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WOWOW【北方謙三 水滸伝】全話ネタバレ・感想!原作ファンも納得?圧巻の映像化!

連続ドラマ【北方謙三 水滸伝】(全7話)が2026年2月15日(日曜)よりWOWOWで放送、WOWOWオンデマンド&Leminoで配信スタート!
その壮大なスケールから映像化は困難と言われた大河小説の金字塔、北方謙三『水滸伝』が、ついに連続ドラマとして届けられます。
北宋末期の中国、腐敗した世を憂い正義を貫く者たちの熱き戦い。
演じるのは、織田裕二反町隆史亀梨和也満島真之介波瑠玉山鉄二佐藤浩市松雪泰子など、豪華で魅力的な俳優陣です。

膨大な数の登場人物たちと壮大なストーリーで、映像化は不可能と言われた『北方謙三 水滸伝』がいよいよ放送・配信されるのね!

『水滸伝』を映像化するためにWOWOWに入社した若きプロデューサー・大原康明さん、数々の名作を作って来た若松節朗監督、舞台『キングダム』を手がけた脚本家の藤沢文翁さん。そして織田裕二さんはじめ、錚々たる豪華な俳優陣。期待に胸が高鳴るね!

それでは、【北方謙三 水滸伝】のあらすじ、ネタバレ、感想をお届けしていきます。
(放送後に毎週更新します)

◎この記事でわかること
連続ドラマ「北方謙三 水滸伝
・全話のあらすじ・ネタバレ・感想
・原作との違い
・見どころ

【北方謙三 水滸伝】のあらすじ・ネタバレ・感想を最終回まで

北方謙三 水滸伝】のあらすじ・ネタバレ・感想を最終回までまとめていきます。

1話「叛乱の火種」

放送日:2月15日(日曜)22:00

1話のあらすじ

2世紀、北宋末期。
下級役人の宋江(織田裕二)は役人たちの腐敗ぶりに強い怒りを感じ、官軍の怠慢によって賊徒に荒らされた民の絶望に心を痛めていた。
世直しの書「替天行道(たいてんぎょうどう)」を書いた宋江のもとに、理不尽な世を変えるため国家権力に立ち向かう同志たちが集まってくる。
一方、托塔天王の名前で恐れられる義賊・晁蓋(反町隆史)も兵を束ね、闇塩で軍資金を集めながら蜂起の時を待っていた。
宋江の命を受けて禁軍に潜入した槍の名手・林冲(亀梨和也)は、叛乱の疑いをかけられた武術師範の王進(佐藤浩市)を逃そうと試みる。

1話のネタバレ

12世紀、大国北宋は腐敗していた。
政治に関心のない帝、汚職まみれの役人たち。
改革を望む者は反逆者として粛清されていく。
重税と貧困にあえぐ民の中には賊徒となって村を襲い略奪を繰り返す者たちも。
戸籍係の下級役人・宋江織田裕二)は、魯智深金児憲史)と立ち寄った村がその後賊徒に襲われたことを知り、役所で接待中の軍の輸送兵に助けに向かうように頼むが、税を運ぶ任務があるからとにべもなく断られる。
輸送しているのは民の税ではなく高官や軍首脳への賄賂であることは誰もが知っているというのに。
村に駆けつけた宋江と魯智深は、倒れている村人たちの中に先日宋江が薄荷の葉を買った少女を見つけるが、少女は宋江の腕の中で息絶えた。
強い怒りと悲しみを感じた宋江は、世直しの書「替天行道」を書き上げる。
魯智深はその「替天行道」を持って世を正すための同志集めに奔走していく。
魯智深は、禁軍を改革しようとしている武術師範の王進佐藤浩市)にも声をかけるが、王進は「替天行道」を受け取らなかった。
禁軍大将の高俅池田成志)は、度々上申書を出している王進に叛乱の疑いをかけ処断しようとしていた。
宋江の命を受けて禁軍に潜入している槍の名手・林冲亀梨和也)は、王進の危機を知り、王進とその母・王母丘みつ子)をひそかに逃がす。
夫の志を継いで宋江の間者(スパイ)となった馬桂松雪泰子)は、王進が無事に開封府を脱出したことを宋江に知らせた。
宋江は林冲の身も危ないと考え魯智深を通じて逃亡させようとするが、その前に国の諜報機関・青蓮寺の幹部・李富(玉山鉄二)による陰謀が待っていた。
林冲の自宅で妻・張藍泉里香)を襲おうとした輩を林冲が斬り捨ててしまうが、それは高俅の使者で、林冲はすぐに捕縛され拷問される。
魯智深は林冲が捕まったことを宋江に知らせてすぐに逃げるように言うが、宋江は林冲を信じると言ってその場を動かない。
李富は「替天行道」を書いた者を聞き出そうとするが林冲は決して口を割らなかった。
すると李富は白状するまで張藍を拷問にかけると言う。
高俅は、夫の命を救うためにはどうすればいいかわかるな?と言って張藍の身体を意のままにしようとするが、張藍は隠し持った小刀で高俅に立ち向かい、最後は自分の首を斬って自害する。
拷問の最中に高俅から妻の死を伝えられた林冲は慟哭。
一方宋江は、托塔天王の名前で恐れられる晁蓋反町隆史)が軍が運搬している賄賂だけを奪い、決して民を襲わないことに気づき、彼について調べさせる。
義賊・晁蓋は、阮小五(加藤清史郎)、阮小二(生田拓馬)、阮小七(林優大)を使って闇塩で軍資金を集めながら、この国を正すため蜂起の時を待っていた。
「替天行道」を読み宋江の志に共鳴した晁蓋は、梁山湖に宋江を呼び出す。
湖の中にある要塞を活動拠点にしたいと二人は考えた。

1話の感想

冒頭から晁蓋と宋江が登場
原作の1巻では最初に林冲王進の話が進められ、宋江晁蓋はすぐには登場しません。
しかし本作の冒頭では、まず晁蓋が、高俅への賄賂を運んでいる軍を襲う義賊として登場しました。
続いて、役人たちの腐敗ぶりに怒り、官軍の怠慢によって賊徒に荒らされた民に心を痛めた宋江が「替天行道」を書く展開になります。
二人のリーダーの志がはじめにはっきり描かれたことで、この物語が向かう方向がクリアになりました。

クスっと笑えるパートも
重厚で張りつめた空気が続く中、ふとコミカルなシーンがはさまれるとほっと息をつくことができます。
役所での宋江と上司の許礼坂口涼太郎)の会話は楽しいですね。
宋江は筆跡を隠すために利き手ではない左手で字を書いているので袖を汚してしまうのでしょうか。
誤字もきっと無能な役人を演じるためにわざとやっているのでしょうね。
許礼はそれをいちいちガミガミと叱責するわけですが、宋江はにこやかに受け止めます。
そしてそっと「レンレンがお待ちですよ」と耳打ちします。
すると許礼は「あっそうなんです」と一瞬嬉しそうな笑顔に。
そしてすぐ「いいんですよ!そんなことは」とノリツッコミ。
このくだりの楽しさは、流石織田裕二さんと坂口涼太郎さんでした。

レンレンって許礼の何なのよ!
宋江と許礼の会話楽しい!スピンオフでもっと見たいなあ。

原作にもある王母の言葉に胸揺さぶられる
高俅の陰謀で処断されようとしていた王進は、林冲の手引きで開封府から逃亡します。
母・王母を馬に乗せ、歩きながら王進は涙を見せました。
「友とは良いものだなと思うと、涙があふれてくるんです」
「きちんと生きてきたからです。別れる時涙が出てしまう友を持てたのは、あなたがきちんと生きてきたからですよ、進」
原作の名言が、丘みつ子さんによって再現されました。
胸に沁みわたります。

師範である王進が林冲のことを「友」と言ったのにもグッときたなあ。「あの友は私の誇りです」って。

林冲の慟哭
武骨で真っ直ぐで不器用な武人、林冲
林冲は禁軍に潜入する時、開封府で腰を据えているという体面を保つために張藍をめとりました。
対外的に結婚という形を見せているだけで妻への愛情などないと自分で思い込んでいたのです。
心から尽くしてくれる張藍に対し素っ気ない態度を続けてきた林冲。
しかし、王進との別れで沈んでいる林冲を(理由は知らないままに)優しく慰めてくれる張藍に、その夜は確かに情愛を感じたはず。
「お前からは、沈丁花の香りがする」
原作での荒々しさとは違い、儚ささえ感じる美しいシーンでした。
このひと夜があったからこそ、その後の別れが大きな苦しみとなって林冲を、そして視聴者を襲います。
失って初めて、林冲張藍を愛していたとはっきりと知るのでした。
それを彼女に伝えることが、もうできません。

張藍の強さ
林冲から叛乱分子の情報を聞き出すため、陰謀が図られました。
高俅からの手紙を持った使者にわざと張藍を襲わせたのです。
林冲高俅の使者を斬らせ、その罪で林冲を捕まえるために。
張藍は、自分が手込めにされたことにすればいい、世間からどんな目で見られようと、自分のために人を斬ったあなたの愛に応えねばなりませんと必死で林冲に訴えます。
林冲は自分の正体を明かし、自分は逃げるがお前は残れと言って別れようとするのですが、張藍は「張藍の家はあなた様です」と聞き入れません。
どうしてこんな俺をそこまで思ってくれると聞く林冲に「なんでもご存じのお顔をして何もご存じないのですね。思う心に理由などありません」
張藍は意志のある強い女性ですね。
自分の肉体を求める高俅に対して「主人が助かるためなら何も恐ろしいものはありません」と言って帯をほどきますが、しまいには隠し持った小刀で立ち向かいます。
「この高俅は、主人の命を人質に取り私を手込めにしようとしました。この開封府のどこに正義がありますか!」
張藍は、自分が生きている限りその存在が林冲の弱みになってしまうことがわかっていたのでしょう。
自分が人質になると林冲が正義を貫けない、それは張藍にとって何よりも辛いことだったのでは。
原作の張藍は、高俅や他の男たちから凌辱の限りを尽くされた後に自ら命を絶ちます。
ドラマの張藍が自害したのは、穢される前に自ら、という気高さもあったと思いますが、もう一つ意味があったように感じました。
泉里香さんの張藍は、何よりも自分の命で愛する人を守りたかったのではないでしょうか。
「あなた…張藍はまだ沈丁花の香りがしますか…」

単純な悪ではない李富
賄賂で私腹を肥やし逆らう者は次々と処断していく高俅と違い、李富は単純な悪役としては描かれていません。
彼なりにこの国をよくしようと考え、邪魔をする叛乱分子を取り除こうとしているのでしょう。
高俅林冲張藍の死を教えた時、李富は静かに怒りを表します。
「欲情に負け、手込めにしようとなさったのでは」
「林冲の妻が牙を持っていると思わなかったのでしょうか」
李富には李富の正義の秤があると、よくわかるシーンです。

薄荷の香り、沈丁花の香り
宋江魯智深が立ち寄った村で出会った盲目の少女は「お花を買ってくれませんか」と言いました。
籠いっぱいに摘んだ薄荷の葉を花だと思っているのです。
宋江は「気高い香りがする」と言って薄荷の葉をすべて買い取りますが、その後、再会した少女は宋江の腕の中で「お花…宋江さま」という言葉とともに亡くなってしまいました。
少女を失った悲しみ苦しみ怒りを、気高い薄荷の香りとともに胸に刻んだ宋江
一方、張藍の最期の言葉を知りたかった林冲
「自分はまだ沈丁花の香りがするか、確かそんなことを」と教えてもらったのは、林冲にとって良いことだったのか、どうか。
「愛していることに…気づかなかった…」と悔やむ林冲の奥深くに、これからも沈丁花の花が咲き続けることになるのでしょう。
1話では、薄荷と沈丁花という誰でも知っている香りが画面から立ち昇りました。
リアルな日常で薄荷や沈丁花の香りに出合うたび、私たちは宋江や林冲の想いを我が胸に引き寄せることになるのでしょう。

並び立つ二人の英雄
1話のラストで、ようやく二人の英雄が並び立ちます。
人を動かす言葉の力を持つ人、民を慈しみ仲間を信じる真心の人、普段は茫洋としているけれど時に激しい怒りや痛みを表す人、武術や戦術ではなく人柄で皆を惹きつけるリーダー、宋江
軍人として天才的なセンスがあり軍資金を蓄える能力もある華やかで豪快な英傑、晁蓋
梁山湖の前で二人が対峙する場面は胸が熱くなります。
「お前の思想は偉大だが、一つ足りぬものがある」
「それは何です?托塔天王」
「俺が足りん」
痺れますね。
いよいよ、梁山泊の物語がスタートです。

2話「諜報組織〈青蓮寺〉」

放送日:2月22日(日曜)22:00

2話のあらすじ

王倫(萩原聖人)が束ねる数千もの賊徒たちは、“梁山湖”の中にある砦を根城にしていた。
同志として手を結んだ宋江(織田裕二)と晁蓋(反町隆史)は、その砦を叛乱活動の拠点としたいと考え、奪取するために動き始める。
一方、国の諜報組織「青蓮寺」の総帥・袁明(大塚明夫)は、叛乱の気配を感じ取り、幹部の李富(玉山鉄二)に捜査を命じた。
宋江の間者である馬桂(松雪泰子)は、林冲(亀梨和也)が処断されるという情報をつかむ。
宋江と晁蓋は、林冲を奪還する作戦を練る。

2話のネタバレ

宋江(織田裕二)と晁蓋(反町隆史)は、世直しの志を同じくする者として手を結び、“梁山湖”の中にある砦を叛乱の活動拠点にしたいと考えた。
その天然の要塞には現在、頭目の王倫萩原聖人)が束ねる三千もの賊徒たちがいて、商人などの民を襲っていた。
宋江は、梁山湖のほとりで食堂を営んでいる朱貴高橋和也)と親しくなった。
朱貴はかつて王倫とともに志高く科挙(官僚登用試験)に挑んだ仲間だったが、2人とも合格できなかった。
今の王倫は、国に反旗を翻すこともなく民を襲うだけの盗賊になり果てていて、朱貴はその姿に幻滅している。
ただそんな王倫が心を開く数少ない人物が朱貴であった。
一方、国の諜報組織「青蓮寺」の総帥・袁明大塚明夫)は、叛乱の気配を感じ取り、幹部の李富玉山鉄二)に捜査を命じた。
宋江の間者である馬桂松雪泰子)は、娘の閻婆惜夏目愛海)を宋江に妾として差し出す。
林冲の手引きで逃亡に成功した王進佐藤浩市)だったが、母の王母丘みつ子)の具合が悪くなり、史礼田中健)の屋敷に世話になる。
史礼の息子・史進木村達成)は猛々しい闘争心を持つ荒くれ者だったが、王進の武術に心酔し師事することに。
晁蓋は梁山湖の砦の内部に入るため、朱貴に王倫とつながる道筋を作ってもらうよう宋江に頼む。
そんな中、馬桂が林冲(亀梨和也)が処断されるという情報をつかんで宋江に知らせた。
宋江と晁蓋は、林冲を奪還する作戦を練る。
ずっと宋江に反抗的だった阮小五加藤清史郎)も林冲を救うために協力する。

2話の感想

宋江と晁蓋、お互いの第一印象は?
志を同じくする二人が、1話のラストでようやく会いました。
魯智深金児憲史)は、初めて会った晁蓋をどう思ったか宋江に聞きます。
会う前にいろんな顔を想像していたけれどそのどれとも違っていた、と宋江は答えました。
晁蓋呉用野間口徹)に、宋江の顔は想像と違ったと話します。
宋江は、「これからが楽しみになるような顔をしていた」と言い、魯智深は「心の底から血が燃えてきました」と笑いました。
きっと晁蓋も同じ想いでしょう。
二つの英傑が出会い、いよいよ物語が大きく動いていきます。

青蓮寺の使命とは
「禁軍(帝の直属軍)を鍛え直せ」と言っている禁軍元帥・童貫は、強い兵馬を従えることに生きがいを感じ、国がどうなろうと興味はないようです。
李富たち青蓮寺本部の役割は、この国を表で束ねている宰相の祭京と、裏で支える諜報組織・青蓮寺の間に齟齬が生じないようにすることです。
李富は青蓮寺の幹部で、叛乱や賊徒への対処を任されています。
青蓮寺の総帥・袁明は国を陰で操る裏の権力者。
禁軍大将・高俅池田成志)は帝からの信認がますます厚くなっているようですが、袁明高俅など帝の足元に生えた雑草だと歯牙にもかけません。
袁明が問題視しているのは国家を脅かす叛乱の芽です。
国家の危険の火種となるかもしれない芽は早めに摘み取らなければならないと考えています。
袁明李富たち青蓮寺にとっては、世直しの書「替天行道」がまさにその芽であり火種なのです。
宋江たちの前に立ちはだかる青蓮寺ですが、彼らには彼らなりの正義があるんですね。
国を内側から良くしていくという使命を持つ青蓮寺は、「替天行道」の元に集まる者たちを危険分子と考え、厳しく対処する使命があります。
李富林冲に対して残酷な拷問を続けるのも、国を外から壊そうとする集団についての情報が欲しいからなのです。

朱貴の陳麗への愛
朱貴
は食堂を営みながら、病床にある陳麗松島志歩)の世話をしています。
宋江は気の毒に思い、薬草をお持ちしましょうと言いますが、朱貴はこれまで多くの医者に診せましたが…と沈んだ顔を見せます。
朱貴がどんなに陳麗を大切に思っているかが、宋江の胸に響いた場面だったと思います。
この夫婦の存在は宋江たちのこれからにとって大きなカギになりますが、陳麗をよい医者に診せたいという宋江の気持ちに嘘はないはずです。

朱貴の作る饅頭、美味しそうだったなあ。心のこもった料理を作ることができる朱貴は、きっと愛情深い人に違いないと思ったわ。

盧俊義と燕青登場!
北京大名府の大商人・盧俊義(宇梶剛士)とその若き従者・燕青(山中柔太朗)が登場しました!
盧俊義は経済的に晁蓋たちを支える重要人物。
そして、美青年の燕青は実は体術の達人なのです。

塩の道
人は塩なしでは生きていけません。
当時、塩はすべて国家のもので国家が許可を与えた商人のみが扱うことができ、勝手に売りさばくことは禁じられていました。
しかし、裏では闇塩が取引されていたのです。
袁明は、闇塩が賊徒や叛乱の資金源になっていることに気づいていますが、密売のルートはいくつも巧妙に作られているために突き止めることができません。
李富は、それができるのは並大抵の統率力を持つ者ではない、それは托塔天王こと晁蓋の仕業なのではないかと進言します。
袁明は、「替天行道」の元に集う者たちと塩の道を司る者が手を結ぶことで国家に危機が及ぶのではないかと恐れるのでした。
実際に闇塩の密造・密売を手がけている元締めは、盧俊義です。
盧俊義は闇塩の膨大かつ緻密なネットワークの全貌を把握する唯一の人物で、晁蓋の同志として来るべき蜂起のための軍資金を蓄えているのでした。
叛乱を起こすには金がいることを理解して、現実的な判断と実行力、統率力を持っているのが晁蓋の素晴らしいところでしょう。
そして、その晁蓋と「替天行道」を書いた宋江がついに出会い手を結びました。
つまり袁明の背筋を寒くする“予想外の二つが混じり合い大きな変化をもたらすこと”がまさに現実のものとなったのです。

閻婆惜の淡い想い
父・閻新を亡くし、母・馬桂に心を決めるように言われて妾として宋江のもとへやって来た閻婆惜
しかし、宋江は部下であった閻新の娘を大切に思い、従者としてそばに置くことにします。
温かい人柄の宋江に閻婆惜は亡き父の面影を見たのか、恋心と呼ぶにはまだ淡いような思慕を抱き始めているようです。
閻婆惜は父・閻新宋江の間者だったこと、母も父の後を継いでいること、そして宋江が実は何者なのかを一切知りません。
宋江の身の回りの世話をしている唐牛児若林時英)は、そんな閻婆惜のことが気になって仕方がない様子ですね。

原作の宋江はドラマと違って全然ストイックじゃないし、実際に閻婆惜を妾にしているんだよね。唐牛児の動きも含めて、ここの関係がドラマではどうなっていくか注目したいな。

王進と史進
王進は世話になった史礼の息子・史進を弟子にすることになりました。
母を亡くした後、力にばかり頼り猛々しく育ってしまった粗削りな青年ですが、王進の武術の腕はすぐに認め、弟子にしてくださいと頭を下げる素直さがあります。
王進は「死域を越えなければならぬ」と言いました。
もう絶対に駄目だ、そう思うその先に広々とした世界があると言うのです。
死域まで連れて行ってくださいと頼む史進に、「進か…私と同じ名だ」と言う王進も粋ですね。
王進に鍛え上げられた史進の今後の活躍が楽しみです。

かつては宋江と同じ志を持っていた王倫
王倫はかつて朱貴とともに科挙を受けましたが、二人とも試験に落ちてしまいました。
王倫は国家を変えようという野望を持ち、世の不正を正すために身命を賭して戦うと言っていたのに、やがて資金調達に苦しみ、科挙の試験に落ちた恨みも加わり、今や旅人や商人から略奪を繰り返す賊徒の頭目になり果てています。
朱貴はそんな王倫を情けなく思っているようですね。
気高い志を途中で捨てたために、宋江晁蓋になれなかった男、王倫
彼の根城である“梁山湖”の砦を、宋江晁蓋が奪いに行きます。

繋いでいく命
宋江晁蓋が狙っているのは、三千もの賊徒たちがいる湖の天然の要塞です。
外から攻めるのは難しいため、内側から入ろうと考えました。
王倫に近づき、もし志が同じであれば同志になり、ただの賊徒の親玉に成り下がっているのなら王倫から砦を奪おうというのです。
晁蓋は、王倫は警戒心の強い人物だが朱貴ならば間を取り持ってもらえるだろうと言います。
それで宋江朱貴に頼みに行くのですが、もう関わりたくないと断られます。
ただ、その時に宋江は「今の私には妻がすべて。妻のために生きたい」と言う朱貴の言葉を胸に刻みました。
林冲が護送中に暗殺されるという情報をつかんだ宋江は、晁蓋たちに助け出せないかと相談します。
どうして俺たちが協力しなくてはならないのかと突っかかる阮小五に、宋江は「この世の命は繋がっているからだ」と話しました。
林冲の命を救えば、林冲は護送される牢獄から安道全金田哲)という名医を救うことができる、そして安道全陳麗を治し朱貴を救うことができるだろうと。
朱貴に恩を売って王倫に繋げてもらうのかと聞く呉用
宋江は、この世を信じられなくなっている朱貴に、人を救うために大仕事をやってのけるバカがいることを教えたいと言います。
救う命を繋げていく、それが宋江の戦い方。

阮小五が宋江に反抗的である意味は
原作の阮小五も聡明で、かつ反権力志向を持つ若者ですが、このドラマでは宋江に対して何かと突っかかっていきます。
闇塩を運ぶことに文字通り命をかけている彼にとって、机に座って何かを書いているだけの役人が尊敬する晁蓋と肩を並べているのは面白くないことでしょう。
阮小五は過去の出来事から役人に対して恨みを持っていて、宋江のことも信じられないのです。
ただそんな阮小五に対して、宋江は穏やかに謙虚に温かく接していきます。
2話での阮小五の役割は、「替天行道」を書くことしかやっていないじゃないかという不満を宋江にぶつけること。
宋江がそれに答える形で自分の戦い方をはっきりと示す、そのためにこそこの物語で阮小五の反発が必要だったのです。
宋江は心を救うのが自分の戦い方だと言います。
林冲を救い安道全を救い陳麗を直し朱貴を救うことが阮小五を救うことにもなるのだと。
宋江の志を「机上の空論」と阮小五は言いましたが、「替天行道」を机上の空論にしないために、晁蓋が必要であり阮小五や仲間たちが必要です。
無法者だった魯智深宋江の影響で懐の深い人物になったように、阮小五もきっとこれから変わっていくことでしょう。
いえ、林冲奪還作戦に協力した阮小五は、もうすでに変化しているにちがいありません。

阮小五は陳麗のお見舞いに行ったりして優しいところがあるのよね。そしていざ戦うと強い!特に水の中では!

林冲が見る夢、拷問、塩水、不敵な笑顔
1話から林冲への拷問が続いています。
両手が縛り上げられ、ムチと火傷で傷だらけの背中にさらに焼きごてを当てられ、林冲は思わず叫びますが、同志については決して口を割りません。
李富は、「国ならすでにある!それを外から壊すことに何の意味がある」と冷たい目で告げます。
そして「お前たちは壊すことしかできない」と、また拷問を続けさせるのです。
李富林冲の対峙は、自身の正義を譲らない者同士の空気が張りつめていて二人の色気さえ感じさせます。
拷問の後、檻の中で気絶しているのか眠っているのか意識のない林冲の中に張藍泉里香)の幻がやわらかく入り込んできました。
まどろみの中で少し微笑む林冲
しかしそこへ看守が起こしに来て現実の世界に戻されます。
3日ぶりに水を与えられますが、夢中で飲んだそれは塩水でした。
看守はかつて林冲が厳しく鍛えた弟子で、それを恨みに思っていたのでしょう。
自分のために鍛えてくれた師範に仕返しをする兵士、今の禁軍がいかに腐敗しているかがわかります。
このまま林冲は牢獄の中で朽ちてしまうのでしょうか。
いえ、もっと差し迫った危機がやって来てしまいます。
林冲に恨まれていることを恐れる高俅の命で、滄州へ護送する途中で暗殺されることになったのでした。
絶体絶命!
でも、そこへ晁蓋呉用、阮小五魯智深が助けに来てくれます。
ボロボロの姿で、「魯智深…」と不敵に微笑む林冲
そして、護送兵たちを倒して駆け寄ってきた魯智深に「遅いぞ…」とつぶやきます。
強いですね、彼は。

看守が差し出した水を「本物の塩水にしてください」と提案したのは、亀梨さん自身だったのよね。でもえげつない量の塩が入っていて、あのシーンはリアルにむせていたそうよ。

林冲は確かに強い男なんだけれど。心の傷がまだ全然癒えてないんだよ。張藍が守ってくれるといいな…。

晁蓋の格好良さ
仮面をつけ派手なブルーの衣装で林冲を奪還に来る晁蓋は震えるほど格好良いですが、それにも増して惚れ惚れするのが彼の心意気です。
林冲を救うメンバーに自分も入りたいと言う宋江に、晁蓋は言います。
「宋江、お前にはまだきれいなままの役人でいてもらいたい。こういう仕事は俺たちに任せろ。必ず助けてやる。信じろ、俺たちを」

ああカッコいいわ!晁蓋~!
このドラマは信じ合う漢たちの物語なのね。

林冲を心配して心ここにあらずの宋江に突っ込む許礼が楽しかったな。坂口涼太郎さんにはぜひ毎話出てもらいたい!

北方謙三さん、谷原章介さん、山口乃々華さんのカメオ出演
朱貴の食堂で「スケベ親父が!」と王倫にいきなり言われ、悲し気に目をつぶる北方謙三さん、名演でした。
お隣にいた女性が山口乃々華さんですね。
そしてなんと後ろの席に谷原章介さんが静かに座っていました。
こうしたカメオ出演は楽しいですね。

3話「雪原」

放送日:3月1日(日曜)22:00

3話のあらすじ

暗殺の危機にあった林冲(亀梨和也)は、晁蓋(反町隆史)、呉用(野間口徹)、阮小五(加藤清史郎)、魯智深(金児憲史)たちに救出された。
林冲はその後、腕利きの医者・安道全(金田哲)を同志に加えるため滄州の牢獄へと向かう。
安道全は梁山湖の砦を手に入れるための鍵となる人物なのだ。
「青蓮寺」の李富(玉山鉄二)は高まる叛乱の気配に危機感を募らせ、禁軍将校の楊志(満島真之介)に調査を命ずる。
一方、逃亡中の王進(佐藤浩市)は、道中、荒くれ者の史進(木村達成)を弟子として鍛えることに。

3話のネタバレ

林冲亀梨和也)は高俅池田成志)の命により護送中に暗殺されそうになるが、晁蓋反町隆史)、呉用野間口徹)、阮小五加藤清史郎)、魯智深金児憲史)たちに救出された。
林冲は皆に李富玉山鉄二)という人物が「替天行道」と魯智深について探っているので気をつけるように伝えた。
林冲は、当初の護送先である滄州の牢獄へ行きそこに投獄されている安道全金田哲)を脱獄させる任務を負う。
梁山湖の砦に入り込むためには、砦を束ねる賊徒の頭目・王倫萩原聖人)の昔なじみ、朱貴高橋和也)の協力が必要だった。
そしてその朱貴の妻・陳麗松島志歩)の病を治すために、安道全が必要なのだ。
安道全は最初は牢獄を出ることを拒否する。
だが彼と親しい白勝柄本時生)の病を治療する必要に迫られ、3人で脱獄することに。
「青蓮寺」の総帥・袁明大塚明夫)と李富は、高俅による林冲暗殺が失敗に終わったことを知り引き続き動向を探る一方で、闇塩の道と「替天行道」についての調べを続ける。
李富は、禁軍将校のエリートである楊志満島真之介)を地方巡検使に推挙し、調査をさせることに。
塩の道に気づいた敵をかく乱させるために呉用野間口徹)の作戦で、阮小五(加藤清史郎)、阮小二生田拓馬)、阮小七林優大)が国の塩を大量に盗んだ上でそれを全て海へ捨てた。
彼らは黒族と呼ばれ義賊と思われていたが、袁明が義賊の看板を引きはがすために直ちに塩の値を上げたので黒族は民の敵に。
王進佐藤浩市)は史進木村達成)に武道を、母の王母丘みつ子)は礼儀をみっちりと教えた後、史礼田中健)の屋敷を去った。
林冲は安道全白勝を連れ、正面突破で脱獄する。

3話の感想

宋江の夢、驚く許礼
燃え盛る炎の中、胸を斬られて倒れる囚人服の林冲。
飛び散る血しぶき。
「りんちゅうーーーーーー!」
宋江の悲痛な叫び声。
冒頭、よもや林冲の命が?と思いきや、それは宋江の夢でした。
宋江は昼も夜も林冲のことを想っているのですね。
ただ、宋江が叫んだのは仕事中の役所、許礼坂口涼太郎)が驚いて持っていた書類を落としてしまいます。
「どうなさいましたっ?」
「……ねぇ」
織田裕二さんと坂口涼太郎さんの会話の間(ま)は最高ですね。

織田裕二さん、年下の上司に怒られるという設定を「もっと遊べよ」「もっと楽しんでほしい」というメッセージだと受け取ったんですって。
坂口涼太郎さんとのシーンは本当に楽しくて和むなあ。

王母の礼儀作法の教えの厳しさについて王進と史進がユーモラスに語るところとか、晁蓋に教え込まれた通りのセリフをずーっと練習する護送兵たちとか、緊張と緩和のバランスが抜群なんだよね。

楊志登場!
「お前には特別な任務を与えたい」
楊志満島真之介)の顔の青痣を手で撫でながら言う李富、妖しくも外連味たっぷりですね。
高俅楊志を地方巡検使として推挙したのは、李富でした。
当時の巡検使たちは地方の役人に難癖をつけては賄賂をもらうような者ばかり。
しかし、宋建国の英雄・楊業の末裔であり、誇り高き軍人の楊志であるなら職務に忠実であろうと考えた李富は、楊志に叛乱を企てる者たちについて調査させるという特別任務を与えます。

宋江と楊志は、行商たちが荷車の車輪が外れて困っているところに偶然行き合わせて助けるんだよね。「それではまた会おう!」と去っていく楊志の爽やかなこと!そりゃ宋江も軽やかな足取りになるわね。

宋江も楊志も親切だなあ。賄賂ももらわずに善行するなんて珍しいということでお互い印象に残ったんだね。それだけこの国が腐りきってるという描写だった。ただ、宋江は内心巡検使に正体がバレるかもしれないとドキドキしていたんじゃないのかな。

原作から抜け出してきたような安道全白勝
安道全金田哲)は自らも投獄されている囚人ですが、医師として大忙しです。
運び込まれる病人や怪我人を次々とトリアージ(治療の優先順位を決定すること)して、治療していきます。
原作によると、彼は薬が効きすぎるために同業者の恨みを買って虚偽の訴えで牢獄に入れられてしまったんですね。
患者にしか興味がない安道全に近づくために、林冲は自分で自分の脚を刺して怪我人として彼のもとへやってきました。
しかし安道全林冲に脱獄を持ち掛けられても最初は拒否します。
牢獄で安道全の助手をしている白勝柄本時生)は、元々コソ泥です。
安道全が治療に使うための刃物を盗んで懲罰房に入れられてしまいました。
白勝は腹の病気で、放置したら助からないかもしれません。
これまで友を持ったことがない安道全は、白勝を心配する気持ちが友情であることを林冲から教わります。
「お前の友である白勝を救ったら俺の友も救ってくれるか」
林冲の言葉に、安道全は脱獄を決意します。

天下無双の武人・林冲の「死に至る病」
林冲は護送中に暗殺されるところを晁蓋たちに助けてもらいました。
それなのに、このまま予定通り護送先の牢獄へ行ってほしいと言われます。
安道全を牢獄から連れ出すためです。
「わかった、願ってもないことだ」
林冲はまるで危険な任務を喜んでいるようですね。
牢獄で出会った安道全は、彼が死に急いでいることを見抜きました。
「死に至る病」にかかっていると言われた林冲は「治せないものか」と聞きます。
けれど「お前の胸の傷はその傷をつけた者にしか治せない」と言われてしまいました。
もう張藍泉里香)は、いないのに。

安道全が「死に至る病」と言ったので「キルケゴールか!」とツッコんだ視聴者もいただろうな。「死に至る病とは絶望である」とキルケゴールは書いているんだよね。林冲張藍泉里香)を失った絶望の中で、まさに死に急いでいるんだものな。

「あんたに会うためだよ…安道全」
「お前はもっと大きなものを救わねばならない。この…国だ」
深くてよく響く声とか、汚れた顔の中でそれだけが大きく輝く目とか、安道全と対峙した林冲は、新たな一面を見せてくれた。彼の中にあるのは絶望だけじゃないと感じたのよ。

胸の深い傷が癒えることはないのかもしれないけど、傷を知ってくれている人の存在が少しでも彼の救いになるといいな。

脱獄
牢獄にまで響き渡っている豹子頭林冲の名。
「みんなその名を叫ばれたら動けないのさ」
「一対一の戦いで旦那に勝てる奴はここにはいない」
白勝の言う通り、林冲は声高らかに名乗りを上げ、安道全白勝を連れ堂々と敵を打ちのめして正面突破し脱獄します。
「林冲、そろそろ蘇るか…」
原作では違う場面の言葉を、ここで呟くドラマ版林冲
看守たちや高俅が雇った刺客を次々と倒していきます。
見事な槍さばきは舞うように美しく、けれど決して舞ではない。
“3人の命”をかけた戦いの凄みと重みがありました。
牢獄を出てからはただひたすらに雪原を行く3人。
林冲は素手で雪を払いながら先頭を進みます。
やがて白勝が限界だと判断した安道全は雪の中で手術する決断をしました。
林冲が身体を押さえ、安道全が腹を切り裂きます。
最後は2人を担いだ林冲が吹雪の中を歩いて、歩いて、
ずっと待っていてくれた、宋江のもとへ。

原作の宋江は、林冲が帰ってくるまでお酒を断っているのよね。
ドラマの宋江は林冲と同じ冷たさや寒さを感じようとしてくれていた。
「林冲、もどりました…」と告げる林冲の目は、生きる目をしていたね。

木札に書かれた同志たち
宋江は、魯智深から林冲の名前の囚人札を渡されたことがきっかけで、仲間たちの名前を木札に刻みます。
「こいつを見てたらな、林冲を近くに感じられてな。まあひとりじゃ寂しかろうと思い他の仲間の名前も彫ってみた」
朱仝
浜田学)、雷横池田努)、武松伊藤健太郎)、馬桂松雪泰子)、魯智深金児憲史)、時遷有薗芳記)、花栄戴宗
宋江は宝物のように大切そうに一つ一つの木札に触れます
宋江の命を陰ながら守っている軍将校の朱仝雷横
武松魯智深同様に全国を練り歩いて同志を集めています。
間者として情報収集している馬桂時遷
そして飛脚屋の戴宗
これからの活躍が楽しみですね。
3話の段階では配役が発表されていない人物もいますが、今後登場シーンは見られるでしょうか。

晁蓋は見ている
護送中の林冲を助けた晁蓋
林冲は生きている」という宋江への伝言と囚人札を、林冲魯智深に託す様子をじっと見つめます。
名前を彫った木札を大切に扱う宋江に「まるで宝物のようにその木札に触れるのだな」と言う晁蓋
帰還した林冲を強く抱きしめている宋江を見つめる晁蓋
晁蓋の熱い気持ちが伝わってきます。
懐深く、義に厚い漢だということがよくわかりますね。
宋江のそばに、晁蓋がいて本当に良かったと改めて思います。

4話「梁山湖の砦」

放送日:3月2日(日曜)22:00

4話のあらすじ

林冲(亀梨和也)は安道全(金田哲)、白勝(柄本時生)とともに脱獄に成功、宋江のもとへ帰還した。
梁山湖の砦を奪取するため、林冲は砦を束ねる賊徒の頭目・王倫(萩原聖人)の昔なじみ、朱貴(高橋和也)に協力してもらい、砦へ潜入する。
宋江(織田裕二)と晁蓋(反町隆史)は国との戦いに向けて、特殊部隊・致死軍を結成することに。
晁蓋は獄中の公孫勝(白洲迅)に致死軍の指揮を執らせるため、救出に向かう。
一方、同志を探し求め続ける魯智深(金児憲史)は、禁軍将校・楊志(満島真之介)に接触を果たす。 

4話のネタバレ

林冲亀梨和也)は安道全金田哲)、白勝柄本時生)を連れて脱獄に成功し、宋江織田裕二)たちのもとへ帰還したが、林冲はお尋ね者として人相書きが市中に貼られることに。
魯智深金児憲史)が連れてきた薛永川島潤哉)は有能な薬師で、安道全は「これで飛躍的に治せる病が増えた」と心強い右腕ができたことを喜ぶ。
安道全と薛永の治療のおかげで、朱貴高橋和也)の妻・陳麗松島志歩)は一時的に熱が下がり、束の間だが夫婦の温かな時間を過ごすことができた。
朱貴は砦を束ねる賊徒の頭目・王倫萩原聖人)の昔なじみ。
宋江の意をくんだ朱貴の協力で、林冲は梁山湖の砦へ潜入することができた。
晁蓋反町隆史)は国との戦いに向けて、特殊部隊・致死軍を結成することを決意し、獄中の公孫勝白洲迅)に致死軍の指揮を執らせるため、救出に向かう。
一方、同志を探し求め続ける魯智深は、禁軍将校・楊志満島真之介)に接触し、腐敗した禁軍について語るが楊志の心はなかなか動かせない。
入山した林冲は王倫に槍の腕試しをさせられるが、十数人の者たちをあっけなく倒してしまった。
さらに林冲は王倫から、街道にやって来る地方巡検視を討つように命じられる。
ただ、ひそかに薛永から「地方巡検視の楊志はいずれ味方にしたいので討ち取らぬように」という宋江からの伝言を伝えられた。
林冲は「街道で腕試しをしている」と告げ、楊志と一騎打ち。
物陰から宋江と晁蓋も見ていた。
馬を駆り槍と剣を交えた末、楊志が落馬する。
地上での戦いでも林冲の槍が勝った。
林冲は楊志になぜそれほどの剣を民のためではなく禁軍のために使うのかと叫ぶ。
そして、開封府に戻り自分を使っている連中を見てそれでもこの槍で突かれたければ戻って来いと告げた。
高俅池田成志)は、開封府に戻った楊志を無能扱いし、青州へ左遷する。
一方、林冲は意気揚々と砦に戻って来た。
だが王倫は楊志の命を奪わなかった林冲を開封府の人間ではないかと疑って、毒を盛る。 

4話の感想

天下のお尋ね者・林冲
牢獄での過酷な日々や脱獄の雪中行軍で、林冲は満身創痍のはずですが、宋江に「たくさん食え」と言われてもりもり食事をし、元気そうですね。
自分の人相書きを見ながら「これでこの林冲も天下のお尋ね者か…」と言う表情にはふてぶてしささえ感じられます。
難攻不落の城、梁山湖の砦を手に入れる方法を話し合う中、宋江は仲間の命を失いたくないから無謀な策は避けたいと言いますが、林冲は「宋江様はお気になさらず、この林冲に忍び込めとご命令ください」と志願しました。
宋江は、妻の張藍泉里香)を失った林冲が死に急いでいることを危惧します。
鍛え上げた肉体を持つ林冲、怪我の回復は早くても心の傷は癒えていません。
むしろ時間が経つほどに張藍の存在が深く刻まれていくように見えます。
「林冲、死のうとしていないか?」
「死ねないんですよ…」
こんな哀しい会話があるでしょうか。

おい!こいつ誰なんだ?
宋江と真剣な話をしている林冲の両脇で彼の怪我の治療をしている二人。
安道全と、そしてもう一人は?
「おい、こいつ誰なんだ?」
思わず阮小五加藤清史郎)に聞く林冲
彼は薛永、この国で最高と言われる薬師です。
当たり前のように自分の身体を触ったりにおいを嗅ぐ知らない人物を不審がる林冲と、阮小五に紹介される間は作業をやめる薛永、そして意に介さず治療を続ける安道全
新たな人物の登場場面は、愉快で印象的なものになりました。

林冲は強い力と儚い面を持った人物だけど、こういうちょっとコミカルな場面も担当していて和むわね。

林冲は梁山湖の砦に行くことになったね。
月の光の道が輝く湖の中、舟が幻想的に浮かんでいて美しかったなあ。
林冲を見送る宋江と晁蓋は「もし私がいつの日かただの賊徒に成り下がってしまったら斬り殺してくれ」と言い合うんだよね。

地上の星を見出す男
旅の途中で出会った薛永を、紹介状とともに宋江のもとへ届けたのは魯智深でした。
魯智深宋江の書いた「替天行道」を模写し全国を巡って同志集めをする、いわゆるオルグ活動をしています。
宋江魯智深の人を見る目を信頼しているんですね。
魯智深は幼い頃両親を理不尽に奪われ、国家に対する恨みがあります。
無法者として暴れた時期もありましたが、宋江の影響で懐深く人の心に寄り添う人物になりました。
魯智深の魅力的な人間性と、国を良くしたいと願う崇高な意志が好漢たちの心を惹きつけるのでしょうね。

晁蓋「魯智深、あの男の一番の能力は、どういうわけか地上の星のような男たちと偶然に出会い、その男たちを惚れさせることだ」

夢ではない、目覚めだ!
梁山湖の砦を手に入れたら、より多くの兵を集めて楊志林冲のような者を総隊長としてこの国を倒す、と晁蓋が言うと、宋江が「夢だな」と微笑みます。
「いや、夢ではない、目覚めだ!」
力強い言葉ですね、晁蓋
宋江は、以前林冲から注意するように伝えられていた李富玉山鉄二)を調べた際、間者が二人命を落としていることを晁蓋に話し、李富の裏にある闇の組織を警戒します。
晁蓋は、闇の組織に対抗するために特殊部隊・致死軍を作ることを決意しました。

晁蓋、あっという間に公孫勝を連れてくる!
晁蓋は、獄中にいる公孫勝に致死軍の指揮を執らせたいと考え、救出に向かいました。
原作では、阮小五魯智深朱武朝井大智)、史進木村達成)たちがそれぞれ兵を率いて混乱を起こし、牢城の近くの二千の州兵を誘い出したすきに公孫勝を脱獄させる、という大掛かりな作戦が描かれます。
しかし本作ではまるで晁蓋                                                                          が一人で馬に乗って出かけたように見えましたし、瞬間移動            のごとく宋江たちの根城に座っていましたね、公孫勝。                                     
牢獄破りについては3話で林冲たちの様子が丁寧に描写されましたから、きっと同様の          ことを繰り返すことはしないのでしょう。       
晁蓋が(おそらく大活躍の末に)連れ出してくれた公孫勝は、ただならぬ気配をまとっ   ていましたね。    
薛永魯智深の出会いも省略されていましたが、薛永が薬師として優れていて、宋江の伝達係としても有能なことはよくわかりました。
ドラマ化にあたって省ける過程は省き、肝となる部分をしっかりと描いているんですね。
また、公孫勝は原作では元々宋江の知り合いでしたが、ドラマでは馬桂松雪泰子)の亡き夫・閻新の最後の密書で彼の存在を教えてもらったことになっていました。
宋江の命で志ある者を探していた閻新が“身体能力が高く変装の名人で五感が優れている男”公孫勝を見つけたのです。
その改変によって、閻新への深い感謝と、閻新の妻・馬桂や娘の閻婆惜吉田美月喜)を大切にする宋江の想いがより強く伝わってきます。
ただ馬桂宋江が間者の任を解こうとすることが不満のようですね。

人に寄り添う宋江
「無謀な策で一人の仲間も失いたくない」と言う宋江
死に急ぐように危険な任務を志願する林冲の心の傷を気遣う宋江
「どのような時を奥方と過ごされたいか、考えたほうがいい」と朱貴を思いやる宋江
「死してなお私を支えてくれるのか」と閻新に感謝する宋江
閻新の跡を継いでいる馬桂に間者の仕事を辞めさせたい宋江
身分は関係なく、相手に寄り添う温かな人ですね。

あんなに反発していた阮小五も、いつしか「宋江様」と呼んでいてグッときたわ。阮小五からも信頼を得たのね。

愛に満ちた朱貴と陳麗のひと時
安道全薛永のおかげで、陳麗朱貴と浜辺を散歩する時を過ごすことができました。
反動で明日は起き上がることができなくても強い薬を使ってほしい、それが陳麗の願いでした。
明るい顔の陳麗と、押し殺したような表情の朱貴と。
少し眠った後目覚めた陳麗を見つめる朱貴の瞳がとても優しく、そして「これは夢の続きでしょうか」と言う陳麗のなんて可憐なこと。
残された時間をともに大切に生きる、それはとても辛い日々ですが、きっとその先の心の支えになるのだと思います。
林冲には、その時間がありませんでした。

林冲と楊志の対決、見守る宋江と晁蓋
禁軍将校のエリート・楊志は地方巡検視に任命され、不正を調べるために地方を回っている時に魯智深に話しかけられます。
軍人としての腕と人としての器を見込んだ魯智深は仲間に誘い入れたいのですが、楊志は国家のために働く意思をなかなか変えません。
その後、楊志林冲と一騎打ちすることになります。
刀対槍の戦いは、林冲の槍に軍配が上がりました。
楊志は名刀・吹毛剣を「国家の安寧を守る清らかな剣で賊徒の血で汚すわけにはいかない」からと最後まで抜きませんでした。
林冲楊志の命を奪わなかった理由を「その剣が惜しいと思った」と言います。
楊志は戦った相手を天下無双の槍使い林冲だと見抜きました。
林冲は、なぜその腕を民のために使わないのかと言い、開封府に戻って今の軍の有様をもう一度見てくるように告げます。
砦の副頭目・杜遷神尾佑)と宋万八木将康)が戦いに立ち会っていました。
宋江晁蓋もひそかに林冲楊志を見守っていました。

宋江がやって来た晁蓋に「おお間に会ったか!」と言っていて微笑ましかった。
林冲と楊志の一騎打ち、見応えあったなあ。両者ともカッコ良かった!
戦いが終わってのんびり草を食んでいる馬に和んだよ。

宋江と晁蓋は楊志の腕を見定めたかったのと、二人が命を落とすことがないか心配で見守っていたのかな。
それにしても宋万はすっかり林冲の強さに心奪われた様子だったわね。隣の杜遷を嬉しそうに見たら厳しい顔をしてたので宋万も無理やり真顔に戻してたけど。

二人の悪役
高俅池田成志)は普通の村を襲わせて何の罪もない村人たちを殺し「数百の賊徒の首を討ち取った」と嘘の報告をさせました。
袁明大塚明夫)や李富玉山鉄二)にも軽蔑されている愚か者。
賄賂ももらわず真面目に地方を見聞して来た楊志を無能扱いして左遷する、まさに無能な権力者です。
一方、梁山湖の砦の頭目・王倫萩原聖人)は、また別のタイプの悪役です。
かつては高い志を持った人物でしたが今は賊徒の頭目になり果てました。
朱貴の紹介とはいえ、王倫林冲のことを信じていません。
臆病で疑い深く、そしてコンプレックスも感じられます。
自分がやっていることにどこか後ろめたさがあるのかもしれませんね。
楊志のとどめを刺さなかった林冲を開封府の犬ではないかと疑った王倫は、林冲に毒を盛るという暴挙に出ます。

毒⁈数々の拷問に耐え、過酷な牢獄生活も乗り越え、脱獄して雪山を安道全と白勝を担いで歩いてようやく生還した林冲なのに!酷いわ王倫!

林冲に酒を注いでいたのは宋万だった。林冲は宋万が自分の盃にも注いで飲んだのを見てから口をつけたよね?もしかしたら乾杯の一杯目に毒を?それとも盃に仕込まれてた?何にせよ、王倫の仕業なのは確実だよな。

林冲を助けてください!安道全!薛永!

生身の肉体で表現する
亀梨和也さんのYouTubeチャンネルで、小石だらけの道を裸足で歩く林冲や、阮小五が川に飛び込むシーンのメイキングが見られます。
様々な工夫で身体への配慮をした撮影であることがわかるとともに、生身の肉体の表現をできる限り大事にしたいという制作陣の思いも伝わってきます。
深い雪をかき分けて進む林冲と安道全白勝の脱獄場面は実際の雪山で8分間の長回しだったそうですし、林冲楊志の一騎打ちもワイヤーやCGを使ってはおらず、準備期間に騎乗アクションの鍛錬を重ねた上での撮影でした。

“本物”の自然、“本物”の肉体だからこそ、過酷さや気迫が伝わってくるんだろうなあ。

5話「英雄の末裔」

放送日:3月15日(日曜)22:00

5話のあらすじ

梁山泊の砦に潜入を果たした林冲(亀梨和也)は、王倫(萩原聖人)に毒を盛られるが一命を取り留めた。
禁軍将校・楊志(満島真之介)を同志に加えたいと考える宋江(織田裕二)と晁蓋(反町隆史)は、大商人の盧俊義(宇梶剛士)や呉用(野間口徹)とともに策を練り、楊志が護送する賄賂の強奪を試みることに。
一方、宋江の同志として全国を歩いていた武松(伊藤健太郎)は、虎を殴り殺して瀕死の状態で助けられる。
彼は心に大きな傷を抱えていた。
叛乱組織の捜査を進める「青蓮寺」は托塔天王の正体に迫る。

5話のネタバレ

梁山泊の砦に潜入を果たした林冲亀梨和也)は、頭目の王倫萩原聖人)に武勇を疎まれて毒を盛られる。
だが事前に予見し薛永川島潤哉)から毒消しの薬をもらって飲んでいた林冲は安道全金田哲)の治療の甲斐もあり回復した。
宋江織田裕二)の同志として全国を歩いていた武松伊藤健太郎)は、虎を殴り殺して瀕死の状態で発見される。
武松は魯智深金児憲史)によって王進佐藤浩市)とその母・王母丘みつ子)に預けられることに。
朱貴高橋和也)の妻・陳麗松島志歩)は朱貴に感謝しながら静かに息を引き取った。
慟哭する朱貴を見て、宋江は林冲への言づてを薛永に託す。
林冲を見舞いに来た宋万八木将康)は、王倫が直属の部下300人をひそかに禁軍と呼び帝気取りでいることを話す。
杜遷神尾佑)も訪れ、志を失った王倫に従ってきた自分を省みる。
林冲は、今王倫を殺せば内乱になるので皆が納得できる理由と次の頭領が必要なことを話し「替天行道」を宋万に渡した。
そして「その時が来たら私は黒い帯を巻きます」と言い、それが王倫を処断する合図だと告げる。
一方、禁軍将校・楊志満島真之介)を同志に加えたいと考える宋江と晁蓋反町隆史)は、大商人の盧俊義宇梶剛士)、呉用野間口徹)、公孫勝白洲迅)とともに策を練り、楊志が護送する賄賂の強奪をすることで彼の正義感に訴えかける作戦に出る。
運搬の途中で立ち寄った盧俊義の屋敷で、楊志は楊業の命日だからと酒を勧められる。
楊志と輸送兵たちは悪酔いすることに。
二日酔いで苦しむ中、急な坂に差し掛かると、水売りに化けた阮小五(加藤清史郎)、阮小二生田拓馬)、阮小七林優大)、白勝柄本時生)、公孫勝たちが現れる。
水売りたちから村を襲う賊徒が出て困っていると聞いた楊志は、孔亮に兵を率いて賊徒を打ち払うように命じた。
楊志は、孔亮が進言するままに兵たちに水を買って飲ませてやり、自分も飲む。
しかし実はその水には痺れ薬が入っており、体の自由が利かなくなった楊志は、孔明栄信)から、自分たちが運んでいるのが蔡京への賄賂であることを知らされ愕然とする。
そこへ颯爽と現れたのが托塔天王・晁蓋だ。
「梁山湖の砦で待ってるぞ、楊志」
そう言いおいて、晁蓋は賄賂が入った荷駄を華麗に奪っていった。
蔡京への荷駄が強奪されるという事件を重く見た国の諜報組織「青蓮寺」は、托塔天王の正体が晁蓋であることを突き止める。

5話の感想

林冲を毒殺しようとした王倫
楊志との決闘で勝利した林冲を祝う宴の席で、王倫林冲に毒を盛ります。
薛永によると、銀の盃なら毒を入れると変色するため翡翠の盃にしたのではということですね。
王倫は日頃から毒殺で処断することに慣れているのでしょう。
林冲は宴の席で、酒を注いでくれた宋万が自分の盃を飲み干すのを見てから口をつける慎重さでしたが、それ以前にあらかじめ解毒薬を薛永からもらって飲んでいたのですね。
武術で自分にかなう者はいないから王倫は毒を盛ってくるだろうと予見していたわけです。
「俺を殺すなら毒殺しかない。俺は強い」
林冲は言い切りました。
天下の名医・安道全と優れた薬師・薛永、そして林冲の強い生命力が、林冲の命を救ってくれます。

陳麗を看取った朱貴
三日三晩、愛する妻・陳麗のそばを離れなかった朱貴
安道全の治療や薛永の薬のおかげで苦痛も最大限取ってもらい、夫婦で会話がたくさんできました。
陳麗は「ありがとう」と言って静かに息を引き取ります。
最期まで夫婦でずっと一緒にいられたことを、“幸せな最期だったね”と単純には言えません。
若い陳麗はもっともっと生きたかったことでしょう。
そして、大切な妻を失った朱貴の悲しみは誰と比べられるものでもありません。
それでも、できる限りのことを尽くしたこと、夫婦の時間を大切に過ごすことができたこと、最期は自分や安道全薛永宋江閻婆惜夏目愛海)、阮小五加藤清史郎)ら陳麗を大事に想う人たちに見守られて旅立ったことは、きっと朱貴の救いになると思います。
「二人きりに」と皆に言って席を外した宋江
優しい宋江は、病の床は暗くなりがちだからと陳麗のためにきれいな花を摘んできていましたね。

虎を倒した武松
宋江の同志である武松は仲間集めで全国を旅する途中で虎を倒し、息も絶え絶えになっているところを発見されます。
武松は言葉もうまく発することができず、まるで廃人のよう。
虎と戦った身体の傷以上に、何か大きな心の傷を抱えているように見えます。
一瞬映った女性に関係しているようですね。
「お前を治してくれる医者は天下にただ一人だ」
兄貴分である魯智深王進のもとへ連れて行きました。
魯智深は、王進の武術は世直しにはなじまなくても人を立ち直らせることにはなじむ、と言います。
王進の母の王母は、木や石を打ち続けボロボロに傷ついた武松の拳を両手で優しく包み込みました。
「哀しみの拳なんですね」
彼の絶望を、王進王母が救ってくれることを祈ります。

「妻の名は?」林冲の答えは
安道全の診療所に沈丁花の花がありました。
「これは…?」と聞く林冲安道全は「薬として使う」と教えます。
「お好きですか」と薛永に聞かれ、林冲の脳裏に沈丁花を差し出す張藍泉里香)の姿が蘇ります。
「いや…好きではない」
なんて哀しい目をするのでしょう。
林冲薛永に王倫の恐怖政治の様子を伝え、今は少しずつ味方を集めているので晁蓋が来るにはまだ時が必要だと宋江への伝言を頼みました。
薛永は、林冲に言います。
「宋江様がおかしなことを林冲殿に聞くようにとおっしゃいましたが」
画面に沈丁花の花が再び現れました。
「なんだ」
「妻の名は、なんと言うか、と」
林冲は自分の後ろにある沈丁花を気にしながら、
「妻の名は…忘れた、そう伝えてくれ」
薛永が包み込むような眼差しでその答えを聞く中、林冲は薬効のある春の野草がふんだんに入った粥を「うまいなあ」と食べます。
薬を作る天職を持つ薛永をうらやましいと言い、「俺のように人を殺す職とはだいぶ違う」と自嘲する林冲
林冲の背中に寄り添うように映る沈丁花の花。

林冲の仕事は、人を守り国を守るためのものだと思うのになあ…

3人の男たちの苦しみ
朱貴武松林冲
違う苦しみを持つ3人のエピソードを続けて見せてくれた脚本と演出に唸りました。
武松の絶望が何かは、今後明かされることでしょう。
事情は違えども、それぞれの哀しみ、苦悩、喪失感の大きさを想像するだけで胸が張り裂けそうになります。
耐えられないほどの悲痛な想いはいつか、他者の苦しみや哀しみに寄り添うための深い懐になるのでしょうか。
一方で、時が癒してくれたと思っていた傷跡が不意に裂け再び血が滲むこともあるのかもしれません。
生きていくことの大変さ、面白さ、不思議さ、愛しさを『北方謙三 水滸伝』は様々な人物を通して教えてくれます。

★「楊志を仲間にしよう大作戦」(呉用先生のわかりやすい解説付き!)
宋建国の英雄・楊業の末裔でエリート将校である楊志は、誇り高き軍人。
国を裏切ることなど考えません。
地方巡検視に命じられた時、彼は地方を回って国の腐敗ぶりも見てきたはずですが、魯智深林冲が世直しの道を説いても受け入れませんでした。
ただ、実際にこの国の有様を見た楊志は、「民のために」という魯智深林冲の言葉を心のどこかに残しているはずです。
さあ、そこで軍師・呉用の大作戦の始まりです!
楊志は、官軍の財物の運搬を命じられますが、実はその中身が宰相・蔡京への賄賂だとは知らされていません。
まず初めの作戦は、楊志たちが途中で立ち寄る盧俊義の屋敷で行われます。
盧俊義が勧めた酒を楊志は任務中だからと断ります。
しかし盧俊義はきょうは楊志の先祖で建国の英雄である楊業の命日だからと言って、楊業が使った盃を出してきました。
その盃に燕青山中柔太朗)が酒を注ぐと、楊志は一気に飲み干します。
盧俊義に兵の方々にもご供養の流れをと促され、楊志は兵たちに少しの酒を許しました。
こうして悪い酒を飲まされた輸送隊の兵たちは、翌日、黄泥岡(こうでいこう)という急こう配の坂で疲労困憊になります。
孔亮から休憩を勧められ、楊志が了承すると、そこには阮小五阮小二阮小七白勝公孫勝が水売りに化けて待機していました。
阮小五たちは、この先の村を賊徒が襲っていて山を下りられずに困っていると偽りの話をします。
すると、孔明孔亮蔡京への大切な品を運ぶ任務中だからと言って楊志を煽りました。
正義感の強い楊志は困っている民を見過ごせないと思い、孔亮に半分の兵を率いて賊徒を打ち払うよう指示しました。
孔亮は兵たちに水を飲ませてほしいと進言し、楊志は水売り(に化けたに阮小五たち)から全ての水を買いました。
しかし水には痺れ薬が入っていたのです。
楊志や兵たちはバタバタと倒れ込みます。
孔明は、楊志には恨みはないがこんな荷物は運びたくない、運んでいたのは蔡京への賄賂だと伝えました。
愕然とする楊志
そこへ托塔天王・晁蓋が現れ、「梁山湖の砦で待ってるぞ、楊志」と力強く告げます。
賄賂が入った荷駄はあっさりと奪われていきました。
一人の兵も傷つけることなく。

カメラ目線でわかりやすく解説してくれる呉用先生、最高だったわ。
塾で教えていたんだものね。流石!
気高い楊志を騙すのは心苦しかったけれど、作戦はびっくりするくらい上手くいったわね。

1話で宋江は軍の輸送兵に、賊徒に襲われた村を助けてほしいと頼むけど、税を運ぶ任務があるからと断られるんだよな。あれも税ではなくて賄賂を運んでいたんだよね。1話の輸送兵と今回の楊志の高潔さとの対比がうまいなあ。

誇り高き楊志は、知らないとはいえ賄賂を運んでいたと教えられて悔しかったでしょうね。痺れ薬だったから体の自由を奪われただけで頭ははっきりしていて、自分が計略に掛けられたことも運んでいたものが賄賂だったこともよくわかるのよね。そうやって梁山湖の砦に誘う見事な作戦!

孔明・孔亮兄弟と白勝
孔明栄信)・孔亮嘉島陸)兄弟は、同じ任務に就く白勝のことを信用しきれませんでした。
すると白勝はいきなり衣服をはだけて下腹の傷跡を見せ、「雪の中で腐ったはらわたを切り取った」「その時林冲安道全がいなければ死んでいた」「二人がいる砦に自分も入りたいのだ」と話します。
二人に会いたいから皆に信用される仕事をしなければという白勝
世直しの志は持っていなくとも、白勝の想いは胸を打ちますね。
孔明は非礼を詫び、「一緒にやろう、白勝!」と言いました。

原作で白勝は「安道全は兄弟以上」「林冲は血を通い合わせた友だち」だと語るのよね。そして「この二人のためなら命はいらねえ」と言うのよ。
自分にとって大事だと思える人間を人生で初めて二人持った白勝。

杜遷と宋万が林冲の味方に!
宋万八木将康)が何度も林冲の見舞いに行くことを杜遷神尾佑)は気にします。
王倫宋万まで目を付けられるようになることが心配なのです。
誰も信じられなくなり怪物になってしまった王倫
しかし宋万は、[そんな王倫を守ってきた我らは何なのだ]と杜遷に問い返します。
後日、宋万林冲の見舞いに訪れた時、杜遷もそこへやって来て林冲が砦にやって来た時の衝撃を語ります。
生きては出られぬ禁軍の牢獄に入れられそこから別の牢獄に送られても屈せず今度はいつ殺されてもおかしくないこの砦に入山した林冲
牢獄も暗殺も恐れない林冲への憧れは自分を破滅させてしまうかもしれないと思った杜遷でしたが、林冲が毒を盛られた時、王倫を恐れて小さくなっていく自分が嫌になったと言います。
林冲は、王倫を処断するための誰もが納得する理由と誰もが認める次の頭領が必要だと告げました。
そして、その時が来たら黒い帯を巻く、それが合図ですと伝えます。

林冲に食料を差し入れてくれて、まず自分が食べて見せる宋万、本当に真っすぐで良い人ね。「そんなことをしなくてもありがたくいただく。一度も宋万殿を疑ったことはない」と言う林冲には宋万の真心が伝わっているのね。

宋万は林冲が楊志と戦って買った時嬉しそうだったよね。あの時からきっと林冲に好意を持っていたんだろうな。杜遷も宋万の言葉が響いて林冲の味方についてくれて嬉しかったよ。

宋江の苦しみに寄り添う晁蓋
青蓮寺の幹部・李富(玉山鉄二)は托塔天王の正体が晁蓋であることを突き止めます。
総帥・袁明大塚明夫)は北京大名府の4千の兵を出し晁蓋を探し出して殺すように命じました。
晁蓋は官軍から賄賂を強奪した義賊として、梁山湖の砦に乗り込むことに。
宋江王倫に殺されてしまうのではと心配しますが、晁蓋は俺を信じろと言い、北京大名府の軍は宋江が役人をしている鄆城県に駐屯するので、「替天行道」を書いた人物と悟られぬよう忠告しました。
宋江がまだ顔も名も世に知られていないことが、これから役に立つと言う晁蓋
しかし、宋江は、危険な目に遭い苦難の日々を送る林冲魯智深晁蓋と比べ、自分は安全な場所で朗報を待つ身なのかと嘆きます。
「お前たちを失い、ひとりぼっちになる夢を見ながらだ!」
「…それが、お前の戦いだ。俺より辛い戦いだ」
晁蓋は、宋江は昼間の月で今は目立たずに苦しいかもしれないけれどその月こそが漆黒の時代を照らす、その時を待てと告げます。
宋江の苦しみを一番理解しているのは晁蓋なのですね。
皆の志の拠り所が宋江の存在なのでしょう。
宋江は自らが「替天行道」と書いた旗を晁蓋に渡しました。
晁蓋呉用、阮小五阮小二阮小七白勝公孫勝は梁山湖の砦を目指します。
ただ、晁蓋の行く先を李富はピタリと当て、四千の兵を梁山湖のほとりに向かわせます。

「こ~れ~はただ事では済まぬな」「殺せ」
袁明役の大塚明夫さんのシビアな声と抑揚が素晴らしくて胸が震えたわ。
ついに、晁蓋、魯智深、林冲、公孫勝が繋がっていることが青蓮寺にバレてしまったのよね。まだ宋江のことは突き止めていないけれど。

6話「決意の旗」

放送日:3月22日(日曜)22:00

6話のあらすじ

官軍に追われる身となった晁蓋(反町隆史)ら一行は梁山湖の砦に上陸を果たす。
王倫(萩原聖人)の処断をもくろむ林冲(亀梨和也)が待つ砦に。
一方、鄆城県に残った宋江(織田裕二)は「塩の道」に携わる盧俊義(宇梶剛士)の従者・鄧礼華(中村ゆりか)を世間の目を欺くため、妾として迎え入れる。
妾というのはあくまでも表向きの形だったが、これまで従者を務めてきた閻婆惜(吉田美月喜)は納得がいかない。
宋江の弟の宋清(上地雄輔)も兄の言動を不審に思う。

6話のネタバレ

宋江織田裕二)が梁山湖のほとりで、砦に渡った仲間たちに想いを馳せていると、李富玉山鉄二)とすれ違い、二人は短い言葉を交わす。
晁蓋反町隆史)、呉用野間口徹)、阮小五(加藤清史郎)、阮小二生田拓馬)、阮小七林優大)、白勝柄本時生)、公孫勝白洲迅)は、宰相・蔡京のもとへ運ばれる途中で軍から奪った10万貫の賄賂とともに木戸の前に立つ。
義のために官軍から追われている自分達の入山を許可してほしいと声を上げる晁蓋。
だが、頭目の王倫萩原聖人)は杜遷神尾佑)や宋万八木将康)の反対を押し切って追い返すように告げた。
白勝からひそかに小刀を渡されていた林冲亀梨和也)は、志を忘れた王倫の首を一瞬にして斬る。
入山した晁蓋は砦を梁山泊と名付けて新たな頭領となり、呉用が組織の人事を発表した。
一方、盧俊義宇梶剛士)は闇塩の一部の道が取り締まられていることを受け、闇塩に関わっている者たちを入れ替えることを決めた。
塩の道の管理を任せていた鄧礼華中村ゆりか)を宋江との連絡係にして、表向きは妾ということで送り込む。
だが、鄧礼華は以前より、宋江の弟・宋清上地雄輔)と恋愛関係にあった。
宋江が雷横池田努)と朱仝浜田学)に武術の稽古をつけてもらっていると、そこへ宋清がやって来る。
そこには閻婆惜吉田美月喜)もいて、宋清の「また違う女がいる!」という言葉にムッとする。
宋清がいきなり「私は鄧礼華を抱きました」と言い出したので雷横と朱仝は慌てて閻婆惜を連れてその場を立ち去った。
弟が自分の妾に手を出したというのに何も話してくれず笑ってごまかすだけの兄が宋清は不満だったが、宋江は宋清を巻き込みたくないのだった。
史進木村達成)は、父・史礼田中健)を亡くして虚しい日々を送っていたが、魯智深金児憲史)から恩師の王進佐藤浩市)の手紙を渡され、少華山の賊徒を束ねる陳達市川知宏)、朱武朝井大智)、楊春酒井大成)と知り合うことで、彼の中に変化が訪れていた。
林冲は公孫勝のもとに、致死軍にふさわしい兵たちを集めて連れてくる。
一方、運搬中の賄賂を晁蓋たちに奪われた楊志満島真之介)は行き場を失い自暴自棄になっていた。
盧俊義の命で燕青山中柔太朗)によって探し出された楊志は、宋江と再会。
宋江は楊志を賊徒に全滅にされた村へと連れて行く。
楊志は民の現実を見て愕然とするのだった。
宋江のもとへ間者の時遷有薗芳記)がやって来た。
時遷は、林冲を捕縛し闇塩の道を探り塩の価格を変え地方軍を動かして晁蓋を追いつめたのは蔡京が抱える非公式の組織「青蓮寺」であることをつきとめ、宋江に伝える。
宋江は、馬桂松雪泰子)の命が危ういので、間者の仕事をやめて普通の生活に戻るように彼女を説得してほしいと時遷に頼む。
しかし時遷が厳しい言葉で説得しても馬桂は納得しない。
「青蓮寺」は馬桂に閻婆惜という娘がいることをつきとめていた。
さらに、李富玉山鉄二)は、世直しの書「替天行道」を書いたのは宋江ではないかと疑っていた。

6話の感想

ついに晁蓋たちが砦へ!
晁蓋呉用、阮小五阮小二阮小七白勝公孫勝は梁山湖の砦に渡ります。
晁蓋は、義のために戦い官軍に追われている自分たちを守ってほしいと入山の許可を求めます。
軍から奪った10万貫の賄賂は民のために使いたいのだ、と話す晁蓋のオーラは圧巻で、一瞬にして砦の賊徒たちの心を掴みました。
王倫は門前払いできない状況に。

王倫処断される!
6話は、佐藤さやか監督の演出でした。
白勝がひそかに林冲に渡していた小刀は、雪原の中安道全が白勝を手術した時に使ったものだったのですね!
林冲は「その時が来たら私は黒い帯を巻きます」とかつて杜遷宋万に告げていましたが、その言葉通り黒い帯を巻いた姿で小刀を一閃させ鮮やかに王倫を倒しました。

目覚めよ史進!少華山の三兄弟登場!
恩師の王進と別れ、父も亡くなり、虚無感の中にあった史進
そんな時、屋敷に現れたのが少華山の賊徒、陳達市川知宏)です。
役人を倒すために史家村を通りたいと頼む陳達は、民を苦しめている役人について訴えるのですが、史進は受け入れずに陳達を制圧します。
史進が剣を陳達ののどに突きつけた時、魯智深がやって来ました。
そして王進の手紙を渡します。
史進陳達の命を奪うことはやめました。
翌日、魯智深とともに陳達の義兄・朱武朝井大智)と義弟・楊春酒井大成)が駆け付けてきました。
朱武は、陳達が生きていてよかった、三兄弟はお互いが補い合ってようやく一人の人間なので、誰か欠けてしまったらただの賊徒に落ちぶれてしまう、と弟の命乞いをします。
史進陳達の縄を斬って解放するのでした。
楊春は「酒を酌み交わしたい」と、少華山へ誘いますが、史進は何も言わず立ち去ります。
王進の手紙と三兄弟との出会いが史進に何らかの変化をもたらしそうですね。

王進史進に書いた手紙
「前を見て世に出よ
そこで身に付けた武術が
何の役に立つか探し続けよ」

国としての組織を整える梁山泊
開封府が治める世界では生きられないはぐれ者たち。
圧政に打ち据えられた民を救う力がある同志たちが集結する場所。
晁蓋はここを“梁山泊”と名付け、“替天行道”の旗を立てました。
晁蓋は「国を造る!」と宣言します。
晁蓋は、今後梁山泊を統括する聚義庁(しゅうぎちょう)で意志決定しそこから各部署に伝達していくことを述べ、呉用が組織の人事を発表します。
それぞれの名前を記した札が貼られていきました。
一番上には晁蓋の名札が。
●梁山泊騎馬隊
林冲が総隊長に任じられ、騎馬300をうまく調練するよう命じられる。
●歩兵隊
総兵力1500。5部隊で編成する歩兵隊の各隊長は、杜遷宋万阮小五焦挺孔明が任じられた。
●致死軍
総隊長・公孫勝は、現在50名の兵を300名にするよう命じられる。石秀孔亮劉唐楊雄の各部隊長と公孫勝の5名は「致死軍とは何たるかも考えてほしい」と晁蓋から告げられた。
●文治省
法規作成・執行を司る省。蕭譲金大堅は敵をかく乱するための文書偽造などの特殊任務を行う。
●水軍
湖に守られた梁山泊において要となる軍。阮小二阮小七は造船を命じられ知恵と経験を遺憾なく発揮するように言われた。
●診療所
梁山泊の医療が行われる場所。医師の安道全と薬師の薛永は医術以外に何にも興味がないので、白勝は他のメンバーと二人の間を取り持つよう命じられる。
●物流と兵站(へいたん)
物流と兵站(戦場の後方にあって,作戦に必要な物資の補給や整備・連絡などにあたる機関)の統括を柴進が命じられた。
●舟隠しの管理、料理の調練
朱貴は梁山湖のほとりにある自分の店で、引き続き舟隠しの管理を命じられた。また晁蓋には料理人たちに料理を教えるように頼まれる。
●その他、鍛冶屋、大工、農業、家畜の飼育などの部署

スピーディに適材適所で人事が決まったわね。白勝の役割には納得だし、朱貴に「ここの食事はまずいのだ!」と言って笑う晁蓋も楽しかったわ。妻を亡くしたばかりの朱貴にとって生きがいができたわね。

宋江の名札を握りしめて「宋江、早く入って来い」と晁蓋が言うんだよね。胸が熱くなるよ。

★鄧礼華と宋清登場!
美しくミステリアスな鄧礼華と愚直で真っ直ぐな宋清は、ドラマでは以前より愛し合う仲として登場しました。
鄧礼華盧俊義から宋江のもとに妾として派遣されますが、妾というのは役人の目をごまかすための表向きのことで、実際の役割は宋江盧俊義の連絡係です。
塩の道への取り締まりが厳しくなってきて盧俊義宋江と直接会い辛くなり、仲立ちが必要になっていたのです。
鄧礼華宋清の兄である宋江のもとに行かなければならないことに少しためらいの表情を見せました。
けれども我が子のように育ててもらった盧俊義に恩がある鄧礼華は「盧俊義様の大望のためならいかなることも」と答えるのです。
晁蓋が命懸けで戦っているのに自分は、と焦燥感を表す燕青山中柔太朗)に、盧俊義は「我らも戦っているのだ。金という武器で晁蓋様をお守りするのだ」と伝えました。

色白の美青年・燕青は、実はものすごく強いんだよね。今のところ武術で戦っていないから悔しいんだろうな。でも様々なところで暗躍しているよね。

鄧礼華と宋清、宋江と閻婆惜、そして唐牛児。ここの人間関係は注目ね。

公孫勝の求心力
林冲晁蓋の命に従い、公孫勝、石秀濱田龍臣)、孔亮嘉島陸)のもとへ致死軍にふさわしい兵たちを集めて連れてきます。
公孫勝は兵たちの前で、「致死軍とは名利を求めず軍功もなく昇進もなく名すらない」と話し始めます。
致死軍の兵は名もなく死んでいく、ただ致死軍の兵の心の中でのみ生き続ける、それを喜びとするものだけ死の一歩を踏み出せ、と告げると、半数ほどの兵が前へ進み出ます。
その者たちに断崖絶壁を登るよう指示する公孫勝を、林冲は黙って見ていました。
公孫勝には冷たさと熱さ、静謐と激情といった相反するものがあるように感じられます。
彼の不思議な魅力は兵たちの心を惹きつけ、致死軍をより強くしていきます。

楊志と宋江の再会
以前道で行商人を一緒に助けるという偶然の出会いをした楊志宋江
運んでいた荷駄を晁蓋に奪われた楊志は、軍を離脱します。
任務を遂行できなかったこと、そして自分が運んでいた財物が賄賂だったことに愕然としていました。
帰る家も身寄りもお金もなく、行き場を失ってしまった楊志の前に再び宋江が現れます。
そして宋江は賊徒によって滅ぼされた村へ彼を連れて行きました。
村人の財産や命を奪いつくす賊徒を役人たちは捕まえようともしない、その現実を目の当たりにして呆然とする楊志
軍命に従って生きてきた楊志はそれを失った今どう生きればいいかわからなくなっています。
宋江は、「民の声こそが命令となる、それを天命と呼ぶのだ」と告げるのでした。
村人たちの遺体を筵(むしろ)に丁寧に寝かせながら。

宋江は楊志の正義感と義侠心に訴えかけたんだね。

リフティングと保身が上手いだけの高俅の末路
皇帝に取り入り権力を牛耳る高俅池田成志)は林冲楊志を苦しめた悪人です。
彼が優れているのは保身と蹴鞠の才能のみ。
青蓮寺の袁明大塚明夫)や李富玉山鉄二)に軽蔑される存在です。
高俅は禁軍大将の任を解かれてしまいますが、袁明が手を回したのでしょうか。
高俅の今後が気になります。

馬桂の運命
青蓮寺は托塔天王の正体が晁蓋であることを突き止めました。
さらに李富宋江の顔を見ています。
宋江は、間者の才能があるとは言えない馬桂松雪泰子)の命が危ういと心配して時遷に説得を託しますが、亡き夫の後を継ぐという強い意志がある馬桂は間者をやめることを拒否します。
自分の想いが先立ってしまい、俯瞰で見ることができない馬桂
時遷に尾行されても気づかず、すぐに感情的になってしまう馬桂はスパイに適さないのです。
宋江のために働きたいと願う彼女の気持ちはわかるので胸が痛みますが、時遷は彼女の存在が宋江の弱みになることを心配しています。
そして、その心配が現実になってしまいそうですね。

馬桂は李冨にロックオンされてしまったわ。馬桂の娘が宋江の妾の閻婆惜だとわかったら、何か仕掛けてきそうで嫌だな。

次回いよいよ最終回!
6話冒頭、梁山湖のほとりですれ違った宋江李富
李富宋江の袖が汚れていることを見とがめます。
「袖が汚れている」という言葉には「不純」「心の穢れ」という比喩が込められる場合がありますから、李富はこの時宋江に対して何かネガティブな印象を持ったのかもしれません。
晁蓋が新たな頭領となり砦を「梁山泊」と名付けたことまで青蓮寺は把握しています。
そして、李富は「替天行道」を書いたのは宋江ではないかと考えているようですね。
晁蓋は計算高く実践的な男であるが、「替天行道」を書いた者は、少年のような夢想家で青臭い未来を疑いなく見つめるような男ではないかと。
青蓮寺がひたひたと迫ってきていますね。
いよいよ次回は最終回。
梁山泊に「替天行道」の旗が掲げられたことで、全国に散らばっている同志たちも志を強くしたことでしょう。
宋清閻婆惜の前で鄧礼華の話をしたのは原作と異なりますが、そのことは今後に何か関わっていくのでしょうか。
いまだに出番を待たされている済仁美波瑠)や曹正和田正人)のエピソードは1話で足りるのか、どうやら閻婆惜に横恋慕しているらしい唐牛児(若林時英)は何かやらかさないか、楊志は気持ちが折れたままなのか、武松(伊藤健太郎)はどうなったのか、林冲公孫勝は、宋江はいつ入山するのか、など多くの種が蒔かれました。
これらの種がぐんぐん育ち百花繚乱の花を咲かせるには時が足りないような気がするのですが、さて。

7話(最終回)「旅立ちの刻」

放送日:3月29日(日曜)22:00

7話(最終回)のあらすじ

国の腐敗を目の当たりにして軍を去った楊志(満島真之介)は、滞在先の娼館の女・済仁美(波瑠)と出会う。
賊徒に襲撃された村から孤児(岩川晴)を救い出した楊志は、賊徒の根城である二竜山を攻め落とすことを決意した。
梁山湖の砦を手に入れ「梁山泊」と名付けた晁蓋は、身の危険が迫っている宋江に梁山泊に入るよう説得するが、宋江は自身の目で国を見て回りたいと言い、二人は真っ向から対立してしまう。

7話(最終回)のネタバレ

楊志満島真之介)は、食堂と娼館を営む曹正和田正人)の世話になっていた。
楊志の身の回りの世話をする娼館の女・済仁美波瑠)は、吹毛剣を見て賊徒に両親を惨殺された幼い頃の記憶を蘇らせてしまう。
楊志は事情は知らないままに、怖がらせてしまったことを謝るのだった。
曹正の店を訪れた魯智深金児憲史)は、賊徒に襲われた村へ楊志を連れて行く。
楊志は賊徒たちと戦って追い払うが、村の長老・周謹山路和弘)は放っておいてくれていたらこれ以上殺されることはなく娘たち数名連れて行かれて終わりだっただろうに楊志のせいで再びやって来る賊徒に村人は皆殺しにされるだろうと恨み事を言うのだった。
楊志は賊徒の根城である二竜山を攻め落とすことを決意し、魯智深と曹正の協力で山寨に入ると頭目・鄧竜東幹久)を斬り捨てる。
楊志は、孤児になってしまった村の少年(岩川晴)を楊令と名づけて、済仁美とともに育てる決意をした。
魯智深は楊志に、二竜山の賊徒たちをまとめ上げ良い方向へ導くように頼んで「替天行道」を渡す。
宋江織田裕二)は間者の鄧礼華中村ゆりか)を通して「、早く梁山泊へ入るように」という晁蓋反町隆史)の手紙を受け取る。
宋江は「しばし時をくれ」という伝言を鄧礼華に頼むのだった。
宋清上地雄輔)は、自分が鄧礼華と結婚できないのは兄の宋江の裏の顔が関係しているのではないかと疑う。
宋江は、日を改めて話をすることを宋清に約束した。
盧俊義宇梶剛士)は鄧礼華を連れて宋江の家を訪ね、闇塩の輸送が青蓮寺に潰されそうなことを相談。
宋江は公孫勝白洲迅)率いる致死軍に塩の輸送を護衛させるよう晁蓋に頼むと告げる。
唐牛児若林時英)と閻婆惜吉田美月喜)は、宋江たちが自分たちを入れずに内密の話をしていることが、おもしろくない。
唐牛児は閻婆惜に鄧礼華が宋江の妾であることを話し、宋江から何も聞いていない閻婆惜は深く傷つく。
李富玉山鉄二)は楊志が二竜山の新しい頭目になったことを知ると危機感を募らせる。
李富は、怪しい男について青蓮寺の闇軍を使って調べ上げていた。
高俅池田成志)に嫌われ鄆城に飛ばされた将校・朱仝浜田学)が剣術の稽古をつけるほど仲の良い男であり、筆跡をごまかすために左右の手を使って両袖を汚している鄆城県の小役人、その名は宋江。
「宋江~!!」
「替天行道」を書いた人物にたどり着き、李富は雄叫びをあげた。
晁蓋は青蓮寺が宋江を狙っていることを心配し、早く梁山泊へ入るように説得するため宋江に会いに来るが、宋江は国造りのために世間を知りたいから旅に出ると言う。
晁蓋はがっかりするが、魯智深の手土産の武松伊藤健太郎)をせめてそばに置くように言い「バカ野郎」と去っていく。
李富は、青蓮寺の闇軍隊長・王和木幡竜)に閻婆惜に近づくよう命じた。
王和は閻婆惜に、宋江は実は梁山泊の頭領であること、閻婆惜の両親は宋江の間者であることを話し、開封府が送り込んだ鄧礼華が宋江の命を狙っていると偽って夾竹桃の毒入りの月餅を渡す。
唐牛児からは宋江が鄧礼華を妻にするという嘘をつかれた閻婆惜は、宋江を守るために鄧礼華に毒入りの月餅を食べさせた。
そこへ宋清がやって来て、自分と鄧礼華が結婚することを閻婆惜に打ち明け、宋江が鄧礼華を妾と偽っていたことの理由を今日話してくれることになっていると話す。
しかしその時、鄧礼華が一瞬苦しんだかと思うと息を引き取ってしまった。
閻婆惜が毒を盛ったと知って宋清は怒りに震え、閻婆惜を斬り殺す。
やって来た宋江の前に、二人の女性が倒れていた。
宋江は閻婆惜を危険から遠ざけたくて何も話さなかったことが悲劇を生んだことを悔やむ。
唐牛児は叫びながら役所へ走って行った。
宋江は全ての罪を自分がかぶると言い、武松を連れて旅立つ。

7話(最終回)の感想

楊志と済仁美の出会い
原作では、帰る家も身寄りもなくお金も持たない楊志の居場所を盧俊義の従者・燕青山中柔太朗)が探し出して、楊志曹正の店を訪ねるように告げます。
曹正は手厚くもてなしますが、楊志は娼館の一室でストイックな日々を送ります。
実は曹正は、楊志に二竜山の賊徒を退治させるようにという指令を盧俊義から受けていたのでした。
さて、ドラマでも楊志曹正の店で済仁美と出会い、やがて賊徒に両親を惨殺された孤児・楊令済仁美と一緒に育てることになります。
済仁美楊令と同じように幼い頃賊徒に両親を奪われた身の上です。
ここから剣を“民のために”使うようになった楊志
「家族」と「新たな志」を得た楊志は生き返りました。
楊志済仁美楊令も、もうひとりではありません。
「人と人とのつながりは血ではない、志なのだ」
「俺たちはこれから、その志でつながる親子となる」

楊志は「私の顔におびえている」と言って楊令の世話を済仁美に頼むのよね。自分の顔の青あざのせいだと思う楊志に対して、「お顔になんかおびえていませんよ。血がこわいのです」と伝える済仁美。自分もかつて同じ目に遭ったからこそわかるんだろうね。

済仁美は不遇の境遇だけれど、気高く凛として強いよね。ドストエフスキーの「罪と罰」の娼婦・ソーニャに通じる魂の清らかさがあると思う。

えっ東幹久?
クレジットロールに東幹久さんを見つけて驚いた人も多かったのではないでしょうか。
二竜山の賊徒の頭目・鄧竜は「どこかで見たような気がするんだけど誰だろう?」と思っていましたが、演じていたのは東幹久さんでした。
派手な衣装とメイク、まるで「パイレーツ・オブ・カリビアン」に出てきそうないで立ちと外連味たっぷりの演技、素晴らしかったです。
斬られっぷりもお見事でした。

李富の正義とは
梁山泊に晁蓋が、二竜山には楊志が頭目として立ったことを李富は危険に思います。
彼らはただの賊徒ではない、それは志を持っているからだと言うのです。
金で繋がる賊徒とは違い、志で繋がる者たちはやがて国造りを夢見るようになりそうなればこちらは小国と思って戦わなければならない、と。
国が利権や賄賂にまみれ、腐敗していることを李富もよくわかっています。
それでも今ある国を守りたい、そのために腐った役人も叛乱分子も見つけ次第処断する、それが李富の考えなのです。

李富にとって、あくまで今の国を存続させるのが正義なんだね。林冲や魯智深を取り逃がしたことが痛恨の極みなんだろう。宋江たちにとっておそろしい相手だね。

民の声を聞きたい宋江
楊志は、賊徒に襲われた村人たちの現実を知りました。
村人が殺されても、若い娘たちを連れて行かれてもじっと耐えるしかない生き残った人々。
反撃すればさらに犠牲者は増え、皆殺しにされてしまうかもしれない。
何度も何度も辛い目に遭ったからこその諦念であり、村を守る方法です。
宋江はそうした民の現実を、魯智深や間者たちに任せるのではなく、自分の目で見て耳で聞いて肌で感じたいと願うのでした。
民の苦痛を直に感じたい、それが俺の国造りだ、と。

馬桂の愚かさ
馬桂は間者としての資質に欠けています。
尾行されても気づかず、聞かれてはならないことを大声でわめき散らす始末。
もっとしっかりしていれば、閻婆惜という娘がいること、その娘が宋江の妾であることが青蓮寺にバレることはなかったでしょう。
それなら、悲劇が起こることもなかったはずなのに。

もうすぐ幸せになるはずだった鄧礼華
「鄧礼華は美人です。連れだって歩けば腐敗した役人に見えます」
盧俊義が言うように、鄧礼華は間者としてだけではなく、美しい妾として宋江の志をカモフラージュする役割も担っていました。
鄧礼華は間者になる前もなった後もきっと辛いことに耐えてきたと思われます。
でも宋清と結婚すれば幸せな日々が待っているはずでした。
義兄の宋江も家族として大切にしてくれたことでしょう。
その時まで、あと少しだったのに。
唐牛児王和に騙された閻婆惜によって夾竹桃を練り込んだ月餅を食べさせられてしまいました。
夾竹桃は美しい花を咲かせますが、根、葉、茎、花など樹木全体に青酸カリよりも強い猛毒を持っています。

宋江から「弟を頼む」と母の腕輪を渡されて輝くような笑顔を見せていたのに。鄧礼華があまりにも可哀そうだわ。
でも宋江からも母からも真実を話してもらえなかった閻婆惜も不憫なのよね。

最終回にも許礼が!
もう役所の場面はなさそうだし宋江の上司・許礼坂口涼太郎)の出番は望めないのかと思っていたら、最終回にも出てきてくれました!

川の担当を指示された宋江が「あ、あの私泳げないんです」と言うと、「どうして泳げないの!」と許礼。
最高だね!二人のシーンは癒しだったなあ。

宋江に寄り添う武松
武松伊藤健太郎)は王進佐藤浩市)のもとで王母丘みつ子)に見守られながら、少しずつ生気を取り戻していたのですね。
陶芸の技を磨いているようです。
武松は土に「生きて苦しめ」「生きて闘え」と言われたと宋江に話していました。
兄嫁である潘金蓮夏目愛海)の幻影が彼をずっと苦しめています。
過去に潘金蓮との間で何があったのかシーズン1では明かされませんでした。
それは、大切な人を失った痛みと、自分のせいだと思う苦しみ。
林冲も同じ痛みと苦しみを持っています。
そして宋江も。
「国家、国家と偉そうに。一番身近な婆惜の心の声にさえ想いが至らなかった」
旅に出る宋江のそばに武松がいて、良かったと思います。
傷だらけの拳を慈しむように包んでくれる宋江が一緒で、武松にとってもきっと。

晁蓋は待ち続ける
「早く梁山泊へ入れ」と手紙を書き、想いが通じないとあらば危険を顧みず梁山泊を出て宋江に会いに来る晁蓋
もう一人の梁山泊の頭領として早く迎え入れたいし、青蓮寺に狙われている宋江が心配でたまらないのです。
自分の目の届く場所にいてくれないと守れないから。
梁山泊の魂である宋江が必要であり、同時に大切な友を心より案じているのですね。
しかし、宋江は妾をあやめた罪を背負って旅立ってしまいました。
宋江の名を記した木札を手に握りしめ、晁蓋は待ち続けます。
それは晁蓋の札の隣に掲げるべき札。
「バカが…」
「宋江!生きて…帰れ!」

晁蓋の言葉に呼応するように「そう怒るな晁蓋」と宋江が言うのよね。離れていても通じ合っている二人…

「替天行道はお前だ」と告げる晁蓋と、「もしそう思ってくれるなら俺を俺のままでいさせてくれ」と言う宋江。二人の会話はこの作品の核だね。

【北方謙三 水滸伝】原作とドラマの違いは

多数の読者から長く熱く愛されている原作

北方健三水滸伝』(全19巻・集英社文庫)は、1999年から2005年まで5年10か月にわたり「小説すばる」(集英社刊)に連載された歴史小説です。
民話説話の集大成である「中国版水滸伝」を原典としていますが、北方謙三さんが独自の解釈で解体し、筋書きやキャラクターを再構築して新たな作品として生まれ変わらせました。
『水滸伝』『楊令伝』『岳飛伝』の三部作からなる大水滸伝シリーズは累計発行部数1160万部を突破しています。
今回待望のドラマ化が実現し、原作ファンからも熱い視線が注がれていると思います。
また、このドラマがきっかけで原作を読み始めその世界観に心奪われる人たちも多いことでしょうね。
作品の人物は「全員が俺」と語る北方謙三さん。
だからこそ、全ての登場人物ひとり一人が魅力的なのでしょう。
ドラマ化にあたって、北方謙三さんは「小説家の仕事は本を書いたところで完了している」と、キャスティングや脚本に意見を出さなかったそうです。

原作は映画やドラマの素材の一部ととらえているという北方謙三さん、格好良いわね!

原作を核にして、俳優陣、監督、スタッフの皆さんの才能と情熱が結集したんだよね。どんな世界を見せてもらえるのか楽しみだなあ。

原作19巻のうちドラマはどこまで描かれる?(最終回後追記)

ドラマは全7話。
全19巻の原作はどこまで映像化されるのでしょうか。
完全映像化と謳っているので7話で完結するのか、あるいはシーズン2以降があるのかどうか。
また、『水滸伝』には『楊令伝』と『岳飛伝』という続編もあることから、今後長期にわたるシリーズ化にも期待したいですね。

北方謙三さんとプロデューサーの大原康明さんの会話の中ではシリーズ化の話題も出ているみたいだね。実現するといいなあ。

最終回後追記
【北方謙三 水滸伝】のシリーズ続編制作が発表されました。
放送・配信は2027年!!
待ち遠しいですね。

ドラマオリジナルのエピソード

ドラマで、宋江と魯智深は立ち寄った村で薄荷を売る少女に出会います。
宋江の心に深く刻まれるエピソードですが、原作にはその場面はありません。
また、ポスターのメインビジュアルである“宋江が「替天行道」を書く洞窟のシーン”も原作には出てきません。
「替天行道」を読んだ者たちが各地から宋江のもとへ集まってくるわけですが、原作には「替天行道」の具体的な内容は書かれていないんですね。
書かれていないその中身を、戦う漢たちの姿から読者は読み取っていくわけです。
ドラマ版では原作にないオリジナルシーンを印象的に描くことで、視覚的に宋江の想いをわかりやすく伝え、今後の展開に説得力を与えています。

女性たちの描かれ方は?(最終回後追記)

原作には、戦う男たちのそばで運命に翻弄されていく女性たちの姿があります。
彼女たちからは忍耐強さと献身、強さと弱さ、男たちを包み込む優しさやしなやかさも伝わってきました。
ただ小説が書かれた時代と現代とでは、女性たちの意識や価値観は異なる部分もあり、また変わらないものもあることでしょう。
令和の時代に届けられる今回のドラマで女性の姿がどのように描かれるのか、楽しみです。
中でも、ドラマティックな人生を送る馬桂(松雪泰子)に注目したいと思います。

最終回後追記
原作の女性たちは、男たちの欲望の対象や策略の道具として受け身で生きる姿が多く描かれています。
対してドラマ版では、自分の意志で動く女性が目につきました。
張藍が自らの命を絶ったのは夫・林冲を守るためでしたし、閻婆惜は単なる嫉妬ではなく宋江を守るためと信じて鄧礼華を亡き者にします。
一方、馬桂はどうでしょうか。
原作の馬桂は、夫を頼り、夫亡きあとからは宋江を頼って、夫や宋江の志に従うことが生き延びていくための道と考えているようです。
ドラマ版の馬桂もシーズン1では同じ描かれ方をしていました。
さて、シーズン2の特報で、李富と馬桂の二人のシーンが一瞬映ります。
この二人がどうして出会うのでしょう。
閻婆惜を失った馬桂がこれからどう生きていくのか、そして李富と出会った馬桂にどんな運命が待っているのでしょうか。

何しろ演者が松雪泰子さんと玉山鉄二さんだし、これからの展開が楽しみだな。シーズン2が待ちきれない!

済仁美には「私がとどめます、あなたが賊徒にならないように」と楊志にきっぱり告げる強さがあるし、鄧礼華も間者として女性としてしなやかな強さを感じるね。
でもその鄧礼華が閻婆惜に告げた「あなたも私と同じつらいおなごの道を歩まれたのでしょう」という言葉には、女性が自分らしく生きることが困難である哀しみが滲んでいるんだよなあ。弱い者が苦しむ時代を宋江が変えてくれると、鄧礼華は信じていたんだ。

【北方謙三 水滸伝】の見どころ

撮影期間もロケ地も規格外のスケール

撮影期間は約8か月。
総移動距離は約2万5千㎞(地球半周分以上)。
ロケ地は17都府県、50か所以上にも及ぶそうで、日本のドラマとしては規格外のスケール!
エキストラを含めた大人数の演者に加えて120~150名のスタッフが帯同するので、宿泊場所を抑えるだけでも大変だったそうです。
特に厳寒の洞窟や雪山での芝居は大自然とのリアルな戦い。
洞窟のシーンは朝8時から夜10時までの撮影が5日間続いたそうです。
ロケ地は埃が舞う採掘場、寒さと暗さの中で長台詞を言うのはとても過酷だったと。
ただライティングがとてもきれいで忘れられないシーンになったということです。
林冲(亀梨和也)が安道全(金田哲)と白勝(柄本時生)を連れて雪山を歩く場面は、8分間の長回し撮影。
雪をかき分けながら先頭を歩くのは手が取れるかと思うほど大変だったそうですが、若松監督からは「林冲を超えた亀梨の限界を見せろ!」と声がかかったそうです。
織田裕二さんによると、若松監督は役者が本当に苦しくなるまでカメラを回すことを時々やる、だからこそ嘘のない作品になると。
登場人物そのものとしてその場に存在する息遣いが、本作の大きな見どころになることでしょう。

こだわり抜いた衣装や小道具

家具はほとんどが中国で買いつけてきたもの。
二艘の船は中国から海路で運び込んだそうです。
小道具は中国で仕入れたものや時代劇専門家がカスタマイズしたものなど、一つ一つにこだわりが。
衣装は日本でデザインし、中国の衣装会社に行って生地を選んで作ってもらったそうです。
時代考証の先生に宋代の中国にこの色はなかったと言われた色もあったけれど、水滸伝の世界観を優先して使うことにしたのだと若松監督は語っています。
特に晁蓋(反町隆史)の色鮮やかで派手な衣装は格好良いですね。

メインの俳優陣はもちろんのこと、エキストラの皆さんの衣装まで凝っていて素敵なのよね。

「替天行道」の文字は織田裕二の肉筆

若松監督から「“替天行道”の文字は織田さんの字で書いてください」と言われ、織田裕二さんは書の練習をかなりしたそうです。
織田さんの肉筆は、信念のこもった見事なものでした。
“替天行道”とは、「天に代わって道(正義)を行う」 という意味で、腐敗した政府や悪徳官僚に対して真の正義を実現する意志を示したスローガン。
この“替天行道”の旗印のもとに同志たちが集結します。

織田さんの字、すごく惹きつけられるなあ。自宅で練習した紙も現場に持ってきてクシャクシャにして置いたんだって。リアリティあるよね。

宋江は他の武人たちのように力が強いわけではないけれど、彼の信念が皆の心を動かし、世の中の大きなうねりを作っていくのよね。

原作で人気のあの料理も再現

原作の中には食事シーンがたびたび出てきます。
中でも美味しそうなのが「饅頭(まんとう)」という中国の蒸しパンです。
魚肉の入った饅頭とはどんな味なのか、原作を読みながら想像した人も多いはず。
料理の数々は、撮影班によって原作に忠実に再現されたそうです。
若松監督は魚肉の饅頭を食べたそうですが、野菜がたっぷり入った中に魚を入れて味付けしてあり美味しかったと語っていました。

見応えのあるアクションや乗馬シーン

キレのあるアクションや乗馬シーンは本作の大きな見どころです。
反町隆史さんは映画『蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜』などで乗馬の経験が豊富ですが、馬上のシーンがある俳優陣の多くは基礎から馬術を習い、馬に乗って剣や槍で戦う姿を自然に見せるため何か月も練習を重ねたそうです。
林冲(亀梨和也)と楊志(満島真之介)が一戦交えるシーンは名場面になりそうですね。

馬も本番になるとスイッチが入って、より一層迫力ある場面になったんですって。お馬さんもプロね!

また、林冲や史進(木村達成)に武術の稽古をつける王進役の佐藤浩市さんのアクションにも注目です。

林冲と張藍の愛

【北方謙三 水滸伝】は、戦う漢たちが中心の物語ですが、愛も描かれます。
とりわけ鮮明な印象を残すのが、林冲(亀梨和也)と張藍(泉里香)のエピソードでしょう。
献身的に夫に尽くす張藍と、体面を保つために妻をめとりその大切さを自覚していない林冲。
亀梨和也さんは「核になる部分だったので大切に演じさせていただきました」と、張藍への想いについて語っています。
若松監督は「亀梨くんは林冲を演じるために生まれたような役者だと思いましたね」「亀梨さんの林冲は、美しいキスシーンも見どころですね」と話しています。

「林冲だけはヒゲをつけないことにしたらより美しくなった」と若松監督が仰ってるわね。
張藍を演じる泉里香さんもたおやかで本当にきれい。
2人の場面は心にずっと残るだろうな…

家族の愛  

楊志(満島真之介)と済仁美(波瑠)と楊令(岩川晴)の家族愛は、この物語に灯った温かな光でしょう。
名家に生まれエリート将校として高いプライドを持ち圧倒的な強さを誇る楊志ですが、家族ができ父性が生まれたことが彼の大きなターニングポイントになります。
満島真之介さんは、撮影前後や移動中も岩川晴くんといつも一緒にいて信頼関係を築いたそうです。
芝居の中で自分が晴くんに触れた時に一瞬でも晴くんに戸惑いの反射があるとそれは視聴者に見えてしまうから、と。
満島真之介さんと波瑠さんは何度も共演していてお互い信頼し合っているんですね。
波瑠さんは「大きなハル(波瑠)と小さなハル(晴)が大きな父の背中を見てのびのびとやらせていただいた」と話しています。

それぞれにある正義

本作の中では、宋江たちの最大の敵として描かれている李富(玉山鉄二)ですが、彼もまた自身の志を抱いて動いています。
登場人物たちはそれぞれ自分が信じる正義を貫こうとしているんですよね。
何が正義で何が悪か、簡単に割り切れないのは現実社会でも同じことなのでしょう。
「国をよくしたい」という目的は一緒なのにイデオロギーが違って分断してしまうやりきれなさ。
織田裕二さんと反町隆史さんは李富について、強さだけではなく情けなさもさらけ出していて人間臭くて魅力的な人物であると語っています。
人間の深さと浅さ、強さと弱さ、太さと細さ。
多彩な登場人物たちひとり一人を多面的に描く【北方謙三 水滸伝】は、人間の面白さを改めて発見できるドラマになりそうです。

◆最後に

【北方謙三 水滸伝】原作の壮大なストーリーを映像化するためにスタッフ・俳優の皆さんがどれだけ力を尽くし、魂を込めたのかが伝わってくる作品でした。
世界観を造った人たちと演技でそれに応えた人たちの志、アイデア、感性、胆力。
シーズン1、圧巻の全7話です。
この物語の続きが観られる喜びを胸に、来年まで原作を読み、ドラマ【北方謙三 水滸伝】を繰り返し見ながら、シーズン2の放送・配信を皆様とともに楽しみに待ちたいと思います。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

北方謙三 水滸伝
◆放送:WOWOWプライム
◆配信:WOWOWオンデマンド、Leminoプレミアム
◆放送・配信開始日:2026年2月15日(日曜)22:00~〈全7話〉
◆シリーズ続編:2027年スタート(予定)

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