映画【日本沈没 (1973)】のネタバレ!何度リメイクしても届かないラストの喪失感に耐えられるか?

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Netflixオリジナルアニメ日本沈没2020』がバチクソに酷評されてから、早数ヶ月。あまりの低評価ぶりに、かえって優しい気持ちで鑑賞した筆者ですら、ありもしないちゃぶ台をひっくり返してしまいました。

そんななか、Netflix配信予定に『日本沈没(1973)』の文字が本記事では、満を辞して登場する小松右京版『日本沈没』のあらすじをネタバレ付きでご紹介していきます!

日本沈没』は2020のアニメ版の他にも、2006年には草彅剛・柴咲コウ主演で映画化され大ヒットしました。ただ、ここであえて言わせていただきたい……。「日本沈没は、小松右京版しか勝たん」と……!

映画『日本沈没』の動画がこちら!

日本沈没(1973)』には、同名タイトルの原作小説が存在します。1973年に発表された原作は、小説家・小松左京が9年かけて執筆したSF長編であり、当時合計385万部を売り上げる大ベストセラーとなりました。

原作の出版前から東宝は映画化の版権を買い取っていて、小説版『日本沈没』ブームの冷めやらぬ1973年の年末に、映画『日本沈没』の公開に踏み切りました。原作の発表から半年足らずで撮りあげた本作の観客動員数は880万人を超え、翌年の興行収入1位を記録しました。

草彅剛主演の2006年版『日本沈没』は、科学技術を駆使して沈没を免れる展開ですが、本作『日本沈没』では「国土を失うのは確定」。ヒーローは現れません。

では、どう生きるか。日本人それぞれが覚悟を決める描写。これまでのリメイク版が映画技術を駆使しても届かないマインドがそこにあるのです。

映画『日本沈没』のキャストを紹介

日本沈没キャスト

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1973年当時、アイドル的人気があった俳優・藤岡弘石田あゆみが登場しますが、あくまで主題を伝えるためのキャラクターという感じ。

黒澤明監督作品の脚本を多数務めた橋本忍をはじめ、当時の最高スタッフ、キャストを揃えているのも見どころのひとつです。

藤岡弘/小野寺俊夫役

藤岡弘

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仮面ライダー役でブレイクしていた藤岡弘が、主役級で登場。声は現在のまま、やたら恥ずかしそうにセリフを読むのが最初はちょっと面白いです。

演じるのは、海底開発興業に勤める潜水艇の操縦士・小野寺俊夫。日本の地殻変動を発見した田所博士に引き抜かれ、混乱の最前線で調査にあたることになります。

石田あゆみ/阿部玲子役

石田あゆみ

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石田あゆみ演じるのは、小野寺と引き合わされた令嬢・阿部玲子。結婚相手を上司から紹介される流れ、昔は本当にあったんだ……とカルチャーショックを受けました。

小野寺のことを気に入り婚約するも、火山噴火や大地震で日本はパニック状態。海外に避難しようと動きます。玲子は本作に登場する「ザ・日本国民」という位置付けで、未曾有の危機に翻弄されます。

日本沈没の地殻変動を発見する田所雄介博士役には小林桂樹。あと、何より丹波哲郎演じる小林総理大臣が本当に素晴らしい……!丹波哲郎って撮影の時、セリフを全く覚えてこないのだそうですが「目でやるからほっといて」ってことなのでしょうか。

映画『日本沈没』のあらすじをネタバレ!

噴火する山

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さて、キャストの紹介を終えたところで映画『日本沈没』のあらすじをネタバレ付きで紹介していきます!

そこらじゅうで書き古されているでしょうけれど「国を捨てる」「日本が消滅する」という本作のテーマは、コロナ禍を今まさに経験している私たちに重く響くものがあるはずです。

日本海底で見つかった地滑りの跡

小笠原諸島にある無人島が消失したことから物語は始まります。この原因を探るため、田所博士は海底開発興業の調査船、潜水艇“わだつみ”の操縦士・小野寺と共に深海へ潜ることになりました。

海底で田所博士は、地滑りの跡に気付きます。「地滑りの原因を調査しなければ」と話し合っているところに「日本海溝で異常が発生」の知らせが。潜水艇“わだつみ”は、異常が発生した日本海溝へ潜っていきます。

そこで見たのは、海溝に地面が吸い込まれている様子……。一同は唖然となります。

事務所に戻った小野寺は、所長から縁談を持ちかけられます。令嬢である玲子は、葉山の別荘でひとり暮らしする27歳。彼女の父は娘の年齢を心配して、結婚相手を探していたのでした。

会うなりお互い惹かれ合うふたり。すると突然、大きな揺れが襲います。

大規模な地殻変動、予測は不可能!?

大きな揺れは火山噴火によるものでした。死者236人、総理官邸では専門家会議が行われます。会議中、先に海底の異常を見つけていた田所博士は総理大臣に警告します「今後こうした災害は増え続ける」「犠牲者数がさらに大きくなるのを覚悟しなければならない」。ところが、そこにいた大臣や専門家は一向に取り合おうとしませんでした。

後日、田所博士のもとに政府からの調査依頼が舞い込みます。外国から購入した最先端の潜水艇を使わせ、田所研究所に一切の管理を任せようというのです。この潜水艇を扱える人物として、白羽の矢が立ったのが小野寺。地滑りの調査で、危険を顧みず果敢に進む姿が印象的だったのです。

観測艦で長期にわたる調査を行った田所博士と小野寺。地下のコアが拡大していること、それに伴って太平洋マントルの変動が異常な速度にまで上がっていることを突き止めます。このことから、田所博士は結論を出します。「日本列島は沈没する」。

政府にこのことを報告した時、マグニチュード8の巨大地震が関東を襲います。

関東地方崩壊、国の重役の意見が衝突

巨大地震で大打撃を受けた関東地方。火災や津波が日本中で起き、パニック状態に。インフラ機能は全停止。一夜にして360万人の死者。
 
3ヶ月後、パニックが鎮静化したころ、田所博士は国民を海外へ避難させる“D2計画”を総理大臣に提言します。他の大臣が「もう地震は起こらない」と希望的観測を述べるなか、山本総理大臣は博士の話に真剣に耳を傾けます。
 
状況を軽視する大臣たちに、田所博士は一喝。「少なくとも何らかの対策をしていたら360万人が死ぬことはなかったんだ!」。結局、一部の外交官のみが動く形で、日本の避難民の受け入れ国を打診し始めます。
 
ところが、D2計画はメディアにリークされ、発案者の田所博士は大袈裟で頭が沸いていると世間から嘲笑されます。受け入れ国を探している時点で海外でニュースになってしまう。外から入ってくる情報に日本国民がパニックを起こさないように反応を見たのだとリークした情報科学者は訴えます。

D2計画の漏洩、もう国民に隠せない……

一方、経済界で強力な権力を持つ渡老人は、D2計画を進めるため、海外の専門家に協力を仰いでいました。そして渡老人は、海外の専門家による具体案を山本総理に手渡します。
 
ところがその具体案の結論は「何もしない方がいい」。1億人を超える日本人を各国に難民として送るよりも、何も知らせず日本列島とともに沈んでしまうのが最善ではないかというのです。海外の有識者によって導き出されたこの結論を知った山本総理(丹波哲郎)の目は、たちまちサッと赤くなります。
 
涙を浮かべながらも「日本人を1人でも生き残らせる」と決意する総理。自ら諸外国へ避難民の受け入れを交渉し始めます。田所博士による研究データでは、日本の国土が完全に消えるまで10ヶ月。関東に亀裂が生じ、そこに引き込まれるように日本が消えていく予測モデルを見た総理大臣は、ついに国民に向けた会見を行います。

日本沈没の日

リークの件で自身の研究所を退所した田所博士。小野寺は玲子と共にスイスに避難しようと話し合います。翌日には、個人の海外渡航が禁止されるというギリギリの日、空港に向かう途中の玲子は富士山の噴火に巻き込まれ、火山灰に飲み込まれていきます。

国連では、ようやく「日本救済特別委員会」が設立。ところが840万人分の受け入れ先しか決まっていない状況でした。頭を抱える各国の首相たち。どの国も国土には限界があるし、スラム化するかもしれない。さらに帰る場所がないのですから、期間もどのくらいになるか全くわからないのです。

世界の混乱をよそに、地殻変動のスピードはますます加速。紀伊半島で山が割れ、関西地方はすでに海の底です。米軍、中国、ロシアの救援部隊が到着。しかし「日本大陸の背骨である中央破砕帯が断裂したら救援作戦を打ち切る」と国連で救助のリミットは決められていました。

自ら崩壊した街に飛び出し、救助にあたる山本総理。一方小野寺も、富士山の噴火で生き別れた玲子を探しながら街を駆け回り、救助活動を行っていました。

そんな現状を自分の目で見続けた山本総理。すでに海上に移設していた田所研究所に「D2計画の中止」を伝えます。もう日本は沈みます。

D2計画を援助してくれた渡老人へ最後の挨拶に向かう山本総理。そこには田所博士がいました。「一緒に逃げよう」山本総理は田所博士に言います。「あなたのおかげで何万という日本人が助かったんですよ!」すると田所博士は「それが良かったのか悪かったのか……

博士は続けます。「私は日本と心中です。日本人は民族としては若い。よその国で喧嘩をしても、4つの島に逃げ込んで母親の懐へ鼻を突っ込みさえすればよかった。総理、日本人を頼みます」。そう言って彼は、火山灰の中へ歩いて消えていきます。

映画『日本沈没』の結末は……

難民になった日本人

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ラストシーン。噴火から生き延びた玲子は、列車の窓から雪深く暗い風景を眺めています。外国のようです。その頃、小野寺も地球のどこか列車の窓から外を眺めているのでした。

日本人は難民に。受け入れ国に散り散りに去っていく人々

やばくなったら海外行くし!」って若い人ほど思うでしょうし、筆者もそういうふうに考えることは結構あります。ただきっと、どこへ行ってもお米粒は残しちゃいけないし、夜中に口笛を吹いてはいけないのですよね。

日本という国土そのものを失う、受け入れ国に散り散りになる、日本の無い日本人の「喪失感」をこれでもかと伝えてくる本作『日本沈没』。

1973年という時代柄、製作陣の多くが戦争経験者であるというのも本作を一層リアルに感じる理由なのだと思います。本編で「火事さえ起こさなきゃ地震じゃ死なない!火は止めたのか!」と叫ぶ老人は、関東大震災の経験者ということでした。

本作の場合、命が助かったところで日本は消失するわけなのですが……。登場人物各々のもがく姿を是非一度、ご自身と重ねて鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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