「原爆の父」と呼ばれるアメリカの物理学者、ロバート・オッペンハイマーの生涯を描いた映画「オッペンハイマー」が2023年7月21日に全米で公開されました。これまで「インセプション」(2010)や「TENET テネット」(2020)など、大ヒット作を世に送り出してきたクリストファー・ノーラン監督の最新作として全世界的に話題となった本作。公開可否を巡って様々な論争が巻き起こり、日本でも注目されています。そこでこの記事では、映画「オッペンハイマー」のキャストやあらすじ、気になる日本公開情報についてご紹介します。
映画「オッペンハイマー」とは?
映画「オッペンハイマー」基本情報
原題:Oppenheimer
監督:クリストファー・ノーラン
製作:エマ・トーマス、チャールズ・ローベン、クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
上映時間:180分
製作年:2023年
出演者:キリアン・マーフィ、エミリー・ブラント、ロバート・ダウニー・Jr.、マット・デイモン、ラミ・マレック、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケネス・ブラナー
「原爆の父」オッペンハイマーとは?
ロバート・オッペンハイマーは、アメリカの物理学者です。第二次世界大戦中に、アメリカ、イギリス、カナダが科学者や技術者を総動員し、原子爆弾の開発を試みたマンハッタン計画の主導的人物で、のちに「原爆の父」と呼ばれるようになりました。元々はブラックホールの研究をしていましたが、原子爆弾の開発に加わったことで、ブラックホールの研究は頓挫してしまったようです。本人は原子爆弾の開発を悔いており、原子爆弾が実際に使用されたことについて、「科学者(物理学者)は罪を知った」という言葉を残しています。
監督はクリストファー・ノーラン!
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クリストファー・ノーランは、1970年生まれのイギリス系アメリカ人の監督です。1998年に「フォロウィング」で長編映画監督デビューしました。次にメガホンをとった「メメント」(2000)は、時系列を逆行した演出が話題となり、監督2作目ながら興行的にもヒットし、さらにはアカデミー賞脚本賞にノミネートされる成功をおさめました。「バットマン ビギンズ」(2005)で成功してからは、作品を製作する度に世界的ヒットとなっています。
映画「オッペンハイマー」あらすじ
第二次世界大戦中、核開発に焦るアメリカ政府は、科学者たちを集め、核の開発を推し進めるマンハッタン計画を企てる。マンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命されたのは、物理学者のロバート・オッペンハイマー。ユダヤ人であるオッペンハイマーは、ナチスドイツより先に核兵器を完成させるべく、精力的に核開発に取り組んだ。しかし、人類史上初の核実験や、実戦での核使用を目の当たりにしたオッペンハイマーは、戦後、水爆実験に反対するようになる。
映画「オッペンハイマー」キャスト
J・ロバート・オッペンハイマー(演:キリアン・マーフィ)
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本作の主人公、J・ロバート・オッペンハイマーを演じたのはキリアン・マーフィーです。映画の情報が公開された際、そのビジュアルが実際のオッペンハイマーと似ていることが話題となりました。
キリアン・マーフィーは、1976年生まれ、アイルランド出身の俳優です。ダニー・ボイル監督のパニック映画「28日後…」(2002)で主演に抜擢されたことから、ハリウッドでも注目を集めます。「コールド・マウンテン」(2003)で、ハリウッド作品に初参加し、2005年にはクリストファー・ノーラン監督の「バットマン」で悪役スケアクロウを演じました。それ以降はノーラン監督作品の常連俳優となり、「インセプション」(2010)、「ダンケルク」(2017)にも出演しています。
キャサリン・”キティ”・オッペンハイマー(演:エミリー・ブラント)
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オッペンハイマーの妻、キャサリン・”キティ”・オッペンハイマーを演じたのは、エミリー・ブラントです。
エミリー・ブラントは、1983年生まれのイギリスの女優です。舞台女優としてキャリアをスタートさせたエミリー・ブラントは、「プラダを着た悪魔」(2006)でハリウッドデビュー。この作品でゴールデングローブ賞助演女優賞や、英国アカデミー賞の助演女優賞にノミネートされ注目を集めました。その後は「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)、「ボーダーライン」(2015)、「クワイエット・プレイス」(2018)などヒット作に出演。「クワイエット・プレイス」で夫婦役を演じたジョン・クラシンスキーとは実生活でも夫婦です。
ルイス・ストローズ(演:ロバート・ダウニー・Jr.)
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原子力委員会創設メンバーで、のちに議長を務めた、ルイス・ストローズを演じたのはロバート・ダウニー・Jr.です。
ロバート・ダウニー・Jr.は1965年生まれのアメリカの俳優です。ロバート・ダウニー・Jr.と言えば「アイアンマン」シリーズで有名ですよね。主人公のトニー・スタークを演じ、2019年に公開された「アベンジャーズ/エンドゲーム」まで、マーベル・シネマティック・ユニバースの中心的役割を果たしてきました。「アイアンマン」以外にも、「シャーロック・ホームズ」シリーズ(2009、2011)も高い評価を受け、世界的なヒットとなりました。
過去には薬物依存で苦しんでいたようですが、現在は完全に薬物を絶ちきり更正したようです。
レズリー・グローヴス(演:マット・デイモン)
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マンハッタン計画の責任者、レズリー・グローヴスを演じたのはマット・デイモンです。
マット・デイモンは1970年生まれの、アメリカの俳優です。ジョージ・クルーニーやブラッド・ピットと共演した「オーシャンズ」シリーズ(2001、2004、2007)や、「ボーン・アイデンティティ」(2002)から始まる「ボーン」シリーズ(2004、2007、2016)などで知られるマット・デイモン。脚本の才能もあり、無名時代に幼馴染のベン・アフレックと脚本を執筆した「グッドウィル・ハンティング」(1998)は、アカデミー賞脚本賞を受賞しました。クリストファー・ノーラン作品には「インター・ステラ―」(2014)に出演しています。
ジーン・タットロック(演:フローレンス・ピュー)
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精神科医で、オッペンハイマーの浮気相手ジーン・タトロックを演じたのはフローレンス・ピューです。
フローレンス・ピューは1996年生まれの、イギリスの女優です。2019年に出演したグレタ・カーヴィク監督の「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ注目されました。2023年には宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」では、柴咲コウが吹き替えを担当したキリコ役の、英語版吹き替えを担当しています。2024年には「デューン 砂の惑星 PART2」の出演が決定しており、期待の若手女優として活躍しています。
その他のキャストも豪華!
・アーネスト・ローレンス(演:ジョシュ・ハートネット)
・フランク・オッペンハイマー(演:ディラン・アーノルド)
・デヴィット・L・ヒル(演:ラミ・マレック)
・エドワード・テラー(演:ベニー・サフディ)
・ニールス・ボーア(演:ケネス・ブラナー)
「オリエント急行殺人事件」(2017)や「ナイル殺人事件」(2022)で名探偵ポワロを演じたケネス・ブラナーや、「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)でフレディ・マーキュリーを演じ、アカデミー賞主演男優賞を受賞したラミ・マレック、「パール・ハーバー」(2001)や「ブラックホーク・ダウン」(2001)のジョシュ・ハートネットなど、主役級の俳優が出演しています!
映画「オッペンハイマー」は日本公開される?
2023年10月現在、映画「オッペンハイマー」の日本公開は未定です。唯一の被爆国だから、ということ以前に、アメリカでも2023年7月に公開されたばかりなので、日本での公開日が決定していないことも不自然ではないでしょう。しかし、ヒット作を立て続けに世に送り出してきたクリストファー・ノーラン最新作ということもあって、日本公開を待ち望む声は少なくありません。また過去のノーラン作品は、アメリカでの公開から比較的すぐに日本でも公開されたため、「このまま公開されないのでは?」という声もあがっています。
(クリストファー・ノーラン過去作品の公開日)
・インターステラー アメリカ公開日:2014年11月7日 → 日本公開日:2014年11月22日
・ダンケルク アメリカ公開日:2017年7月21日 → 日本公開日:2017年9月9日
・TENET テネット アメリカ公開日:2020年9月3日 → 日本公開日:2020年9月18日
直近作品はどれもアメリカ公開から2ヶ月以内に公開されています。ここから考えると、すでにアメリカでの公開から2ヶ月以上経った「オッペンハイマー」の日本公開は、もしかするとすでに絶望的、と言えなくもありません。
アメリカでは興行収入は3億ドル、世界全体では9億ドルと、これまで伝記映画の中で興行収入が最高だった「ボヘミアン・ラプソディ」を抜いて、歴代記録を更新した「オッペンハイマー」。日本公開の行方について、続報をチェックしていきましょう!