【正欲】あらすじネタバレ!正しき欲とは何なのか?多様性に縋る事も出来ない人々の物語。

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映画『正欲』予告編サムネイル

2021年3月に、朝井リョウ作家生活10周年記念作品として発表された小説『正欲
2023年11月には、稲垣吾郎と新垣結衣主演で実写映画化が決まっている。
『正欲』は、登場人物たちの視点で展開していく複雑なストーリーが肝となる作品。
そんな本作『正欲』のあらすじをネタバレ解説していく!
さらに、劇場公開後には、映画のあらすじも併せてネタバレする!

『正欲』を読んでみて…感想‥ただただ、放心した。

この作品は、とにかく衝撃的なストーリーが肝となる作品である。
タイトルにもある正欲とは何なのか‥?
これが、1番の鍵となる。
もちろん、それは人の”性欲”を題材とするのだが…
ここからは、詳しく下記のネタバレにて、詳しく解説していく。
この作品は、ただ1回読んだだけでは、その真意には辿り着けないかもしれない。
否、読み終わった後…
冷静に振り返ってみると…
多様性というものの、本当の怖さが伝わってくるのだ。
そんな物語を描いたのは、作家・朝井リョウ。
彼の思慮深さ、そしてその変態さがこの作品を読んでみてつくづく感じ知れる事ができた。
そして鬱屈した物事の捉え方…
すべてにおいて…見事だった。
単純にこの作品は考察しがいのある重厚さを持つ。
ぜひ、本記事にてこの作品に興味を持った人は、ぜひ、小説の方も読んで頂きたいと思う…
すると…このカラクリに驚愕するはずだ。

映画『正欲』は?

監督は、映画『前科者』を手がけた、岸善幸が務める。
その他、キャストなどは下記記事にて詳しく掲載する。

『正欲』あらすじネタバレ

『正欲』のストーリーをネタバレ含み解説していく。
『正欲』の大きな特徴としては、元号が令和のなる瞬間を起点に、各登場人物らの視点で何日前の描写を切り取っていくものとなる。
なので、本記事では、原作の様な展開ではなく、キーキャラクターとなる登場人物の視点を中心に展開していく。

ここからは『正欲』のネタバレが含まれます。

『正欲』あらすじ

冒頭、ある文章から物語は始まる。

たとえば、街を歩くとします。
すると、いろんな情報が視界に飛び込んできます。

空の青さ、人々の足音、見かけない地名の車のナンバー。色、音、文字、なんでもいいです。

https://www.shinchosha.co.jp/book/126933/preview/

この文章を要約すると、社会の枠にはある一定の決まりが存在する。
それが”大きなゴール”、このゴールとは、「明日死なないこと」。
それを前提に、世の中に溢れているあらゆる情報は存在する。
さらには多様性、この言葉にもおめでたさがあると感じていると。
この多様性という言葉も、結果的にマジョリティに向けた言葉であり、理解し難いものである。

そんなこの世界において、自分とのギャップが描かれている。
そして最後に、この文章を読んだであろう人に向けて、この後の事は、実際の声で伝えたいと思います。
と綴られている。

ある事件のルポ

小学校の非常勤講師や大企業の社員、大学で有名な準ミスのイケメンも自然豊かな公園で行われた犯行により、摘発。
摘発されたのは、佐々木佳道、諸橋大也、矢田部陽平ら3人。
逮捕のきっかけは、16歳の少年を補導した際に発覚した事実を基にしたものである。
その少年と金銭をやり取りした上での性的な関係を持った事が谷田部陽平にあった事がわかった。
そして、谷田部は小児性愛者である事が発覚し、この少年以外にも多くの被害者がいる事が捜査上に判明する。
その結果、パーティという集まりがある事が分かった。
そのパーティに参加していたのが、佐々木佳道、諸橋大也という事になる。
逮捕された3人、矢田部陽平は容疑を認めている。
一方で、諸橋大也は黙秘を貫き、佐々木佳道は否認していた…
このルポは、2019年7月に配信されたものである。

寺井啓喜

2019年5月1日まで、515日
ここから物語が始まる。
『正欲』の特徴は、元号が変わる2019年5月1日を境に、各登場人物たちのある1日を切り取る形で進行していくのだ。
しかしここでは、各登場人物らのストーリーをようやくする形でお届けしていく。

寺井啓喜は、検事。
妻と息子がいる、3人家族。
妻は由美、息子は泰希。
社会のルールに乗ることにこだわりを見せるが、泰希は不登校でいつか学校に通ってほしいと願っている。
寺井啓喜のパートは、基本的に物語の本筋としては、子供の泰希を中心に進んでいく。
しかし泰希は、とある小学生ユーチューバーに影響を受け、学校に通う是非を問う。
今この時代に、無理して学校に通う必要があるのか…
そして自然と、泰希もユーチューバーとして活動していくのだ。
立ち上げられたのが、「元号が変わるまであと○日チャンネル」というYouTubeチャンネルである。
不登校児童を中心としたNPO団体の集まりで知り合った友達と共に、2人で活動を始めた。
このYouTubeチャンネルは、母親やNPO団体を運営する右近などの協力により活動をしている。
しかしそのネタの殆どは、コメントからのリクエストによるもので、彼ら小学生はその期待に応えるべく、チャンネルで様々な動画を投稿していくのだった。

桐生夏月

桐生夏月は、ショッピングモールの寝具店で働く女性だ。
なぜ寝具店を選んだのか‥
それは、睡眠欲は裏切らないから。
世界から断絶された様な感覚を覚えつつ、モール内の他店の店員、那須沙保里から日々マウントを受ける。
高校の同級生、西山修と再会し、結婚式を兼ねた同窓会への参加をする事に…
本来ならば断るところだが、佐々木佳道の名前が出たことにより、参加を決意する。
そんな桐生夏月の日々の楽しみはあるYouTubeチャンネルを見ること。
「元号が変わるまであと○日チャンネル」だ。
子供たちが、コメント欄のリクエストに応えるそのチャンネルは桐生夏月にとっても日々の癒しとなっていた…

神戸八重子

大学生。
学祭の実行委員である神戸八重子は、ある過去の出来事により、男性嫌悪に陥っていた。
その為、毎年同じ様に繰り返されるルッキズムをベースとしたミスコンに疑問を抱く。
自分たちの代では、新しい令和の時代に差し掛かる今、単なるミスコンではなく、この時代に合わせたダイバーシティフェスを提案する。
見事採用され、ダイバーシティフェスに向けて動き出すことになる。
そんな神戸八重子だったが、実は1人だけ、嫌悪を抱かない男性がいたのだ。
それが大学のダンスサークルにいる、諸橋大也である。
学祭のイベントで見かけた彼のことが気になり、実は密かに推していたのだった。

『正欲』ネタバレ

「正欲」の前半は、各登場人物たちをベースに、物語が始まっていく。
核心には触れずに、徐々に彼ら達の状況が明らかにな理、進んでいくのだ。
それはどこか、もどかしさもありながら、人間の表には出さない感情を隠しながらも少しづつあらわになっていくその展開に、読み進めていくうちに徐々に飲み込まれていく…

寺井啓喜

息子のYouTubeチャンネルは、流行らずとも一定のファンがいる事に、寺井啓喜はもどかしさのはざまにいた。
勿論、何かに打ち込む事は悪くない。
だが、やはり学校に戻ってもらいたいと常々思っているのだ。
そんな折、息子のYouTubeに懸念を抱く妻の姿がいた。
コメント欄のリクエストに、意図がわからぬ内容の物が多々届いており、常に大人の監視は怠らない。
寺井啓喜には、同時に、家族の変化も感じ取れていた。
どこか、自分が蚊帳の外であること。
それは、右近一将の存在である。
息子の泰希が参加した、NPO団体の青年だ。
彼と妻、息子の3人の姿の方がより家族として成立している、そんな光景に写ってしまう…
寺井啓喜は、ある時、妻との出会いに想いを馳せる。
新潟にいる時に出会った妻、由美。
彼女と出会い恋に落ち結婚をした。
そんな妻の由美には、ある癖があった。
それは、夜の営みの最中に涙を流すこと。
何か、感情が動くのでは無く、自然とこぼれ落ちるのだという。
その光景に最初は戸惑っていたが、いつしかそれは、興奮するひとつのきっかけに変わっていく…

桐生夏月

佐々木佳道との関係、それは側から見ればなんでもないものである。
関わったこともたったの1回だけだった。
夏月がいたクラスでは、ある慣例があった。
それは、新聞に載っている事で気になったことを発表するというもの。
藤原悟の事件。
彼は、警察施設に不法侵入し蛇口を盗んだという。
その奇妙な空き巣事件を、西山修が発表し、意図のわからぬ行為を笑いに変えていたのだ。
その犯人、藤原悟の供述は、「水を出しっぱなしにできるのが嬉しかった」とのこと。
しかしこの事件の概要は、桐生夏月にとっては共感でしかなかったのだ。
水が出る光景を見て、嬉しいという感情を抱くのだ。
むしろ、桐生夏月にとって水が出るという現象はもはや性的対象であった。
そして、それは佐々木佳道も同じで、この日の放課後、取り壊される校舎の近くにある水飲み場の蛇口を蹴り壊し、水が出る様を共に楽しんでいたのだ。
しかし佐々木佳道と桐生夏月が関わったのは、この1回のみ。
それでも2人は藤原悟と同じ、水にしか興奮出来ない体質であるという共通の繋がりがある事が分かった。

西山修の死

結婚式直前、西山修は亡くなる。
川の中に飛び込んでそのまま帰らぬ人となっていた。
それでも、同窓会は開催された。
自分の死で同窓会が無くなるのは、望まないはずだと…
そして、西山は学生時代、ある日の放課後、桐生夏月と佐々木佳道が一緒にいるところを目撃していた。
それも含めて、2人を引き寄せた人物でもあった…

大手食品会社に勤めるサラリーマンである。
ある事件のルポでは、プロジェクトを任せられる有望な人材という様な触れ込みもあったが、実は寡黙で、上司から目をつけられていたのだ。
佐々木自身も、人と積極的に関わる様な性格ではなかった為、標的になりやすい様であった。
そんな佐々木と桐生は、同窓会で再会を果たすが…
2人に、特に会話は無い。
だが、同窓会の後、2人は一緒に西山修がなくなった河原に行った。
そこで、改めて、2人は同じ特殊性癖であることを確かめ合い、確認をしあった。
さらに2人は、あるYouTubeチャンネルを見ていること、そしてそこに書き込まれているコメント「FUJIWARA SATORU」の存在についても話す。
「FUJIWARA SATORU」は、「元号が変わるまであと○日チャンネル」にコメントする人物であり、同じ水に性的興奮を抱く特殊西壁を持った人物であるだろうと感じていたのだ。
しかしここで、この「FUJIWARA SATORU」という人物は、2人とは違う人物である事が発覚したのだった…

佐々木佳道

同窓会の後、しばらく会ってはいなかったが、佐々木佳道と桐生夏月はある時、再会を果たすことになる。
夏月は、職場で那須沙保里と衝突し罵声を浴びられた。
何もかもが嫌になった。
運転中、このまま突っ込んでしまおうか…
そんな自暴自棄になりかけたその瞬間、目の前に歩く男性が佐々木佳道だったのだ。
思わず声をかけた。
しかし沈黙のまま向かったのは、佐々木が泊まるホテルの一室。
ベッドの上には、明らかに自殺を図ろうとしているのがわかる道具が散乱していたのだ…

佐々木は、桐生にある文章を見せた。

たとえば、街を歩くとします。
すると、いろんな情報が視界に飛び込んできます。

空の青さ、人々の足音、見かけない地名の車のナンバー。色、音、文字、なんでもいいです。

https://www.shinchosha.co.jp/book/126933/preview/


これは、佐々木が自分と同類の存在に当てた文章だった。
それが桐生夏月…
そして2人は、結婚した。
勿論、そこに恋愛感情はない。
友情結婚、政略結婚…
1度は人生を諦めた2人。
しかし2人は生き方を改めたのだ。
同じ特殊性癖を持った人間たちで共生できるのでは無いか…
明日生きるため、そんな人生を歩むため。
2人は共に生きていく事を選んだのだ。

諸橋大也

「元号が変わるまであと○日チャンネル」のコメント欄に「FUJIWARA SATORU」の名を使っていたのは、諸橋大也だった。
そう、彼もまた水に性的興奮を覚える、特殊性癖の持ち主だったのだ。
その為、彼はイケメンであるが、女性には一切興味を抱かない。
それがまた、神戸八重子を惹きつけてしまうきっかけともなっていた。
しかし諸橋もその空気は感じ取っており、神戸八重子にはマイナスなイメージしか無かったのだ。
ダイバーシティフェスの成功により、神戸八重子は自分たちの代でも継続する方向性で動く。

神戸八重子の過去

神戸八重子が男性嫌悪に陥るきっかけは、兄だった。
兄は現在、社会人の壁に打ちのめされ、引きこもりと化していた。
そんな兄が引きこもる直前、女子高生だった神戸八重子は何かの衝動に駆られ、兄の部屋に忍び込んだ。
そこで、見つけてしまった兄の性癖。
女子高生をターゲットにしたアダルトである。
兄が自分の事をもしかしたら、そんな目で見ているのかもしれない…
と、頭によぎった瞬間吐き気を催し、それ以来、女性を性的な存在に見る男性の目に嫌悪感を抱く様になったのだった。
神戸八重子は、諸橋大也に好意を寄せていたが、なんとなく諸橋大也にその気がない事も薄々感じている。
大学の先輩である高見優芽からも、諸橋の事を気にかけてあげてね、と言われた事もあり、彼をより注力する事になるが…

諸橋大也 その2

諸橋大也は、自分の特殊性癖を共に共感できる人物がもっといるという事を知る。
そして、その人たちの集まりが行われるという事を、SNSで知り参加を決意。
しかしその日は、大学の委員会でも集まりがあり、重なってしまう。
神戸八重子は、もしかしたら諸橋は来ないかもしれないという予感が過り、彼に当日使うケーブルを持たせる事にした。
当日…
当然諸橋は、大学よりもその集まりにいく事を優先した。
今まで、自分はこの世界からの疎外感を感じながら生きてきた。
特殊性癖を持つ自分は、誰にも受け入れられない…
それを共感できる人たちがいる事、その力強さを初めて感じたのだ。
しかし家を出ると…そこには神戸八重子がいたのだ。
神戸八重子も覚悟を持ってそこに居たが…
諸橋は頑なだ。
この特殊性癖について、人には絶対理解してもらえない。
でも、そんな自分を受け入れてくれる場所があり、行かなくてはならない…
その強い意志を伝え、諸橋は、神戸の想いを受け取り、集まりに参加した。
今までとは異なる気持ちが芽生えたのだった。

寺井啓喜 その2

時系列はやや異なるものになってしまうが…
ある日、「元号が変わるまであと○日チャンネル」は閉鎖されていた。
それは、YouTube側による子供に対する閲覧者の規制をより強化したもの。
その規約の為、「元号が変わるまであと○日チャンネル」も規制が入ることが予想されたため、一時チャンネルを閉鎖する形となった。
このチャンネルは、大人の悪意や事情を知らない子供達に向けて発せられるコメントは、一見問題ない様に見えても、実はそこには裏がある…
それを巧みに利用され、大きな問題となったのである。
(この問題は実際のYouTubeで行われた施策で、日本でも話題になっており、大物ユーチューバーたちも困惑していた。)

佐々木佳道 その2

「元号が変わるまであと○日チャンネル」が閉鎖になったことで、佐々木と桐生は自分たちの性の捌け口がなくなってしまう。
そこで思いついたのが、自分たちでやってみよう…という結論になる。
特殊性癖を持つ彼らにとって、一般的な性の捌け口となるとアダルトになるが、彼らは水が出る様を見ることである。
様々な水の出方をそれぞれに再現し、映像に収める。
そしてこれをきっかけに、佐々木と桐生はもっと仲間がいるのでは?
と、ネット上で仲間集めをしていくことになる。
この仲間集めは、他に2人ほど集まった。
大学生の諸橋大也、小学校の非常勤講師である矢田部陽平だ。
主なルールは谷田部が作ったものであり、この集まりで撮った動画などは厳格に第三者に渡さないなど。
結論から言うと、谷田部は小児性愛者であり、過去にもこういった極秘の集まりに参加していた経験があった為であるが、佐々木らは水を扱うだけの為、谷田部の事情は知る由もなかったのだ。

事件の顛末

この集まりはパーティーと名付けられ、昼間の公園で行われた。
しかしそこに、招かれざる来客があったのだ。
それが佐々木の上司達と偶然鉢合わせてしまう。
子供達もいたのだ。
そのパーティーでは、水鉄砲などもあり子供達もはしゃいでいた…
しかし佐々木達の顔は焦った表情を見せる…
この場に、形式上の妻である夏月は居ない。
仕事の都合で結果的にドタキャンとなってしまっていた。
そして谷田部から足が付き、佐々木佳道と諸橋大也も逮捕されてしまったのだ。

寺井啓喜 その3

この事件の担当となった寺井啓喜。
容疑者達の関係者達に話を聞いていく。
妻の桐生夏月と会う、寺井啓喜。
彼女の様子が、これまで担当してきた人たちと異なる事に戸惑いを見せる。
夏月に事情を聞こうとするが…
夏樹の表情が無くなる。この光景は、寺井啓喜は過去にも経験していたのだ。
それは息子の泰希との会話の中でもあった、相手側の事情など何を言っても伝わらないと言う諦めの表情である。
それは当然だ、桐生夏月達の特殊性癖の話なんか、異性に性的嗜好を抱ける普通の人間達に何を言っても絶対に伝わらない。
桐生夏月との会話は、一方的に終わってしまう。
「夫(佐々木佳道)が何も言わないなら、話せることはない。ただひとつ、いなくならないからとお伝えください。」
それは、佐々木佳道も妻の桐生夏月に対して残した伝言と一緒だった…
寺井啓喜は性犯罪で捕まった夫に対して、なぜそんな感情を抱けるのか…
何も分からぬまま、この事件は幕を閉じた。

神戸八重子

諸橋逮捕のニュースは、神戸にとっても大きな溝を生んだ。
その影響は大きく、しばらくはスマホの画面も開けないほどだ。
そこからしばらく立って、大学にいると、友達に話しかけられ、神戸は少しづつ通常の生活に戻っていった。
諸橋のニュースは、日々報じられる様々な情報と共に消え去っていくかの様に…
神戸八重子にとっても、それは同じなのか…
ブラックアウトしたスマホの中に消えていった。

『正欲』ネタバレ考察!多様性の本質は…

この物語の衝撃は…
要約するとこうである。
児童ポルノで逮捕された人物達の真実。
その真実とは、通常の概念では量り知ることが出来ない事実が隠されていた。
これは罪なのか‥
罪では無いのか…
読み終わった後のモヤモヤは、一生消えないのである。

多様性の本質とは?

この物語の大きな鍵は「多様性」と言う言葉の意味である。
しかし登場人物達の行動指標において、「多様性」に当てはまらなないという事が基本的な展開となっている。
個人を認めるべく「多様性」は、LGBTQ。
言ってしまえば、様々な性の姿を表した言葉である…
が、基本的にこの言葉は、人に対して性を抱く事を前提にしたもの。
そこに真の多様性は無い。
人に感情を動く事がない人は、どうすればいいのか…
そんな葛藤を描き、人の本質に迫っていくのである。
この感情が、心をぐっと鷲掴みにされるのだが…
冷静に分析してみると、結果として、”人として幸せを求める”
これが、正欲である…
という結論になる。

理解できないことには目を瞑る

クライマックス、寺井と夏月の対面はまさしく息を呑む展開だ。
ここで感情を剥き出し、相対するのか‥
しかし当然ながら…
理解できない事情は、理解できないまま幕を閉じる。
理解しようにも、その考えがない時点で毛頭理解することは出来ない。
そのため、結果として佐々木らは真実に辿り着かぬまま、児童ポルノによって刑が決まるのだ。
佐々木らに共感できれば、これ以上の憤りはない…
それでも唯一の救いである、夏月達の「居なくならないから」という強い意志。
この言葉の力強さを、憤る事によって感じとる事ができるのかもしれない…

まとめ

今回のネタバレは、内容を要約しているものである。
実際はもっと濃厚な展開がそれぞれの登場人物に訪れるし、様々な登場人物も存在する。
その全ては、ぜひ、原作を読んで頂きたいが…小説を読み慣れていない人には…
11月に映画化が決定しているので、ぜひ鑑賞をおすすめする。
稲垣吾郎と新垣結衣が、W主演となる。
稲垣吾郎は、検事の寺井啓喜を演じる。
そして、新垣結衣は桐生夏月だ。
クライマックス、この2人の邂逅は公開前の今の時点でも、想像しただけで痺れる展開になるであろう…
果たして、映画ではどんな展開をしていくのか…
非常に難しい題材だけに、どう手が加えられているのかにも注目だ!

「正欲」映画化が決定!

監督岸善幸
脚本港岳彦
原作朝井リョウ
出演稲垣吾郎、新垣結衣、他
公開2023年11月10日
公式サイトhttps://bitters.co.jp/seiyoku/
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