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SFホラー映画『エイリアン』のヒロインが女性なのはなぜ?名作に隠された裏設定を探る!

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出典:IMDb

映画『エイリアン』といえば「SFホラーの金字塔である」と、いたる所で評価されています。しかし『エイリアン1』公開当時の1979年は、SFブーム。すでにSF映画は盛んに作られていて、決して珍しいというわけではありませんでした。
ではなぜ『エイリアン』は、SF映画のバイブル的存在となったのでしょう。
『エイリアン』を語る上で欠かせない、唯一無二のヒロインに迫りつつ、『エイリアン』の魅力を解説していきます!

映画『エイリアン』の概要

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『エイリアン』は、1979年公開のアメリカ・イギリス製作の映画です。監督は『ブレードランナー』などの傑作をのちに生み出すことになる名監督、リドリー・スコット。当時はまだ、CMをメインに手がける新人監督でした。
『エイリアン=宇宙人』という、現在では当たり前になった名詞を、最初に生み出した作品としても知られています。

SFだけど主役は人間

『エイリアン』以前の、宇宙人が登場するSFホラー映画といえば、「邪悪な未知の生命体が、地球を侵略する様を見よ!」というスタンスで作られるのが普通でした。それに対して『エイリアン』は、恐怖の侵略者に立ち向かう人間、しかも女性に焦点を当て、新しいSFホラー映画の形を完成させました。

元祖『戦うヒロイン』エレン・リプリーに注目!

ヒロインである「リプリー」は、70年代までの映画によく登場する、いわゆる「女を武器にして媚びつつ立ち回る女性たち」とは全く異なる振る舞いにより、一躍注目されました。
今回クローズアップするこのニューヒロインには、キャラクターデザイナーの巨匠であるハンス・リューディー・ギーガーが生み出したビジュアル「本能が拒否するレベルのエイリアン」に勝るとも劣らない、圧倒的な存在感があるのです。

映画『エイリアン』の作品情報

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  • 監督:リドリー・スコット
  • 脚本:ダン・オバノン
  • 原案:ダン・オバノン、ロナルド・シャセット
  • 出演:トム・スケリット、シガニー・ウィーバー、ヴェロニカ・カートライト、ハリー・ディーン・スタントン、ジョン・ハート、イアン・ホルム、ヤフェット・コットー
  • 公開:1979年5月25日
  • 上映時間:117分
  • 製作国:イギリス、アメリカ

映画『エイリアン』のあらすじ

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作品の舞台は、西暦2122年。宇宙航海士7名を乗せた宇宙貨物船は、地球から遠く離れた恒星での任務を無事終えて帰還中、というところから物語は始まります。
そこで、帰還中の貨物船は『知的生命体からのものと思われれる信号』を傍受します。
その信号の、不審なことと言ったら。当然、一部の航海士達からは「信号を無視しよう」という声もあがります。
しかし、彼らの会社の雇用契約に『知的生命体からの信号は調査しなければならない』という規定があることから、渋々信号の発せられる惑星に着陸することになるのです。

降り立った惑星で見つけた『未知の生命体の卵』のようなものが大量に鎮座した『エイリアンの巣』のような場所。航海士達は、あっけにとられます。

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すると突然、一人の航海士の顔に、未知の生命体が飛びかかります。しかも、そのイカみたいな生き物、完全に航海士の呼吸器を塞ぎ、べったりとくっついて離れないのです。彼の生死すらもわからない状況、なんとか船に戻って、処置をしなければなりません。
でも、この未知の生き物を、船内に持ち込んで本当に大丈夫・・・?

『エイリアン』公開当時1970年代ってどんな時代?

1970年代といえば、女性の権利が主張されはじめた頃です。世界的に、女性解放運動が盛んに呼びかけられ、ピークに達していた時代でもあります。男性に媚びない、自立した女性を描いた映画が、たくさん公開されていました。

映画『エイリアン』公開当時の反応

今でこそ、宇宙人侵略モノ映画は「いつか私たちに降りかかってくるかもしれない恐怖」として、天変地異のように扱われていますが『エイリアン』公開当時、宇宙人は全くのファンタジー。SF映画といえどもタイムスリップもしない、ビームも出さない、極めてリアルなゴツゴツした作りの宇宙船内で淡々と繰り広げられる恐怖の侵略、それをヒロインのリプリーが、たった一人で体を張って切り抜ける姿は、観客に衝撃を与えました。

なぜダークなSF『エイリアン』のヒロインが女性なのか?

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全体的にダークな雰囲気が漂う『エイリアン』の主役リプリー役として、女性が抜擢されたことにはどんな意味があるのでしょうか。映画の雰囲気からすれば、脂ぎった屈強なヒーローを主役にするのが自然な感じもするのです。しかも「ダークな映画だからこそ、荒野に咲く花!」というような、女性的な要素もリプリーにはありません。
とにかく、誰にも甘えず全力で戦い、冷静さを失わず機転が利くヒロインです。

映画『エイリアン』の主人公は、脚本製作の途中から女性に変更されました。セリフもほとんど変えずに、性別だけを切り替えられた主人公のキャスティングは、かなり慎重に行われたと言われています。

ヒロイン、リプリー役の女優「シガニー・ウィーバー」

最終的に、当時まだ無名だった女優シガニー・ウィーバーが、主人公「リプリー」を演じることになりました。彼女が『エイリアン』のシナリオを「地味」と一蹴し、オーディションにも遅刻してやってきたというエピソードは有名です。

さらにシガニーの身長は、180センチ。男性上司に喰ってかかり、不機嫌そうに同僚とやり取りする、強いヒロインの役にばっちりハマっています。
ちなみに、シガニー・ウィーバーは2012年公開のホラー映画『キャビン』に出演しています。

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ストーリーに散りばめられたメタファー(暗喩)が面白い!

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『エイリアン』に登場する宿敵エイリアン、実は男性社会の象徴であると言われています。

例えば、今まで優れた判断力で、エイリアンの侵略を切り抜けてきたリプリーが、映画の終盤、ボコボコに追い詰められるシーンがあります。
口に雑誌を詰め込まれ、動きを封じられた彼女の背景には、きっと男性乗組員の趣味で壁に貼られたであろう大量のポルノ写真が映し出されます。
他にも「手に汗握るSF映画」の裏側に、ちょっと「あれ?」と思うような不自然に感じる場面がいくつかあるのです。そこに『エイリアン』のストーリーに散りばめられた、裏設定が隠されています。
ただ強いヒロインがかっこよく戦うだけではない、70年代に女性として生まれた宿命のようなものが垣間見えるシーンに注目してみると、SF映画の金字塔を一粒で二度楽しめますよ。

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