2021年10月1日(金)に佐藤健さんと阿部寛さんが共演する、映画【護られなかった者たちへ】が公開されました!また、朝ドラ『おかえりモネ』などで注目の女優・清原果耶さんや、林遣都さん、倍賞美津子さんなどの豪華キャストが脇を固めます。
物語は、東日本大震災から10年目の仙台で2件の殺人事件が起こります。犯人として浮上した、容疑者・利根(佐藤健)を刑事・笘篠(阿部寛)が追い詰めるも、利根は何かを隠しているというヒューマンミステリーです。
原作とはだいぶ違うみたいだけど、でも泣けるんだろうな…
本記事では、映画【護られなかった者たちへ】のネタバレ、本当の犯人は誰なのかについて書いていきます。
映画【護られなかった者たちへ】の概要
原作 | 中山七里 |
監督 | 瀬々敬久 |
脚本 | 林民夫・瀬々敬久 |
原作は「どんでん返しの帝王」中山七里さんのベストセラー小説です。
監督は、【64ロクヨン】などの力強く綿密な人物描写で知られる、瀬々敬久さん。【太陽は動かない】などを担当した林民夫さんです。
映画【護られなかった者たちへ】のネタバレ!
震災から10年目の殺人
東日本大震災直後の被災地の学校で笘篠(阿部寛)は家族を探すが見つからない。
そこには家族や行き場をなくした者たちが集まっていた。
9年後、手足を縛られ「餓死」された死体が見つかる。
被害者は若葉区保険福祉センターで生活保護の決済を担う、三雲忠勝(永山瑛大)だ。刑事の笘篠と蓮田(林遣都)が捜査にあたる。妻の(篠原ゆき子)は、三雲について、「彼はいい人すぎる。震災後1人で墓地を立て直したんです!」と言った。
三雲の職場にも向かい、所長の楢崎(岩松了)にも話を聞くが彼が恨まれるようなことはないと言う。蓮田が、生活保護を受けられず恨まれることもあるのではないか?と聞くと、三雲の後輩の職員・円山幹子(清原果耶)が「恨んでも実行するまではいきません。みんな生きていくだけで精一杯です」と言う。
生活保護の実態
笘篠と蓮田はケースワーカーも務める円山についていき、9年後の被災地での生活困窮者の様子を目の当たりにする。
渡嘉敷という女性は生活保護を受けながら、スーパーのレジでフルタイムで働いている。塾も行けず娘がいじめられている。それを聞き娘は家を飛び出す。「円山さんさえ黙っていてくれればいいじゃないですか」と言うも、それを断る幹子。
また、不正に受給を受けている国枝(千原せいじ)の家にはベンツが置いてあり「これを売れば多額の現金が得られます。」と言う幹子。さらに「あなたに渡しているお金を本当に困っている人たちに渡したいです」と言う幹子ににつかみかかる国枝を蓮田と笘篠が止める。
また幹子は佐々木という女性の家で生活保護を受けるよう勧めていた。彼女は「国のお世話になるなんて…」とためらうが、「声を上げて助けを求めてほしい」と優しく言う幹子。センターでは楢崎から「勝手なことをして」と嫌味を言われる。それを見ていた同僚の菅野(井之脇海)は「僕たちのやってることに意味あるんですか?」と幹子に聞く。「あるよ。絶対ある」と言い切る幹子。
第2の殺人
そんな中、第2の「餓死」殺人事件が起こる。被害者は、杜浦市福祉保険事務所の元所長・城之内猛(緒方直人)だ。杜浦市福祉保険事務所で三雲と城之内は一緒に働いていた。
これにより、怨恨による殺人と絞られ捜査が進む。
現在の杜浦市福祉保険事務所に笘篠達が行き、資料を出すよう頼むと、支倉(黒田大輔)は正式な書類を出してほしいと言う。笘篠はその場で県警本部に掛け合い、段ボールに入った資料を受け取る。たくさんの人員が当てられ調べるも、支倉が過去のトラブルを隠ぺいしていたことが発覚。そのトラブルで、放火事件を起こしていたのが利根泰久(佐藤健)だ。三雲の事件が起こる数日前に出所し、鉄工所で働いている。利根はガムテープやひもを購入し、そこの店主から通報される。車で利根を見つけ雨の中追いかける笘篠と蓮田だが逃げられてしまう。
被災地での出来事
10年前の被災地。
避難所の学校で、身寄りのない利根と小学生のカンちゃん(石井心咲)と遠島けい(倍賞美津子)は知り合う。
配給のパンを小学生のカンちゃんが取ろうとするも大人に紛れて取れないのを見つけた利根はかき分けてパンを取りに行く。しかしカンちゃんの叔父(波岡一喜)と喧嘩になる。泥水に顔を付けられ「ふざけんな!」と叫ぶ利根。そして濡れたまま階段に座っていると、カンちゃんがタオルを持ってくる。「けいさんからだよ」と言った。そこへけいもやってきてタオルで利根をふいてあげる。3人で座る後ろ姿は家族のようだった。
笘篠の妻・紀子(奥貫薫)の遺体が見つかる。遺品の中の腕時計を妻がつけていたと聞かされる。
そして同じ時に、カンちゃんの母親の遺体も見つかる。笘篠がカンちゃんに声をかける。
「君のお母さんも見つかったんだね。私の妻も見つかったよ。」
よかった?」と聞くカンちゃんに「どうかなぁ」と答える笘篠。
カンちゃんは黄色いパーカーを着ていて「俺の息子も黄色い服を着ていたんだよ。」と言い、カンちゃんが去った後笘篠は1人で泣いた。
3人の絆
利根はカンちゃんから誘われ、けいの家に行く。
美容室「トオシマ」の看板がある古い家だ。「おかえり」と迎えるけいに「ただいま」と言うカンちゃん。そしてカンちゃんも利根に笑顔で「おかえりなさい」と言った。カンちゃんとけいが作ったうどんを3人で食べる。けいは、利根のはにかんだ笑顔を見て、「笑顔でいなさい。そうすれば人はみんなあなたに優しくしてくれる」と言う。
遅くなったので利根とカンちゃんはそのままけいの家に泊ることに。
布団の中で、けいは「よかったよ。生きてて良かった。 今、そう思った。 あなたをこうして抱きしめることができたから」と言ってカンちゃんを抱きしめる。利根はたまらなくなって外に出る。「生きてていいのかな?」と言う利根にけいは「あたりまえだよ」と言って後ろから抱きしめた。利根は号泣した。
そこには、今まで孤独だった利根が初めて家族の愛を感じた生活だった。
ある日、利根が栃木に仕事で行くことになり、離れる3人。美容師だったけいが利根の髪を切ってあげた。「いってらっしゃい」と利根を笑顔で見送るけいとカンちゃんだった。
カンちゃんを探す利根
利根はカンちゃんの行方を捜し、春子(原日出子)を訪ねる。不審がる春子に「カンちゃんは幸せに暮らしていましたか?」と聞くと「そうだと思う」と答える春子。そしてついにカンちゃんを見つける。若葉区保険福祉センターで働く円山幹子だった。彼女の職場に会いに行く。「なんであそで働いてる?そこまでして…」と言う利根に「泰久兄ちゃんもやめた方がいいよ」と言い去っていく幹子。
けいの死と利根の罪
震災から数年後、利根が仙台に戻ると、自転車に乗ってセーラー服を着たカンちゃん(清原果耶)が「泰久兄ちゃん!」と声をかける。自転車で2人乗りしてけいの家に向かう。するとけいは白髪も増え細くなり横になっていた。家の中も散らかり明らかに食べてない様子だ。利根は食料を買い込み、またうどんを作る。利根が通帳を見ると、残高は数千円だった。そして生活保護を受けるよう勧める。「国のやっかいにはなりたくない」と渋るけいに
「俺とカンちゃんは、あんたに死なれたくないんだよ。生きていて欲しいんだよ!本当の母親と思ってるんだから」と説得し申請に行く。
杜浦市福祉保険事務所で担当したのが、三雲と上崎(吉岡秀隆)だ。最初は利根とカンちゃんが家族じゃないことを知ると、本人の希望がないと受けられないと言ってきたが、けいが「生活保護を受けます」と言うと上崎が話を聞き申請を通してくれた。
しかし、けいはしばらくして餓死してしまう。
けいの家に行くとカンちゃんが泣きながら利根に抱き着いてきた。杜浦市福祉保険事務所に怒鳴り込む利根と後からついてきたカンちゃん。車で出かけようとする三雲にけいが死んだことを伝えると彼はそれを知っていた。なんで生活保護が下りなかったのか問い詰めると「遠島さんが辞退されたんです。正当な仕事をしたんです。」と言う三雲。「そんなわけないだろう!」と首根っこを掴む利根。そこへ城之内が来てそれを止め、今、日本はそれだけ欧米に比べ生活保護が受けにくくなっているんです。と冷たくあしらう。あいつらのせいでけいさんは死んだと思い納得できない利根は、保険事務所に放火をする。けいの火葬の場に上崎が来て「死んでしまったら終わりだ」と悔しそうな表情をした。
おかえりなさい
警察では次のターゲットを現国会議員の上崎に絞り、講演会に利根が来るのを待つ。そして、上崎の乗った車の前に利根が現れ「上崎、話がある」と言うも、笘篠達に逮捕される。
利根は取り調べで2つの殺人を自供し、「上崎をここに連れてこい!もしくは謝罪を放送させろ」と怒る。しかし笘篠は「利根はまだ何かを隠しています!」と上司の東雲(鶴見辰吾)に言い、自分に取り調べをさせてもらえるよう頼むが聞き入れられない。
そんな中、上崎が姿を消す。
そしてついに笘篠が利根の取り調べをすることに。そしてけいがなぜ生活保護を辞退したかを伝える。けいには実の娘(西田尚美)がいるが、迷惑をかけたくないと思ったから辞退したのだ。三雲がその娘に連絡するように言うと、娘は自分のことも知らないのに迷惑かけるわけにはいかないとけいは言う。そして三雲が辞退をすすめ辞退届を書いた。「俺たちのためにいきてくれなかったのかよ」と落ち込む利根。
笘篠が上崎がいなくなったことを伝えると、顔色が変わり、飛び上がって部屋から出ようとする利根。それを笘篠と蓮田が抑え、上崎の居場所が分かると言う利根と一緒に、現場である、けいの住んでいた家に向かう。
3人で家に近づくと、中から上崎のうめき声が聞こえる。利根が「カンちゃん泰久だよ。もうやめよう」と説得するも「入ったら上崎を殺す」と聞く耳を持たない幹子。見覚えのある車を蓮田が見つけ、ここで犯人が円山幹子だと笘篠も気づく。
部屋の中に入ると幹子はナイフを持っていた。
利根が前に出て「カンちゃんやめよう」と何度も説得する。そして「けいさんが死んでからこの家に入ったか?ボロボロのふすまにけいさんの遺言がある。死にそうになりながら書いたんだ」と言う利根。それを幹子は読む。そこへ利根が行きナイフを取り、「カンちゃんおかえり」と言って幹子を抱きしめる。利根の胸で泣く幹子。ふすまには「おかえりなさい」と書いてあった。
カンちゃんのメッセージ
実は利根が幹子の職場にに会いに行った時、もう殺人をやめるよう説得したが、「もう誰にも止められない」と幹子はそれを拒んでいた。利根はカンちゃんを護りたかったのだ。
幹子は上崎を拉致する前にSNSにメッセージを残していた。
若葉区保険福祉センターで働く円山幹子です。この度一身上の都合で職を辞することになりました。どうか声を上げてください。肉親に、近隣に何かを吐き出してください。何もしないで1人部屋にいると自分は1人ぼっちのような気がしてきます。でもそれは違います。あなたを気にかけてくれる人が必ずいます。私もそういう人たちに救われました。あなたは決して1人ぼっちではありません。もう1度声を上げてください。もっと大きく、もっと図太く
上崎はその後の記者会見で、けいに対する謝罪をした。
黄色いパーカー
笘篠と利根が海辺で話す。
笘篠は自分の妻の遺体が見つかった場所を見せ、「まだ息子は見つかっていない。お前はカンちゃんを護った」と言った、しかし利根は「いや、護れなかった。あの日、黄色いパーカーを着た男の子が水の中に沈んでいくのを助けられなかった。水が怖かった。だから避難所で黄色いパーカーを着たカンちゃんを見た時この子だけは絶対に護らなきゃいけないと思ったんだ」と言った。笘篠は涙をこらえながら聞いていた。
そして利根に「護ってくれてありがとう」と言った。
本当の犯人は誰なのか?
本当の犯人は、ずばり、カンちゃんこと「円山幹子」でした。
原作では、利根とカンちゃんの再会は最後の上崎を殺そうとする場面だけでしたが、3度目の殺人の前に利根がカンちゃんに会っていたのはびっくりしました。
ここで何が何でもカンちゃんを引き留めてほしかった…
そしたら原作と話がずれてしまうからダメですね。
利根は幹子を護ろうとして、最後の佐藤健さんが「カンちゃん、もうやめよう」と何度もやさしく言うのには、家族愛を感じました。
カンちゃんはなぜ女の子の設定だった?
原作ではカンちゃんは男の子で「円山幹夫」という男性の設定でした。
筆者は映画を見る前から、なぜ女性になったのかな?と思っていました。女性1人でいくら気絶しているからと言って大人の男性を階段の上まで運べるのか?なんて思っていましたが、しっかり運ぶところが映像になっていました。
女の子になった理由は、笘篠の息子も黄色いパーカーを着ていたから、それがカンちゃんとかぶらないように女の子の設定にしたのかな?と映画を見て納得しました。
そして最後の最後で、震災時に利根が助けられなかったのは笘篠の息子だという切ない事実も辛かったです。
まとめ
全体的に辛い話ではありましたが、幹子の佐々木さんに対する優しい笑顔もよかったし、けいとカンちゃんと利根が一緒に寝るシーンも泣けました。これは原作にはなかったのでぐっときました。
原作を読むとそれぞれの気持ちや背景がより分かるし、泣けたり、衝撃を受けたり面白いです。
ぜひ原作も読んでみてください!