
『インビクタス/負けざる者たち』
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:モーガン・フリーマン,マット・デイモン
公開:2009年
『インビクタス/負けざる者たち』のあらすじと見どころ
反体制活動家として27年もの間獄中生活を送っていたマンデラ(モーガン・フリーマン)は、釈放後大統領に就任。黒人のマンデラが大統領になったことで報復人事を恐れた白人たちだったが、マンデラは肌の色に関係なく新しい南アフリカの建国を呼びかけます。アパルトヘイトの象徴として黒人には不人気だったラグビーを世界一に押し上げるため奔走するマンデラと、彼と共にワールドカップ優勝のためにチームを必死でまとめようと懸命な主将のフランソワ(マット・デイモン)。ワールドカップに挑んだ南アフリカラグビーチーム、スプリングボクスは決勝に進出。相手は世界最強ニュージーランド・オールブラックス。人種の壁を超え団結したボグスはオールブラックスの猛攻を凌ぎ切り、ノーサイド。世界の頂点に立つのでした。『インビクタス/負けざる者たち』はネルソン・マンデラの自叙伝の映画化作品で、モーガン・フリーマンの出演はマンデラ大統領たっての希望で実現しました。またモーガン・フリーマンは監督を自らクリント・イーストウッドに依頼。のちに当時を振り返り「クリントを説得したのは私ではなく、脚本だった」と話しています。
モーガン・フリーマン出演のおすすめ映画 〜サスペンス〜
サスペンスでのモーガン・フリーマンは道先案内人。決して熱血感というわけではありませんが、自身の経験から正しい方向を導き出す良き指導者です。
『セブン』
監督:デヴィッド・フィンチャー
キャスト:ブラッド・ピット,モーガン・フリーマン,ケヴィン・スペイシー
公開:1995年
『セブン』のあらすじと見どころ
七日後に定年が迫ったサマセット(モーガン・フリーマン)の部署に新人のミルズ(ブラッド・ピット)が配属になります。反りの合わないふたりでしたが程なく殺人事件が発生。現場の痕跡から七つの大罪になぞらえた連続殺人事件と見破ったサマセットは、ミルズと共に犯人を追跡。自宅を突き止めたふたりだったが寸でのところで犯人を取り逃してしまいます。しかし、されるがままだったサマセットとミルズのもとに犯人のジョン・ドゥ(ケヴィン・スペイシー)と名乗る男が突如「見せたいものがあるからついてこい」と出頭。現場に到着した三人のもとに宅配便が届き、先に中を見たサマセットはミルズに銃を降ろすように説得します。しかし、荷物の中身が自身の妻の首だと悟ったミルズは怒りからジョンを射殺。皮肉にも自身の死をもってジョンの七つの大罪は完成したのでした。モーガン・フリーマンが演じるサマセットはベテランの窓際刑事です。若さはありませんが、ミルズとミルズの妻の良き理解者としてサマセットなりのやり方でふたりを正しい方向へ導きます。
モーガン・フリーマン出演のおすすめ映画 〜ヒーローもの〜
モーガン・フリーマンがヒーローものに出演するのは違和感があるかもしれませんね。アカデミックな演技が持ち味の俳優とアメコミの化学反応。これが意外にいいんです。
『ダークナイト』
監督:クリストファー・ノーラン
キャスト:クリスチャン・ベール,マイケル・ケイン,ヒース・レジャー,ゲイリー・オールドマン,アーロン・エッカート,マギー・ジレンホール,モーガン・フリーマン
公開:2008年
『ダークナイト』のあらすじと見どころ
ゴッサムシティの銀行強盗のひとりが仲間を殺して現金を強奪。この男こそバットマン最大の敵・ジョーカー(ヒース・レジャー)でした。バットマンことブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)と会合した中国系企業の社長はマフィアともつながっていました。ジョーカーの画策により社長はバットマンにより警察送りになり、マフィアはジョーカーを雇いバットマン打倒に燃えます。ジョーカーはその後市警本部長を殺害、バットマンに協力的な警部のゴードン(ゲイリー・オールドマン)も撃たれてしまいます。さらには検事のデント(アーロン・エッカート)とその恋人レイチェル(マギー・ジレンホール)を監禁。レイチェルは爆破により死亡、助かったデントもジョーカーに利用され、最後は高所から落下しこの世を去ります。ブルースは、ゴッサムシティの英雄であったデントが生前殺害した5人の罪を自ら被り街を去ります。『ダークナイト』はアメコミの傑作「バットマン」をクリストファー・ノーランが実写映画化し大ヒットした三部作の二作目です。ヒース・レジャー演じるジョーカーの暗躍が今もバットマンファン・映画ファンから高い支持を得ています。この映画におけるモーガン・フリーマンは最終局面でバットマンをサポートする研究開発者。見せ場は少ないものの、ヒーロー映画のイメージがないだけに貴重な出演作のひとつです。
モーガン・フリーマン出演のおすすめ映画 〜アクション〜
アクション映画でのモーガン・フリーマンもなかなか想像できませんよね。年齢を重ねてからのデビューだったこともあり、出演作のほとんどをその重厚な演技力で彩ってきたモーガン・フリーマン。そんな彼がアクション映画でどんな活躍をしているか、怖いもの見たさで鑑賞したい気もしますよね。
『ダニー・ザ・ドッグ』
監督:リュック・ベッソン
キャスト:ジェット・リー,モーガン・フリーマン,ボブ・ホスキンス
公開:2005年
『ダニー・ザ・ドッグ』のあらすじと見どころ
悪徳高利貸しのバート(ボブ・ホスキンス)は孤児だった幼いダニー(ジェット・リー)を自身の命令に忠実な殺し屋として育て、貸付金を滞納するギャングや宝石店を襲わせ私腹を肥やしていました。ある日ダニーはバートとともに訪れた骨董品倉庫で盲目の調律師サム(モーガン・フリーマン)に出会い、兼ねてから興味をもていたピアノに触れる機会を得るのでした。後日ダニーとバートは、取り立ての件で恨みを抱かれていた宝石店の一味に襲撃を受けます。バートやバーとの手下が殺される中ダニーは命からがら逃げ延び、サムに助けられます。サムは亡くなった友人の妻と娘のヴィクトリアを引き取り暮らしていましたが、10年前の交通事故で友人の妻を亡くし自身も視力を失ったのでした。サムやヴィクトリアとの暮らしの中で徐々に人間らしさを取り戻しつつあったダニーでしたが、偶然出会したバートの手下に遭遇。過日の襲撃の際に死んでいなかったバートに暴力の仕事を強要されますが、デスマッチ終了後に逃げ出しふたたびサムのもとへ帰ります。ダニーは自分の母親の写真をサムとヴィクトリアに見せ、バートから母が娼婦だったと聞かされたことを話します。しかしその写真からダニーの母が優秀なピアニストだったことが分かります。ダニーはバートが母に好意を抱いていたこと、触れられることを拒否した母がバートに射殺されたことなど、幼い頃の記憶を思い出します。やがてサムの家を突き止めたバートがダニーを説得にやってきます。サムは復讐心からバートにとどめを刺そうとするダニーを制し、自ら植木鉢で叩きのめしたのでした。月日は流れ、カーネギーホールのステージでヴィクトリアがピアノを演奏する姿をサムとともに鑑賞するダニー。母も弾いたモーツァルトのソナタを聴きながら涙を零すのでした。『レオン』を彷彿させるリュック・ベッソンお得意の復讐劇ですが、サポート役のモーガン・フリーマンは盲目の調律師です。ジェット・リーとのタッグで勧善懲悪を楽しみにしていたファンには脱力ものかもしれませんが、主人公・ダニーの人間らしさを守るキーパーソンとしての存在感は流石です。
『RED/レッド』
監督:ロベルト・シュヴェンケ
キャスト:ブルース・ウィリス,モーガン・フリーマン,ジョン・マルコヴィッチ
公開:2010年
『RED/レッド』のあらすじと見どころ
CIAを引退し隠居していたフランク(ブルース・ウィリス)は突如を命を狙われます。かつての同僚ジョー(モーガン・フリーマン)から犯人が巷を騒がせている連続殺人犯であること、また命を狙われているリストの人物が1981年のグアテマラでの作戦関係者を知ったフランクはCIA本部へ。途中ジョーと同じく昔の仲間マーヴィン、元MI6の殺し屋ヴィクトリアと合流し、次期大統領候補で一連の黒幕スタントンとその後ろ盾で軍需産業の大物ダニングを始末し、新たな戦場へと赴きます。モーガン・フリーマン演じるジョーは作中で非業の死を遂げますが、現役のCIAや殺しや相手に経験で対峙する演技は圧巻です。変わりゆく時代の中で、老兵には老兵の戦い方があることを見せつけるような映画です。
『LUCY/ルーシー』
監督:リュック・ベッソン
キャスト:スカーレット・ヨハンソン,モーガン・フリーマン,
公開:2014年
『LUCY/ルーシー』のあらすじと見どころ
台湾に留学中のルーシー(スカーレット・ヨハンソン)はマフィアの取引に巻き込まれ体内に新種の麻薬を袋ごと埋め込まれ、強制的に薬の運び屋にされてしまいます。しかし体内で袋が破れ麻薬はルーシーの体内に漏れ始めます。ルーシーの体内を駆け巡る麻薬は、CPH4という通常10%程度しか稼働していない脳の領域を引き出すものでした。やがてルーシーは超人的な能力を身につけ、マフィアによって運び屋にされている他の被害者を追います。また脳科学の権威ノーマン博士(モーガン・フリーマン)との接触に成功。自身の体に起きている変化の謎のヒントを得ます。驚異的な能力で世界中に散った運び屋の体内から麻薬を回収したルーシーですが、マフィアに追い詰められ自ら麻薬を取り込み脳の領域をすべて解放。銃を発砲したマフィアより一瞬先にコンピューターの内部に入り込んだところで物語は終わります。『LUCY/ルーシー』の見どころはスカーレット・ヨハンソンのアクションとリュック・ベッソンが手がける数少ないSF作品という点でしょう。モーガン・フリーマンの見せ場はあまりありませんが、スカーレット・ヨハンソンの『アイアンマン』で培った体のキレは観る価値アリです。
モーガン・フリーマン出演のおすすめ映画 〜コメディ〜
ヒューマンドラマでその地位を確立させると、2000年前後からはアクションやヒーローものそしてコメディにも勢力的なチャレンジを始めたモーガン・フリーマン。物静かで大人の演技に慣れたファンにとっては懐疑的な見方もあったかもしれませんが、今となってはコミカルでウイットに富んだ役柄も彼の魅力のひとつです。
『ブルース・オールマイティ』
監督:トム・シャドヤック
キャスト:ジム・キャリー,ジェニファー・アニストン,モーガン・フリーマン
公開:2003年
『ブルース・オールマイティ』のあらすじと見どころ
ニューヨークのTV局でリポーターとして勤務するブルース(ジム・キャリー)の夢はアンカーマンになることでした。ブルース を励まし続ける恋人のグレース(ジェニファー・アニストン)は、みずからが珍しいAB型+という貴重な血液型であることから献血に熱心でした。一方、献血にもグレースの勤務先・保育園の園児たちにも無関心なブルース。グレースは何かの気付きになればと園児たちが作ったブレスレットを渡しますが、ブルースはそれさえも仕事上のライバル・エバンがアンカーマンに就任した怒りに任せて湖に投げしててしまいます。自暴自棄に陥ったブルースは職を追われ「全部、神様のせいだ」と嘆きます。ある日、ポケットベルにかかってきた番号をきっかけに神(モーガン・フリーマン)に出会ったブルースは『周囲に悟られないこと』『他人の意思を操れないこと』を条件に神の力を授かります。大事件のスクープが舞い込むようになり仕事復帰し、ライバルのエバンをクビにしアンカーマンの座を奪うなど神の力を私利私欲のために使い始めたブルースは、同僚のスーザン(キャサリン・ベル)にキスをしているところをグレースに目撃され、破局。彼女を引き止めようと神の力を使いますが条件は『他人の意思を操れないこと』。すっかり反省したブルースはアンカーの座をエバンに返上し、ようやく人々の祈りに向き合います。そのなかにグレースの祈りを見つけたブルースでしたが、交通事故に遭い死んでしまいます。神から本当の望みをたずねられたブルースはグレースの幸せを願います。それを聞いた神は、かつて湖に捨てられたブレスレットとともにブルースを下界に返します。病院で息を吹き返したブルースは駆けつけたグレースの血液で命を取り留めます。ブルースもグレースと同じAB+型なのでした。職場復帰を果たしたブルースは後日献血現場で婚約を発表。ハッピーエンドで物語は幕を閉じます。『ブルース・オールマイティ』はジム・キャリーらしいハートフルなコメディ映画です。そのなかでモーガン・フリーマンが演じるのはなんと神。冒頭でいきなりブルースに神の力を授けてしまいますが、それもすべてブルースの快心のための計算だったという見方もできるなどコメディでありながら考えさせられる作品です。
モーガン・フリーマン 〜生い立ちからデビューまで〜
基本情報
- 生年月日 1937年6月1日
- 出生地 アメリカ合衆国テネシー州
- 活動期間 1960年代〜
モーガンの初舞台はなんと8歳。その頃は自他ともに将来は俳優になるものだと思っていたそうです。しかし15歳のとき、鑑賞した戦争映画に感銘を受けパイロットを志すようになります。飛行学校に進み一時期はアメリカ空軍にも籍を置きますが、一本の電話がモーガンの将来を決定づけます。「ポール・ニューマンが出演者を探しています」。当時スタープロデューサーとして名を馳せていたポール・ニューマン脚本・監督の『ハリー・アンド・サン』でついに銀幕デビューを果たします。
映画人モーガン・フリーマンは「これまで演じてきたすべての役が楽しかった」と言い切る
あるインタビューで「俳優をしていなかったら?」の質問に、モーガンは「タクシードライバーとしてでも、工場で働いていたとしても、その役を演じることをしていただろう」と答えています。2003年『ブルース・オールマイティ』では、神さえも演じ切ってしまったモーガン・フリーマン。物静かでいぶし銀の演技が意外にも精力的でウィットに富んだ人柄から生まれていると思うと、作品の味わい方もひと味違ったものになるはずです。今回紹介した作品を参考に、彼の出演作をあらためて楽しんでみてはいかがでしょうか。