映画【バッド・ランズ】あらすじネタバレ!荒ぶる山田涼介が物語の鍵を握る!?

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バッドランズ山田涼介1
(C)2023「BAD LANDS」製作委員会

2023年9月29日に劇場公開されるクライムサスペンス、『BAD LANDS バッド・ランズ』。
安藤サクラ×山田涼介という今までありそうでなかったタッグが実現した本作は、オレオレ詐欺を題材に展開する。
そんな本作『BAD LANDS バッド・ランズ』のあらすじをネタバレ解説!
原作小説の『勁草』も併せて掲載する!

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』とは?

原作小説『勁草』の実写映画化となる『BAD LANDS バッド・ランズ』は、2023年9月29日に公開を迎える。
安藤サクラと山田涼介がタッグを組むことで話題になっている、クライムサスペンスだ。
内容は、オレオレ詐欺を題材に裏の世界を駆け巡る展開が肝となる。
原作は重厚なストーリーとなっており、主人公橋岡の人間模様、それを追う刑事佐竹の2視点で贈る展開がなんとも息を呑む。
そんな本作『BAD LANDS バッド・ランズ』

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』のスタッフ・キャスト一覧

タイトルBAD LANDS バッド・ランズ
原作「勁草」黒川博行
監督原田眞人
脚本原田眞人
出演安藤サクラ、山田涼介、生瀬勝久、他
音楽土屋玲子
https://bad-lands-movie.jp/

本作の監督は、原田眞人が務める。
2021年に公開した『燃えよ剣』では、山田涼介とも仕事をする。
原作では主人公の橋岡は男性であり、映画ではネリという性別を変えたキャラクターでどんな展開を迎えるのか…
監督原田の手腕が注目される。
そんな本作のキャストやスタッフ陣について詳しくは、下記記事を参照に。

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』のキャスト一覧
  • 安藤サクラ / 橋岡煉梨(ネリ)
  • 山田涼介 / 矢代穣(ジョー)
  • 生瀬勝久 / 高城政司
  • 宇崎竜童 / 曼荼羅(上松)
  • 吉原光夫 / 佐竹刑事
  • 江口のりこ / 日野班長
  • サリngROCK / 林田
  • 天童よしみ / 新井ママ
  • 大場泰正 / 教授(宇佐美)
  • 淵上泰史 / 胡屋賢人

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』のあらすじ(ネタバレなし)

第151回直木賞を受賞した『破門』や、『後妻業』などで人間を突き動かす欲望を描いてきた黒川博行の重厚な傑作小説を、名匠・原田眞人監督が待望の映画化。監督の熱意が伝播し、歳月を懸け実現した本作の主演は、第46回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した安藤サクラ。日本映画界を牽引する両名が初タッグを組み、大胆かつ疾走感ある映像をスクリーンに焼き付ける。そして、安藤サクラ演じる主人公ネリの弟・ジョー役には山田涼介。映画『燃えよ剣』以来の原田監督作品に出演し、気迫のこもった演技で新境地を魅せる。
ネリの“生きにくい世界を生き抜く美しさと強さ”を映し出す安藤サクラと、ジョーの抱える異常な愛と衝動に狂う姿を表現した山田涼介の二人が魅せる化学反応。さらに犯罪組織や警察といった姉弟の周囲で蠢く登場人物に、生瀬勝久や江口のりこ、吉原光夫、宇崎竜童といった多くの豪華俳優陣が脇を固め、名実ともに日本映画界の最前線を駆け抜ける傑作が誕生した。

引用元:「公式サイト イントロダクション」より

原作小説『勁草』のあらすじをネタバレ!

まずは、映画を知る前に、原作小説についてあらすじをネタバレしていく。
本作の肝でもある、主人公橋岡と刑事の佐竹による攻防戦。
基本的には、この2人の視点が交互に展開していく。

ここからは、映画『BAD LANDS バッド・ランズ』原作小説『勁草』のネタバレが含まれます。

『勁草』のあらすじ

物語は、橋岡視点でスタートする。
最初はオレオレ詐欺の一部始終が事細かに描写されている。
あまりにも生々しい犯行の模様は、冒頭からその光景が目に現れるほどにリアルな描写だ。
そして、その犯行の模様も刑事らが噛んでおり、もう一方の視点でも送られる。
この物語が一つの出来事を中心に、表(佐竹視点)と裏(橋岡視点)で展開していく事がこの冒頭で示唆されるのだ。

橋岡恒彦

橋岡恒彦、彼はトップの高城の指示を受けて動く、受け子側のリーダー格。
齢は30代前半。
洞察力や冷静さは、高城も一目置く存在だ。
橋岡は、受け子…要するにお金をターゲットから受け取る役割を担う。
しかしその一方で、掛け子側に託す新たなターゲットを探す役割もこなすなど、高城から信頼を寄せられている。
高城は、中年でこのオレオレ詐欺グループの胴元となる。
しかし組織のトップではない。
この界隈では名簿屋と呼ばれる存在で、詐欺の対象となる人物の名簿を有する。
それを基に、オレオレ詐欺をしやすい人物からお金を掠めているのだ。
当然ながら、高城のけつもちとなる更に上の存在がいる。
もちろんそれは極道絡みだ。
橋岡は、その末端の組織の駒である。
そんなある時、組織の後輩に当たる矢代と一緒に仕事を行う。
矢代は、20代。
刑務所あがりで、半グレといったところ。
この矢代によって、橋岡のこれからの事態は風雲急を遂げていくことになる…

時間が空いたところ、八代が普段遊んでいる裏の世界の賭場に行くことになる橋岡。
なんとこの賭場で、矢代は250万の借金を抱えた。
しかもその連帯保証人に、橋岡が知らずのうちにされてしまうのだ。
もちろんこの賭場の胴元は極道が絡んでおり、返さなければただでは済まないだろう。
矢代はこの250万の借金を、高城から借りようとする…
が、当然高城は拒む。
30万なら貸すというが…
オレオレ詐欺の胴元でたんまりお金を蓄える高城だったが、そのあまりにもケチな提案に、矢代は高城を殺してしまうのだった…
橋岡は、全くもって関係の無い存在だったが、矢代と一蓮托生。
強制的に共犯となってしまう…

佐竹刑事

大阪府警特殊詐欺捜査班の佐竹刑事。
相棒の湯川のことをゆーちゃんと呼ぶ。
チームの班長は、日野。
冒頭の犯行の追尾で、それらしき人物らの写真を抑えているなど、洞察力は熟練だ。
その人物とは当然、橋岡である。
次の犯行でも矢代の写真を抑えた。
それを基に、高城を中心とした詐欺グループの全貌をじわじわと追い込んでいく。
橋岡が受け子に使うふれあい荘の存在、矢代が根城にする大正という地区にあるワンルームマンション。
そして高城が隠れ蓑として使う、NPO法人の存在など、佐竹ら刑事グループは外堀から徐々に包囲していくのだ。

『勁草』のネタバレ!

ここから事態は、更なる展開を迎える。
息を呑む逃走劇は必見!

橋岡恒彦

高城を殺してしまった矢代。
矢代はこの瞬間から、橋岡を顎で使う様になる。
が、頭の切れる橋岡のいいなりにも次第になっていく…
まずは死体の始末。
2人は、山奥の不法投棄されている産廃処理場に死体を埋める。
そして高城が持つ資金を山分けしようと画策。
高城の事務所から見つかったのは、通帳と印鑑。
暗証番号は分からず…
このご時世、本人でない第三者が通帳からお金を下ろすのは困難を極める。
せめて暗証番号があれば…
橋岡と矢代は、4つある高城の銀行口座を、おおよそ折半に近い形になるように2つづつ分けた。
高城の死によって、オレオレ詐欺の一連の常識とは違った動きをとっていた事が判明した。
高城は本来、名簿屋である。
名簿屋とは、オレオレ詐欺のターゲットになり易い人物たちの情報を持つ人物だ。
本来名簿屋は、その情報をオレオレ詐欺のグループに売るのが基本である。
しかし高城は、名簿屋としてリストを持ちながらそれをもとに犯行グループも統括していた金主でもあったのだ。
そのため、極道側からも高城の存在は一目置かれていたのだ。
高城の通帳からお金を下ろすのに苦戦していた、橋岡と矢代。
その間数日が経過する。
そしてその間に、高城に近い人物らが動き出す。
橋岡と矢代が拠点にしていたのは、高城の事務所である。
もちろん、殺しの証拠を残さない為の後始末や、暗証番号などを探すためにこの場所に留まっていたのだ。
するとそこに1人の女性が現れた。
新井と名乗る年増の女性。
最初は橋岡らの急場の嘘に乗っかったが、数日後にけつもちの徳山という極道筋の男と共に再び現れたのだった。
新井という女性は高城の道具屋として従事していた共闘関係にある存在だ。
振り込め詐欺用の、架空名義の通帳などを用意する。
元銀行員という過去の経歴から、その手のパイプを持っている女性、それが新井である。
数日高城と連絡が取れないという事もあり、けつもちの徳山と共に事務所にやってきたのだ。
そして、橋岡らを怪しんでもいたのだ。
話は男だけで付けると、新井はこの場を後にする。
そして徳山と橋岡、矢代。
ここでも矢代がやらかす。
徳山を殺してしまうのだ。
橋岡がなんとかこの場を切り抜けようと頭を回すが、徳山の鋭い質問に業を煮やした矢代だった。
徳山の死体も、高城を埋めた近くで始末する。
橋岡は頭がキレる。
ひとりになった隙に、高城の通帳の暗証番号を知る。
こうして、高城の通帳から自由にお金をおろせる様になる橋岡だった。
すると、事務所に見知らぬ男らが現れる。
それが徳山の弟分である。
矢代は、徳山の弟分に捕まった。
橋岡は、済んでのところで逃げることに成功する。
そして橋岡は、沖縄へと飛ぶ。
それと同時に、矢代はもうこの世に居ないという事も確信するのだった。
そしてここから、橋岡の逃走が始まるのだ。
しかし自分の足が付くのも時間の問題と思った橋岡は、1千万円ほど下ろしていたが残りのお金を手に入れるべく、一旦銀行の支店がある大阪へと戻った。
しかし既に警察から口座は差し押さえられており、お金は下ろせず…
再び橋岡は、石垣島へと逃げる‥

佐竹刑事

高城の詐欺グループの概要は、ほぼ掴めた。
しかしここで、別の詐欺グループの足が掴めたのだ。
一旦高城の方の捜査は解き、そっちの応援に行くことになる佐竹と湯川。
そこで捕まえたのは、小沼と青木。
青木は明らかに極道筋で、捕まえたとて、何も吐かず沈黙を貫いていた。
しかし小沼という男は、協力的で何もかも吐いたのだ。
高城が名簿屋兼金主であること、徳山について行って高城の事務所に同行していたこと。
そして佐竹らは、確信する。
橋岡と矢代が高城を手に掛けたと。
そこで、佐竹らは高城の事務所へと急行するのだった。
そこに居たのは徳山らの側近と、彼らに捕まった矢代だ。
そして彼らは一網打尽となる。
矢代は捕まり、全ては橋岡が黒幕であると証言した。
殺したのも、死体を埋めたのも全て橋岡によって行われたと…
もちろんそれは矢代の嘘であり、全ての実行犯は矢代である。
が、警察は矢代の証言を基に、橋岡を追い詰めていく。
佐竹らも、橋岡を追って沖縄へと渡るが大阪でお金を下ろそうとした橋岡の足取りを追って直ぐに大阪へと戻る。
飛行機の搭乗記録、宿泊記録で、橋岡が使う偽名の特徴を基に、その後の足取りを追う。
すると、旅行会社で石垣島行きの航空券が買われた事が判明する。
早速佐竹らも、石垣島へと向かった。
橋岡が泊まった宿泊先にやってきた佐竹と湯川。
既に、部屋はもぬけの殻だったが、明らかに直前まで人がいた気配がする。
そのまま、人が通った跡を追う。
そして灯台に到着すると、その崖下の人の気配がする。
橋岡だ。
声を掛けるが…
橋岡は、足を滑らし崖下へと転落し、帰らぬ人となった。
今回の一連の事件は、首謀者死亡で片付けられてしまう…
しかしこの事件を最初から追っていた佐竹と湯川は、事件の黒幕は矢代だったのでは無いか…
それも有耶無耶のまま、この事件は幕を閉じた…

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』のあらすじネタバレ!

ここからは、『勁草』を原作とした映画『BAD LANDS バッド・ランズ』のあらすじをネタバレしていく!
橋岡や矢代、佐竹らの攻防戦はどこまで再現されるのか…
それもまた、一興!

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』のあらすじ

ネリ(安藤サクラ)は、大阪の西成を拠点に活動する、オレオレ詐欺の”受け子”のリーダー。
名簿屋の高城(生瀬勝久)に雇われ、頭のキレるネリは”受け子”を取り仕切る”三塁コーチ”として右腕的存在だ。
井上幹子。
彼女は赤いバッグに銀行から大金を下ろし、まさしくオレオレ詐欺に掛かろうかとしていた。
井上幹子と連絡を取るのは、”掛け子”の面々。
ネリらの”受け子”は、ターゲットと直接接触する。
一方”掛け子”は、ターゲットと電話で話し言葉巧みに騙す交渉役を担う。
それら全てを取り仕切るのが、名簿屋の高城である。
ネリは、井上幹子を尾行し、お金を受け取るタイミングを図る‥
が…井上幹子には、監視がついていた。
警察だ。
怪しさを感じたネリは、お金の受け取り役に教授(大場泰正)を使っていたが、彼に計画中止の合図をだしてこの場から撤退した。
2人は新世界の串カツ屋で食事をして、寝床にする西成のふれあい荘へと帰っていく。
高城は、大阪ふれあい事業推進協議会と言うNPO法人を隠れ蓑にし、オレオレ詐欺などお金を持つ者から掠め取るのが生業だ。
そんな高城の事務所か程近い場所に、彼らの溜まり場と言えるプールバー「BAD LANDS」がある。
「BAD LANDS」で、ネリはコーヒーを飲みながら高城と話をしていた…
2人は親子の様な関係性だった。
ネリは右耳が聞こえない。
ネリには、悲惨な過去を持ち、高木に囲われている限り、過去からの断絶だできていたのだ。
総資産500億ドルといわれる大企業、ゴヤ・コーポレーション。
その代表となる胡屋。
彼は大企業の長と言う顔を持つ反面、圧倒的なサディストだった。
女性秘書に暴力は当たり前、しかし彼女らを足蹴にするのではなくしっかりと愛するのも彼のやり方であった。
ネリは、そんなゴヤ・コーポレーションで秘書をやっていた。
そして胡屋は、自分の手から離れていったネリに心を奪われていたのだ。

ネリには、血の繋がらない弟がいた。
親の再婚相手の連れ子で、姉弟関係となった矢代穣(山田涼介)。
腐れ縁の様な関係の弟である。
そんな矢代は、刑務所あがり。
高城から仕事をもらう様に便宜を計るネリ。
矢代は履歴書を高城のもとで書く…
ひらがなばかりで、経歴のところには犯歴を書く始末。
矢代は、まさしく尖ったナイフの様なギラつく男だった…
矢代と共にネリは、新たなターゲットを選定すべく、いわゆる営業に出向く。
それは裕福そうな家庭に趣、言葉巧みに営業をかけるのだ。
勿論、営業と言っても何かを売るのではない。
売るふりをして、その家の家族関係・収支情報を知る為である。
そして、オレオレ詐欺のターゲットとなるのである。

ネリが受け子として、動くには人が必要である。
ネリは、女性で30代。
しかし実際にお金を受け取るのは、年配の男性が必要となる。
詐欺に引っ掛けるターゲットの息子が不祥事を起こし、その補填として1千万円が必要となり、上司と折半して責任を取ろうという大筋のストーリーを作る。その上司役が必要となるのだ。
その上司役は、高城が所有するアパートふれあい荘の住人たちである。
教授は、そのふれあい荘の住人だ。
彼は、過去しっかりとした経歴があるが、人生をつまづき今の生活に落ち着いてた。
ネリも信頼する人物の1人である。
ふれあい荘には、もう1人特徴的な住人がいた。
それが曼荼羅(宇崎竜童)である。
曼荼羅は、その昔は極道におり、数年前までは高城の右腕だった存在だ。
しかし現在では、ボケが始まっており病魔に犯されていた。
本調子の時期と、調子が悪いサイクルがあり、高城はそんな曼荼羅を過去の絆でふれあい荘で面倒を見ていたのだ。

仕事が終わった、ネリと矢代。
時間が出来たネリは、矢代の遊び場、賭場に一緒に行くことになる…
そして…その賭場で、矢代は250万円の借金を作ってしまう。
ネリを連帯保証人にして‥
ネリは、爆勝ちしていた矢代を見て承諾する。
しかしネリは、その後の経過を知らない。
曼荼羅が病院に運ばれたと一報を聞いて直ぐに戻ってしまった為である…
事態はこの瞬間から、徐々に綻び始めるのだった‥

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』のネタバレ!

賭場で、爆勝ちしていた矢代。
この日は、波に乗っているとどんどんのめり込むうちに、いつしか借金は250万円となる。
賭場を仕切るのは、林田(サリngROCK)。
林田に呼び出され、これ以上は貸せない、落とし前をつけろと言う流れになる。
その結果、矢代にはある仕事が任されることに。
いわゆる汚れ役。
その内容は、至極単純である。
ターゲットを殺してこい。
矢代とその取り巻きらは、廃屋で賭け麻雀をやっているターゲットの元へと向かう。
拳銃を持たされている矢代。
忍び足で向かうと、ターゲットを撃つも、殺すことは出来ずに失敗してしまう。
その場にいた、極道らしき男(岡田准一)と鉢合わせになった矢代。
危機一髪…
だが、お互いにこの場は穏便にという事で、なんとか逃げ延びた矢代だった。

ネリは曼荼羅の件の報告で、高城の元にいた。
一方で矢代は、ずっと高城のお金を狙っている。
何もせずにふんぞり返っているだけで、沢山のお金を牛耳る高城。
常々高木を襲うという企てを口にする矢代だったが、ネリはそれを嘲笑っていた。
高城もケツ持ちの極道に、上納金を払っているから想像以上のお金は無いぞ、と矢代の企てを冗談として受け取っていたのだ。
ネリは、高城にいわれてお酒のストックを取りに、倉庫へと向かう。
入れ違いで、矢代はそろりと高城の元へと向かった。
そして、矢代は高城を襲う。
銃声を聞き、一目散に駆けつけたネリだったが、矢代は高城の反撃に遭い、大ピンチを迎えていた。
高城と矢代、ネリはどちらを助けるか…天秤にかけた状況だ!
ネリは、結果、矢代を救う。
高城を殺してしまうのだった。

矢代は、血の繋がらない弟。でもネリにとっては恩人だった。
過去に、母親の再婚相手の父親から強姦されていたが、弟の矢代に救われていたのだ。
これまでの借りの精算だ、とネリは矢代を救ったのだった。
高城のお金を元に、海外へ高跳び。
そして矢代ともこれで縁を切る。
それがネリの願いであった…

矢代は早速高城のお金の勘定をしようとするが、まずは死体の始末が優先だ。
ネリは、この状況でも冷静に考える。
山奥に死体を埋め、近くのラブホテルでシャワーを浴びて休憩する。
2人は、姉弟ではあるがつの繋がりはない。
矢代も苗字こそ違えど、ネリの事はネリ姉(ねりねえ)と呼び慕う仲である。
ラブホテルのダブルベッドで寝る2人。
つが繋がらないって事は…
と男女の仲もアリか…となるが、直前には時短であるという理由から2人でシャワーを浴びていた。
ネリには当然その気など、起きないのである。
2人の出会いは、小学生。
その気が起きないのは当然だった。

まず、高城の乗るベンツを監禁しようとする。
550万円。
しかしそれには、車の名義変更に必要な印鑑証明などの諸々の書類が必要である。
ある程度は見つかるも、1番肝心な銀行の暗証番号がない。
銀行印だけは周到に、別に隠していた高城だったが、それも見つける矢代。
しかしやはり、銀行の暗証番号だけが無いのだ。
そんな折、ネリは曼荼羅がかつて高城の右腕として、お金の管理をしていたことに気が付き、彼を頼ることを提案する。
矢代は、取り分が3等分になることを懸念するも、お金を引き出せなかければどうにもならない事から承諾したのだった。

曼荼羅を巻き込み、高城のお金3億円余りを引き出そうともがくネリと矢代。
高城が死んでから数日後…
ついに周りの状況も動き出す。
高城の事務所に現れたのは、年配の女性と2人の男。
女性は新井ママ(天童よしみ)。
高城をサポートする、道具屋である。
連絡が取れなくなった高城の様子を見にきたのだ。
連れてきたのは、極道の徳山。
ネリは、適当に思いつきの様な嘘を付いてなんとかその場をやり過ごす。
結果的に徳山は実力行使に出るが、ベンツを売りに出ていた矢代が駆けつけ、なんとか急死に一生を得る。
矢代は、ベンツを売ったお金の550万円で、賭場で借りた250万円を返す。
しかし、賭場の管理をする林田にも、ネリ達の動向が入っており、気にしていた。

一方警察は、高城やネリの存在を突き止めながら、別件の捜査に動きだしていた。
小沼という男を追っていた。
この小沼という男は、高城の詐欺グループの掛け子側にいた。
警察は掛け子側から追い詰め、高城の存在へと辿り着く事になる。
高城は、名簿屋だけではなく、金主としてグループを取りまとめる存在だった。
セオリーでは、名簿屋と金主が同一になる事はあり得ない。
別物であった。
しかし、高城は過去の稼ぎを元に金主として、名簿屋もやっていた。
このふたつを兼任できれば、作業としてスムーズに進む、道理が通ったものであったのだ。
本来ならば、名簿屋は金主に名簿を売るというのがセオリーである。
情報を掴んだ警察は、いよいよ高城のNPO法人の事務所へと駆け込む準備に取り掛かる。

ネリと矢代は、曼荼羅を使ってお金を引き出す。
高城のお金の現金化は、暗号資産を用いて行う事にする。
しかし彼らのお金を狙うのは、ケツ持ちを行う極道、そしてネリを狙うゴヤ・コーポレーション、そして警察だった。
さらには、そのお金を狙うのは林田もいた…
しかしネリは、その状況を見事に出し抜くのだった。
ネリは、曼荼羅によって逃亡に成功する。
曼荼羅は、3等分の報酬の受け取りを拒否する。
老い先短い自分には、今回の1件で久しぶりにヒリヒリした状況を楽しめただけで十分だといい、最後は病魔に勝てず息絶えた。
一方、矢代はBAD LANDSでの待ち合わせに現れなかった。
矢代がいたのは、ゴヤ・コーポレーション。
代表の胡屋を隠し持っていた拳銃で撃ち抜いたのだった。
ネリの唯一の気がかりだった胡屋を、矢代が始末したのだ。
そして、拳銃所持の為警察に発砲され、矢代は最後を迎える…

ネリは、1人残る。
暗号資産からの現金化を目論むネリのもとに、林田が現れた。
結果的に、暗号資産にお金を変えようにも本人名義で行う必要があり、いくら海外逃亡したとしても足が付く。
それを裏から手を回し、架空の名前で出来るように林田が斡旋するというのだ。
その分の報酬の手数料の数%としてお金を貰おう…というのが林田の目論み。
奪うという方法にでず、しっかりビジネスを行う林田が1枚上手と言える光景だ。

西成には、毎週月曜に現れ、街を駆け抜ける「月曜の巫女」という女性がいる。
月曜に必ず現れ、ある意味街を象徴する存在だ。
ネリも月曜になると現れる巫女に、毎回ハイタッチをしていた。
警察が、高城の事務所にかち込んだのは、月曜日。
夜になっても、「月曜の巫女」は街を走り抜ける…
警察も、そんな巫女の姿を見て、今日が月曜日か…と思いふける…
が、佐竹刑事が言う「もう、0時を超えて今は火曜日だ」と。

駆け抜けた「月曜の巫女」、彼女が衣装を脱ぐ…
そう、「月曜の巫女」に扮したネリだったのだ。
こうしてネリは、一連の事件を何度も踏まれた雑草の如く…
皆の力を借りて、生き延びる事ができたのだ…

映画『BAD LANDS バッド・ランズ』の感想!

筆者は、映画を見る前にもしっかり、原作小説となる「勁草」を読んだ上でこの作品「BAD LANDS バッド・ランズ」を鑑賞した。
正直に言って、この小説の白眉となる部分は…

  • オレオレ詐欺の犯行手口。
  • この現代で印鑑や通帳が揃っていても、第三者が大金を他人の口座から引き出す難しさ。
  • 主人公・橋岡の逃走劇

この3つだと感じた。
しかし映画では、見事にこの3つの要素が簡略化されていた。
メインテーマでもある、主人公橋岡が思わぬ形で大金を手にした騒動。ここだけを切り抜いたのが映画で描かれたことだった。
一言で言えば、映画を見て感じたのは、肩透かしを喰らった感が否めない。
オレオレ詐欺の手口は、冒頭で描いた部分は面白かったが、それだけだった。
他人の通帳からお金を引き出す難しさ、これは曼荼羅という存在で片付けてしまう。
高城のかつての右腕で、お金の管理もしていた事から、小説ではある種の肝でもあった部分を、完全にすっ飛ばしたのだ。
それでも、曼荼羅という存在は際立っており、最後にはしっかり愛すべきキャラクターになっていたので、納得の存在ではあった。
勿論、演者の宇崎竜童も素晴らしかったのでいう事はない。
そして、「BAD LANDS バッド・ランズ」の最大の謎だった、ゴヤの存在。
これは、ネリのキャラクターをより深いものにした上で、矢代の最期を描くためのものであった。
矢代という存在を、敵ではなく見事なサブキャラクターにするための要素だった。
よりわかりやすい勧善懲悪を作ったのが、ゴヤでもある。
そもそも、原作通りに描くと、勧善懲悪が曖昧になる。
それが故のラストも用意されているのだが…
主人公をヒーローに仕立てづらいというのも、あったのだ。
それを作るためのゴヤだったのは、納得だった。
そもそも原作での最大の悪者は、何を隠そう矢代だったためである。
その矢代を山田涼介が演じるにあたり、原作のまま描くのは難しいという忖度があったのは、エンドロールを見て納得した。
製作に、藤島ジュリーの名があったのは、そういうことか…と。
友情出演で岡田准一が登場した際は、思わず笑ってしまったが、それも納得だった。
しかしそんな忖度など、どうでも良いくらいに、この映画のMVPも山田涼介が持っていった感がある。
何故なら、あんなイケメンでスーパーアイドルのはずの山田涼介が、ちゃんと矢代穣だったのだ。
高城や他のキャラクターは、原作のイメージとは異なった。
そもそも体型も違うので、それは仕方がない。
でも山田涼介演じる矢代は、もう小説のイメージそのまま現れたかの様なものだったのだ。
それが故、原作のまんま悪の矢代もまた見たかったな…
というのが、筆者の感想である。
とても惜しかった…

まとめ

以上が、映画『BAD LANDS バッド・ランズ』と原作小説『勁草』のあらすじネタバレである。
原作の展開と映画、この違いもまた楽しめる事だろう。
単純に、主人公橋岡の性別を変えたなどの点だけでなく、ストーリーにも大きく注目したい。
原作を読んでしまうと、こんな傍若無人な矢代を山田涼介がどう演じるのか…
まずそこが気になるところである。

結果的に、山田涼介はお見事。
彼のファンであれば、細部まで余す事なく楽しめるだずだ。
安藤サクラよりも、際立った存在だった。
ジャニーズの忖度、そんなものがあったとしてもなかったとしても、山田涼介の矢代が見事であった。
映画のもうひとつの良い部分では、チートではあったが曼荼羅という存在。
宇崎竜童の凄み、迫力をスクリーンで見れたのは良かった。
映画『BAD LANDS バッド・ランズ』、「勁草」を見事に料理した原田監督であるが、原作小説を読んでしまうと、やはり物足りなさがあったのも否めない。
むしろ、映画を見てから原作小説を読むと、より濃厚なストーリー展開に驚愕するかもしれない。
そして、この後の主人公橋岡のストーリーが知りたければ、是非原作小説を読んで欲しい。
そう感じた1作だった。

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