人間の「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐れ」の「感情」がキャラクターとして登場する映画『インサイド・ヘッド』。「ピクサー長編アニメーション20周年記念作品」でもある作品です。子供向けだと思ったら大間違いですよ。コロナ禍が明け、まだまだイライラしたり、人との関りが薄くなってしまっている今だからこそ観て欲しい作品です。あらすじ&声優キャストをご紹介。
『インサイド・ヘッド』とは?
ストーリーの舞台は人間の頭の中。そこに住んでいる「喜び」「悲しみ」「怒り」「嫌悪」「恐れ」という人間なら誰しもが感じる5つの「感情」を題材として、「頭の中の世界」で繰り広げられるそれらの感情の冒険ファンタジー3D映画である『インサイド・ヘッド』(原題:Inside Out)。アメリカでは 2015年6月19日公開で、その1か月後に日本でも公開されています。
本作の製作期間はなんと約5年もかかったそうで、8〜9本の長編映画が製作できるくらいの脚本を作って試行錯誤を重ねながら脚本を練り上げていったそう。そして、製作費が1億7500万ドルに対して、全世界で8億1880万ドル(うちアメリカで3億5540万ドル・2015年10月11日時点)の興行収入を記録しています。
ピクサーの長編映画第1作である『トイ・ストーリー』(1995年)の全米公開から20年後に本作が公開されたので、「ピクサー長編アニメーション20周年記念作品」とも言われている作品です。ちなみにですが、原題のタイトルとなっている「Inside Out」とは日本語に訳すと「裏返し」という意味になりますね。
その他にも「インサイドアウト」とは、スティーブン・R・コヴィー博士による成功哲学書『7つの習慣』の中にも出てきますね。「全ての問題は自分の中にあって、自分が変わらなければ、周囲も変わらないという考え方」。
何か問題が起こった時に環境や他の人のせいにすることなく、まず自分自身の人格、物事のとらえ方、動機に目を向けて状況を変えていこうとする姿勢が大切だと言っているのですが・・・。これはまた別のお話になってしまうのでこのくらいにしておきますね。
実は、本作の中には子どもの事をよく考えているな・・・と思う部分があるのですが・・・。本作の舞台となる頭を持つライリーの嫌いな食べ物は、字幕版では「ブロッコリー」となっているのですが、日本語吹替版では「ピーマン」になっているんですよ。
なぜなら、子供が嫌いな食べ物がアメリカではブロッコリーが定番で、日本はピーマンやニンジンが定番だからだそうです。製作したディズニーいわく、「日本の観客にも本作を自分のstoryとして楽しんでもらいたい」という考えから変更されたそう。
そのため、感情たちの役名も日本語版をはじめとして世界42言語で、それぞれの「感情」を表す言葉が役名に付けられているそうです。例えば英語なら「Joy, Sadness, Fear, Disgust,Anger.」なので、フランス語なら「Joie. Tristesse. Peur. Dégoûter, Colère」って感じなのでしょうかね。
監督は「モンスターズ・インク」のピート・ドクター
監督は、「カールじいさんの空飛ぶ家」「モンスターズ・インク」のピート・ドクターが務めました。ピート監督は、第73回ゴールデングローブ賞アニメ映画賞、第88回アカデミー賞長編アニメーション賞なども受賞。
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その他にもナショナル・ボード・オブ・レビュー賞2015アニメーション映画賞、第43回アニー賞(作品賞・監督賞・声優賞・音楽賞・美術賞・脚本賞・キャラクターデザイン賞・絵コンテ賞・編集賞・キャラクターアニメーション賞(長編アニメーション)など様々な賞を受賞しています。
最近では「あの夏のルカ」「2分の1の魔法」「ソウルフル・ワールド 」「トイストーリー4」などディズニーやピクサーの大人気アニメにも携わっています。
『インサイド・ヘッド』をみて欲しい理由
どんな人間でも抱く「感情」というものごとや対象に対して抱く気持ちを主人公に描いたピクサー・アニメーションの長編作品である本作。「感情」にフォーカスしているので、「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」という風に「感情」というものがキャラクターになっています。
ライリーという女の子の頭の中(インサイドヘッド)には、この5つの感情が存在していて、それぞれ役割が違っています。楽しい気持ちにすることが役割の「ヨロコビ」、嫌いなものをイヤがる役割の「ムカムカ」、頭にきた時に怒りを爆発させる「イカリ」、石橋をたたいて渡るように慎重に危険から守ってくれる役割の「ビビリ」。
そして、もう1つのキャラクターは残念なことにライリーを悲しい気持ちにさせることしか出来ない役割の「カナシミ」。でも彼女の役割は最後までご覧になるとその存在意味がお分かりになるはず・・・。
ライリーは、家の事情によって住み慣れた場所から引っ越すことになります。おそらくお父さんの転勤やらで同じように通いなれた学校からこんな風に転校することを体験したことがある方はお分かりになると思いますが、見知らぬ土地でお友達が出来るのか?など不安になることが沢山あるはずですよね。
もちろん引っ越しではなくとも、新しい学校に入学や入園する場合も同じだと思います。そんな子供たちの脳の中で、不安や寂しさなどネガテイブな気持ちが大きくなった子を笑顔に戻すためにがんばろうとする感情たち。
親の気持ちとしては、いつも笑顔で居てくれることが一番だとは思うのですが・・・。この作品をご覧になるとその笑顔になれる要因である「ヨロコビ」を感じるためには「カナシミ」が必要だと感じるでしょう。つまり、「カナシミ」があるからこそ「ヨロコビ」という感情が生まれることが分かるはず。
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当たり前の事なのですが、大人と同じように現代では子供たちも沢山のストレスや怒りやらを感じています。だから、駄々をこねてみたり、怒られると分かってていたずらをしてみたりしちゃうんですよね。(もちろん幼児はただ単に自分の思い通りにいかないからという理由の時もあるかとは思いますが・・・)そんな時、その気持ちを我慢せずに吐き出すことも大切なんだと本作から教えてあげられるはずですよ。
日々学校が忙しく、ゆっくりと日常生活の中では家族の中で話のトピックにもあがらないであろう人間の感情。きっとこれを読んでくださっている方々のお子様のイヤイヤの時期やわがままばかり言うなんてこともきっと何か理由があるはずですよ。子育ては本当に大変。1人の人格を育てるんですものね。
100人子供が居たら、100人が感じ方や受け止め方が違います。だからそれぞれの感情も違うはずですね。映画を観ながらパパとママも自身の幼い頃の忘れていた想いや記憶がよみがえったりするはず。
子供の頃を思い出すって大人になるとなかなかそんな機会がないですよね。あ、あの時ってこんな風に思ったな・・・あの時嫌だったな・・・なんてきっと思い出すはずですよ。たとえお子様が嫌だという理由を言えなくても心配しないで大丈夫ですよ。話したくなったら話してくれたらいいとお子様の想いを尊重することも大切かもしれませんね。
実は、我が家の娘も小学生の時のイヤだったり悲しかった想いを18歳を超えてから「あの時こんな風に思ってたんだ・・・」なんて教えてくれました。親としては寝耳に水で、ちょっとビックリしたのですが・・・。誰もが楽しい思い出ばかりではないはずです。「ヨロコビ」と「カナシミ」は背中合わせなんだと思っていたら、もっと気持ちが楽になるかもしれませんね。
『インサイド・ヘッド』あらすじは?
ライリーは、笑顔が素敵な活発な11才の女の子。彼女の頭の中には5つの感情が存在する。ライリーを楽しい気持ちにすることが役割のヨロコビ、嫌いなものを拒絶する役割のムカムカ、腹が立った時に怒りを爆発させる役割のイカリ、危険からライリーを守る役割のビビリ。でもライリーを悲しませてしまうことしかできないカナシミの役割だけは謎に包まれている…。そんな感情たちは、頭の中の司令部で、ライリーを幸せにするため日々奮闘していました。
ある日ライリーは、住み慣れた大好きなミネソタを離れ、見知らぬ街サンフランシスコで暮らし始める。不安定になった彼女の心は、感情たちに思わぬ大事件を起こす。転校先の教室で自己紹介をしているその時、カナシミがミネソタでの楽しかった≪思い出ボール≫に触れてしまい、ライリーは泣きじゃくってしまう。自身でもワケがわからぬカナシミの無意識にボールに触れてしまう衝動により、ついにヨロコビとカナシミは司令部の外に放り出されてしまうことに!
2つの感情を無くしてしまったため、頭の中の世界は異変の兆しを見せ始め、2人は巨大迷路のような≪思い出保管場所≫に迷い込み、ヨロコビ不在の司令部も大混乱となる。その頃ヨロコビとカナシミは自分たちも今まで見たことが無かった驚きと色彩に満ちた世界で大冒険を繰り広げていた。
―司令部を目指してライリーを再び笑顔にするために!https://www.disney.co.jp/movie/head
『インサイド・ヘッド』キャスト9選【吹き替え声優と共に】
それでは、本作に登場する主要キャラクターとその声優さん、そして日本語吹き替えを誰が担当しているのかもお名前と画像のみですがご紹介していこうと思います。キャラクターの声優を演じている俳優さん方の画像については、本作が公開された2015年ではなく現在の声優を演じた方々の画像です。(最近の画像が見つからない方は当時の画像の場合があります)
1♡ヨロコビ (Joy)役/エイミー・ポーラー
本作の主人公で、ライリーの感情を主導するポジション
エイミー・ポーラー(Amy Poehler)
1971年9月16日生まれ
マサチューセッツ州出身
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『サタデー・ナイト・ライブ』(2001年~2008年)、『パークス・アンド・レクリエーション』 (2009年~2015年)でゴールデングローブ賞女優賞(ミュージカル・コメディシリーズ部門)を受賞しています。第70回、第71回、第72回ゴールデングローブ賞でティナ・フェイと共同司会したので記憶に残っている方も多いのでは?
【ヨロコビ・吹き替え】竹内結子さん
2♡カナシミ(Sadness)役/フィリス・スミス
もう一人の主人公。感情たちの中で最もネガティブな存在
フィリス・スミス(Phyllis Smith)
1951年7月10日生まれ
ミズーリ州ルメイ出身
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ミズーリ大学セントルイス校を卒業し、初等教育の学位を取得。2005年から2013年にかけてコメディシリーズ『ザ・オフィス(英語版)』にメインキャストとして出演。2006年と2007年の全米映画俳優組合賞コメディシリーズアンサンブル賞を他受賞。
【カナシミ・吹き替え】大竹しのぶ さん
3♡ビビリ (Fear)役/ビル・ヘイダー
ライリーを守ろうとするばかりにいつも怖がり。危険や災難を予想、察知する能力は飛び抜けている
ビル・ヘイダー(Bill Hader)
1978年6月7日生まれ
オクラホマ州出身
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「サタデー・ナイト・ライブ」でコメディアンとして活動し、俳優や声優としても活躍しているビル・ヘイダー。『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』や第70回、第71回プライムタイム・エミー賞主演男優賞(コメディシリーズ部門)を受賞したドラマ『バリー』などに出演。
その他にも『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(BB-8)、『ファインディング・ドリー』(スタン) 、 『シュガー・ラッシュ:オンライン』 、『トイ・ストーリー4』(アクセル)などで声優を担っています。
【ビビリ・吹き替え】落合弘治 さん
4♡イカリ(Anger)役/ルイス・ブラック
怒りっぽく、偉そうな態度を取るのですが、その代わり自分にもとても厳しい。
ルイス・ブラック(Lewis Black)
1948年8月30日生まれ
メリーランド州 シルバー・スプリング出身
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イェール大学演劇大学院で美術学修士号を取得したルイスは、ニューヨークの劇場で脚本家としても活躍、そしてスタンダップコメディアンとして舞台に立って、テレビや映画の世界へ活動の舞台を移していきました。
40冊以上の戯曲を書き、10枚以上のCDをリリースし、3冊以上の著書を発表。2007年にはカーネギーホールでのコメディライブを収録したアルバムで第49回グラミー賞において最優秀コメディ・アルバムを受賞。そして、第53回グラミー賞においても同賞を受賞している多才な俳優さんです。「サイケな世界 ~スターが語る幻覚体験~」(2020年)「ラストツアー」(2019年)「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法則(シーズン3)」(2009年~2010年)などに出演しています。
【イカリ・吹き替え】浦山迅 さん
5♡ムカムカ (Disgust)役/ミンディ・カリング
せっかちで過保護な性格の姉貴的立ち位置。
ミンディ・カリング(Mindy Kaling)
1979年6月24日生まれ
マサチューセッツ州ケンブリッジ出身
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『ナイト ミュージアム2』『ザ・オフィス』『オーシャンズ8』全米映画俳優組合賞アンサンブル賞 (2008年)を受賞した『ザ・オフィス』などの作品に出演。
『シュガー・ラッシュ』『怪盗グルーの月泥棒 3D』などでは声の出演をしています。自身が監督を務めたNetflixオリジナル作品『私の”初めて”日記』(2020年)では、企画・製作も担っています。
【ムカムカ・吹き替え】小松由佳 さん
6♡ビンボン役/リチャード・カインド
ライリーが幼い頃に作り上げた空想上の友達(イマジナリーフレンド)
リチャード・カインド(Richard Kind)
1956年11月22日生まれ
ニュージャージー州出身
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ノースウェスタン大学を卒業し、シカゴにて即興演劇集団のセカンド・シティに参加。その後、次々と映画・テレビに出演し出演作品は100本を超えるほどです。1986年にトム・ハンクス主演のロマンティック・コメディ『恋のじゃま者』で映画デビュー。マイケル・J・フォックス主演のシットコム『スピン・シティ』などで知名度を上げ、ブロードウェイの舞台にも立っていました。
「シリアスマン」(アーサー伯父さん役)、「GOTHAM/ゴッサム」(オーブリー・ジェームズ市長役)などに出演し、「トイ・ストーリー3」(ブックワーム役)、「カーズ2」(バン役)など声優さんとしても活躍しています。
【ビンボン・吹き替え】佐藤二朗 さん
7♡ライリー・アンダーセン 役/ケイトリン・ディアス
彼女の頭の中が本作の舞台となる。11歳の少女で金髪で青い目をしている。家族と親友のメグを愛する優しく活発な少女だが、内面は寂しがり屋。
ケイトリン・ディアス(Kaitlyn Dias)
1999年5月11日生まれ
カリフォルニア州 北カリフォルニア出身
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本作を撮影当時16歳だったケイトリン・ディアス。その後、映画『インサイド・ヘッド』の後日談『ライリーの初デート?』でもライリーの声を担いました。この後は短編映画に何本も出演していますが、日本では公開されていないものばかりですのであえてご紹介いたしません。
【ライリー吹き替え】伊集院茉衣 さん
8♡ママ役/ダイアン・レイン
茶髪で、眼鏡をかけているライリーの母親。
ダイアン・レイン(Diane Lane)
1965年1月22日生まれ
ニューヨーク州ニューヨーク出身
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1979年の『リトル・ロマンス』で映画デビューし、1992年には日本映画『落陽』にも出演しているたダイアン・レイン。2000年に入ったあたりから再び注目されはじめ、2002年『運命の女』で全米映画批評家協会賞主演女優賞やニューヨーク映画批評家協会賞主演女優賞を受賞。第75回アカデミー賞主演女優賞やゴールデングローブ賞にもノミネートされています。
【ママ役吹き替え】田中敦子 さん
9♡パパ役/カイル・マクラクラン
頭の中ではイカリがリーダーを務めているパパは、茶髪で、口ひげが生えている。
カイル・マクラクラン(Kyle MacLachlan)
1959年2月22日生まれ
ワシントン州ヤキマ出身
Listening to myself pic.twitter.com/s1f25099oe
— Kyle MacLachlan (@Kyle_MacLachlan) January 16, 2024
ワシントン大学を卒業し、デビッド・リンチ監督の「砂の惑星」(1984年)で映画デビューを果たしたカイル・マクラクラン。その後、再びリンチ監督とコラボレーションしたドラマ「ツイン・ピークス」(1990年~1991年)のデイル・クーパー捜査官役で知名度を上げ人気となります。
【パパ役吹き替え】花輪英司 さん
子育てに迷うママやパパ必見♡まとめ
いかがでしたでしょうか?【インサイド・ヘッド2】の2024年8月1日でもう間もなくです。公開される前に新作をお子様と一緒にご家族やお友達でご覧になられてみてはいかがでしょう。
感情をテーマにしているとはいえ、デイズニーLOVEの娘も幼い頃にとっても気にいって何度も観ていたこの映画。筆者も何度か見ていますが、本当に感情が分かりやすく描かれています。きっとこの映画を観終わったあとには、可愛い愛すべき我が子をぎゅっと抱きしめたくなるはずですよ♡
人類は、ある日突然コロナ禍に陥り、それから何かと我慢を強いられてきました。そのせいで生活のリズムや習慣などが世界中で変化した今だからこそ、こんな風に頭の中ではそれぞれの感情が助け合って自分を守っていてくれているんだと気が付いてもらい、我慢ばかりせずに言いたいことは相手に言葉にしてちゃんと伝える大切さなども学べるはずです。8月1日(木)に公開される予定の『インサイド・ヘッド2』では、主人公のライリーが大人の階段を一歩ずつ上っていく様子が描かれた物語をお楽しみに。