それでもボクはやってない
報われない痴漢冤罪
加瀬亮が主演、周防正行監督の2007年公開の映画『それでもボクはやってない』。
満員電車に乗って、気をつけてはいたものの、痴漢の罪を被せられてしまった主人公。
警察の捜査も杜撰(ずさん)で、否定し続けていたらあれよあれよという間に裁判へ。
ラストは結果的に、有罪となり控訴して物語は幕を閉じる。
果たして本当に、主人公は痴漢をやっていないのか…
もしかしたら、やっていたのではないか…?
という選択肢を最後まで残して物語が終わるという展開を、意図的に作ったという周防監督。
物語ではなく、実際の現実問題でも冤罪事件に関わる周防監督の納得の傑作。
黒い司法 0%からの奇跡
差別の闇は根深い…
人種差別問題に深く切り込んだ1作、マイケル・B・ジョーダンとジェイミー・フォックス主演の『黒い司法 0%からの奇跡』。
物語の舞台は1980年代。
残虐性の高い女性殺害事件が発生する…
殺人で逮捕された、通称ジョニー・D。
しかし、この事件の捜査は行われていない。
たったひとつの証言を元に、ジョニー・Dが逮捕されたのだ。
しかもその証言は、とんでもない事実が隠されていた。
警察の杜撰さをまざまざと露わにする…
ゴーン・ガール
妻の失踪…悲劇の夫が、一転、殺人容疑に…
妻が突如の失踪…
悲劇の夫が、妻の捜索を大々的にお願いする…
が、冷え切った夫婦関係を徐々に判明し、遂に夫に歌ががかけられる様になる…
ここから一転、まさかのストーリーが待つ、ブラックジョーク満載のまさかのダークコメディ作品。
冤罪をテーマにここまで描き切れる、デヴィッド・フィンチャー監督のシニカルさは健在。
リチャード・ジュエル
証拠もなく疑いだけで、人を貶めた衝撃の実話
1996年、アトランタオリンピックで湧く、地元アトランタ。
記念公園では連日お祭りが開催されていた。
そんな公園が突如地獄絵図と化した、爆弾テロが発生。
しかしその爆発の規模以上に、観客たちの被害はとても少なかった。
それは、爆発直前にいち早く爆弾の存在に気が付き、人々を誘導していた警備員がいた。
もちろん彼は称賛された。
しかし、事件発生から数日後、地元アトランタの地方紙でその英雄がFBIの捜査対象であることが報じられた。
それ以降、彼は英雄から一転、爆弾犯への容疑が掛けられた。
世間からの糾弾は約3ヶ月。
3ヶ月犯人であると疑われたが、彼を信じる古くからの知り合いである弁護士らの助けによって、捜査対象から外れた。
彼の名は、リチャード・ジュエル。
激動の3ヶ月を、クリント・イーストウッドがドラマティックに描き出す。
犯人に仕立て上げられた原因がメディアにあり、行き過ぎた報道の是非が問われる衝撃の実話である。
スティルウォーター
実在の事件から着想を得たフィクション
元なる事件は、イタリアの「ペルージャ英国人留学生殺害事件」。
映画用のローカライズされており、物語の舞台はフランスのマルセイユに改められている。
その他、被害者家族はアメリカ人。
マット・デイモン主演で、冤罪となった女性はアビゲイル・プレスリンが演じる。
留学先の学校で収監中だった娘に会いに行った父親が、娘の釈放のために奮闘する物語。
しかしながら、フィクションでエンタメとして扱ったことで、実在の被害者であるアマンダ・ノックスや一部メディアからは批判の的になってしまう。
もっと忠実に伝記映画として描けば評価はもっと大きく変わったはずだが、マット・デイモンがアメリカの田舎の男性をリアルに演じて、とても見応えのある作品だけに勿体無い評価に着地した。
余談ではあるが、物語のクライマックスにオリンピック・マルセイユのスタジアム、ヴェロドロームが登場する。
撮影当時所属していた酒井宏樹の姿も一瞬、写っている。
まとめ
不条理な条件に憤りを感じる様な、冤罪事件ばかりの映画を集めてみた。
実在の事件から、フィクションまで…
重厚なストーリーは、鑑賞するだけでカロリーを使ってしまいそうな予感さえする。
今後も邦画から洋画まで、様々な冤罪を扱う作品を追加していくので、次回以降の更新を乞うご期待!