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【そして、バトンは渡された】の原作ネタバレ!親たちの「嘘」と「秘密」に感動の声!

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出典:映画【そして、バトンは渡された】公式HP

映画【そして、バトンは渡された】が2021年10月29日(金)に公開されます。
今大活躍中の若手女優・永野芽郁さんが主演を務めます。現在の父役に田中圭さん、自由奔放なみぃたんの母役に石原さとみさん、優子の同級生役に岡田健史さんなどの豪華キャストが脇を固めます。

女性

キャストがみんな大好き。そして絶対泣けそう!

本記事では、【そして、バトンは渡された】の原作ネタバレ!、親がついた「嘘」と「秘密」について書いていきます。

映画【そして、バトンは渡された】の概要

原作・監督・脚本

原作 瀬尾まいこ
監督 前田哲
脚本 橋本裕志

原作は、2019年に本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんのベストセラー小説です。
監督は、【こんな夜更けにバナナかよ】などを手掛けた、前田哲さん。脚本は、アニメ・ドラマ・映画など幅広い作品に携わったヒットメーカーの橋本裕志さんが担当しました。

キャスト

そしてバトンネタバレキャス

出典:映画【そして、バトンは渡された】公式HP

  • 4回苗字が変わった高校生・森宮優子:永野芽郁
  • 優子の現在の父・森宮壮介:田中圭
  • ピアノが上手い優子の同級生・早瀬賢人:岡田健史
  • 泣き虫な女の子・みぃたん:稲垣来泉
  • 朝比奈彩
  • 安藤裕子
  • 戸田菜穂
  • 木野花
  • 自由奔放なみぃたんの母・田中梨花:石原さとみ
  • 梨花の1番目の夫・水戸:大森南朋
  • 梨花の2番目の夫・泉ヶ原:市村正親
映画【そして、バトンは渡された】キャストと相関図!田中圭が号泣した理由とは?
出典:映画【そして、バトンは渡された】公式HP 2021年10月29日(金)に、映画【そして、バトンは渡された】が公開されます。 主演は、今大活躍中の女優・永野芽郁さん。そして田中圭さん、石原さとみさん、岡田健史さんたちに加え、子役ながら素...

【そして、バトンは渡された】の原作ネタバレ!

そしてバトン原作情報

出典:映画【そして、バトンは渡された】公式HP

不幸じゃない

困った。全然不幸じゃゃないのだ。
高校2年生の最後の進路面談で森宮優子(永野芽郁)はそう思っていた。
担任の向井先生は「その明るさは悪くないけど困ったことは話さなと伝わらないわよ」と言う。進路については、食べ物の仕事がしたいので、栄養士の資格が取れる園田短大に行きたいと思っている優子。今までの先生も自分が不幸だと思っているようで気にかけてくれるが、優子は全く不幸とは感じていない。

優子には父親が3人、母親が2人いて、家族の形態は17年間で7回も変わった。
新しい父や母に緊張したり、その家のルールに順応するのに混乱したことはあったが、どれも耐えられる範囲のもので回りが期待するような悲しみや苦しみはなかった。
優子は今の父・森宮さん(田中圭)と2人で暮らしている。
森宮さんに「意地悪な継母連れてきて」と言ってみるが、幸せなのはいいことじゃないかと言い、そして「俺は結婚する気はない」と言う。森宮さんは37歳だし結婚するべきだと思っている優子。「父親なんだから最低でも優子ちゃんが結婚するまでは優子ちゃんのことを一番に考える義務がある」と言う森宮さん。

朝からかつ丼

3年生になった新学期の初日、朝ご飯に森宮さんはかつ丼を作った。
優子は朝から重すぎると思いながらも、我慢して食べた。思えば、泉ケ原家では和食の整った朝ご飯。田中優子の時はパン。水戸優子の時は昨日の残り物とご飯だった。森宮さんの子ども時代はいつも同じ魚に納豆というおかずだったので今はバラエティに富んでいると思う優子。
学校では2組になり昨年と同じ向井先生が担任になった。
友達は親がうるさいから早く1人暮らししたいと言うが、優子はそう思ったことはなかった。実の親と暮らした日々は短く、他人の梨花さんと暮らし始め、その後は泉ケ原さん、森宮さん。みんな他人だからかうるさく言う人はいなかった。

実の父親と母親

優子の小学校の入学式。
保育園の行事にはいつもおばあちゃんが来ていたが明日は父が来てくれる。そう思うと優子は嬉しかった。そして式で返事をするのだが、先生から「水戸さん、お返事上手でしたね」とほめてもらえた。水戸さんと言われるのが大人になった気がした。
教室では後ろにたくさんの保護者がいるがみんなお母さんで着物を着たりきれいな洋服を着ていた。帰り道、父(大森南朋)に「優ちゃんのママはどうして来なかったの?」と聞いてみたが「遠くにいるからだよ」と父はそう言うだけだった。どこにいるの?としつこく優子が聞くと、「大きくなったら教えてあげる」と言う父。そしてケーキを買って帰ると言い出し、優子はケーキで頭がいっぱいになった。
2年生になり、父が、お母さんは優子が3歳になる前に事故で死んで天国にいると話した。優子は涙を流す。いつか会えると思っていた母にはもう2度と会えないことが分かったからだ。

進級祝い

食後に優子がチョコケーキを出すと、森宮はよろこぶが、実は進級祝いに生クリームにフルーツのたくさん乗ったケーキを買ってきていた。森宮はチョコケーキを食べおいしいと言うと、「俺もおいしいもの見つけると優子ちゃんに食べさせたくなるんだよね」と言った。
学校では優子はモテてよく告白された。ある日、球技大会の実行委員を浜坂くんから誘われて一緒にやることになる。そしてみんながいる前で告白され友達の萌絵や史奈にも冷やかされる。思えば優子がモテるのは2番目の母親の梨花さんのおかげかもしれない。

もう1人の母・梨花さん

梨花さん(石原さとみ)とは小学校2年生の夏休みに初めて会った。
父と車でショッピングモールに行く途中、あるマンションの前で止まり「今日はお父さんんのお友達のお姉ちゃんも一緒に行こうと思って…いいかな?」と父が聞いた。梨花さんはとてもきれいでいい匂いがするし、声もかわいい。優子のあこがれていたものすべてが詰まっていた。車の中で髪を結ってくれて、優子はすぐに梨花さんが好きになった。一緒に筆箱や消しゴムを見て、「かわいい」と言う梨花さん。とても楽しい1日だった。それから父と梨花さんと3人で買い物や遊園地に出かけた。そして梨花さんにはお母さんしかいないことを聞き、より親近感を持った。
そして3年生になる前の春休み、父と梨花さんが結婚し、4月から3人での生活が始まった。おばあちゃんの煮物や焼き魚だった食事はオムライスやカレーになった。梨花さんは掃除、洗濯、炊事、優子の世話をちゃんとやってくれ、若いお母さんと言われ自慢の母だった。梨花さんはいつも笑顔で「優子ちゃんもニコニコしてたらラッキーなことがたくさんやってくるよ」と言うのでアドバイスにしたがう優子だった。梨花さんが来てからあんなに世話をしてくれた祖父母とは疎遠になりそれがさみしかった。

友達とのトラブル

球技大会当日無事に実行委員を務めたが、浜坂君は再度告白すると言っていたがしてこなかった。
自分がいいところを見せられなかったからだ。その1週間後、いつものように萌絵と史奈とカフェにいると、萌絵が浜坂君を好きになったらしく、それを優子から伝えてほしいと頼まれる。自分が好きだった優子のことなら聞いてくれるだろうと言うのだ。翌日、浜坂君を史奈が呼び出し2人きりになるが、自分を好きだと言っている相手に他の人を勧めるなんて失礼だと思い、優子は言えなかった。すると萌絵は怒り、翌日から口を聞いてくれなくなる。

父との別れ

小学校4年生の終業式。通知表を梨花さんに見せると、「すごい!頑張ったね」と喜んでくれた。
今日はしゅうちゃんも早く帰るし手巻き寿司にしようと言う梨花さん。最近父と梨花さんが喧嘩しているのを見て2人の仲が良くないのかと思っていたが安心する優子。父が帰り通知表を見せると喜んでくれる。食事の前に父が話し出す。仕事でブラジルに行くことになった。優子についてくるのか、このまま残って梨花と暮らすのか決めてほしいと言うのだ。そこで父と梨花さんが別れることも知った。2人とも優子と一緒にいたくてそれぞれに言い分を述べた。
優子は春休みの間悩んだ結果、梨花さんと残ることにした。泣きながら「お父さんと一緒にいたいけど、友達や学校が変わるのは嫌だ」と言うと「わかったよ。優ちゃんごめんね」と父は抱きしめてくれた。
父がいなくなってから、寂しくて泣きじゃくる優子に梨花さんは「これから楽しいこといっぱいしよう」と言ったが、その時の優子にはお父さんに帰ってきてほしいという願いしかなかった。

家族について告白

高校では萌絵の事件がクラスに広まり、優子は裏切り者として孤立してしまう。
だが、その状態に優子はそこまで深刻になっっていない。そして夏休みが始まり、史奈とは連絡を取っていた。今は萌絵も彼氏ができて2学期には普通に話せると言う史奈。しかし2学期になるとクラスの矢橋と墨田という目立つ女子に目を付けられ、嫌味を言われるようになる。ある日学食で1人でご飯を食べていると向井先生から声をかけられる。心配してくれていた。優子は「今だけだと思います。時間が解決してくれると思うので大丈夫です」と言った。
クラスでは優子の家庭環境の変化について言われ始めたので、みんなの前に正直に自分のことをすべて話した。かわいそうと思ってくれる子もいて話しかけられるようになった。

返事のない手紙

梨花さんと暮らし始めて7か月。梨花さんはお金があれば使ってしまうので、生活に困るようになり節約するようになった。そして優子は毎週父に手紙を書いて梨花さんに出してもらうよう頼んだが一度も返事が来ることはなかった。梨花さんは「ブラジルに行って忙しいんじゃないかな?」と言った。優子は1人になると、父に会えないさみしさで泣くこともあった。

早瀬君のピアノ

森宮さんに学校の状況を話すと、優子を元気づけようと、森宮さんはニンニクたっぷりの餃子を作った。美味しかったがニンニクの臭いで避けられる気がする優子だった。しかし、翌日は少しのクラスメイトと話すことができた。そして9月の終わり、優子への注目は薄れ、萌絵とも普通に話せるようになった。今日も餃子だと覚悟をして帰るとドライカレーだった。ご飯を作ってくれる人がいることは、力を与えてくれることだと思う優子。
2学期の最後に合唱祭があり、優子はクラスのピアノ伴奏をすることになる。中学3年からいつも伴奏担当だった。自分のクラスの曲は「ひとつの朝」だ。放課後、音楽室に3年の各クラスの伴奏者が集められる。去年と同じ顔触れだが5組だけ早瀬君(岡田健史)と言う聞いたことない名前の人だ。早瀬君は習い事のピアノのため帰ってしまった。
家に帰り電子ピアノでヘッドホンをして練習していると森宮さんが、「合唱祭いつまで続くの?優子ちゃんは部屋にこもりがちになるし、ノックしても返事しないし早く終わらないかな」と言った。
3日後、今度は早瀬君も含め全員が音楽室に集まる。試しに全員弾いてみるのだ。優子はうまくいかなかった。早瀬君のクラスは「大地讃頌」だ。優子は彼の演奏にとても引き込まれる。演奏が終わると思わず拍手していた。帰りに久保田さんに「早瀬君すごいね」と言うと、森宮さんもピアノ習ってないのに弾けるのがすごいと久保田さんから言われる。
どうして優子がピアノを弾けるのか。それは中学3年間ピアノ漬けの日々だったからだ。

泉ヶ原さんの娘

6年生になると友達がピアノを習い始め、優子も梨花さんに「ピアノ習いたいな」と言った。すると梨花さんは「ピアノなんとかするね」と言う。
その半年後、小学校の卒業式の日、ケーキを食べながら、「卒業おめでとう。遅くなったけどピアノお祝いにするね」と梨花さんは言った。翌日、2人は同じ学区内のとても大きな家に引っ越した。「ようこそ。優子ちゃん」50代くらいのおじさん(市村正親)がリビングの大きなソファから立ち上がりそう言った。「泉ヶ原茂雄さん。先週籍を入れたんだ。つまり優子ちゃんのお父さんになるかな」そう梨花さんが言う。おばさんが紅茶とクッキーを出してくれる。梨花さんは「この人は吉見さん。料理や掃除やいろんなことをしてくれるんだ。とても親切な人だから優子ちゃんもなんでも頼んでね」と言った。
1階の部屋にはピアノがあり、自由に弾けるようになった。そして生活は一変する。
吉見さんがバランスのいい食事を作ってくれ、家のことは何もやらなくてよくなった。ただ梨花さんと2人で暮らしていた時の自由がなく窮屈に感じる。それを消してくれるのがピアノだ。泉ケ原さんはいい人だった。梨花さんは最初の1か月は天国だと言っていたが3か月たつと窮屈だと言うようになる。やることがなくて暇だから2人で逃げない?と言うこともあった。
その翌日、学校から帰ると梨花さんはいなくなっていた。それでも毎日のように夕方やってきたから優子は寂しくなかった。そして「一緒に行こうよ」といつも誘うのだ。優子はピアノが弾きたかったからそれを断り続けた。

親の義務

合唱祭の練習は2人1組で行われた。
みんな早瀬君と一緒だと差が出るので嫌がったが、優子は早瀬君のピアノを聴きたかったので代わってもらえて嬉しかった。音楽室に行くと早瀬君が先にいて肖像画を眺めている。ロッシーニだけ笑っているように見えてこの人好きだと彼は言う。練習が終わり、「森宮さんが弾くピアノ、俺は好きだよ」
そういわれ優子の顔は真っ赤になり、心臓は高鳴った。

家ではつい「ピアノ欲しいな」と口にしてしまうが、森宮さんが「俺の稼ぎがよかったら買ってあげられるんだけどな」と言いはっとして、
「電子ピアノで大丈夫!今でも十分なことしてもらってるのに…」
「十分なことって何?」
「家もあるし、ごはんも食べてるし何も苦労してないっていうか…」
「当然だろ?子供が苦労せず暮らせるようにするのって親の義務じゃん。そういうこと言われるなんて不本意だけど」
と森宮さんが言うと優子はうつむいて泣いてしまう。森宮さんは謝ってくれたが、翌日からちょっとギクシャクする優子。
そして早瀬君との練習の時も集中できず、今日の森宮のピアノ乱れてたと言われてしまう。早瀬君に森宮さんとのことを相談すると「森宮さんてすごく大事に育てられてるんんだな。父親ともめたくらいで気に病む高校生初めて見た。」と言った。

森宮さんの歌

ある日の夕食後、森宮さんが自分の通帳を見せてきて1896万円あった。
そして、ピアノ買って弾ける家に引っ越そうと言い出したが、優子はそれを断る。森宮さんは他の親に劣りたくないのだ。しかし、優子が「順位なんてあるわけない」と言うと「そっかー。ならよかった」と安心する。それでもピアノを買うという森宮さんに優子はじゃあグレーのコートを買ってとお願いした。
合唱祭の前日、優子が練習していると宮森さんが部屋に入ってくる。
そして優子の伴奏に合わせて歌い出す。それがとても上手でびっくりする優子。ネットで曲を調べて練習したのだ。森宮さんは「父親なら娘が合唱祭でやる曲くらい歌えて当然だろ」と照れながら言った。そして無事に合唱祭が終わった。
合唱祭では早瀬君のクラスが優勝した。
優子はもっと早瀬君のピアノが聞きたかったし、いろんな話をしたいと思っていた。そんな矢先、久保田さんから早瀬君の彼女が音大の2年生で彼も音大に行くことを知る。ショックだった。その2日後に隣のクラスの脇田君から告白され、さみしさから付き合うことにする。森宮さんはうるさくなり、脇田君のことをいろいろ聞いてくるようになった。

3度目の結婚

泉ケ原さんの家から出て行って1年以上たっても梨花さんはたびたび優子に会いに来た。
少しやせたように感じたが、「離婚したから早く恋人探したくてダイエットしてる」と梨花さんは言った。それから仕事が忙しくなったのか、来る頻度が減り、月に1回ということもあったがそのたびに一緒に行こうと誘われるも断った。梨花さんだけでなく自分もいなくなったら泉ケ原さんにひどいことをしている気がするからだ。中学3年になり、泉ケ原さんは優しくて受験に必要なものがあれば何でも教えてな。と言ってくれた。
3学期になり梨花さんが突然、1枚の写真を見せてきた。
地味な人だと優子は思ったがこの人と付き合っていて結婚しようと思うと言う梨花さん。中学の同級生で同窓会で再会し、東大卒で今は一流企業に勤めているらしい。水戸さんはカッコイイ、泉ケ原さんはお金持ち。3度目の正直で頭がいいちゃんとした人を優子の父親にしたいと思ったのだ。そして春休み、その森宮さんと籍を入れたから優子を引き取りたいと泉ケ原さんのところに言いに来た。「わかった」と泉ケ原さんは言ったことに驚いた。ここにいてもいいと泉ケ原さんは言ってくれたが、梨花さんが来なくなるならここは優子にとって窮屈な場所でしかない。しかし優子ついていくと泉ケ原さんに会えなくなる。優子は「どっちでもいいよ」と言い、投げやりにならないと生きていけないと思った。

親に叱られるということ

大学入試前最後の日曜に脇田君とショッピングモールで映画を観た優子。
楽器屋さんで偶然ピアノを弾く早瀬君に会う。アンパンマンの歌を体を揺らしながら楽しそうに弾く早瀬君。子供たちも楽しそうだった。「すごい上手。どこでも早瀬君のピアノすごいね」と言う優子に「気軽にピアノ弾くって楽しいもんだな」と言う早瀬君。優子は偶然会えてラッキーだと思った。
家に帰ると、受験前に1日遊んでいたことを森宮さんから注意される。今までの親はみんな気を使って叱れらることはなかったので初めてのことだった。その後、胃が痛くて吐き気がすると宮森さんが言い出した。心配する優子に、初めて優子ちゃんを叱るから緊張してそうなったと言う宮森さんだった。
そして優子は受験し、無事合格した。合否を気にしてくれている脇田君に連絡しようと思ったが、やはり父親の森宮さんに直接1番に伝えることにした優子。森宮さんの会社まで行き、報告すると喜んでくれた。帰りに2人で優子のお小遣いからおごりでラーメンと餃子を食べた。ゆっくり話はできなかったのでケーキを買って家に帰った。
高校の卒業式。向井先生が1人ずつに手紙を配った。それを読んで泣く生徒もいる。優子の手紙には、「あたなみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない」と書かれていた。仲の良い友達の名前が呼ばれれていく。中学では泉ケ原、今は森宮で高校を卒業したらどうなるんだろうと思う優子だった。

いなくなった梨花さん

森宮さんと梨花さんと3人での生活が始まり、梨花さんは「探さないでください 梨花」と置き手紙を残し、2か月で出て行った。優子は以前のようにまた会いに来てくれると思っていたが、1か月、2か月たっても何も連絡はなかった。それからしばらくして、梨花さんから森宮さんに「再婚をするので早急に確実に手続きしてください」と書いた手紙と離婚届が届く。あれだけ自分を愛してくれた梨花さんを変えてしまうような人に巡りあえてよかったと思う優子。森宮さんはすぐに離婚届を出した。「梨花さんのこと好きじゃないの?」と優子が聞くと、「梨花のことは好きだけど。大事なのは優子ちゃんだ。俺、男である前に父親だからね。結婚相手の子どもじゃなく正真正銘の優子ちゃんの父親になれるってことだよな。なんか得した気分」とうきうきして言った。そして「俺再婚もしないしどこにもいかないから。よろしくお願いします。」と初めて会った時と同じように頭を下げた。

早瀬君との再会

優子が22歳になり、森宮さんに「紹介したい人がいるんだけど…」と言うと彼は素直に喜んだ。
しかしいざ早瀬君を連れてくると反対した。高校で付き合っていた脇田君とは大学に進学し別れた。短大を卒業し栄養士の資格を取った優子は山本食堂という小さな家庭料理の店だ。そこで調理補助などして働いた。就職して8か月の寒い冬の日、早瀬君がやってきた。毎日いろんな店を食べ歩きしているらしい。優子が作ったお浸しを食べ「すごいよ森宮さん。音楽もやって料理も作って、まさにロッシーニだ」と言った。早瀬君が感動して優子の手を取り握手をすると優子は真っ赤になり高校生のころの気持ちがあふれ出す。山本さんが「君たち付き合ってたの?」と聞くと早瀬君は「合唱祭で伴奏が一緒だったんだよな。あれ?もしかして森宮さん俺の事好きなの?」と言った。優子は「まあ…そうなんです」とうなずいた。

森宮さんの反対

それから何度か会い2人は付き合うことに。早瀬君はピザの修行でイタリアにいっていた。
音楽家を経てレストランを経営したロッシーニを目指しているのだ。そして今度はあと半年で卒業の音大を中退してハンバーグを学ぶためにアメリカに行っていまう。森宮さんは最初は早瀬君の話を面白がって聞いていていたが、アメリカに行ってから「あいつはだめだ」「これが別れるいい機会だ。」と言った。3か月後、早瀬君がアメリカ帰りに山本食堂に来た。そして「俺は手作りのファミリーレストランを作る。だからさ優子、結婚して。」と言った。突然すぎて納得できない優子に、「俺と優子がいてピアノと美味しいものがあるんだよ。どう頑張っても楽しいイメージしか浮かばないんだけど」と言う早瀬君。そしてフランス料理店で働き始めた早瀬君がバイトから正社員になり、結婚のために2人は動き出す。しかし、森宮さんは変わらず反対するので、優子の今までの親に挨拶し、賛成を得てから森宮さんにアタックすることに。
まずは泉ケ原さんから。結婚の挨拶をしたいと手紙を書くと快く会ってくれた。吉見さんも元気そうだ。泉ケ原さんは2人の結婚を喜んでくれた。そして早瀬君のピアノを聴き盛大な拍手を送る。そして夕食はたくさんのお寿司を取ってくれ、お酒も飲み、泉ケ原さんと早瀬君の話も弾んだ。
森宮さんも知らないからダメ元だったが、優子が梨花さんの連絡先を聞いてみる。すると「知っていることは知っているんだけど…」と言いながらも優子が結婚するなら喜んでくれるだろうと居場所を教えてくれた。
森宮さんに泉ケ原さんが賛成してくれたことや、梨花さんの居場所が分かった話をした。優子が会いたいか聞くと、「いや、全然」と言った。「優子ちゃんにとっては母親なんだし喜んでもらえることは報告したらいいと思う。遠慮しないで」とも。

梨花さんが出て行った理由

梨花さんの居場所に向かう優子。早瀬君は談話室で待っていると言った。
306号室。ネームプレートには「泉ケ原梨花」と書いてあった。再婚相手は泉ケ原さんなのか?病室に入ると「ちょっと3時に来るって聞いたから待ってるのに」と元気な声の梨花さんだ。7年ぶりに会う梨花さんは年を取っていて病気のせいか顔色も悪いし痩せていた。「しげちゃんと再婚したんだ。あの家は苦手だけど、しげちゃんはいい人だし、あの頃も今も好きなんだよ」と梨花さんは話した。
泉ケ原さんの家を出たのは、あの家が窮屈で吉見さんも嫌いだったから。
あの家にいたら優子ちゃんもだめになると思って連れ出そうとした。働いてお金もためて迎えに行くつもりだった。だけど病気になってしまったから優子ちゃんの母親はやめようと思った。私は血もつながってないし、もっといい親を選ぶべきだと思った。優子ちゃんが「親が変わるのは辛くない。身近な人の死以上に辛いことはない。」と言ったから、「私が離れれば死んでも知らずに済む。2度も母親に死なれるのは勘弁だよね。まだ死ぬ予定もないんだけど。」そう言って梨花さんは笑った。「森宮君と結婚したのは、病気で入院した時に東大出て大手で働いて堅実な人がいたって思い出したの。彼が優子ちゃんの親に向いてると思ったの。私の勘当たってたでしょ?」
「それはそうだけど…」
「手術1年後にまた悪いところが見つかって再手術することになって優子ちゃんの身の上をなんとかしなきゃって思った。それで急いで森宮君と結婚して、泉ヶ原さんに優子ちゃんを引き取りたいと話したんだ。森宮君はとぼけてるから私が病気だとは思っていなかったけどすぐに出ていくことはどこかで感じていた。だから受け入れてくれたんだと思う。自分が優子ちゃんの親になろうとしてたんじゃないかな。」
「で泉ヶ原さんと再婚したんだ?」
「優子ちゃんを引き取りに行ったとき病気に気付いて彼には全部話した。それから病院の費用とか助けてもらって今に至るかな。しげちゃんの懐のでかさにはかなわないよね。私はあの人と一緒にいるのが心地いいんだ」と話した。
今度は優子が早瀬君について話す。紹介しようとすると今日はたくさん話して疲れちゃったから、会うのは結婚式まで楽しみに取っておくと梨花さんは言った。
森宮さんは梨花さんが出て行って平気そうに見せていたが実は違ったのかもしれない。7年も恋人を作れないほど。帰りに、実の父親の場所を聞くと知っていると言うので後日教えてもらうことにした。結婚の報告だけは父にしておきたかった。
談話室に行くと早瀬君はいなくて、ピアノを弾いていた。やはりその音を聞き、優子は早瀬君はもっとピアノを弾くべきだと確信する。「私気づいたよ。早瀬君ピザを焼いてる場合じゃないってこと。ピアノ弾くべきだよ。ハンバーグもピザも私が焼く。私の方が料理うまいもん」ときっぱり優子が言うと早瀬君は「俺もそれうすうす気づいてた」と静かに笑った。

父の真実

それから1週間もしないうちに梨花さんから小さな段ボールが届く。それには何通も手紙が入っていた。梨花さんからの手紙を読む。

  • 父がブラジルに行った後10日に1度ほど父から手紙が送られてきたこと。
  • 優子がお父さんのところへ行きたいと言い出すのが怖くて渡せなかったこと。
  • 2年後父が帰ってきて優子に会いたがったが、優子が自分のそばから離れるのが怖くて会わせなかったこと。
  • 父がその3年後に再婚して今は2人の娘と家族で幸せにくらしていること。

そして、秘密にしていた全ての事への謝罪と父の住所が書かれていた。

優子は全てを知り涙を流した。父は自分と会おうとしてくれていた。だけど梨花さんを恨む気にはならない。彼女がそれを超えるくらいの愛情を注いでくれていることは知っている。
そこへ森宮さんが帰ってきた。説明すると、「梨花らしいね。優子ちゃんとの生活守るためなら実の父親くらいけちらしそうだもんな」と言った。
そして優子は自分には今の家族で十分だと思い、新しい家族がいる父には会わないと決めた。

優子と早瀬の説得

早瀬君はフランス料理店をやめて、音楽教室の講師と結婚式場やレストランでピアノを弾く仕事をしている。2人には森宮さんの説得という仕事が残っていた。2人で優子の家で夕食を作り、3人で食べた。森宮さんが泉ヶ原さんから300万円をお祝いとしてもらったから受け取るよう言われる。森宮さんは認めたくなさそうだったが「泉ヶ原さんは大金を出して2人を応援してくれてる。水戸さんも優子ちゃんの幸せを願ってるにきまってる。梨花は大喜びだろ?俺が反対するとおかしいもんな」と言った。早瀬君は「お父さんに認めてもらえないと意味がないんです」ときっぱり言った。

結婚式の日取りが決まり、早瀬君の家に挨拶にいった時、お母さんは穏やかな表情で迎えてくれた。「先日被害届が届いたの」と手紙をみせてくれた。

3日に1度早瀬賢人くんからピアノ曲と暑苦しい手紙が送られ困っています。結婚がうまくいくまで続くようです。これ以上こんな目にあわされては平穏な暮らしができませn。どうか2人が何も気に留めることなく結婚できるようにしてください。森宮壮介

13年ぶりの再会

優子と早瀬の結婚式当日。
森宮は、早瀬の親族とあいさつを終えると優子の親族とも挨拶をする。
梨花は痩せていたが相変わらず元気そうだ。泉ヶ原さんは申し訳なさそうにしていたが、梨花が幸せそうでよかったと思った。そして水戸は森宮に「本当にありがとうございます。今日まで育ててもらったことも、連絡してくださったことも感謝してもしきれません」と言った。
実は優子が読まなかった水戸からの手紙を森宮は全て読んだ。そこには優子への愛が詰まっていた。優子の幸せな姿を見るのはこの人にとって喜びだろうと思い、式場の住所と日時を書いて送っていたのだ。優子には当日水戸がくることを伝えると「やっぱりね。森宮さんこそこそと熱心に手紙読んでたもんね」と笑った。
13年ぶりの父と娘の再会は意外とあっさりしたものだったが、優子は「お父さんが来てくれるなんて」と満面の笑みを浮かべ「ああすっかり大きくなって」と水戸は涙を流した。森宮は本当の親には躊躇なく「お父さん」と呼べるのだと血のつながりを見せつられた気がした。

未来へのバトン

教会でバージンロードを歩くよう言われる森宮は「水戸さんに変わったはずです」と言うが、水戸は「お願いします。優子を早瀬君に送るのは森宮さんです」と言った。梨花も泉ヶ原もうなずいた。
バージンロードの前で「最後の親だからバージンロード歩くの俺に回ってきちゃったんだろう」と言う森宮に優子は「森宮さんだけでしょ。ずっと変わらず父親でいてくれたのは。私が旅立つ場所も、この先戻れる場所も森宮さんのところしかないよ」と言った。こんなにも大事なものを手放す時が来たのに今胸にあるのは曇りのない透き通った幸福感だけだった。目の前の扉が開くと遠くに早瀬君が立つのがみえる。本当に幸せなのは誰かとともに喜びを紡いでいる時じゃない。自分の知らない大きな未来へバトンを渡す時だ。あの日決めた覚悟がここへ連れてきてくれた。
一歩踏み出すとそこにはもう光が満ち溢れていた。

みぃたんは優子のことなのか?

そしてバトン優子

そしてバトンみぃたん

出典:映画【そして、バトンは渡された】公式HP

初めて映画の予告を見た時、「みぃたん=優子」じゃないかな?と筆者は思ったのですが、原作を読み始めて早い段階で、やっぱりそうだと確信に変わりました。
ですが、映画の公式ホームページでは、みぃたんが優子の幼いころとは書かれていません。
なぜ同一人物にしていないのか?
これは、あえて「2つの家族」とすることにより、映画を観て2人が同一人物だと分かるようにしたいので、あえて隠しているのかな?と思いました。
なぜみぃたんという名前なのか?みぃみぃ泣くから?
みぃみぃ泣くという表現も初めて聞いたのでどんな感じか分かりませんし謎だらけです(笑)
映画館でこの謎も確認したいと思います!

親たちの「嘘」と「秘密」に感動の声!

原作では「嘘」をつき「秘密」を持っていたのは、主に梨花でした。
そしてすべては優子を愛するがゆえにしたことでした。
自由奔放で自分勝手な梨花ですが、実の娘じゃないのにここまでできるのか?
ある意味本当の親よりすごい愛情だと思います。

「嘘」
優子と離れるのが怖くて、ブラジルに行った水戸からの手紙を渡さなかった。
優子の書いた手紙も送っていなかった。
水戸が日本に帰ってきて会いたがっていたのに会わせなかった。
「秘密」
病気になって2回も手術をしていた。
森宮と別れた再婚相手が泉ヶ原だった。

泉ヶ原も梨花の病気を知りながら言わなかったり、水戸も母が亡くなったことを4年も言わなかったり秘密はありました。それも優子を思ってのことでした。そう考えると優子は親が何度変わってもみんなに愛されて本当に不幸じゃなかったのかもしれません。梨花も森宮も、結婚相手の娘というだけでこんなに優子を大切に愛してくれています。

読者からは親たちの嘘と秘密に、「感動した!」「心が温かくなった」などの声がありました。

しかし、筆者はちょっとひねくれているのか、梨花って優子のことを愛しながらも、結局は自分勝手だな。と思ってしまいました。優子は環境が変わるたび、いろんな人に会えなくなり寂しい思いをしています。それって辛いことだし優子も実際に実の父に会えなくて泣いていました。登場人物みんながすごい突拍子もない人ばかりだなと思いました(笑)

映画では原作と違うところがたくさんありそうなので、違う部分で泣けるかもしれません!
それも楽しみに映画館に行きましょう!

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