2021年4月2日(金)に公開される、映画【裏アカ】。今注目の、実力派女優・瀧内公美さんが主演を務め、相手役は、ブレイク中の若手俳優・神尾楓珠さんです。SNSの、裏アカウントの沼にはまり込み、自分を見失った主人公の女性がどこへ向かっていくのかを描いた物語です。
本記事では、【裏アカ】の原作ネタバレ、主人公の真知子に同情の声が多数上がっていることについても書いていきます。
映画【裏アカ】の概要
映画【裏アカ】は、TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM準グランプリを受賞した作品で、日本を代表する数々の名監督の下で助監督を務めてきた加藤卓哉さんが初監督を務めたデビュー作です。
主演は最近、数々のドラマで存在感を出し、どんな役でも完璧にこなす、カメレオン女優女優・瀧内公美さん、相手役は、ドラマ『3年A組』などに出演し、今ブレイク中でイケメンランキングにも入る若手俳優・神尾楓珠さんです。さらに、市川知宏さん、SUMIREさん、田中要次さんなど、個性あふれるキャストがわきを固めます。
ストーリーは仕事ばかりして毎日に不満を持ち生きてきた主人公の真知子が、SNSの裏アカウントに自分の下着姿などを投稿し、自分が注目されることにはまってしまい、自分を見失っていくというものです。
予告見ただけで刺激的でドロドロした内容に感じましたが、同じ女性としては真知子に幸せをつかんでほしいと思いますが、どうなるのか、このあと原作のネタバレを書いていきます。
映画【裏アカ】のキャスト
- SNSの裏アカにはまっていく主人公・伊藤真知子:瀧内公美
- 裏アカで真知子と出会う・原島努(ゆーと):神尾楓珠
- 真知子の同僚でアパレルショップのバイヤー・佐伯崇:市川知宏
- 真知子の年下のカリスマ店員・新堂さやか:SUMIRE
- 真知子の会社の社長・北村圭吾:田中要次
- 真知子が訪れる大衆食堂「ふじ食堂」の女将:ふせえり
- 「ふじ食堂」の常連客→神戸浩、松浦祐也、仁科貴
筆者は『凪のお暇』や、『恋はつづくよどこまでも』でも存在感を出していた、瀧内さんがとても気になっていました。
今回は過激なことをしてしまう女性の役ですが、どんな役でもこなす瀧内さんならピッタリだと思いました。
【裏アカ】の原作ネタバレ!
僕の小説「裏アカ(徳間文庫)」を読んだ方から、絶賛のメールをいただきした。まるで映像を見ているかのような美しさだったとありました。わーい!! 映画の公開は4月2日ですが、みなさま、その前にぜひ、小説「裏アカ」を読んでください。 pic.twitter.com/yLduusCYAC
— 大石圭 (@ObpcVsDh4d1y9Y6) February 6, 2021
つまらない人生
青山のアパレルショップ「アストランティア」の店長を務める34歳の伊藤真知子(瀧内公美)は本社のミーティングルームで会議に参加していた。バイヤーの佐伯崇(市川知宏)の買い付けてきた服を社長の北村圭吾(田中要次)やほかの店舗の店長がほめる中、こんなつまらないセンスの服は売れないと真知子は思っていた。もともとバイヤーだった真知子はそのころが充実していたことを思い出し、佐伯に嫉妬もしていた。真知子は自分のセンスに自信があったが、バイヤーだったころ真知子が買い付けた商品は売れず、バイヤーを降ろされた。それもあり、「アトランティス」の経営状態は悪かった。その日の夜、自分の店舗に、23歳の年下のカリスマ店員の新堂さやか(SUMIRE)と佐伯が買い付けてきた商品を陳列していた。真知子の店舗は、さやかがショップの服を着てインスタにあげる画像により、客が来ていた。また、さやかの接客も丁寧でカリスマ店員と言われていて、さやかだけが、オンラインショップの会議に参加することになっていた。この店に必要とされているさやかにも嫉妬していた。
やってはいけない事への興奮
今まで仕事に生きてきたが、そんなストレスもあり、真知子はの心は乾いていた。
20代のころは北村からの信頼も厚く、どんどん昇進し、「アトランティス」で働くことに生きがいも感じていた。そのころに比べ今の自分が本当に嫌だった。
仕事から帰り、ビールを飲み、アイコスをふかしながら仕事のためにやっている自分のインスタを開くと、フォロワー少ない地味なものだった。ふとさやかのインスタが気になり開いてみると、フォロワーが1万人もいた。店の服を着た投稿のコメントは、みんなさやかにあこがれているものだった。さらに、プライベートで彼氏といるところだったり、とにかく真知子にはさやかが充実していることがうらやましかった。
お風呂に入ろうと、ふと鏡で自分の体を見た瞬間、さやかから、インスタをあまりやらない真知子に、「店長きれいなのに…」と言われたことを思い出し、自分の下着姿の写真を撮りまくった。馬鹿なことをしていると思いながらも、性的興奮を覚えてやめられなかった。
「いいね」で得られる喜び
真知子は翌日、職場でスマホを何度も見た。「March」という名前で、Twitterの裏アカを作り、そこに撮った写真を投稿していたのだった。反響はすごいものだった。「色っぽい!」「ウエスト細い!」などたくさんのコメントがきて、たくさんの「いいね」がついた。たくさんの人が自分のことを見ていると思うと気分が高揚した。
ゆーととの出会い
裏アカを作ってから投稿し続けること10日、フォロワーが5000人にもなっていた。自分が必要とされていることにうれしくなった。
だいたいのメッセージが卑猥なものが多い中、「ゆーと」という人だけは、「表のストレスは吐き出せた?」「もっと自分を解放しなよ」など、他とは違うものを感じたため、アカウントを見てみると、24歳と書いてあり、空の写真ばかりが投稿されていた。また高杉晋作の詩を載せていたことから勉強家なんだろうと思い、彼のことが気になり始めていた。
そんな時、ゆーとから「一度だけ会えませんか?」というメッセージが来た。それからやりとりをするうちに、自分と同じく毎日がつまらないという気持ちを抱えているゆーとと会うことにした。真知子は服も下着もメイクも気合を入れてゆーとに会った。彼に連れていかれた店は、江戸川ボートレース場の近くの大衆食堂だった。中はたばこを吸う中年のおじさんでほぼ満席で、真知子の格好で入るような場所ではなく、浮いていた。最初はとまどったが、ゆーとが頼んだオロナミンハイともつ煮、センマイ刺しがおいしくてたくさん食べて飲んだ。ゆーととの話も楽しく、真知子の渇きが癒されていた。今まで年下を好きになったことはなかったが、真知子はゆーとに恋をしていた。
店を出た二人は手をつないで歩きながら、真新しいタワーマンションについた。そこの33階に連れていかれたが、そこは空き物件だとゆーとが言った。大きな窓ガラスからきれいな夜景が見え、それに見とれる真知子。そこで二人は関係を持った。その様子を、スマホで顔はうつさないように、ゆーとが撮影し、「これをツイッターにあげるといいよ。フォロワーが喜ぶから」と言った。年下に犯されている、支配されていることにも高ぶっている自分がいた。その夜は二人で眠り、彼となら本当に幸せになれると思った真知子だったが、朝になって二人で外にでて、真知子が「また連絡するね」と言うと、ゆーとは「一度だけの約束だったよね?もう会わない。俺からは連絡しない。」と言ってタクシーに乗って去っていった。真知子の体にはまた渇きが広がっていた。
転落と社長からの懇願
翌日体調がすぐれず、早退した真知子は、家に帰ると悔しくて「畜生、畜生…」と何度も言いながら泣いた。そのときゆーとからメッセージが来た。昨日撮影した動画だった。自暴自棄になった真知子はそれを音声を消して裏アカにアップした。すると今までとは比べ物にならない反応があった。たくさんの「いいね」とコメント。真知子はもうどうでもよくなってその中の品のありそうな一人と会うことにした。
翌日、真知子の店に社長の北村が来て、「もう一度力を貸してほしい」と頭を下げた。「アストランティア」の経営はそこまで深刻だった。バイヤーを降ろされた恨みはあったが、そこまでする彼に、もう一度力を貸すことにした。以前提案した、百貨店のセレクトショップとのコラボ企画を再度検討することになった。
その晩、別の男と会い、関係を持った。自分のスマホでその様子を撮影させ、またそれを裏アカにアップする。するとまたおびただしい数の「いいね」とコメントが来た。真知子は自分が必要とされていることに高揚感を覚え、うれしかった。
ゆーとと表の世界で再会
その翌日から、北村に提出する企画書を書きながら、いろんな男と関係を重ね、それを裏アカにアップしては反応をみて高揚感を得ていた。もう「いいね」なしでは生きられない状態になっていた。
完成した企画書は北村に気に入られ、あっという間に現実になりそうだった。大手百貨店の子会社でいくつもの店を出している、「リスタート」というセレクトショップとコラボすることになった。そしてその親会社の百貨店の営業として紹介されたのが、なんと原島努という名のあのゆーとだった。
お互いに驚いたがなんとか平静を装った。
恐怖のメッセージ
真知子は変わらず男と関係をもって裏アカへ投稿を続けた。「いいね」とコメントの数に酔いしれていた。その中に、「カネロニ」というアカウントの人物から、「どうして僕と会ってくれないんですか?」「返事ができないなら僕のほうから行きましょうか?あなたの家を突き止めることなんて簡単なんですよ?」というメッセージがきて、恐怖を感じた。
募るゆーとへの気持ち
「アストランティア」と「リスタート」とのコラボ企画は進み、会議のたびに原島(ゆーと)と会い、彼のことをやっぱり好きだと実感した真知子。思い切って「あなたのことが忘れられない。もう一度だけ会ってほしい。」とメッセージをし、会うことになった。
再会したゆーとはどこか冷たい感じがした。会社の人が話しているのを聞いたので、「結婚するんだって?」と真知子は聞いた。ゆーとは好きとかそういう感情が分からないが、相手が結婚したいからすると言った。また初めて会ったタワーマンションに来た二人。ゆーとは結婚したらここに住むといった。真知子が、「仕事もうまくいって、結婚して、こんないい部屋に住めて幸せじゃない?」というと、ゆーとは「幸せなんかじゃない。地獄だ!」と言った。そこでも二人は関係を持った。婚約者は嫌がることを真知子はすべてやってくれた。
ゆーとの本当の姿
ゆーとは小さいころからなんでもできた。みんなにうらやましがられたがその理由が分からなかった。母が亡くなったときも一番かわいがられていたのに、悲しいという感情が起こらず、泣けなかった。自分には感情がない冷血漢なんだとも思った。婚約者の若菜とは向こうが迫っってきたから付き合い。好きでもないが、「好き」とか「愛してる」とか言ってきた。それが地獄の日々に感じていた。感情がない自分は、性欲はある。唯一の楽しみが、若菜以外の女を抱いて、めちゃくちゃにすることだった。
真知子とも一度きりの関係と思っていたが、一緒に仕事をするようになり、なぜここまで仕事に夢中になれるのか?久しぶりに他人に興味をもった。また、彼女とのセックスがとても気持ちよかったので再度会うことにしたのだった。若菜への罪悪感はなかった。本当に自分には感情がないんだと思った。
真知子とゆーとは分かり合えない
「アストランティア」と「リスタート」のミーティングが行われ、新ブランドのコンセプトを真知子が提案した。自分を知っている人はおしゃれであると思うことから、「本当の自分とは」というキャッチコピーを提案した。全員一致で決定し、真知子は飛び上がりたい気持ちになった。
その日の夜も真知子はゆーととあのマンションで会って体を重ねた。そのあと横になったまま二人で語り、ゆーとの生い立ちを聞いた。その日は優しくしてくれた。彼はもうすぐ結婚する、自分のものにはならないとわかっていても、優しくされると恋心が出てきてしまう。
すると、「いいものを見せてあげる」とゆーとが言った。ほかのたくさんの女とこの場所で関係を持っている動画を見せられた。真知子の目から涙があふれた。みんな渇いているんだ、それを埋めようとしているんだ。「これ、わたしだよ…」と呟くように真知子は言った。ゆーとは「違うよ、マーチはこっち側の人間だろ?」「普通に生きているとつらい。仕事がうまくいって幸せになったって意味なんかないんだよ」と言った。真知子は「私は仕事が楽しい」と言った。お互い分かり合えないと言い合いになり、真知子はマンションを飛び出した。
裏アカとの決別
翌日、「リスタート」の本社で、新ブランドの名称が「March」に決定した。佐伯も北村も素直にそれを喜んでくれて、二人にも以前のような悪い印象はなくなっていた。オンラインショップ担当の岡田保にも、「サイトのデザインのイメージ案の評判が社内でとてもいいです」と言われて、「岡田さんのおかげです」とお礼を言った。いえ僕は「伊藤さんのイメージを形にしただけですから…」と照れ臭そうだった。真知子は自分は一人じゃないと思えた。
家に帰り、裏アカのサイト「March」は自分にはもう必要ないとそのアカウントを消去した。
晴れ舞台で起きた悲劇
ついに新ブランド「March」のお披露目セレモニーの日が来た。「リスタート」本社のカフェテリアで行われた。マスコミ、百貨店関係者など、大勢の人がいた。店内にいくつものスクリーンがあり、岡田保が中心になって、「March」のイメージフィルムを作成したが、真知子は上品でとても気に入っていた。岡田は新ブランドのために、真知子と残業してくれたり、彼に本当に感謝していた。岡田は仕事のできる人だったがシャイで、それを鼻にかけることはなかった。ゆーとも来ていて少し話したが、「うれしいんだよね?僕にはわからないけど」と言われてそれを無視した。
ついにイベントが始まりスクリーンにはモデルたちが映し出され、見ている人たちのの反応がとてもよかった。一緒にいた佐伯も「これならこのブランド成功しますよ!」と喜んでいた。
しかし次の瞬間、真知子が「March」としてツイッターにあげていた、自分がいろんな男と関係を持っている動画が流れた。音声は別の人のものだったが、その音だと感じさせるものだった。現場はパニックになり、真知子も「消して!」と叫んだが、さらに、真知子の顔写真が出てきて、動画の中のアクセサリーが真知子のものと一致するという説明動画まで流れた。
真知子はゆーとに「私まで地獄に引きずり込まないでよ!」と詰め寄ったが、ゆーとは「俺じゃない、どうして俺があんたなんかを地獄に引きずり込む必要があるんだ。やっぱりあんた何もわかってないな」と言い出て行った。真知子は佐伯がかばう中、この動画の女性は自分であることをその場で話した。「わたし誰かに求められたかったんです。体だけでも必要とされたかったんです…」この瞬間、真知子のすべてが終わった。
真知子へのゆーとの思い
ゆーとはまた別の女をマンションに連れ込み関係をもっていたが、真知子のことを思い出し、途中で女は帰ってしまった。ゆーとは真知子の笑顔や二人でいた楽しかったことを思い出し、地獄の底にいる真知子のことを考えていた。そして電話をして自分が犯人ではないことを伝え慰めようとしたが、真知子の電話の電源は切られていた。冷血漢の自分がこんな感情になるとは思っていなかった。
犯人は信頼していた仕事仲間
一方真知子は自宅でお風呂にも入らず三日ベッドの上ですごした。泣きすぎて涙も枯れた。佐伯や北村が心配して来てくれたが無視した。普通の人ではないゆーとがあんなことをするだろうか?と考始めた。そして佐伯から、犯人は岡田保だったということを聞かされた。真知子はあんなに頑張ってくれていた岡田がそんなことすると信じられなかったが、ふと、「カネロニ」という人物のメッセージがすごく怖かったことを思い出し、それが岡田だったと確信した。
絶望の中でも生きていく
食べるものが尽きたので、いつもよりラフな格好で買い物に出た真知子。ふと、ゆーとと行った大衆食堂を思い出しそこに向かった。歩いている途中で、遠くから歩いてくるゆーとと若菜とすれ違った。真知子は思わず「あっ」と言ってしまったが、お互い目は合わせなかった。食堂につくと、オロナミンハイともつ煮とセンマイ刺しを頼み、おかわりし、5時間もたっていた。帰りに食堂の女将(ふせえり)に、「元気じゃなくてもいい。頑張らなくてもいい。でも明日も明後日も生きるんだよ?いいね?」と言われ、涙が出た。帰りにふらふら歩きながら、大きな橋を通った。もう生きられないと、飛び降りようと思ったが、スマホの着信が、何回もなった。「あんたうるさいんだよ!うっとおしいんだよ!」と言ってスマホを川の上に出し、手の力をゆるめるとすっとスマホが落ちた。真知子は「ザマアミロ」と言って少し笑った。その瞬間、真知子の中で何かが変わった。
「いいね」にハマった真知子に同情の声多数!
この小説のレビューを見ると、最後、何もなくしてしまった真知子に対して、自業自得という意見もありましたが、以下のように、同情の声が多く見られました。
主人公が仕事頑張っていただけに辛い。ゆーとだけダメージ少なくてモヤモヤ…
すべてを失った真知子に胸が熱くなった。頑張れ真知子!!
筆者は女性としては気持ちもわかる気がしました。頑張った仕事をあんな形で奪われたら生きる気力もなくなるかなと。でも最後にスマホを落としたことで彼女の何かが変わって、それでも生きていくという決意に感じられて、そこはよかったと思いました。お互いの本当の自分を知っている、ゆーととはうまくいかなかったのは残念でした。また本としては描写がリアルすぎて官能小説を読んでいる感覚になり、恥ずかしくなりました(笑)